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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

『余白』

渡したい想いは、幾らもあるのに

当て嵌まる言葉は、幾つもなくて

あらわす言葉を探しては

「何かが足りない」と解けていく

それはきっと

「独り善がり」だと知っているから

渡したところで

貴方にとっては、幾らか場所を取るだけで

特別何かと成るモノではないのでしょう?

知っているから、探す言葉も曖昧で

填まる言葉は、象に成らず熔けていく

それでも

そうだと解っているからこそ

何処か朧気な貴方という人が

「確かに居る」と伝えたい

“私”にとって『とても愛しい貴方』が

『此処に確かに居るのだ』と

そう伝えたいと

願い祈ることを

貴方は許してくれるだろうか?

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ひとり立ち

私の足元のねばっこい影
ずっと取れやしない
洗っても、擦っても
影はずっと
足裏を掴んで離さない

大変だったろうに
二つの命を抱えて
毎朝、毎朝
自転車を漕いで

もう私はかえりました
だから離れていいんですよ
そう伝えても
影はひっついたままで
すがりついているようで

ずいぶん背中が、小さくなったなあ
普通、時間が経てば、影は伸びてゆくのに
あなたはこんなに
弱く見えたっけ

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にんげんっていいな

1番

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36くらいでいいや
「にんげんっていいな」

ごめんほとんど聞こえなかった。

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人間

太古の昔から、戦争の神様はいたけど
反戦の神様はいないから
戦争に反対する人間を讃えよう

悪と戦うのは正義だとか
防衛は侵略じゃないとか
そんなことを言う神様を見捨てて

良い戦争とか、悪い戦争とか
敵とか味方とか関係なく
戦争に反対する人間を讃えよう

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ポ…

  老いたねこ ふんづけた蟻 台所で
  あらそう 家族 汗っかき
  壁 それぞれに
  風が なだめに おとずれる
  その頃 寝室で
  月が 敷いた 枕へ
  ポ…
  ポ
  と
  弱音を 吐いた
  あかんぼう

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めぐる

春は  
私に動き出せというようである

夏は  
暑さに耐えればえらいというようである

秋は  
実りの多くを収穫しなければならない

私は、冬が好きだ

お風呂が楽しみになるからだ

冬は  
私に期待しない

私も  
冬の間はゆっくりできる

しかし、私は気づいている

春が来れば  
私もまた  
変わらなければならない

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見上げた空に溢れるもの

ありがとうの心はね
ありふれた景色のなかに
あふれてる

目に映るもの
愛にあふれて

感じた心
うれしくて

やさしい気持ち
に満たされて
あふれていくから

かわいくて
やさしくて
あたたかい心のなか

言葉にのせて

大切なもの
あげたい気持ち

あふれてくる

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あい・し・あう

いみ
     を
        ことばで

まいごに

 するなんて、 

 
ことばが


  いみを

かさまし したり


            まどわすのも

め ん どくさい ね



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消えたあと

僕は消えたあと、どこにいくのだろう?
いまはただただふわふわと。
空の美しさに目を奪われているだけなのに。
僕はこの空にぽつんと置いてある太陽から光を浴びて
キラキラと光っている。
あ、だれかみてる。
僕に手を降っている。
小さい子だ。

あっ

ポンッ

「あ、ママ。しゃぼんだまがとってもきれいに弾けたよ」

あぁ、僕は消えるときもとってもきれいなんだ。

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むち

生きてよ
せのじゅんにならんだときから
ひとは
つまらないものだと
知ったはずだよ

やさいをたべて
にくをたべて
たまごをたべて
てをあわせたら
まるで葬式みたいなのに
きせつの帳尻を
あわせているだけ

だいじょうぶ
だって わかいから
うらやましいわ
だって わかいから
あおくても
つめたい錆の
においくらい
ねむれないよるの
さびしいよふけに
知ったはずだよ

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漫画家志望の初老男

漫画家を目指して 30年
職場じゃ最年長 still part-time / no fame
昼メシ 卵焼き 冷めた弁当
腹へっても鳩に give / no gain

水道がついに止まる日常
うすっぺらな感覚 軽い異常
テレビは通常 でも部屋は異様
息の根 止まりそうな low tension / slow

週刊誌 めくるその指先
初老の男 無言のまま立ち
去年の日付 色あせた文字
なのに初見の話ばかり

知らない事件 知らない名前
読んだはずなのに 記憶がない
ページの奥に 残る気配
new or old? あいまいな境界
指名手配犯 似てるらしい
似てないらしい still close / maybe

写真の目が こちらを見る
見慣れてるはずの この顔
ページを閉じても 残る視線
消したはずなのに 消えない scene
逃げているのは どっちだろう
考えすぎて 笑ってしまう

似てる 似てる まだ似てる
閉じても 開いてる still 見てる
去年 今年 どっちでもいい
名前はどこにも 書いてないのに

うすっぺらな感覚 剥がれる感情
残るのは音と わずかな残像
初老の男 ページを閉じた
閉じたまま end / no reaction

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まどろみの中で

やめろ
苦い汁をくれ
あの珈琲豆の煎じ汁を

夢に
さ迷い 惑い
酔い潰れ
まどろみが
全てを失わせた
あの あの
大いなる楽を
仏陀が指さした
あの道を

有為の奥山 今朝超えて
浅き夢見し 酔いもせず

苦みが駆け巡り
もう酔いはしない
目が覚めた

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2026/04/05 日常詠 Shuraxa Lost Temperature Release Tourを観て

https://i.postimg.cc/d1xH5kV8/IMG-20260405-184344.jpg

武田理沙
鍵盤や葱へ刃のあまたたび

山本達久
春の闇うごくシンバル瞬けば

中尾憲太郎
じむぐりの耳道這ひずる重力場

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#じんたま 3

4月5日の夜、クヮン・アイ•ユウさんのツイキャスがあるという告知を目にし、私は導かれるようにその場を訪れた。
画面の向こうには、彼とつつみさんの二人。リスナーは時折出入りがあるものの、私は挨拶もせず、ただ静かに「潜伏」していた。彼から見れば、つつみさんと、正体不明の誰かが耳を傾けている——そんな風に映っていたはずだ。
彼は自作の詩をいくつか披露した。
改めて聴く彼の朗読は、実に響きのいい声だった。言葉の扱いが手慣れているというか、その発声には確かな地力が宿っている。月曜からはまた仕事が始まるはずだが、どうにも寝つけない夜なのだという。私は普段なら12時前には眠りに就くのだが、その夜は潜んだまま、彼の声に身を委ねていた。
詩を朗読し、その背景やつづられた当時の記憶を、つつみさんと対話するように語る時間が流れていく。私は潜伏したまま、歯を磨き、喉を潤すといった生活の細々とした動きをこなしていた。やがて、話題がCWS(Creative Writing Space)に投稿された私の「#じんたま」に及んだ。
いつまでも素性を隠して聴いているのも不自然に思え、私は挨拶がてらコメントを残した。
かつて「B」にいた頃、私は「吸収」と名乗っていた。「グリフィス」という名は、さらにその前、文学極道時代のハンドルネームだ。その投稿掲示板が機能を停止したとき、私もまた、この界隈から自然に消えていくのが道理だと考えていた。
それから約5年、ネット詩の世界からは完全に遠ざかっていた。
転機は、娘がコロナに罹患し、その看病で付き添っていた時に訪れた。ふとした拍子にネット詩の海を彷徨い、辿り着いたのが「B」だった。そこで久しぶりに詩を投稿した。いや、文学極道時代には賑やかし程度の関わりしか持っていなかったから、それは初めて詩を「発表」するような、奇妙な感覚を伴うものだった。その後の「B」での活動が私の今を形作るのだが、今はその本筋から逸れるので置いておく。
長く離れていたせいで、クヮン・アイ•ユウ氏が「B」で最も活発に動いていた時期を、私は全く知らない。ただ、後年になって過去のログを漁っていた際、彼の活動の軌跡を何度か目にした記憶が、断片的に残っているだけだった。
放送の中で、彼は私がCWSで「#じんたま」を書き継いでいることに触れ、「ご自身のペースで書いてくださいね」と穏やかに言葉を掛けてくれた。私は頷きを返しつつ、「ご本人のことをよく知らないまま書き始めてしまって、どこか変な感覚なんです」と正直な胸の内を明かした。
「クヮン・アイ•ユウさんの詩界隈での人間関係、その相関図のようなものがあれば便利なんですけどね」
そんな私の軽口に応えるように、彼とつつみさんは、これまでの歩みを丁寧に説明してくれた。
知っている名前もあれば、初めて聞く名もあった。
「武田地球さんとも活動されていたのですか?」と、おぼろげな記憶を頼りに尋ねると、「詩人z」についての解説もしてくれた。「クヮン・アイ•ユウさんは、大阪のミャンマーさんなのですか?」という私の問いには、「いや、どうなんですかね」という、煙に巻くような、あるいは照れ隠しのような返答が戻ってきた。
どうなんだろう、私は一体何を聞いているのだ。そんな自問がふと頭をよぎる。
放送は24時前に幕を閉じ、私は挨拶をして退室した。
それから、つつみさんのカレー作りの動画を眺め、紹介された場所へと飛び、過去から現在へと繋がるクヮン・アイ•ユウ氏の活動の足跡を巡り歩いた。
CWSに「#じんたま」を投稿し続けることで、私は何を求めているのだろうか。
ふと、自分自身の中にある「カタルシス」のようなものを求めているのではないかと感じた。
トーマス・マンの『魔の山』、サマセット・モームの『人間の絆』、そしてヘルマン・ヘッセの『車輪の下』——。古の教養小説が描いてきたように、私は自分自身の歩みを振り返りながら、この「#じんたま」という活動を通じ、どこか決定的な場所へ辿り着こうとしているのではないか。
目を閉じれば、ハンス・カストルプがそこに立って、世界の無常を語り出す。
私はその深く、静かな瞳を、いつまでも見つめ続けていた。

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即時一杯の飯に如かず⑮

 ep.15「藪蕎麦」

 蝉の大合唱に茹だる暑さ
 眩暈で揺らぐ向こう側で手招きする農夫が、俺を呼ぶ。

 「助かります。遠慮なくいただきますね」

 道端でいただく冷たい西瓜は格別で、吹き出す汗を拭えば顔に泥が伸びる。
 営業先でいい顔したくて畑仕事を手伝ったが、悪くはない。直射日光は体に応えるが畑で汗を流す人がいなければ、消費者は何も食べることはできない現実に立ち、雲ひとつない真っ青な夏空の元で西瓜を頬張る。
 なんという、甘さ。
 歯を入れると糖度の高い果汁が滴るので、口を付けて吸いながら食べ進める西瓜はこの区域で試験栽培されているもので、まだ市場では流通して無い品種。身と皮の間にも基準値が儲けられ種が白くて少ない。

 「ごちそうさまでした」

 軽トラで送って貰った庭先で井戸水を拝借する。
 片手で押し上げながら吹き上がる冷たい水に頭を突っ込んでやりたい衝動を堪えて、顔を洗う。

 「生き返りました。では、私はこれで」

 スーツの上着を着る気にはなれず、灼熱の営業車を冷房でクールダウンさせた後、南西に進む。



 この先にある蕎麦屋で飯にするか。



 あの西瓜、旨かったな。
 町名、だったような。宗一郎に聞けばもう一度食べられるかも知れない。
 青看板が出て来ない田舎の農道は砂利道で砂煙を巻き上げながら、目的地に到着。
 木彫りの看板に、自然と生えている草花が印象的だ。
 暖簾をめくると元気な呼び声。
 まず目に飛び込んでいたのは立派な一枚板のテーブル。これは立派だ。
 席に着くなりメニューを広げる前に、水を一息で飲み干すとおかわりを注いで貰い夏野菜の天せいろを勧められた。

 では、それで。地産地消に外れなし。

 間もなく天ぷらが跳ねる音が聞こえて来る。
 徐々に音が変わり、ふんわりと香り立つ店内は壁一面がガラス構造、喉かな田舎の風景がまるで一枚の絵のように見える仕組みだ。菜の花が咲く頃に来てみたい。


 本日のランチ
 「天せいろ蕎麦」
 ・やぶ系
 ・天ぷらは海老、茄子、万願寺唐辛子、とうもろこし、餅5種。


 いわゆる田舎蕎麦といわれる十割。
 藪は甘皮も一緒に挽くため緑色だが、蕎麦の濃い香りと、この色合いが食欲を増進させる。
 江戸前の真っ黒な辛めのつゆに短い蕎麦を先だけ落とし「すする」田舎蕎麦はつゆで濡れても質感が固い為、箸で口に入れて残りを吸い上げるのが、俺の食べ癖。
 あっさりだが、節々に区切りがあっていい。
 万願寺唐辛子は大きな獅子唐のような見た目だが、辛くないピーマンのよう。冷涼な気候での作り手が増えている京野菜のひとつ。丸ごと揚げており頭から中の種も全て食べる。
 お楽しみは餅。
 手作りの切り餅を揚げた代物で、噛みつき箸で引くと短く伸びて切れる程よさ。
 ああ、これはいいな・・・・・・蕎麦屋に来てうまい餅に出会うとは思わなかった。
 頭の中で食レポを展開していると蕎麦湯が届き、山葵と葱に蕎麦湯を加えれば完成された珠玉の一杯にほっとする腹具合は8分目。食べ過ぎたな。
 レジに立つと真空パックの餅が販売されていた。
 よもぎは丸い粒で値段が同じ、尋ねると「あんこが入っています」なるほど、ひとつ頂こう。

 南部鉄器の風鈴の涼し気な音色に、美しい田園風景。
 新蕎麦の季節にまた来よう。

 直射日光で茹だる熱を蓄えた車内を冷やしている間、ボディーシートで汗の処理に努めていると会社から着信。
 何件か頼まれ事を引き受けてしまった。
 直帰(NR)スパ銭ビールを夢見る真昼の営業に一区切り、シャツを変えたら夜までメンタルを維持できるだけ西瓜と蕎麦で養生できた今日はいい日だ。

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BAR「Creative Writing Space」

ニーズがあるやらないやら、まったく見当がつきませんが、
毎度おなじみの思いつきで、BAR「Creative Writing Space」を開業いたしました。

皆様にお使いいただけなければ、すぐに閉店いたします。
電脳空間の片隅にある、吹けば飛ぶような小さなBARでございます。

一杯引っかけた体で雑談していただけるスペースをイメージしています。
「Talk」がさほど機能していないことも踏まえ、もっとカジュアルに使っていただけたらと思っています。


【ルール】
・ワンドリンク制です。必ず何かお飲み物をご注文してからお話しください。ノンアルコールでも構いません。
・お代はいただきません。もしスペースコインをお支払いになりたくなったら、他のお客様に奢ってあげてください。
・酔っ払いすぎにはご注意くださいませ。

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批評・論考

【短歌】親愛なる冬のみなさま【まとめてみた】

銀紙にくるまれた冬をとりだしてほうばる前にすこし眺める




透明をかさねてかさねて神無月こんないろでも光になるのか


夏掛けにいっしょうけんめいもぐりこむコタツごっこと音も無い窓


濡れ鼠かわかしたので眠りねずミルクのふとんにくるまって尚


おや中尉あなたでしたかこの冬を鏡のように磨く役目は


十二月なにを撮っても美しく星の採取に役立ちました


枝ぶりは丑三つ時ならシカのツノ冬の昼なら空の花束


将来は研究しようと思い立つ無垢なそらほど寒いふしぎを


碧すぎて夜はとうとう紅くなる電信柱へ薪をくべよう




終わり際は初冬とおなじ匂いみたいこんな鼻ではわからないけど

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即時一杯の飯に如かず⑭

 ep.14「東京ミルクチーズ工場」

 和真は俺と同じ年で、出会った頃は遊び仲間のひとり。
 飲み上がり潰れて・・・・・・
 翌朝、一杯のみそ汁で目覚めた和真に言われた。
 
 「いいお嫁さんになれるね」

 男の嫁なんて聞いたことない。
 和真が同性愛者だと知ったのは半年後。アポなしで借りていた紅茶の専門誌を返しに行った時、玄関のドアが開いて制服を着た少年が笑いながら振り返り。和真が、友達が、女とすることを同性と・・・・・・俺は壁を背に隠れた。

 誰にだって、秘密はある。

 初めて見る和真の「男の顔」に強い衝撃を受けたまま距離を置いた。

 どんな風に接したらいいのか。
 不用意な一言で友達を傷つけてしまうくらいなら、避けた方が賢明だ。それからは随分といろんなことを考えた。もし和真に求められたら、可能性があるとしたら。余計な心配ばかり巡らせ、和真と一緒に過ごした楽しい日々を思い返してる俺はひょっとして和真のことが好きなのか。
 顔が全てといわれる界隈で、和真は群を抜いて顔面偏差値が出来高。人に紹介すると「羨ましい」と言われ、まるで自分を高評価された錯覚を覚えてしまう。冴えない自分が特別なハイクラスの仲間入りを果たしたような気持になれる。錯覚でも心地よく思う卑しい思想に、愛も友情もない。
 己が呪縛となった俺は、和真に打ち明けることを決めた。

 「あーそう、絢斗にしては頑張った方じゃない?」

 ゲイ、と呼ばれる人達はもっと男臭くて押しが強い支配的な印象を深めていたが、久しぶりに会う和真は心なしか肌艶も良くセクシーで、優雅さを放っていた。

 「俺はエイジレスで年下が好み。純粋に甘えてくると可愛いだろ、テスト勉強くらいなら教えてやれるし」
 「和真と付き合えるなんてメリットしかないよ」
 「まぁ子供だから、大人と付き合うステータスはデカいだろ。あっちの方もいいし。ああ、こういう話は苦手だったよね」
 「・・・・・・経験が無いわけじゃないから、その」 
 「一概に同性愛者といっても、わかりやすい系だけじゃなくて。自分と似たような奴が寄って来る。真逆のタイプと付き合って消耗するのが勿体ないと思うんだ」
 「確かに、時間は有限だ。そっか・・・・・・いや、少し気が楽になったよ。ありがとう」
 「どう致しまして。この後、カフェでゲイシャでも飲まない?」

 久しぶりの距離感で笑い合う。俺たちとすれ違う女性が和真を意識して色めき立つ。
 どこに居ても目立つ、天然フェロモンという名の香水を俺自身が嗅ぎつけていたのかも知れないと和真から指摘された時、何とも形容し難い理解を飲み込んだ。
 
 和真に対する気持ちは、恋じゃない。
 同性としての憧れと尊敬を抱く目標だ。
 学生時代は勉強しかしてなかった俺は大人になって初めて恋をした。でも友達を作ったり、良好な関係を変わらず継続させるのは難しい。和真は唯一それが叶う相手であり、俺の料理を喜んで食べてくれる大切な人。失えば患ってしまう程に、好きだ。
 
 「よくわかったけど、妬ける」

 腕組みを解く路嘉はグラスを置いて顔を反らした。
 関係を疑われるのは不本意であり、和真に迷惑をかけないで欲しい。改めて要点を伝えた先で、宗一郎との出来事は胸の内にしまったまま────嘘、ではない。ただ余計な事を言わないだけ。
 ここで路嘉を傷つけ、俺自身の評価を落とすのは得策ではない。
 平和主義で喧嘩をしたくない俺と違って、路嘉は本質的に強いものを持っている。負けず嫌いで、競争心が強く相手を打ち負かす事の先にあるリスクを考えられない。向上心があれば幾分いいが、努力するより楽さを選択することに何の罪悪感りは世代か、付き合っていてよくわかる特徴だ。
 だから性的な関係になるのが・・・・・・


 俺は、怖い。


 男同士の世界は快楽を重要視している人が半数を超える。路嘉もそのひとりであることに気が付いていたから受容れ難い感情を顕にしていた。今も腕を掴まれ、不随意に反応してしまったことでまた何か言われるのではないか身構えている。

 「ひとつ、聞きたい事がある」
 「答えられる範囲なら」
 「セックスしたことある?」
 「・・・・・・男と?」
 「うん。その時どっちだった・・・・・・タチ?」
 
 最期の言葉に、喉を鳴らして息を飲み込む。
 男同士のセックスは男女と凡そ同じ内容だが、つまりは使う場所が異なる。タチは挿れる立場で、俺は受容れるネコだが個人的にそれを言いたくない。あんな行為で感じる変態だと悟られたら最後、宗一郎のように・・・・・・望まない行為として抵抗しても相手は男だ。粗末に扱われる屈辱は、何度も経験したくない。
 路嘉は会社の部下で、年が一回りも離れている禁忌。
 自分のキャリアが終わる可能性も視野に入れて、話をするべきだろう。

 「俺、ネコだけは絶対に無理なんだよね」

 わかる、お前はタチ特有の気質で間違いない。
 男の体はどちらもあるのでバイタリティーに富む、スキルさえ身につければリバーシブルも可能だが本心的な性分から一方に定める男もいる。路嘉のセクシャルは想定内だ。

 「お互いタチだから合わないのかな、と思って」
 「では性格の不一致ということで」
 「そんな簡単なことじゃねぇだろ」
 
 興奮した犬みたいに下から唇を狙ってくる路嘉を交わしながら、掴み合いの攻防戦に発展する。嫌がる相手にキス強要、酔っ払いの中年みたいなことを23歳のお前がやるな!しつこいと一瞥くれる俺に乱暴な言葉ひとつでは済まない気の強さ。
 腹が立つより正直、相手にしたくない。
 女の子みたいな可愛い顔しているのに、俺の前では益荒男。内弁慶か。
 コーヒー飲みながらふてくされて喋らない気まずさから、テーブルの上で包み紙を広げる。

 「また餌付け・・・・・・」
 「チーズのお菓子だ。嫌いか」

 レトロなCOWマークの箱から出て来た銀の包み紙を開けると、乳製品の香りが心地よいラングドシャにカマンベールチーズのチョコをサンドした薄いクッキーが現れる。
 開封時のフレーバーによる幸福感が非常に高いことで知られる
 「東京ミルクチーズ工場」
 ソルト&カマンベールクッキーは東京駅のお土産リスト上位をキープしていると噂の代物。北海道産の牛乳とフランス産ゲランドの塩を使った生地は、ほろりとした触感にチーズの甘みが溶け合うナチュラルテイスト。
 出張の土産物にと買ったのを忘れていて賞味期限が、あと数日で終るところだった。
 こうなると会社にも持って行けず、俺ひとりでは・・・・・・
 最近では和真もすっかり寄り付かない食の低迷期。男っぽい事情より食べる幸せをもう一度、心の底から楽しみたい。俺の趣味を、路嘉はどこまで理解してくれるだろうか。

 「なぁ・・・・・・路嘉。体の関係は必要?」
 「そういうの嫌いな人だとは思ってた」
 「すまない」
 「逆にそればっか求められても俺が嫌だ」
 「俺はお前の上司で、年の差もある」
 「ああ、うん・・・・・・」
 「会社での態度を改めてほしい」
 「ごめんって」
 
 包み紙を引いて、中身を差し出すと路嘉は指先で抜き取りながら、上目遣いで尋ねる。

 「俺のこと、好き?」
 「お前ならもっといい男を選べるだろう」
 「それな、答えになってない」
 「プラトニックな関係が嫌になったら別れてくれて構わない。ただ会社で効率が悪くなるようなら俺もそれなりに対処する」
 「どういうこと?」
 「そのうちわかる。ほら、これ最後の一枚だぞ」

 路嘉の甘えを精一杯の気持ちで交わす。
 俺だって本当は────でも一線を越えるには、まだ時間が掛かりそうだ。

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知っているか、カルナ。

知っているか、カルナ。
君は先程道で転んだ。そして悲しそうに泣き始めたね。君は純粋無垢な子供は、痛みで泣くことができることを知っているのかも知れない。でも、僕は忘れていた。その純粋さが、僕の中には限りなく希釈されていたのだ。それを知っているか、カルナ。

知っているか、カルナ。
君は花屋で花を選んでいたね。昔は道端に生えていた草木を嬉しそうに愛でていた君が、花屋で形作られた花を選んでいたね。様々な色が目や頭を駆け巡るその景色は、君にとっては美しいものなのだろう。君がお金を握りしめ、顔を赤らめながら花を買っているその相手を、僕は密かに知っている。

知っているか、カルナ。君はこの前、なぜ自分が生まれたのかを尋ねてきたね。人間でもなく、肌は金属で固く、冷たい君が、一体なぜ生まれたのか。君は知らないだろう。知らないで僕とともに生きてきたのだろう。

知っているか。カルナ。君は亡くなった僕の娘の代わりに、人間そっくりに僕が作ったロボットだ。君は転んで泣き、いろいろなことを学び、花を買い、恋をして、そして自分の意味を知った。どうだろうか。君は人間に慣れたのだろうか。君は、人間になりたかったのだろうか。その向ける笑顔は、僕へのものなのだろうか。

知っているか、カルナ。君のことはすべて、君しか知らないはずだ。

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『独り言の一人事』

“私”は、きっと

誰よりも強欲で

誰よりも臆病で

誰よりも我が儘で

誰よりも寂しがりで

誰よりも弱虫で

誰よりも面倒だ

だって

貴方を想えば想うほど

“私”は、きっともっと

貴方の言葉が欲しくなる

貴方の声を聞いていたくなる

貴方の傍に“私”を置いてと願ってしまう

貴方の邪魔には成りたくないと祈ってしまう

貴方の心を気にしてしまう

貴方の心のままにと望んでしまう

だから、このまま

ただ想うことにしようと思う

ただ祈るだけにしようと思う

ただ「愛している」と

伝えるだけにしようと想う

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短編小説 月


毎日21時から22時の間は、彼の為に時間を空けていた。
ホットココアを片手に、ヘッドホンを付けて一緒に通話をする。
ゆっくり流れる優しい声を聞きながら
窓から空を見上げる。
私の部屋からは満月が良く見えてとても綺麗だ。
なんて他愛のない話を良くしたっけ。

だけど私のお気に入りのBGMはなくなってしまった。
(1時間も自分の為の時間が出来たのに、どうやって過ごせばいいのかな。悩むわ。)
彼と出会う前、自分はどうやってこの時間を過ごしていただろうか。

何もしないのもなんだか勿体無くていつものようにお気に入りのコップにホットココアを入れてヘッドホンを着ける。

耳が寂しいから、色んなBGMを探していたけど
結局ラジオで音楽を聴く事にした。
今日はよく晴れていて、空が綺麗に見える。
ミッドナイトブルーに月が美しく浮かんでいる。
それなのに、今日は新月だから月の大半が欠けているように見える。
まるで大事な物を無くしてしまった私の心のように。

それでも、この夜空も月も私だけのものだ。
(自分の為に過ごす時間も悪くないわね)
強がっていたけど。
ヘッドホンから彼の好きな曲か流れた瞬間
目から涙が溢れた。

彼との会話を思い出す。
「新月の日には、願い事をするといいらしいよ」と言っていたっけ。
とてもロマンチストな人だった。

「また、いい恋したいな」ポツリと呟く。
今は寂しくても、また月は満ちていく。

そしたらきっと
私の願いも叶うだろう。

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ことばにすればいいさ

ひどく 単純な こと
だから
事実だけを
ことばにすれば

きみもぼくも
わたしもあなたも
だれもどれもそれも

楽に
なれる し
きづくはず
なのだけれど

すっぱり きもちなど
おきざりで
ことばにまかしきって
しまえ ば

単純にイキキレルはず なのに

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メンヘラ女子は眠れない

リストカットもファッションなら
オーバードーズもまたファッション
スマホで撮ってハッシュタグつけて
今日もブログにうPする

映えるインスタ盛るX
7個のサイトを使い分け
裏垢病み垢自撮り垢
メンヘラ女子は眠れない

彼女は歌舞伎町のホストを刺したあと
その画像をネット上にばら撒いた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある

自分自身を消費せよ
誰もがアピール誰もがジャッジ
もっと可愛くもっと過激に
勝手に拡散勝手に炎上

量産型に地雷系
キーワードは「ぴえん」と「エモい」
迷惑動画もバズればノーカン
メンヘラ女子は眠れない

彼と彼女はSNSへ投稿し
トー横のホテルから飛び降りた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある

(ラップ)
プリン髪して痛バ持って
とてたま気分でバイ活オワコン
キラキラ女子に港区女子
無理ゲーだったらパパ活女子
干物女にはなりとうない
外見スペック超絶ウィケメン
スパダリわかりみキュン死にしてねアピ
パリピギャルサーマジ卍
誰得禿同同担拒否
どーでもよすぎワロタそれなw

メンヘラ女子は眠れない

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花びらの中で息をする

この世界は醜い

憎い
大嫌い
許さない

一緒に叫べるなら
Lily、
私たち幸せだから

Lily、
この世界と人間を
否定し、踏みにじり
強く手を繋いで

Lily、
この手が届かなくても
離さないから

何度奪われ、見失い、
造花を掴まされても

Lily、
私たち笑ってしまえば
世界なんて征服できる

世界中の花を奪って
花束を作ろう

それを
散らして歩こうよ

この花びらの中でなら
息ができる

踏みしめて
道にしてしまおう

この世界がしてきたこと
私たちだけは忘れない

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#じんたま 2

私は、詩壇という界隈の作法を何ひとつ知らない。
それゆえに、クヮン・アイ•ユウという男について、あるいは「B」という場についてこうして筆を執ることに、拭いきれない後ろめたさを抱えている。私は時折、後先を顧みず、衝動のままに動いてしまう悪癖があるのだ。
振り返れば、三浦氏は第6期の時点で、すでに「B」を閉鎖したかったのだろうと思う。
しかし周囲には、その決定権が真に彼にあるのかさえ判然とせず、住み慣れた居場所を奪われることへの根強い抵抗が渦巻いていた。Xのスペースでは、運営側が袋叩きに近い指弾を浴びていた。
「これを見過ごしてはいけない」
今思えば、それはあまりに安易な正義感だった。良かれと思って始めた私の振る舞いは止まるところを知らず、独断でスレッドを立て、その結果、三浦氏が第7期を引き継いだその返す刀で「第8期運営を爆誕させる」という禁じ手を使わせてしまった。
本来「B」の運営が経るべきイニシエーション(通過儀礼)を一切無視し、素通りでその座に就かせてしまったのだ。
三浦氏が次期運営として密かに構想していた人選は、その荒波の中で霧散した。
私もまた、歴史の重みを何ら知らぬまま、運営の一員となってしまった。当初の構想の中に、クヮン・アイ•ユウ氏の名があったことは知っている。だが、彼はそれを頑なに固辞した。
第8期は確かに「ドリームチーム」ではあったかもしれない。しかしそれは、それまで「B」が積み上げてきた歴史とは決定的に乖離したものだった。
私自身の安易な正義感が、現在の歪な状況を招いた一因であることは疑いようがない。この過ちは、深く反省しなければならない。
クヮン・アイ•ユウ氏こそが、歴史に即した正統な運営を任せられるべき一人であったのだと、今になってようやく理解できる。
しかし現実は、彼を「排除される側」へと追いやってしまった。当時はただの「ボタンの掛け違い」程度に考えていたが、事態はもっと深刻だったのだ。
第8期が決定する直前、私は彼に呼びかけた記憶がある。彼を推す声は一定数あったからだ。だが、彼はやはり首を縦には振らなかった。
その時の私は、正直に言えば何も感じていなかった。「縁がなかったのだな」と、ただそれだけで片付けていた。
それから二年の歳月が流れ、私の視界を覆っていた霧がようやく晴れつつある。
三浦氏がなぜ、あれほどまでにクヮン・アイ•ユウ氏を高く買っていたのか。そこには、相応の理由があったのだ。
いつか、彼を題材にした小説を書きたいという想いは、今も胸にある。
しかし、今の私は「自分がいかに彼のことを知らないか」を知り始めた段階に過ぎない。
ここに記すのは、私がクヮン・アイ•ユウという男の輪郭をなぞり、理解していくための軌跡だ。そして確信している。彼を知ることは、私自身が「文学」というものの深淵に触れることと同義であるはずだと。
私がイーロン・マスクの言葉にリプライを送り続けるのは、彼が人類に対する一つの回答を提示していると信じているからだ。
そして、クヮン・アイ•ユウもまた叫んでいる。
「我々はどう生きるべきか」という、逃れようのない問いに対する一つの答えを。
私は今、その微かな、しかし切実な音に、静かに耳を澄ませようとしている。

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黒猫

黒猫を見た。
ノラではなく、首輪をつけているから飼い猫なのだろう。
目も優しい。

黒猫は木の上にいた。
天気の良い日だったので、日向ぼっこか、と思い見ていると、どうもそうではないらしい。
登ったはいいが、降りられなくなっているようだ。

枝の上をそろりそろりと進んで行く。
前足は慎重に、後ろ足少し震え気味に。
すぐ折れるような枝ではないが、先へ行くほど細くなる。
そこで立ち止まると、少し考え込むように空を見る。
そこに答えはないようで、柔らかい体を反転させて、太い幹の方へ戻っていく。

枝分かれしている幹の、少し安定感のある場所に戻ると、黒猫はちらりちらりと辺りに視線を移す。
葉や枝を伸ばし、見た目には弾力性のありそうな、しかし実際は飛び降りたら勢い良く地面に到達させられそうな、弱弱しい木の方を見つめる。
しばらく見つめた後、「ムリムリ」と思ったのかどうか、また最初の枝に挑戦し始めた。

しかしやっぱりそこに先はない。
また戻ってくる。
幹に少し飛び出ている枝の切れた痕を見つけて、ゆっくりと左前脚を伸ばす。
爪も引っかからないほどの、頼りにならない痕。
確認すると、また幹に戻り小休止。

黒猫はまた空を見上げる。
けれどそこに答えはない。
そこで目があった。
「どうしようか・・・」
そんな目をしている。
「わからないな」
クビを傾げてみる。

しばらく見つめあった後、黒猫はまた空を見上げた。
そしてうつむいた後、黒猫は生気を取り戻したように、クビを上げた。
「見つけた」
細く伸びた枝や葉に隠れた物置に気付いたようだ。
黒猫は思いっきり跳躍し、その物置の屋根に着地し、消えていった。
答えは空にはなく、すぐそばにあった。

たばこを一本吸い終る間の出来事だ。

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 2

今年度もお疲れ様でした

沈黙のミーティング。
雄弁に何も語らぬアジェンダ。
捨象のためのデータドリブン。
墓場まで持っていくサーベイ。
戦略なきディレクション。
戦術なきPDCA。
隕石としてのエグゼクティブ。
屈服しないでマネージャー。
暴落するエンゲージメント。
なぜか貰えるサラリー。
打鍵音は銃声である。

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#じんたま 1

「本を読むとは、煎じ詰めれば誰かに会いに行く行為だ」
ツイキャスでそう発言すると、三浦氏が其れに反応して「自分は今、三島由紀夫の『金閣寺』を読んでいるが、それは云々……」と、私の放った言葉の端を拾い上げ、話を広げていく。
配信主であるクヮン・アイ•ユウ氏は、それらの発言を更に掬い上げながら、散漫になりがちな雑談に一つの方向性を与えようと腐心していた。
やがて三浦氏が「B」について言及する。
彼に言わせれば、Bとは「じんたま」という目的地へ辿り着くための、ひとつの遍歴であったという。それに対し、クヮン・アイ•ユウ氏は「次の場所へ行けば、今度は『じんたま』がそこへ至るための道のりだった、なんて言うんでしょう?」と、いささか冷ややかな、あるいは予言的な言葉を返した。
私と「B」の関わりは、二年ほどに過ぎない。その歴史は浅く、クヮン・アイ•ユウという人間の実像についても、実のところほとんど何も知らないに等しい。
最近になって新設したXのアカウントには、彼の発言が時折流れてくる。「バズる」ような性質のものではないが、綴られる内容は悪くない。
思い返せば、三浦氏は以前から随分と彼のことを気にかけていた。「B」の運営を巡って紛糾していた時期でさえ、三浦氏の口からはクヮン・アイ•ユウ氏の名が頻繁に語られていた。
彼が詩の界隈で多くの接点を持っていることも聞き及んでいたが、これまでの私にとって、それは等しく「興味のない対象」でしかなかった。
なぜ、惹かれなかったのか。
おそらく、当時の私には彼の中に「刺さる要素」を見出すことができなかったのだろう。
しかし今、私は変心している。
イーロン・マスクのポストに言葉を投じるように、クヮン・アイ•ユウという活動体にも、何らかの光を当ててみたい。
私の中では、カエサルとイーロン・マスク、そしてクヮン・アイ•ユウは、知的好奇心の天秤において等しく釣り合っている。だが、カエサルやマスクの功罪を語る者は、既に世に溢れている。ならば私は、後にクヮン・アイ•ユウという存在に突き当たるであろう者たちのために、先駆けて彼を語る「観測者」になるべきではないか。
午前二時。
スマートフォンの放つ希薄な光が、闇に沈む手元を辛うじて照らし出している。
この微かな光の中に、一つの明確な思惑が宿り始めている。

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独り児

生きるということは
生えるということだなと思った
再生の夜
わたしはバスタブから生えていた
わたしの生殖器もまた
わたしから生えていた
生きるということは
生えるということ
後半生を活きるということは
思い出すこと
あの日を
あの子を
あなたを
思い出すことだと思った
色々忘れていたよ
再生の夜
わたしは春の独り児になった

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#じんたま

前回はアーカイブだったが、今回はちょうどリアルタイム。画面の向こうでは、クヮン・アイ•ユウさん、三浦さん、つつみさんの三人が語り合っている。正直なところ、この配信がどこへ向かおうとしているのか、そのコンセプトや目的は判然としない。もちろん、私自身が運転や食事、あるいは誰かの世話をしながらの「ながら聴き」に終始しているせいもあるのだろう。
三人はそれぞれに誠実で、時にはある程度の摩擦を伴いながら言葉を交わしている。しかし、聴き終えて残ったのは「これではどこにも辿り着けないのではないか」という予感だった。
配信である以上、視聴者を意識していないはずはない。だが、クヮン・アイ•ユウさんはあまりに堅物で(それは誠実さの裏返しでもあるのだが)、三浦さんはどこか宇宙と通信しているかのようであり、つつみさんは良くも悪くも「お母さん」という日常の枠の中にいる。淀みのない自然体な会話は、耳には心地よい。
所謂レヴェルは低くはない。しかし、ある程度の視座を持って眺めれば、そこから何かが新しく生まれるような予兆は希薄に思えた。
だが、ふと思う。
この放送を、全くフラットな視点から淡々と「観察」し続ける誰かがいたとしたら。その乾いた視点こそが、このような対話の先に、何らかの目的地を見出すのではないか。根拠はない。だが、直感的にそう思った。
クヮン・アイ•ユウさんのX(旧Twitter)の言葉も、胸に響くものはあっても、感情を激しく揺さぶるまでには至らない。しかし、その「届かなさ」や「人柄」そのものを、少し離れた場所に立つ第三者のフィルターを通して描いてみたらどうだろう。
本人は、自らが創作の客体とされることを承知しないかもしれない。だが、その「拒絶」や「乖離」こそが、かえって文学としての強度を生むのではないか。内部のネットワークに埋没せず、外部からの冷徹な視点を介することで、クヮン・アイ•ユウという存在は初めて「文章」として息づく気がするのだ。
この『#じんたま』という不可解な場を題材に、商業的な可能性を孕んだ、あるいは賞レースに耐えうるような一編の物語を綴ってみたいという衝動が何となくある、ふふふふふ。

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心の掃除

掃除をしましょう  心の掃除

キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
人の悪口 消しましょう
キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
見下す心を 消しましょう
キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
怠け心を 消しましょう

掃除をしましょう  心の掃除

キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
感謝の心を 磨きましょう
キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
優しい心を 磨きましょう
キュッ キュッ キュッ キュッ 掃除して
負けない心を 磨きましょう

心がピカピカ輝けば きっと 幸せ微笑むよ

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残翅

翅の片方を落とした蛾が
舗道の罅を歩いている
影だけは左右対称のまま
忠実に夕陽を写す

飛ぶことを忘れた、のではない
飛ぶ以前の身体を思い出しただけだ
幼虫の頃の柔らかさで
地面の温度を舐めている

街灯が一つずつ点る
その度に影は濃くなり
残された翅が震える
まだ風を信じている証拠だと
誰も言わなかった

足裏に粘着する湿り気は
昨夜の驟雨の名残か
それとも
剥がれ落ちた鱗粉が溶けた水か

歩くたびに世界が分岐する
右に曲がれば排水溝
左に曲がれば誰かの玄関灯
真っ直ぐには
たぶん
もう何もない

それでも罅の中に
微かな花が咲いていた
名前を知る前に
蛾は通り過ぎてしまったが

振り返る機能は
翅と一緒に落としてきた

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蕾のまま

好きだと告げることが

好きだと思うことさえ
裏切りなのではないか

そんな 迷い 抱えて

それでも

綻んだ桜の蕾を見つけて

目に浮かぶのはあなたの顔

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清廉潔白なんて

誰かの小さな孤独や失敗や不幸せを目にして
ああ自分だけではないのだと
心のどこかでほっとする程度の浅ましさなんて
きっと誰しも持っているはずだ

自分が喉から手が出るほど欲しくても
持てなかったものに満たされ微笑む人を見て
胃のあたりに熱かったり冷たかったりする感情が
渦巻く程度のさもしさなんて
きっと誰しも持っているんだ

誰かを羨んだり妬んだりすることくらいある

私だけじゃあない
私だけじゃ
そう思うことで心を保つことなんてきっと
誰しもあることだ

清廉潔白でなんていられない
聖人君子や聖女になんてなれなくていい
一点の穢れもないものである必要なんて
これっぽっちもない

自分の心の内の醜さも浅ましさも知り
自分はさもしい人間なのかとその仄暗さに震え
それでもそれらを丸ごと抱え生きている
きっとそれでいい

人の美しさは
傷がないことでもなければ
欠点や足りないものがないことでもない

それらの感情を知り
それらの感情を抱え
それでも踏ん張って
今この瞬間
笑って立っていることなのだと
私はそう信じている

綺麗事だって
笑いたければ笑えばいい
私も一緒に笑ってみるよ

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美輪さんのボロネーゼ

萎えるよ 皆

萎えるよ 皆と
笠利 End la
POLO 見ねぇ皿
歌への 性

絡める 汁
エラ Snow
to ラメの意?
ガツンとみかん

風呂には居る
助けろ
寝ると明日
そこにエルフ

皆 捨てられ

見つけられない
辛め to 否
ボロね?エエよ!

見渡す

絡めるの 汁
エラい濃厚
辛め to 意なる
彫らす ノウハウ

皆 ステテコ

見つけたりぃな
絡めるの 汁
ボロネーゼ

美輪さん、噛み!噛み!

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 2

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花曇

町並みの軸は摩耗する
その浅瀬の透明な温い水は塩辛いものだ
ジグザクのうそを指折り数える
見知らぬ場所であれ不自由な語尾にのせる
小骨のかたちを定めるように游ぐばあい

仕切られた裏を愛してあげることにする
なにもないから、じぶんで抱いて
白檀に造花を、なんて灰をおとして
吹かしている、喧騒ばかりを煙にまく
気儘なだけで なんの歴史もありません
褪めるばかりの騙りといいわけさせてください

なにをどこでどうしてこうなったのか
ひとひとりの圍が整然と並ばっている
ばかだなあ、漏らしてみた(余りにもと置く。)
色白の記憶から指先でぬぐうようにして
拾った憐憫。くちごもる躯という連絡船は
いのちという理屈がねじ込まれるあたり、
けれどむき出しの蒼天、輪郭が崩れていくのを
その偽薬、おもえば生か死か箱庭は斜面
黙って見過ごせばいいのに微酔のさま
剥離した余剰なものが穴から溢れたものと 
ゆめでもなく、致死量を浴びた

無地に花と折る、咲う――劣情。賭して息吹
もしゃくしゃすっから、投げ出せず震えてんのか

かけ狂うじてしまった桜色にこうして
ぐだらぐだらとのさばる、眞砂のうつわでは
ヒカリの状態で濡れている。この弛んだ鍵の束
求めることなどただ、漉いた部分から錆びて
落ちないように埋め尽くしてしまいたいだけで
染み込んだままの微熱と富んだトビラがある

ふくよかな春風は強く背を押しては
すっと燃え尽きてしまうもの
掬いきれずに薄明、ここまできたけれども
くだらないなぁ こりゃ地獄の空だ
あんた生きているんだろう
じゃあな 花筏、それが凡てだ

意味も形も知ったところでなんも変わらない
帰ることが成らない、流れもの 総ては明け離れる

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白に翳る

私にとって春を告げる花は桜ではない。毎年、家の近くの道沿いにある、白いモクレンが咲くと、春が来たんだなと思う。

産毛に覆われた蕾が、少しずつ大きくなって、子供の握り拳くらいの大きさになると、皮が弾けて白い花が顔を出す。その弾ける音を、いつか聞いてみたいと思っている。

白い花びらが、一枚一枚ハラハラと開いて、天に向かって咲く姿が、私はとても好きだ。

私は物心ついた時から、友達が赤やピンクの花を好む中、白い花を選んでいた。

供花のイメージも強いが、翳りを感じるところに何故か惹かれてしまう。

そのままの形で花を落とす、その潔さも好きだ。

去年はせっかく咲き始めたモクレンが、春の嵐で散ってしまい、落ちた蕾の前で立ち尽くしてしまった。花の時期は一年に一度、数日しかないのに、自然のいたずらに思わず天を仰いだ。

歩道に落ちた、少し茶色くなったモクレンの花が、踏みつぶされた姿さえ、私には孤高に見える。

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春の海

海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
春の海、私の胸の裡もまた、
すっきりと青く澄んでいる。

思い詰めることを続けてきた、
あの不吉な緊張がするすると解け、
眼前に広がる春の海を
まことに美しい、と思って見つめている。

何かを美しいと思い、
その美しさを尊ぶことの出来る心が、
また私のもとに戻って来た。

ああ、海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
美しく、じつにしずかな、春の海である。


(2026.4.2)

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さよなら.com 11-20

明けて静かな正月
少し笑顔の戻ってきた母の顔を見て
また あの青空を思いだしてしまい



それから
僕らのパイロット・プラントを吹き抜ける風は
いつでも同じ音になった



笛の音
振り返るばかりの僕には
聞こえず



お前と違って俺なんかただの
月に吠えるような馬鹿
それでもまだここで生きてる



いつものとおりだと泣いてしまうので
美味しいお菓子の作り方で
カレーを作る



君を忘れようとすることと
忘れられないと思うことは
キルクルからのかけがえのない風



このメニュウ
先生の部屋の座卓に置いてあった
原稿用紙に書いてあったこととそっくりだ



あ から ん までのきみのこと
ろくがつ だけが
かすんで る



君の知らない街のひとくちのコーヒーは
僕の気持ちを包もうとしたオブラートを
簡単に溶かした



君が百本の小説を乗り越え眠るころ
僕は一握の詩の前で童貞のままで
国際色の喧騒にしがみつきながらも
同じ月の夢に ニャー と哭く

  

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木蓮の蕾

ぼくはまだ
あのアパートにいる

冴えない朝の光が
カーテンのすきまから
こぼれてる

きみは なにも言わずに
ぼくの髪を撫でる
それだけでよかったのに


憧れは 遠くて
触れた瞬間に 壊れていく


ぼくは
きみのことが 好きで

だから このままで
いいと 思ってた

きみが ぼくのことを
忘れてしまっても

ぼくは たぶん
忘れない


ベランダの隅で
苔が 静かに増えていく
誰にも気づかれずに

意識が 遠のくみたいに
やさしさは 消えていった


あの日のいたずらも
笑えなかった理由も
まだ ここにある


きみのためなら
どんなことでも
できると 思った

悪いことだって
きっと できる
きみが 願うなら

ぼくに 死んでほしいと
言うなら

そのときは
少しだけ 笑って



木蓮の白さが
やけに 重くて
これ以上
近づかないように

手を思い切り伸ばして
空に触れようと


身をなげるよ

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拝啓、海の音が聞こえます。

拝啓、海の音が聞こえます。今日も窓辺に立つと、彼らが白波をたてて光り輝いているのが見えます。さて、以前教授は海はお嫌いとおっしゃっておりましたが、今はいかがでしょうか。歳を重ねて物事の見え方が変わるといいますが、可愛く思えたりなんかしてはこないでしょうか。でもこの年になると、もはや変わらないというのも悪くない気がしてきてしまいます。
ところで、私も変化がありました。あの「朝日」が嫌いになったのです。希望に満ち溢れているものだからこそ、目を逸らしてしまうというものは間違いでしょうか?毎朝毎朝私の目元をくすぐり起こしてくるそれが、最近はひどく鬱陶しいのです。だから、教授のご意見もお聞きしたいと思っています。
いつも同じ書き出しなので、きっと教授は私からの手紙ということをすぐにおわかりになるでしょう。そしたら笑ってやってください。敬具
追伸、先日世にも美しいと自負できるような貝がらを拾いました。手紙に添えて。

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詩は病院をあるく (詩はあるくXXIII)

二ヶ月に一度の金曜日
いつも通りの予約時間

街の割には大きな病院
採血室はもう並んでいる

順番が来て いつも通りに腕を出す

内科のある新館まであるく

街のアマチュア作家の絵や写真
書が並ぶ掲示板の一番端に
少し色褪せた小学生の寄せ書き
コロナの時の あの緊張感を

あの頃詩を書いていたら
わたしは何と書いたのだろう

いつの間にか外のテントはなくなった

テントの跡だけが コンクリートに
未だ残っていた

詩は黙って それを見る
二ヶ月後も まだあるだろうと。

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つめたい


ディズニーランドの入場口、
すぐ入ったあたりで心臓が止まってしまった
のであれば
もう少し泣いたのかもしれない

つめたくなったあの人を見て
泣かないわたしはつめたいと思われ、
じゃあお前らはあたたかいのかよ
と思う

脳でよう考えんと
反射だけで調子よく泣けるお前らは
そんなにえらいんか?
根拠なく堂々と正義って書き殴れる
狂った暴力の塊のような
プラカードみたいな顔しやがって。
あったかさ、やさしさでいうとこの、
お前らのどこにアンパンマン感があるんじゃ。
せいぜい、
ヤマザキパン工場から出直してこい
お前らにはまだアンパンマン工場は
五十年、早すぎるからじゃ
なにが、はとこのよしおですう
この度はご愁傷様ですう、ぐすん。じゃ

だれやねん。
そして、だれたち、やねん。

つめたくなったという事実だけで
泣けるお前らになにがわかる
つめたいわたしと
つめたいあの人のなにがわかる

知らん子供が退屈そうにしている
いい子に育てよ
スイッチ、押せば泣くのなんて簡単じゃ。
と、
いともたやすく言う大人になんかなるなよ
いともたやすく理解出来ていても
泣かずにいる大人にもなるなよ
損するばかりだから。

ディズニーランド、行こうとしてたらしいな
わたしの知らん子と
わたしの知ってる女と。
ディズニーランドに行く三日前に死亡が確認されたらしいな
わたしが下から見上げたマンションの一室で

悪巧みしよるからや
神様が死亡フラグや、って思ったんじゃ
今だ、と思ったんじゃ
わたしみたいな顔して。
でもやっぱりディズニーランドの入場口あたりでないと、わたしは泣けんな。

わたしは
格別、つめたい人間じゃないわ
外野の陰口がわかるくらいには
つめたいだけじゃ。
あんたほど、つめたくないわ
しょうもな
ただ、泣けないだけじゃ、あほくさ。

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きみとわたしのあわいに

海と空に境界などないように
白と黒の境界などないように
あり得ないとあり得るの境界も
きみとわたしの境界も
本当はなにひとつないのかもしれない

そこにあるのは
ただ揺らめく波のようなものだけで

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Gluon nested


生まれ来る時に
握りしめていた全てを捨てて
開いたその小さな小さな手のひらは
全ての世界につながってゆく

https://youtu.be/u8MRUVrDaRU?si=8jAezFt6kATO29Am

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トイレの花子さん

わたしが幼き頃
こわい話といえば
花子さんで

学校の怪談
七不思議の
定番で

いまや、、、
どうした
何処にいる?

花子さんに
会ってみたく
なったりしている

モノも人も物語も
怪談までも
増え溢れ廃れても

花子さんに
会ってみたくなる
遠く離れてしまったからか

いやいや
近づいているのかも
しれなくて

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うぉううぉう

弟に金を借りにいくのに
ちょうどいい時間帯の電車は

縁がきれかかっている
親友に金借りる時の
引き出せる額の上限は

昔の彼女に金を借りる時の
どうしようもない
睾丸の汚れ具合は

自動販売機の釣銭口にも
小銭が残らないこの街は

おれのつみおれのつみおれのつみおれのつみおれのつみおれのつみおれのつみおれのつみおれのつみ、は、は、は、は

うぉううぉう、うぉううぉううぉううぉう
うぉうう、うう うぉう うぉう う、う、う、う、う、う、ううっ、う、う、う

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26時頃

今日の脳味噌
は空 っぽ
犇めきあう
既読処理待ちの
26時頃の歓声が
生ぬるい脳脊髄液を
無人の手つきで
規定通りに
内側から留保し
過剰に梱包された
わたしを
事務的に剝く事務的に
わたしを
わたしより遅く
配送する

稼働が無意識の

を強奪

結露ダクト緩衝材
密度を
明滅発火
結露ダクト緩衝材

側頭葉が燃えている

粘性は遅延し
結露ダクト緩衝材
明け方へ滞留
ONか
既視感既視感 
OFFか
肩に
プルトップの手
処理損なった昨日の手
くち
足は歯車
温まり
水分が抜け
変色し
焼き切れた明日のメモリ
沈黙を嚥下しても
通り道は
わたしを
濾過せずに 保管する

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命のすれ違い

世界をひっくり返す発見は
科学的でなければ
発見者が狂人になってしまう

それは構造上の作用であり
発見されたそれが真理だとしても
その真理に悪意なんてない

創作や表現は、自分を紙などの媒体、
つまり他人に知覚できる形に外化する行為。

他人からの感想などフィードバックを
受け取ることは、外化した自分を
自分の中に回収することと言える。

外化・回収。
この循環を繰り返すうちに、
錯覚的に作者としての自分の中に
世の中を一人歩きする
「どこにもいない自分」
のような感覚が芽生える。

ここにいる自分には彼の実在を証明不能だし、
もちろん彼がどこにもいない以上、出会えない。

だけどどこにもいない自分は錯覚じゃなく、
外化・回収のくり返しの中で
高確率で認識される、
命のすれ違いだ。

出会えない自分は存在しないのか?
断定できないが
他者としての自分を想定して彼に命を感じる
この感性は不思議だ。

白馬の王子を待つ気持ちっていうのかな?

客体としての自己の座標には
自分以外のものが代入されるのを待つしかない。

それが出会えない自分というものの暗号性であり、
かつ、俺のリリックの限界。

俺は単に俺。
そして、どこにもいない俺というのも
俺と定義できるなら迎え入れてみたかった

そうして主体と客体が等しい定義の中で出会う。
それは、世界をひっくり返す出来事だった。
世界全体ではなく、俺という存在自体が
10年間、カードのように裏向きになっていた

俺が偶発的に形成した出会えない自分と出会う方法
それは科学的な記述とはとても言えなかった。

出会えない自分は出会えない
出会えない自分に出会えば世界が違って見える
そして出会ってしまったら、
彼が彼らしくいられなくなる

それが不都合だから、自分と自分の間には
主客の防波堤があるらしい

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TikTokあるある

「今日、盛れてないからやめようかな」と言いつつ、ガッツリメイクで2時間配信する

ギフトのリアクション用に、100均で買った被り物や小道具が画面外に常備されている

「今日で配信やめるかも…」という匂わせで、リスナーの引き止めと枠投げを誘う

イベント期間中、ランキングが下がると露骨にテンションと顔が死ぬ

配信中、親や同居人が部屋に入ってきそうになると急に無言になる

「明日もこの時間に会おうね!」と言って、平気で遅刻する

リスナーからの「彼氏いるの?」という質問を、高度な技術でかわし続ける

友人ライバーとコラボする時、エフェクトの強さで負けないよう必死で調整する

配信終わり際、「終わる終わる詐欺」でさらに30分以上引き延ばす

喉を痛めて「今日はミュート配信ね」と言いつつ、結局タイピングで爆喋りする

「みんなのことが一番だよ」と、全リスナーに個別に思わせる絶妙な距離感をかもし出す

配信終了後の「お疲れ様でした」ポストの自撮りが、配信中よりずっと可愛いくて悔しい

https://x.com/bagu_now_real

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