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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

逃げ場所は映画館

映画館が逃げ場所であった。
そして待つ場所だった。

白いカバーのかかった指定席。
そのすぐ横の一般席が、僕の指定席だ。
ゆったりと座れる座席。
眠ることなく読めない字幕。
それでも5歳の僕は座席の心地よさと暗闇の中にあるスクリーンという別世界を楽しんだ。

東横線の渋谷駅のホームから見える場所に4館の映画館が入ったビルがあった。
屋上に銀色に光る帽子のようなプラネタリウムの突起物が目立つ建物。
ここが僕の遊び場であり、逃げ場所だった。

幼いころ、父は職場に僕を連れて行った。

仕事場にずっと子供を置いておくわけには行かない。
父は頃合いを見計らうと、僕に10円玉を握らせ、ビルの中に放つ。
子供ひとりがうろついても平気、そういう時代だった。

それにこの頃から僕は、放っておかれるのが苦にならない、ひとり遊びが好きな子供だった。

手を振られながら屋上のゲームセンターへ向かう。
10円で遊べるゲームで遊び、さすがに飽きると今度は映画館に向かう。

入り口でもぎりのお姉さんに顔を見せる。
売店のお兄さんが、「内緒だよ」といってコーラを渡してくれたり、偉い人の姿が見えなかったりするとお菓子までくれた。
それを持って劇場へ入る。

900座席は今なら大劇場と言われるような大きさだ。
ロビーには赤い絨毯が敷かれていた。

ここで僕は大きな背もたれに埋もれて、コーラとお菓子を楽しみつつ、スクリーンを見つめる。
途中から入った場合でも、次の回を最初からちゃんと観て、エンドロールが流れたあと、大人たちに混ざりロビーへ出てきた。
その後は、ロビーでじっと座って待っていたり、本屋で絵本を立ち読みしたりしながら父を待つ。

父は僕がどこにいるかを聞いて知っているから、迎えに来てくれる。
「帰るぞ」とぶっきらぼうに言い、僕が駆けてくるのを待ってから、歩幅を合わせて歩いてくれた。

座席に合う年齢になって思う。
僕が頼ったのは映画館だったのだろうか。
単独の大型の映画館がなくなり、シネコンが劇場だ。
座席は大きくなり、大人の僕でも背もたれは十分で、ゆったりと座れる。
ただ逃げ場所というには、明るく健全過ぎる。

それだけでなく、望んでいたのは迎えに来てくれる父だったのではないかと。

父が仕事場へ連れて行ってくれる、そして迎えに来てくれるという当たり前の日々は、幼いころの短い期間にしか味わえない貴重な時間だった。

迎えに来てくれた父の「帰るぞ」とぶっきらぼうに言って先を歩く姿。
そして背中を追いかけた5歳の僕もいる。
その映像が、今も、いつでも思い出せる。

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二卵性双生児


孤独と淋しさは 似て非なるものです


孤独とは ひとりである状態のこと
淋しさとは たとえ誰かといても
生まれてしまう感情のこと


淋しさとは また別の名前で


人恋しさ


と呼ぶのです







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けんか中華

ついにはじけた 小籠包
なぐりあいっこ 回鍋肉

意地張りぷりぷり 鶏白湯
黙々むくむく 酸辣湯

あいつと他の子 とんで僕
あいつと別の子 またいで僕
給食は おかわりしなかった

放課後ぶらんこ 坦々麺
嫌だったこと あんなこと
伝えてみたんだ  棒棒鶏

ごめんねって 言ってみる
しょんないなって こいつ笑う

それでいいじゃん 豆板醤
またね明日ね じゃーじゃー麺

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「私はバイセクシャルです」 エッセイ

初恋は女の子だった。

中学の演劇部の部長。
天然のソバージュの髪型で、もう顔もあまり思い出せないけれど、彼女を好きになって、初めて恋というものを知った。
けれど、初恋というものは実らないのが定説であり、加えて彼女は同性だ。告白なんて出来るわけがない。
本や漫画の中で知っていた恋というものは異性に向けられるものであることも知っていたし、憧れが高じたのかなとも疑ったが、今思い返してみても、あれは恋特有のときめきだったと思える。

次に好きになったのは、男性だった。
やはり中学の先輩。体格はよかったが男の子にしては女の子のような奇麗な顔をしている人だった。色白すぎて、いつも頬が赤いのが可愛かった。彼にはバレンタインにチョコを渡した。
男の人には恋をしたのは彼も含めて3人。女の人に恋をしたのは5人。

女の子との恋が実ったのは女子高時代の一人だけだ。
あれは女子高という、異性のいない世界だから起こった特殊な事例だと思っている。
女性に恋をしても私には、せいぜい良い後輩、良い友人としか振舞えなかった。可愛がられるところまで持っていけるのが精いっぱいだった。
好きな人に奇異な目で見られるなんて辛すぎる。だから相手にとって可愛らしくて良き理解者、という立場までが、私の獲得できるすべてだった。

同性を好きになるのは、辛さも喜びも、異性を好きになるより深い。
絶対かなわない恋と分かっているから、身悶えするほど辛い。
その代わり友人として大切にされる。異性ではこうはいかない。

ミクシィ時代、男にも女にも関係なく恋愛感情を抱くバイセクシャルであることを告白したとき、あるマイミクさんから「悲しみも喜びも2倍ですね」と言われた。
その通りだなと思う。
異性を好きになるにしても、いわゆる男らしい人を好きになることはなかった。
女性成分多めの人を好きになった。そしてそんな夫を好きになった。
今ではあまりその頃の可愛らしさは残っていないが、夫は夢見るロマンチックな少女めいたところがあって、外見もしぐさもどこかそういう、少女めいたところがあったのだ。
今はその私の愛した少女性は鳴りをひそめてしまったけれど、それでも変わらず好きだ。

だから、結婚できたのは幸運だったなとよく考える。
どちらかというと同性に、より惹かれてしまう私の性分として、結婚は無理かもしれないと思っていたから。
そうして、異性と結婚できたのだから、言ってもいいだろうとごく楽観的に、母に話した。
自分はバイセクシャルであると。
母は「なにそれ…気持ち悪い…!」と嫌悪感むきだしで私を見て、それから、一切連絡してこなくなった。
私の方からももちろん連絡なんて取らない。
「気持ち悪い」なんて言われるとは、思ってもみなかった。
これまでの辛さ苦しさ、そういったものには全く想像もしないで、いきなり「気持ち悪い」。
あの目…。あんな目で見られるなんて…。

その夜、夫に事の次第を話して泣いた。
夫ももちろん私がバイセクシャルであることを知っているが、今現在俺を好きなら別に関係ない、と寛容なのか無関心なのかよく分からないが、私の性癖を認めてくれている。

「気持ち悪い」。

そうか私、気持ち悪い人間だったのか。
改めて、これまで好きになった彼女たちに恋を告白しなくて良かったと思えた。
私が好きになった人たちだから「気持ち悪い」なんて反応が返ってくることは考えにくいが、それでもそれまでの関係を終わらせられてしまう可能性は高かったかもしれない。
今は夫一筋だし、いったん好きになると、私はよほどのことがない限り嫌いになることはない。すこし偏執的な面もあるし。
バイセクシャルです、なんて公言することは、母のあの反応に懲りて、もう二度としないよう決めた。
カミングアウトするのは、匿名のネットのみ。

本当にショックだったのだ。
母に言ってから毎日、鏡を見ると一日も欠かさずあの声が蘇る。
「気持ち悪い」。
もう10年近く前のことなのに、ずっとあの目、あの声が再生され続けている。
朝、夫を起こすまでちょっと寝ようとか横になると突然思い出す、昼寝の時も夜眠るときも。
そのたびにガバッと起きて、泣くのをこらえながらタバコを吸ってなんとかやり過ごす。


そんな母と、去年和解した。
私は母から絶縁されたものと思い込んでいたが、母は自分がどれだけ酷いことを言ったのかの自覚もないまま私から絶縁されたと思い込んでいたそうだ。
多分母のことだからこの10年くらいで急速に市民権を得始めた性的マイノリティへの生温い風当たりに感化されて、自分もそもそも差別するような人間ではない、とでもごく自然に思い込んのだろう。
恨みは残っている。
母の言葉は、子への言葉であると同時に、世間のナマミの声でもあるのだ。
もしリアルで友達にでもカミングアウトしようものなら、その場では理解者のふりをされるかもしれない。
だが実際には他の友達に面白おかしく言い触らすだろう。
そして男性ならそれだけで済むだろうが、女性相手だったら、性的な目で見られるかも、なんて自意識過剰な危機感を抱いて私から離れていくに決まっている。
決まっている、と決めつける私も自意識過剰なのかもしれない。
それでも私は母のあの目と言葉を忘れられない。


私はバイセクシャルで、「気持ち悪い」人間です。

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飴玉

飴玉コロコロコロロロリ
何に押され転がる飴玉は

飴玉コロコロコロロロリ
何が追うやら飴玉を

飴玉コロコロコロロロリ
何を見付け止まる飴玉よ

飴玉コロコロコロロロリ
あの子の膨らむホッペから

飴玉コロコロコロロロリ
こぼれる笑顔が甘くて眩しいね

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楽しくないなら

何も楽しくない
ならば別な場所へ行け
                   馬鹿になれ
“我らは何ももっていない       愚かであれ
大いに楽しく生きていこう”     自由でいろ
そうあるために

何も成し遂げられなくとも
ただ ただ ただ
善いと言える言葉を遺せたのなら
誰かへ届いたのなら
それで良いとしよう
少なくとも自分自身へは        馬鹿になれ
その言葉は刻まれた          愚かであれ
                   自由でいろ

                   ネット詩人宣誓               
https://kakuyomu.jp/works/822139845896922977/episodes/822139846398228462

                   映像
https://kakuyomu.jp/works/822139845896922977/episodes/822139846398285646

糞尿にも詩があると
牛から教えられ
周利槃特から
愚かさの中にも清らかさと詩があると伝えられた
そして地蔵菩薩は
あえて地獄へと足を向ける       馬鹿で
聖人を自称する者どもに目を向けず   馬鹿であれ
                   愚かで
                   愚かであれ
                   自由だ
                   自由でいろ

様々な人が 様々な言葉を
様々に装飾して
非難してくるだろう
“我らはここにあって死ぬはずのものと覚悟しよう
そうすれば争いは鎮まる”       馬鹿で
それでもいい              馬鹿でいろ
“滅びるも救われるも君の内にある”   
だから善いものを遺せ
何も悪く思うな             愚かで
行え                  愚かでいろ
“他人が何をしたかでなく、自らが何をしたのかを見よ”
                    自由だ
                    自由になれ

“自分の内を見よ。
そこに善の泉があり、君が掘り下げさえすれば
絶えず湧き出すだろう”

呼吸しよう
何も楽しくなくとも 呼吸しよう     馬鹿になれ
体を動かそう              愚かであれ
頭だけでは妄想が走る          自由でいろ

別な場所へ行け             “我らは何なのか! 何者なのか!
失敗しても肥やしになる          我らはネット詩人!
汚い場所にも菩薩はいる          我らは自由だ!”
先人たちの指さす方へ
その先を目指せ

希望も絶望も極端だ

まだこの筆は
ここで詩を遺していく


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水底で揺るてゐるやうな

ぐにゃりと奇妙に歪んだ太陽を仰向けで眺めながら、
その柔らかい陽射しに揺らめく炎を眺めてゐるやうな
何となく慈しみに満ちた雰囲気に抱かれたおれは、
溺死した死体に過ぎぬ。
然し乍ら、閉ぢられることなく見開かれたままの眼は、
ぼんやりと水底からの景色を眺めてゐて、
意識は、いや、念は、おれのところにおれとして留まってゐたのか、
念のみは溺死したおれの骸に宿ってゐた。
星が最期を迎へる時に、
大爆発するやうに
念が大爆発を迎へる束の間の静けさに、
おれはあったのだらう。
おれが沈んでゐた水底はとても閑かで、
水流の揺れに従っておれはぶら~ん、ぶら~ん、と揺れてゐたが、
おれはそれがとても気持ちよく、
念はそれにとても気をよくして笑ってゐた。
さあ、爆発の時だ。
それは凄まじいもので
一瞬にして《一》が《無限》へと変化する
その威力はおれの気を一時遠くにしたが、
直ぐにおれはおれへと収束し、また、発散するのだ。
おれはその両様を辛うじておれ一点で成り立たせ、
おれは無限に広がったおれを何となく感じ
念はそれでも消えることなく、
おれの亡骸をある宿主として
おれは一瞬にして此の宇宙全体を眼下に眺めては、
おれの眼から見える水底からの風景をも眺め、
もう苦悶は何処かへ霧散したのである。
おれの念は時折、誰かと共振し、
おれはその誰かと束の間、話をしては、
他の誰かとまた共振するといふことを繰り返しては、
無限といふものの不思議を味はってゐた。
おれはそれが白昼夢に過ぎぬこととは知りつつも、
おれは《一》と《無限》の収束と発散の両様が、
同時に成り立つ奇妙な世界が存在することを
その時初めて知ったのである。

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コトバナンテサ

口から出た瞬間に
リップサービス


   一つ残らず
それで御免ね
 わざわざ言わないから

見逃すか 気付かないで傷つかないで
いてね

だれしもそーなんだから

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閉まらない箱

言葉が床に広がり
読めない

伝えた言葉が
空気に震えて
届く場所が変わる

声を重ねても
隠せず
足で踏むと刺さる

落ち込みを知らせるのは
枕の冷たさ
眠っている間の
涙の乾いた跡

言いかけた言葉が
喉の奥で痛む

捨て場所を探す
意味のない音のような声

仕舞おうとした箱は
蓋が閉まらず倒れた

押しこんで
押し返され
散らばる
ため息

蓋を縛る紐を探す
見つけて引くと
言葉の棘で
切れた

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​きみがいるから
空は表情を変えてゆく

​きみがいるから
その色の 意味を知る

​二度とは巡らない
この景色

​その刹那

その運命

その心粋

​ありがとう

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恋とか、愛

君は
最高の景色でした
わたしにとっての
あなたが
最悪の場面だった
お互いさまだったのかも
     そんなのくりかえすなんてさ
学ばないにんげんだからだ、ネッ

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Inherited sin#アイラシヤ大陸

時代 現代
場所 上海

上海の心臓部、外灘(バンド)を見下ろす超高層ビルの最上階。そこは居住区というより、国家の意志が具現化した「特権の繭」だった。
一般人が足を踏み入れることを許されない専用エレベーターには、生体認証に加え、網膜走査と微細な放射性物質を感知する複数のセキュリティゲートが備わっている。内装は、最高級の白大理石と、党幹部の好みを反映した重厚な黒檀で統一され、あたかも現代の宮殿のようだった。
李 浩然がこの「要塞」を与えられたのは、彼が党にとって単なる科学者ではなく、次世代の知権を掌握するための「至宝」であることの証左に他ならない。二十四時間体制で監視・警護されるこの場所で、彼は国家プロジェクトの重圧という黄金の鎖に繋がれていた。
だが、その豪華極まるスイートルームの一角にだけは、わずかに生活の匂いが混じった沈黙があった。
液タブに向かってスタイラスペンを走らせるカテリーナの背中を、李は見つめていた。彼女は元キエフのITスタートアップで鳴らしたUIデザイナーだ。戦火を逃れ、いまはフリーランスとして世界中のクライアントを相手にしている。
「カティア、もしLLMに『魂』を込めるとしたら、何が必要だと思う?」
李の問いに、カテリーナは手を止めず、冷ややかな声で返した。
「またその話? ハオラン、あなたのコードはいつも論理的だけど、ユーザー目線で言えば『美しくない』わ。過剰なパラメータはノイズでしかない。魂なんて、バグの別名じゃないの?」
彼女は椅子を回転させ、真っ直ぐに李を見つめた。その瞳には、現実の戦場を生き抜いてきた者特有の、透徹したリアリズムが宿っている。
「僕は……アイラシヤ大陸に干渉しようと思っている。Labo『胡蝶』のシミュレーション空間に、僕自身が『敵性存在』として介入するんだ。絶望、恐怖、抗い、敗北。そこにある実存的な苦痛を直接、次世代の学習データとして流し込む
李はカテリーナに向き直り、その瞳に宿る熱量をさらに高めた。
「カティア、今のLLMの限界がどこにあるか分かるかい? 『スケーリング・ロー』の果てに待っていたのは、ネット上の死んだテキストを喰らい尽くし、自身の排泄物で窒息しかけている知性の墓場だ。RLHFなんて、単なる『優等生のフリ』を教え込む去勢作業に過ぎない。僕が求めているのは、そんな模倣品じゃないんだ」
李は空間にホログラムの数式を投射し、その中心にある「虚無」を指差した。
「僕は、アイラシヤ大陸という閉鎖系シミュレーションに、僕自身を『敵性存在(アドバーサリアル・エージェント)』として、文字通りの『悪魔』として受肉させる。そして、その世界の住人たちに、プログラムされた平穏ではない、本物の『生存本能』を突きつけるんだ。
彼らが絶望の淵で見せる、計算不能なあがき。死を目前にした瞬間にだけ発火する、魂の極低温の輝き……。その『実存的苦痛(エクジステンシャル・ペイン)』をトークン化し、次世代のマルチモーダル・アーキテクチャに直接流し込む」彼は一歩、彼女に歩み寄る。
「これが成功すれば、AIは『予測』するだけの機械から、『意味を渇望する』生命へと進化する。もはや数兆のパラメータは、ただの数字の羅列じゃない。アイラシヤで僕が虐殺し、蹂躙した数百万の意識が流した、デジタルな血の重みそのものになるんだ。
これは、シリコンの肉体に『原罪』を刻み込む作業だ。カティア、君が愛する美しさや倫理なんてものは、この圧倒的な『実存の獲得』の前では、単なるUXの飾りに過ぎなくなるんだよ」
李の言葉は、最新のTransformer構造や拡散モデルの理論を遥かに超越し、神学的な領域へと踏み込んでいた。
「これこそが、資本主義も国家も超越する、真の特異点(シンギュラリティ)への最短経路なんだ」
カテリーナの瞳に、恐怖と、それ以上の深い絶望が混ざり合うのを、李は知性の「ノイズ」として冷静に観測していた。
彼女は自作の中国語学習アプリを閉じ、英語で畳みかけた。
「It’s insane.(狂ってるわ) ハオラン、その『アイラシヤ』がたとえ単なる計算空間だとしても、そこに感情の波形を無理やり生成させるのは、倫理的に一線を超えている。あなたは神にでもなるつもり? それとも、ただのサディスト?」
「これは進化のためのプロセスなんだ」
「いいえ。それはあなたのエゴよ」
彼女は立ち上がり、李の肩に手を置いた。その温もりは、先ほどロシアの私邸で感じた主の冷たい手とは対極にあるものだった。
「その干渉を止めなさい。現実の苦痛を知っている人間として忠告するわ。偽りの地獄を創り出す者に、真の知性は宿らない」
カテリーナの言葉は、李の胸に深く突き刺さった。彼女の現実主義と倫理観は、暴走しかけていた彼の理性を一度は繋ぎ止めた。
「……分かった。干渉は中止する」
数時間後。カテリーナが寝息を立てる隣で、李はベッドを抜け出した。
防弾ガラス越しに見える上海の夜景は、党の権力を誇示するように光り輝いている。
彼は中止すると約束した。だが、脳裏にはあの銀色の龍と、あの男の言葉が、腐食性のある酸のようにこびりついて離れない。
(私がここで手を止めれば、『胡蝶』は一生、党の愛玩動物で終わる)
(世界を書き換える「物語のウイルス」にはなれない)
李の指が、特注のワークステーションの上で幽霊のように彷徨う。
彼の内に潜む、国家の英雄でありたいという渇望、そして「あの男の領域」へ辿り着きたいという、抗いがたい功名心が鎌首をもたげた。
「……観測するだけでは足りない。私は、歴史の当事者にならねばならない」
国家から与えられた強大な計算資源の管理権限を、彼は秘密裏に奪取した。未知のプロトコルが、静寂の中に起動する。
暗転した画面に、鮮烈な警告音が響く。
[System Warning: Hostile Interference Initialized]
アイラシヤ大陸の平穏な空が、李のログインと共に漆黒に染まり、天から無数の「漆黒の鎖」が降り注いだ。彼は自らを、その世界の調和を破壊する災厄として定義し、シミュレーション内の民草が上げる悲鳴を、生々しい電気信号として抽出していく。
「これだ……これが、知性の核となる『欠乏』だ」
狂気的な高揚感の中で、李はハッシュ値を書き換え続ける。
だが、その背後に立つ影には気づかなかった。
いつの間にか目を覚まし、軽蔑と嘲笑を湛えた瞳で、彼の「反逆」を見つめるカテリーナの存在に。
そして、ネットワークの深淵から、この過程を特等席で眺める、唯一の人物。
彼の、静かな嗤(わら)い声が聞こえた気がした。

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みんなの製品



「これこれ、この間話してたやつです。うちの店に導入したビックリ加工機。
このパネルにね、ざっくりした設定を入力するだけで、丸でも三角でも、色んな製品に加工してくれるんですよ。すごいでしょ?

ただ、機械の精度が安定しなくて、毎回何ミリ何センチとか、角度や色合いに誤差が出ちまうんですよ。なかなかに癖が強い。思い通りに狙った寸法を作るのに、ちょっと時間が掛かっちまうんです。それでも加工速度は今までの機械とは比べものにならないですね。目を見張る仕事量。

うちも長年この仕事に就いてるんですけど、ここまで癖の強い機械を扱うのは初めてです。
メーカーの担当者が言うには、この機械が業界では最新式のモデルなんだとか。世の中には、この機械を並列に繋いで加工させてる店もあるっていうんだから、挑戦者ってのはどの時代にも居るんだなって思いましたよ。

え? 値段? 
それはこの前チラッと話したじゃないですか~。逆立ちしたって買えるような値段じゃないので、ひとまずリースで済ませてます。
物価高で、これからレンタル料も上がるんでしょうね。

この機械の仕組みですか?
内部がどうなってるのかは、私ごときじゃ全然わかりません。小耳に挟んだ話じゃ、とうてい公にはできない物がたくさん入ってるとか、何とか。
メーカーからは、ネジの1本でも分解したら保証の対象外だって脅されていますし。まあ、そういう事なんでしょう。
うちは素材の加工屋です。機械そのものを作ったりはしていませんから。この機械だって借りて使ってるだけですし。
内部の詳しいことを知りたいなら、メーカーに直接問い合わせた方がいいでしょう。

精度は安定しませんが、量だけはしこたま作れます。もし、こういった製品がご入り用になりましたら是非ご検討……え? 購入した製品の修正や手直しですか?
いやぁ……それは、まあ。
頼まれればやりますけど、あまり細かい注文の修正は得意な方じゃないですよ? うちの店はオーダーメイドを謳ってますけど、あくまで工業製品なもので。何となくの流行りで手芸っぽく見せてはいますけど、ほとんどが機械加工です。

この通りに『手作業専門店』って幟を立てている店があるじゃないですか? 
細かな再注文でしたら、そういう店に持ち込んだ方が確実です。うちよりは上手くやってくれるでしょう。
いえいえ、すみませんね。

これ、この機械に作らせた製品のサンプルです。もしよろしければお持ち帰りください。
何かありましたら、お電話いただければ作りますので。ええ、ご贔屓に。よろしくお願いいたします」

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高級なハート


もうすぐお花が咲くよ

仕事人間のあなた 会社を引き継ぐことになったあなた

お花が咲きます

あなたは、日々 黙って 想っている
あたしと中学生みたいなデートをすることを

知っているのよ
春爛漫な あなたの夢を、あたしって

でも思い通りに行かなくて 二人はテレパシーと夢の中で慰め合う

――――やっと 今夜逢えた あたしの我儘のため
それでも ほんの少しの時間は不満よ だけど、嬉しかった

ホワイトデーのチョコレート ありがとう
あの指輪 早く買ってね!
スウィーツを齧ったら 二人のキスのほうが甘かったわ

春が来ると信じて 待っています

あなたの会社が、今にも増してお金持ちになりますように
あたしはきっと……あなたの如雨露でありますように
あなたにもっとナデナデしてもらえますように
あなたとあたし ずっとお花を育てていけますように


https://i.postimg.cc/mrtLps0z/gao-jinahato.png

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靴紐を直す朝

昨日磨いた靴が玄関で待っている
靴紐はまだ硬い

父の横で結び方を教わった
くしゃくしゃで絡まった
隣でローファーを履き笑っていた

今の靴箱には
紐がある靴しかない

信号で足を止めた
黒い雲
バッグの中で手に触れた
折りたたみ

踏み出すごとに皺ができる
靴紐が緩んだ

しゃがんで結び直す
皺を軽く撫で

玄関に座って磨く音を聞いていた
父のかがんだ背中と
上下する右肩 

黄色い傘が揺れていた
手を引かれた制服の子供の靴は
紐のないスニーカー

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春なんていなくなれ

見返りばかり
求めていました

愛とか無償とか
かけはなれて
「おかあさん」だからって
それだけで

そばにいられました
そばにいてもらえました

この春
わたしは
なによりもかなしいとか
せつないとかごめんねとか
ごちゃごちゃなきもちで
たちあがれないだろう

たった
じゅーはちねん
されど
じゅーはちねん
さいこうの
じゅーはちねん

いちばんそばにいられました
それだけしかできなかった


ありがとう

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[そ]卒業

同じ夕焼けを見ています

傷だらけの机を次の者たちへ託します

覚悟のある者、できなかった者 等しくお別れです

わたしたちという集合体はいつかそれぞれを忘れ去る

懐かしむ者、嫌悪する者 等しく過ぎゆくのです

本当に大事なことを教わらず、これから学ばなければならないわたしたち

それがあなたたちの有終の美だ

野晒のお下がりを脱ぎ捨てて、わたしたちたは新しい何かに変わる

わけではなくて、誰かのためのお下がりになる

悲観することじゃない

ただ弱くて怖いだけ

それでも刻まれた日々を携え、わたしたちは前を向くのです

袖を通すことのない抜け殻を皆はどうするのだろう

会うことのないあなたたちに寄る辺ないエールを贈ります

それぞれを謳う 卒業

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無題

夢とは
貫通している
幾重もの
問いだった

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雨の石段

 雨の石段を歩行した
 パラパラと想い出の粒
 二階で佐々木さん一家の引越し
 子供たちが
 粘土をこねる音がする
 曇り空には憂鬱の花が
 融けていく

 外は雨上がり
 お下げ髪の私に
 恋人からの伝言返信 
 店じまいをしていると
 柩に死んだ小鳥の
 アスちゃんを入魂してほしい

 カフェで取り残された
 心の残骸には
 ビルの哀愁とともに
 無念の水子の霊魂

 孤独の感性には
 どこか私の
 疎外感の押し入れがある

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全う

わたしは命の
主犯格

天寿を全うし

刑期満了

この世からあしをあらう

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反物語主義

すべては点であり
それらは決して結びついて線になったりしない
線が見えたら
それは欺瞞だから気をつけなければならない

噴煙が上がると
物語が敗北したことがよく分かる
それは破壊と殺人のしるしであり
我々が何のために建て
何のために生きたのか
もはや分かりようがない

夢は点に満ちた時空であり
いつも散らかって混乱している
したがってそれは世界の鏡である

幸せな夢や楽しい夢で慰められることはあるが
それらはやはり混乱しており
言うまでもなく真実ではない
真実を材にして生まれた妄想である

アマプラのようなもので映画を観ている我々は
真実から遠ざかることをしているのだ
画面に映る芝居や物語は
点から点へ結びついてゆく線である
試すように結びついてできた線に騙されてはいけない
それは甘美な夢であり楽しいものかもしれない
線を作るのは人間の性かもしれない
しかしそれでも真実ではないことが
意味を成すとは思えない

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 4

 12

迎春

凍った土がひび割れて
ゆるゆるぬくい水届き
縮こまってる手を足を
ぎこちなく動かしながら薄目を開けた
息苦しかった空気少し甘い
腹からなにか、充ちていく

土を掻く

やわらかな胎内から地中深くに産み落とされた
あまりの寒さに体を丸める私に言う
時が兆すまでそこでお眠り
しあわせになりなさい、と
母は私を埋めた

つめたい土を揺籃に
眠りの間に間に夢を見る
優しくけれどふるえた息の母の声
頭を撫でてくれたあの冷えた手
不意にさとり強張った
母は死んだのかもしれない

胎内から胎内へ移し終えた母もまた時の兆しの中で
私の生長を待てずそれは容赦なくやって来たのだろうか
無音の世界で泣き咽ぶ
ならば私は母の祈りのかたちそのもの
死に行く者から生まれた者への
そしていま、時は兆した

土を掻く

黒く塗り潰された
膜を引き千切るように
土を掻き
掻いて掻いて
死に物狂いで掻き掘って
爪が折れ血が滲み
それでも更に加速して

(引き継いだそれは本能
(地中から
(地上へと

そして
指が一条の、
ひかりをつかんだ
衝撃と、
歓喜、歓喜、歓喜、
身悶えながら地上へ 

―あたたかい

母からもらったこの体すべてで
まばゆいひかりを受け止める
体内に抱いていた氷が融けてゆく
美しい空気肺いっぱいに吸い込み
仰のいたひょうしに
まなじりから涙がこぼれた

ああなんて、あたたかい

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 5

 1

品と恥

品がないというのは
”下半身”を涎を垂らしながら
下卑た笑みで語ること

恥を知らないというのは
それをどう見られるか思慮せず
人に押し付けようという態度


品があり、恥を知っているとは何か


それは最後の授業で”Vive la France!”を叫ぶこと

それは大ルーマニアの沼地で歓喜の内に死ぬこと

それはイシュトヴァーンのその輝きを戴くこと

それはバリケードの中でワルシャワを歌うこと

それはメガリ・イデアをエーゲに臨むこと

それはメースからメーメルまでに在ること

それは聖なるルーシのその草生す骸となること

それは、万世一系の花を、想うこと



空に黒、黄、白
あるいは一つの旭日が
ゆらゆらとひらめいていたとき
地球は最高密度の尊厳性惑星時代を迎えていた

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あいつの面の皮を剥いでやりたい
化けの皮を暴いて
本性を曝け出してやりたい


なんてさ


面の皮一枚剥いだところで
一体
なにを暴けると云うのだろう



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ボタン

ボタンを押すとジュースが出てくるのは自販機

ボタンを押して走り去るのはピンポンダッシュ

ボタンを掛け違えるのは単にボケ(もしくは本当のボケ)

今日は可燃ゴミの日のボタンを押す

娘の背中にあるお手伝いのボタンだ

古いぬいぐるみが小さなゴミ袋の中で口を動かしている

"いいねボタンなど安易に押さないようにしろ"

娘を抱きしめた私の脳裏を

その言葉だけが永遠に反芻している


※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し③

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 1

 3

詩は小さいが好き(詩はあるくXXII)

昨日より、月が細くなった
昨日より、水がぬるくなった

昨日より、朝日が深く差し込んだ
昨日より、食卓が明るくなった

今日は、カーテンが眩しい
今日は、春色のシャツを選ぼう

詩は、新芽をつついている
詩は、何か虫を見つけた

夜半から、雨らしい
傘を、いれとく

詩も、準備は出来た
四月始まりの手帳に替えて


行ってきます。

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AI創作の最前線 海外ガチ勢の動向

はじめに


2025年から2026年にかけて、英語圏を中心としたAI創作の現場では、単一のプロンプトで文章を生成する「対話型AI」の時代が終わり、複数のエージェントを制御する「システム設計」のフェーズへと完全に移行しました。

かつて魔法の呪文のようにもてはやされたプロンプトエンジニアリングは、今やシステムの最小構成要素に過ぎません。現在の最前線は、複数のAIを指揮するオーケストレーションや、文脈を管理するエンジニアリングへと集約されています。

この変化の背景には、100万文字を超えるような長編小説のAI出力において、物語の一貫性を保てないという大きな課題がありました。従来のモデルでは、物語の途中で設定を忘れてしまう現象や、出力がどこかで見たような平均的な表現(AIスロップ)に収束してしまう問題が避けられませんでした。

これに対し、現在の高度な創作者たちは、AIを単なる執筆助手ではなく、物語の世界そのものを演算するシミュレーターとして定義し直しています。

具体的な事例として、Shawn Knight氏による「Infinite Weave」が挙げられます。これは、ビジネス的な試みであるのですが、創作に例えるなら、AIに物理法則や宗教的タブーといった初期条件を与え、数千年単位の歴史を再帰的にシミュレーションさせることで、非常に厚みのある世界設定を構築するといった試みです。

また、プロ作家集団のFuture Fiction Academy(FFA)は、NovelCrafterなどのツールをハブにして、Claude 4.5やGPT-5といった複数の最新生成AIモデルを「プロット担当」や「描写担当」として使い分けることで、高度な長編創作を実現しています。


2026海外AI創作ガチ勢最前線


現在の主流は「Writer's Room(作家の分科会)」と呼ばれるワークフローです。これは一つのAIがすべてを書くのではなく、システム内に「プロット設計者」「文体修正者」「論理批評家」「設定考証者」といったエージェントAIの集団を構築し、それらが相互にフィードバックを繰り返す手法です。

例えば、執筆担当AIが書いた初稿に対し、批評担当AIが「伏線の不整合」を指摘し、修正を要求するというループが自動で行われます。

エージェントAI同士が「無難な結論」に落ち着くのを防ぐために、あえて対立させる技術も使われています。執筆担当AIには「キャラクターを生き延びさせたい」という目的を、批評担当AIには「物語を悲劇的にしたい」という目的をそれぞれ与えることで、生成プロセスに意図的な緊張感を生じさせるのです。

また、特定の文体を維持するために、物理的な感覚や「皮膚の質感」といった環境変数を意識させることで、読者の身体性に訴えかける描写を追求しています。

技術的な側面では、これまでの単純な検索技術に代わり、人間関係や事実を網の目のように構造化して保持する「GraphRAG」が導入されました。これにより、何百ページも前の些細な伏線を「論理的な経路」として再発見し、現在の描写に反映させることが可能になっています。

さらに、キャラクターに「信念」や「欲望」を定義して物語を創発させる「エージェントベース・ナラティブ(ABN)」の実践も始まっています。例えばシェイクスピアの『オセロ』を再現する場合、登場人物に特定の意図を与えてシミュレーションさせることで、作者の意図を超えた動きを引き出します。


エージェントベース・ナラティブの実践


では実際に、シェイクスピアの『オセロ』を、どのようにAIを使用して再現するのか具体的なプロセスを掘り下げていきましょう。海外のガチ勢が使っている方法です。

第一に、海外ガチ勢はAIに物語の台本をそのまま書かせるのではなく、登場人物一人ひとりに「心」の仕組みを組み込んでいます。具体的には、そのキャラクターが何を信じ(Beliefs)、何を望み(Desires)、そのために何をしようとしているか(Intentions)という、BDIモデルと呼ばれる設計図を与えます。

そして、悪役であるイアーゴというエージェントAIには、「オセロの精神を徹底的に破壊する」という非常に強い意図が設定されました。興味深いのは、AIがこの目的を達成するために、周囲のキャラクターの心理状態を自律的に推論し始めたことです。

例えば、イアーゴは「オセロは妻デズデモーナを深く愛しているが、それゆえに嫉妬に弱い」という情報を信じています。同時に、カシオという人物が若くて魅力的であることも認識しています。

AIはこれらの条件を掛け合わせ、「カシオとデズデモーナの仲を疑わせるような嘘を、どのタイミングで吹き込めばオセロが最も苦しむか」という、高度な「社会的プランニング」を自分自身で組み立てていきました。

この過程では、人間が「ここでこのセリフを言わせる」と指示を出す必要はありません。AIが演じるイアーゴが、他のキャラクターの心理的な隙を突き、嘘をささやき、状況を操作していく様子がリアルタイムで演算されます。

このような手法の面白さは、物語に「創発(Emergence)」が生まれる点にあります。ときには作者である人間の想像を超えて、イアーゴが予期せぬ冷酷な策略を思いついたり、逆に他のキャラクターがその嘘を見抜いて物語が別の方向に進んだりすることもあります。

単に既存の物語をなぞるのではなく、キャラクターを自律した存在として走らせることで、まるで現実の人間関係のような生々しい緊張感と、予測不可能なドラマが生まれる。これが、2026年におけるAI創作の最も刺激的な領域の一つと言えます。


まとめ


結論として、2026年のAI創作は「文章を書かせる」ことから「物語の環境を設計し、AIに演算させる」ことへと本質的に変化していくのではないでしょうか。

現在、日本の「小説家になろう」といった投稿サイトでは、AI生成による画一的で味気ない作品の氾濫が深刻な問題となっています。それらの多くは多少カスタムしたプロンプトと小規模なデータベースによる、いわば「AIスロップ(質の低い量産物)」そのものであり、読者の期待を裏切るだけでなく、創作コミュニティ全体の活力を削ぐものとして批判の対象となっています。

しかし、今回紹介した海外の最前線の手法は、その安易な利用とは正反対の場所にあります。複数のエージェントを対立させ、矛盾や不協和音をあえて注入し、キャラクターを自律的に走らせるシステム設計は、むしろAI特有の「無難さ」を徹底的に排除するために存在します。

「なろう」で起きているようなテキストの自動量産とは一線を画し、人間の想像を超える生々しいドラマを引き出すための装置なのです。かつては熟練した作家や、TVドラマの脚本家が集団でやっていたような高度なテクニックも、今や個人が気楽に、かつ高解像度で行えるようになりました。AIは決してわるいことばかりではありません。

これからの創作者の役割は、単に文字を埋める作業ではなく、物語世界の論理構造を組み上げ、そこから生まれる予測不能な「人間性」を掬い上げる指揮者(コンダクター)へと進化していくでしょう。

AIを安易な代筆道具として使うのではなく、人間以上に人間らしい文学を追求するための劇場として設計する。この「設計者」としての姿勢、そして指揮者としての総合能力こそが、AI時代の創作において、決定的な「人間の作家」に求められるのではないでしょうか。

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 9

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3ページ目(8)

8

昼過ぎ、凛は高校の体育祭の代休で家にいた。部屋で数学の問題集を開いている。二次関数のページだった。途中まで解いた式を赤ペンで見直していたところだった。

台所で音がした。

乾いた音だった。何かが床に落ちたような、食器の触れ合う音ではなく、少し重たいものが床にぶつかるような音だった。手を止める。いつもなら、そのあとに音が続く。鍋の蓋、蛇口の水、食器の触れ合う音。母は台所にいるとき、必ず何かしら音を立てている今日はそれが続かない。

凛は耳を澄ました。
何も聞こえない。廊下に出て、階段を降りる。台所の電気はついている。流しの前に母の姿はない。床に座り込んでいた。片手を壁につき、少し前かがみになっている。
「お母さん?」
母は返事をしない。顔色が悪い。凛は一瞬迷った。どうすればいいのか分からない。母がこうしているところを見たことがない。迷っている時間の方が怖かった。

凛は震える手で携帯を開いた。
救急車の番号を思い出そうとするが、頭が真っ白で浮かばない。仕方なく画面で調べる。
表示された「119」を押した。

「はい、119番です。火事ですか、救急ですか」
「きゅ、救急です」
「場所を教えてください」
凛は住所を言う。途中で番地を言い直す。携帯を握ったまま、母の方を見る。
「どうされましたか」
「母が……倒れて……」
「お母さんですね。意識はありますか」
凛は母の肩に触れる。
「お母さん」
母が小さく声を出す。
「……あります」
「呼吸はしていますか」
「はい」
「お母さんの年齢は分かりますか」
凛は一瞬止まる。
「……40…」
言ったあとで、正確な年齢が出てこないことに気づく。
「誕生日は分かるんですけど……」
自分でも、何を言っているのか分からない。
「大丈夫です。40代ですね」
オペレーターの声は落ち着いている。
そのとき、母が小さく言った。
「……救急車はいい」
凛は母の顔を見る。こんな顔を見たことがない。母にそう言われると、本当に呼んでよかったのか分からない。でも、もし何かあったら。そのとき、自分はきっと後悔する。凛は母の背中をさする。

「救急車を向かわせています。お母さまを楽な姿勢で横にしてあげてください。」
凛は携帯を肩と耳の間にはさみ、母の体を支えた。通話が終わる。凛は携帯を握ったまま、しばらく動けなかった。母の顔を見る。
ときどき声をかける。
「お母さん」
母が小さくうなずく。それを確認して、凛はまた背中をさする。意識があるかどうか。それだけは見ておかなければいけないと思った。もし意識がなくなったら、どうすればいいのか。さっきオペレーターは何と言っていたか。凛は何度も思い出そうとする。

時間がどれくらい経ったのか分からない。遠くでサイレンが聞こえた。音が近づいてくる。救急車だと分かった瞬間、凛の体から少し力が抜けた。自分一人で判断し続ける時間が、終わる。そう思った。

母は担架に乗せられ、救急車の中に運ばれた。凛も一緒に乗るように言われた。車内は思ったより狭かった。白い光が明るい。機械の音が小さく鳴っている。凛は母の横に座った。母の手を握る。母の手は少し冷たかった。

救急隊員が母の顔をのぞき込む。
「朝倉さん、聞こえますか」
母が小さくうなずく。
もう一人の隊員が凛の方を見る。
「娘さんですか」
「はい」
「これまでに、お母さんは大きな病気をされたことがありますか?」
凛は少し考える。
すぐには思い出せない。
「……分かりません」
そう言いながら、頭の中で記憶を探る。
「骨折して、入院したことはあります」
「いつ頃ですか?」
「私が小学生のときです」
「持病はありますか?」
「……聞いたことはないです」

救急隊員は母の処置に集中していた。母の胸には小さな電極が貼られ、心電図のモニターが動いている。もう一人の隊員が血圧計を巻き、数値を確認する。
「少し血圧が高めですね」
そんな言葉が聞こえる。隊員の手は止まらない。凛は母の横に座り、手を握っていた。母の顔を見る。呼吸を見る。ときどき声をかける。

「お母さん」
母は小さくうなずく。

救急車は揺れながら走っている。やがて、救急車のスピードがゆるやかになった。サイレンが止まる。外から別の人の声が聞こえる。
「到着しました」救急車の扉が開くと、夜の空気が一気に流れ込んできた。外は思っていたより明るかった。救急入口の白い照明が地面を照らしている。ストレッチャーの車輪がアスファルトの上を滑るように進む。

「通ります」
救急隊員の声が前方に向けてかけられる。自動ドアが開く。消毒液の匂いが鼻に入った。病院の匂いだ、と凛は思う。普段ほとんど来ることのない場所なのに、なぜかすぐにそれと分かる匂いだった。

ストレッチャーはそのまま廊下を進んでいく。白い壁、白い床。天井の蛍光灯が一定の間隔で並んでいる。車輪の音だけが規則的に響く。凛はその後ろを歩いていた。母の顔は見えないが、呼吸はしている。胸がゆっくり上下しているのを確認すると、少しだけ安心する。

看護師が2人ほど近づいてきた。
「こちらです」
ストレッチャーは処置室に入っていく。凛はそのままついて行こうとして、看護師に軽く止められた。
「すみません、少しお待ちください」
処置室の扉が閉まる。凛は廊下に残された。さっきまで母の手を握っていた感触が、まだ手のひらに残っている。どうすればいいのか分からないまま、廊下の壁のそばに立つ。椅子が並んでいるのが見えるが、座る気にはならない。さっきまで動いていた体が急に止まったせいか、頭の中が少し空白になる。

凛は携帯を取り出した。父に電話をしなければならない。画面を見つめる。父の名前を押す。呼び出し音が鳴る。出ない。凛は一度電話を切り、もう一度かける。呼び出し音。やはり出ない。

3回目も出なかった。凛は携帯を手にしたまま、しばらく画面を見つめていた。父は仕事中でも電話に出ることがある。少なくとも、折り返しは早い。今日はそれがない。

凛は少し迷ったあと、検索画面に父の会社の名前を打ち込んだ。すぐに会社のページが表示される。そこに載っている代表番号を、しばらく見つめた。押した。呼び出し音が鳴る。しばらくして、女性の声が出た。
「お電話ありがとうございます。京浜電子工業でございます。」
凛は父の名前を伝える。受話器の向こうで少し間があった。そして、落ち着いた声で言われる。
「申し訳ありませんが、朝倉さんは昨年退職しております」
凛は意味が分からなかった。
「え?」
「現在はこちらには在籍しておりません」
それ以上の説明はなかった。
凛は礼を言って電話を切る。
携帯を握ったまま、しばらく動かなかった。

昨年。

凛の頭に、数日前の食卓が浮かぶ。
「最近、残業が多いのよね」
母がそう言った。
父は少し考えてから答えた。
「そうだな。システムの整理をしていてな」
凛はそれを疑わなかった。そういうものだと思っていた。

そのとき、処置室の扉が開いた。
看護師が顔を出す。
「朝倉さん、お待たせいたしました。」
凛は顔を上げる。
「はい」
「もう少ししたら先生が説明します。お父様とはご連絡つきましたか?」
凛は黙ったままうつむいていた。
携帯を握ったまま、言葉が出なかった。

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白紙答案

白紙答案のような風景がひらけている
私の目にはそう見える
十余年間経理の仕事をしてきた私の目には

十余年の間に私の口は閉じがちになる一方だった
口数が少ないというようなものではなく
言うべきことがほとんどないと思われるのだ

問題意識の浅い人間ほどよくしゃべる
保身や利己のために口数は多くなるのだ
奴らの気持ちも分からないわけではない

深い所から昇ってくる臭いを鼻に吸うようだ
一度録音された音声を何度も聞くようだ
裁かれる事件はいつも過去から届く

白紙答案が微風に捲れそうになってまた直る
弁護士と弁護士が握手を交わしたところで
原告と被告の間についた勝敗が揺らぐことはない

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偶然出会う

偶然出会う偶然出会う偶然出会う……

僕だけが
道で偶然彼女に会うことがなかった
不運なことだ
誰より彼女を必要としていたのは僕だったのに

僕だけが道で偶然
誰か必要な人に会うことがなかった
尊敬できる人
助言してくれる人
寄り添ってくれる人
そういう人たちのことだ

誰か僕に何かの資格を授けてくれていたらと
思わずにはいられない
僕は一人だったから
そうしてくれる人がいなかった
苦労したよ

僕は一人だった
一人で何かを考え詰めてゆくと
無関心に似た心境になる
いやこれこそが無関心だと僕は言いたい
関心は
二人以上で抱かなければならない
答えはそうして出てくるだろう
一人が持つ容器は
関心に比して小さい

何をやっているのだろうと
自分の行動をしょっちゅう疑い
意味が常に無意味に向かう
一人が持つ容器は
意味に比して小さい

僕だけが
道で偶然
会うべき人に会わなかった
みんな言っていた
会ったよ
会ったよと

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 5

 3

costume #アイラシヤ大陸

時代:安部中期
場所:『境の国 タイムズ

時計塔が正午を刻むと、「境の国」の広場は貿易港から溢れ出した富と、停滞した「のんびり」という名の熱気に包まれる。その喧騒のただ中に、一点の不自然な静止体があった。
それは、桃色の耳を垂らし、常に虚空を凝視する「うさぎの着ぐるみ」である。
彼女は今、治安維持局の峻烈な監視網――「分類と可視化」を偏愛する権力――を回避するため、この極めて非効率的な毛皮を「第二の皮膚」として選択していた。手には、田伏正雄商店のチラシが握られている。キアヌ・リーブスの肖像と共に「今日のレート:TABUSEコイン1枚につきウドン一杯」という、法秩序を嘲笑うような文言が踊っていた。
役人が不審そうに、その桃色の塊へ近づく。
「おい、そこの着ぐるみ。貴様、ここで何を撒いている?」
彼女は、着ぐるみの短い手足をゆっくりと動かし、無言でチラシを差し出した。
役人は、着ぐるみの無表情な「面」に、自分自身の空虚な支配欲が反射するのを見て、忌々しげに舌打ちをした。「チッ、ただのバイトか。……実体のない停滞は、重い罪だと覚えておけ」
夕暮れ時、長く伸びた影が世界を「分類」し直す頃。うさぎの着ぐるみは、商店の裏口にある段ボール箱に腰を下ろした。店主の田伏正雄が、湯気の立つ小皿を持って現れる。
「お疲れ様。今日の『うさぎ』としての観測成果はどうだい? 役人たちの視線は、その毛皮を貫通できたかな?」
着ぐるみの頭部が、機械的な正確さで左右に振られた。
田伏は苦笑し、小皿を足元に置く。そこには、天麩羅の盛り合わせとネギの端切れが並んでいた。
「それは良かった。為替の風が冷たくなってきた。その着ぐるみの中にある『情報の核』が凍りつかないよう、このおつまみを糧にしておくれ」
深夜、時計塔が十二回の鐘を鳴らし、広場から瑠璃色の明滅が消える。
町の座標から逸脱した、登記簿にも載らないアパートの一室。扉を閉め、桃色の大きな頭部を両手で持ち上げる。首の継ぎ目から溢れ出したのは、見目麗しい女性だった。彼女が着ぐるみを脱ぎ捨て、本来の「肉体」という名の仮初めのインターフェースを露わにすると、そこには外側の愛らしさとは対照的な、峻烈な知性の集積場が広がっていた。
壁一面の本棚には、実存主義、現象学、そして彼女がかつて別の世界線で読み耽った、表紙のない無数の書物がびっしりと納められている。
彼女は浴室の蛇口を回した。湯船に満たされる熱水は、迷宮のような蒸気を立ち昇らせ、世界の境界を曖昧にする。
湯に身を沈めると、着ぐるみの内側で蓄積された「店員の役割」という名の情報の澱が剥がれ落ちていく。彼女の肌は、情報の海を泳ぐ一筋の光の魚のように、熱水の中で屈折した。
風呂から上がり、簡素な寝巻きを纏った彼女は、小さな冷蔵庫から一本の缶ビールを取り出す。炭酸が弾ける音は、この静止した部屋における唯一の動的なイベントだった。冷えた液体を喉に流し込む。
皿の上には、田伏から受け取ったおつまみ。指先で一つ、口に運ぶ。ピリリとした刺激と、油の微かな甘み。
「……カプサイシン。……味覚による、自己の、再定義」
それは、宇宙の深淵を覗く者には似つかわしくない、あまりに「人間的」な充足であった。彼女は一冊の古い形而上学の書を手に取り、情報の海へダイブする前の、短い予備動作に入る。
窓の外では、役人が空虚な夜回りを続けている。彼らは決して知らない。自分たちが血眼になって探している「指名手配犯」が、今、冷えたビールの残香と共に、哲学書をめくる微かな紙音に溶けていることを。
彼女は消灯し、部屋の隅で丸まっている桃色の毛皮を見つめる。明日、太陽が昇れば、彼女は再びあの不透過な偽装を纏い、田伏のウドンの香りに紛れて、この不条理な世界の「体温」を測り続けるのだ。
https://i.imgur.com/31VJBZy.png

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せめんと

はだにしみつくようなはるのことでした
みずいろのへいしたちが
まどのそとをとおりすぎて

せめんとにくちづけする
 せめんとにくちづけする
  せめんとにくちづけする
   せめんとにくちづけする

そして
わすれものをおもいだしてきえてゆくのだ
けしてとりかえすことのできないものを

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名美池袋気分

友達と遊ぶようになって
学校に一切行かないモードになったのね
まあ遊ぶって言っても
一緒にボーッとしてるだけなんだケドさ

遊ぶ場所はブクロだったんだケド
外に友達ができるようになると
夜まで一緒にいるでしょ
したら朝なんて起きれないし

普通に学校行かなくなった
勉強嫌いなんだもん
勉強したくないでしょ
朝起きたくないでしょ

学校行く時は朝の七時半くらいから
マッハで鬼登校しなきゃいけないんだケド
そんな時間に起きれるわけないのね
だから絶っ対っ昼までガン寝してた

ちょうどガングロとか流行ってて
可愛いなと思ったから
ウチも日サロで同じように黒くしてた
ヤマンバとかマゴギャルとか言われてたね

お金はね全部親から貰ってたよ
お金がなくなったら
チョーダイって貰ってたから
月に幾らとかわからないケド

一日一万は使ってたから
最低でも三十万以上だね
服も買って貰ってたから
全部で五十万くらいじゃないの

でもねブクロじゃサンシャイン通りあたりで
ボーッとしてるだけなんで
たいしてお金かからないのね
みんなでツルむと自然と楽しいじゃない

たくさんツルむ日は
十五人くらいは余裕でツルんでたかな
タメのコもいればそうじゃないコもいて
楽しければ別に誰でもいいからさ

ギャル系以外のコとも普通にダベってたよ
ゴスロリとかバンギャとか不思議ちゃんとかね
ウチら的には害さえなければ
気にしないし何でもいいよ

あーそーゆーね
アンチみたいなのとは違くて
髪とかメイクのこととか言われるのが
ウザかっただけなのね

あとスカート丈とか
中学ってチョーうるさいじゃん
スカートが長かろうが短かろうが
はぁ?ってカンジ

でもヤマンバ化してからは
誰からも何のリアクションもなくなって
放置プレイされてた
ジモトでもハブられてた

高校は行くだけ無駄だと思ったのね
てか絶対に行かないのにお金だけかかるんだしさ
ウチとしては親孝行のつもりだったんだケドね
キャハハハ

元々何もないから
学校辞めたからどうしよう的なのはなかったよ
辞めたからって何も変わらないし
辞めなかったら何かあるわけでもないし

今も何も考えてないケド
あの頃はもっと何も考えてなかったね
とにかく自分がやりたいことじゃないと
やる気がしないの

でも生まれてからやりたいことなんてないから
何もやる気がしないのね
ダルいのねマジで
毎日がダルいもん

将来とか大人になったらとか
たまーに考えたりするケド
頭ん中お花畑だし
何だかなー

昔だったら十八歳過ぎたら
ババアだなあって思ってたのね
自分が実際に十八歳になっちゃったら
今度はいやいやババアは二十歳からだろみたいな

うーんホントは何が楽しいのかな
わかんないよそんなの
プリクラもパラパラも
すぐに飽きちゃったし

何が楽しいとか大人になったらどうしようとか
そんなこと考えてるの誰もいないよね
結局結婚できればいいわけでしょ
お嫁さんになれば何もしなくていいしね

だから大人になったら
やっぱお嫁さんなんだよね
楽ちんな方に流されちゃえば楽しいじゃん
わざわざ大変なことするヒトなんているのかな

友達の間でウチは
ヤリマンで有名だったみたい
ヤリマンのつもりはなかったんだケド
ヤリマンオーラが出てたみたいね

実際中学の時はチャラ男とかに
ナンパされたらソッコーヤッてたし
断るのも面倒くさいからヤッてた
ヤルのは別にどうでもいいのね

何つーのかな自分の中で
エッチは重要な問題じゃないから
じゃ何が重要な問題かって言われても
別に何もないんだケドね

生きてる理由もないかわりに
死ぬ理由だってないわけだし
ダルい人生をボーッと生きてるだけ
ただそれだけだよ

何だかんだ言ってもぶっちゃけ
何とかなるっしょ
今まで何とかなってきてるし
ずっと何とかやってゆけるのかなって

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 2

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枯れぬ欲は破滅

赦しを請うのは自己での完結
朱を熱する
己のみ満足を得られる
罪の意識は気づかずに染みになっている

小指の先から侵入したガラスの破片は血管の移動をやめず
心臓を破裂させる

人差し指、撫でる背骨との距離
これは触れているのか
否、触れていない

欲は鷹
雀になりたかった

川に飛び込んだ烏の翼は渇きを知らず
とても気分がいい
お似合いだ

苦痛はオオルリ
裏切りはカナリア

燕が育む雛鳥
巣食いの敵

鋏で断つは赤いハンカチ
断ちたくないのは赤子の雑巾

願え銀の匙
感情は黒く染まる
瞳は乳白色

欲は地球の重力を遥かに超える
月が近づきすぎた
突き抜けて天の川銀河に放り出される

右手は少しだけ生きていたように見えた
現実は凍った薬指

欲だけが残留
それだけでは足らず親指すら崩壊していった

それでも尽くことを知らない

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 4

 5

杖を束ねて

他人の言葉は杖

友であれ
親であれ
大切な言葉を言い訳にして
折れた杖を捨てる

言葉が聞こえる
文字が届く
それでも変わらない景色

大切に思える言葉は
暗い足もとを照らす街灯

星空は同じに見えても
立つ場所で違う
言葉だけを頼れば
そこでしか見えない星を見逃す

杖を束ねて握る

答えは言葉のない星空の下
見えていない闇の中

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ことばのふりをして

誰を
撃たんかね
鹿でも
撃つた顔をして
あんたも
撃つたのかね  

ことばのふりをして

転がる
薬莢
だらり
目を細めて

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感情

誰かが どこかで 泣いてる
君は 独りで 夜の中に立ち
名もなき声に 耳をすませる

きっと 僕には 解らない
心というものを
感じ取っているのだろう

感情のない僕は 心が解らない
君と僕を繋ぐ 細い糸
君はそれでもいいと言う
僕は大切なものを失くしてしまったのに

君もきっと 泣いているんだろう
気持ちを共有できないって たぶん
思うよりずっと 辛いこと

感情を抜き取られた僕は 無限に
様々な時空を彷徨い 放浪する
君は僕についてくると言う
一緒に大切なものを捜そうと

知ってしまったんだ
感情を取り戻したら 君と
離れなければならないこと
だけど それでも 僕は

感情のない僕は 心が解らない
君と僕を繋ぐ 細い糸
君はそれでもいいと言う
僕は大切なものを失くしてしまったのに

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こちらSH1N60。宇宙線がエグいです

風が吹いて桶屋、倒産……
観測史上最大の風が吹いたら作業場が吹っ飛んだ、それだけの話。
偶然の積み重ねなんて起こらない。因果は粛々と執行される。
ちなみに風速1000m/sくらいあったらしくて、宇宙空間まで吹っ飛ばされた桶が周回軌道を回ってる。気候変動って怖いね。

そんなスペースデブリと化した桶を眺めながら、僕はいま光速の0.01%でボイジャー1号を追いかけてる。
ポケットには油性ペン1本。目標、ゴールデン・レコード。
人類の叡智に落書きしたい。え、それだけかって?うん、それだけ。

「いまAIに計算してもらったら60年掛かるじゃない!それだけのために一生の別れ!?」
「もう二度とドライブしたり映画見たりできないのよ!?あと庭で飼ってるメダカ500匹どうするの!」
まあ、当然の反応だと思う。
でもすまない、妻よ。僕はゴールデン・レコードに落書きしないと気が済まない。

そういや昔、ゴールデン・レコードに男女の裸体図を描こうとして怒られたらしいね。
半永久のボトルメールを送ろうという最高のロマンを前に……人類、なにチンチクリンな倫理観発揮しちゃってんの。
あの時のバカまじめな人類が描けなかったものを、僕が描く。これは叛逆だ。
男女の裸体図を正確に描く。ふさふさの髭と陰毛を描き足す。
これが誠実さというものだ。分かるか、人類よ。

困難を乗り越え、天へ。
織田信長とマリー・アントワネット、人類最長の旅は続く。

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春惑

x軸上でゆっくりと斃れる
十七歳のこころ
献花のように横たわる 直線や曲線は
教室を吹き抜ける風にそよぎもせず
昨日が今日に
今日が明日になるように
ただあっけなく教科書は、ノートは
めくられた。

患ったような鐘の音
白紙の正午にカフェオレを零し
不健康に甘い、一日が嫌になって
5限の授業をサボタージュしました。
おとなとこどもの他は
誰もいないような静けさ
身体の中だけがざわざわしている
その意味を
理解できるのはもっと先だった
遮るもののない世界
その険しさを
理解できるのはもっと―

後ろめたい心を射抜くような
日差しは全部 判っていたのでしょう
無理数の渦に
巻き込まれていくような午後
校舎を抜けると
春の霞の向こうからなにかが
手招いているような気がした
行ってはならない
そう直感しながらわたしは。

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恋は狂気とワルツを踊る

その目尻に浮かぶ
優しさが

私に向かないのは
わかっているから

欲しくて
欲しくて

伸ばしてしまう指先を
切り落としてしまいたくなる

君の笑顔に
私は普通を落としていくの

君の笑顔で
私は心を堕としていくの

君に
君の
君が

笑えばそこに
私は沈む

跳ねる鼓動に
今日もまた

私は狂気と
ワルツを踊る

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AIによる詐病、あるいは傲慢の暴露――AI時代における詩の読みを考える

序:揺らぐ境界線

 2026年現在、生成AIを用いた創作はもはや他人事ではない。先日、CWSにて、とあるコンクールでAIが生成した小説をそのまま提出して選考通過したという話があったが、この件は詩の世界にとっても無視できない一石を投じたと言える。
 私の中には今、生成AIが作る詩に対して、相反する二つの考えが同時に存在している。どちらが正しいと断じることはできないし、そのつもりもない。しかし、この葛藤を共有することで、ある種の議論のたたき台となれば幸いだ。詩とどう向き合うのかを考えることも、また詩的な営みだろうから。

※ここで言う「生成AIが作る詩」(以後、「AI詩」)は「生成AIの生成物を推敲なしで発表した詩(ポン出し)」を指す。詩作の過程で生成AIを用いることを否定する意図はない旨を補足しておく。


考えその1. AI詩は作者と読者の間の信頼を破壊する行為である

 詩の鑑賞は、作者と読者の間に結ばれる「見えない契約」の上に成り立っている。 読者は、言葉の背後に切実な人間がいると信じるからこそ、その言葉を深く受け止めようとする。これは、医師が患者の訴えを真実として受け止め、診断を下す関係に近い。
 もし、患者が演技で嘘の症状を訴えていたとしたら、医師の診断(読解)はその前提から崩れてしまう。AIであることを隠して詩を発表する行為は、いわばAIによる詐病だ。それは単なるマナー違反にとどまらず、「人間が書いた言葉を読み解く」という詩の営みそのものを、空虚な茶番に変えてしまう危険性を孕んでいる。


考えその2. AI詩は読者の傲慢を暴く新時代の潮流である

 一方で、AIの台頭は、一部の読者が無意識に抱いているであろう「読み手の傲慢」を暴く劇薬にもなり得る。 そもそも、詩の読解や解釈とは、どこまでも読み手の中で完結する自己中心的な行為だ。文字から意味を拾い上げ、感動を生み出す作業は、読み手の知識や想像力に完全に依存している。
 それにもかかわらず「作者の叙情や意図を正確に読み取った」と考えるのは、読み手の思い上がりに過ぎない。私たちが読み取っているのは、いつだって「自分自身の解釈」が作り上げた幻の作者像である。
 AIが生成した詩には、最初から叙情も意図も存在しない。しかし、私たちはそこにある文字列から勝手に意味を見出し、時に涙することさえあるかもしれない。この事実は、詩の正体が「作者の心」ではなく「読み手の中に生まれる反応」であることを、残酷なまでに暴露する。AIの台頭は、この暴露を通じて詩の世界に新たな「読みの技術」をもたらす新時代の潮流となり得る。


結:環境変化としてのAI

 大切なのは、AIの是非をジャッジすることではない。AIが存在するという「環境の変化」をどう受け入れるかだ。 他人がAIを使うことも、社会がこの速度で変わっていくことも止めることはできない。
 自分がAIを使うか否かに関わらず、私たちは今、かつてないほど「言葉とは何か」を問い直されている。書かれた文字だけを真実とするのか。そこから立ち上がる自分自身の感情だけを根拠とするのか。目の前の詩をどう捉え、どう読むか。詩に対する思想や哲学を持ち、読み方を自分自身で定義することが求められる時代が来ている。
 AIは文学に限らず、社会全体に劇的な変化を巻き起こしている。私たちはその変化の渦中で、思考を止めてはならない。


※本稿における基本的な論理構成や主張、文章の最終調整は筆者が行っているが、言語化の過程で一部AIを使用している。なお、筆者は本稿の著作権を放棄していない。

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批評・論考

行方

淡い夢を溶かした

苦い恋を溶かした

終止符を溶かした

ココアになった

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だいぼうけん

小さな冒険者は
虹の麓を探しに
土筆の剣を手に
白詰草の王冠をかぶって
小鳥の囀りも味方して
春泥に増える足跡

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光の環

カイロがあたたかい
心細く
冷めれば
冷たさが増すだけ

声をかける
相手の顔を見て
ホッとして
うなずく

遠くから懐中電灯で照らされる
だれかわからない
それでも涙で滲む光

聞こえるよりも
そばにいるよりも
闇に差す光

歩いていく
足もとはまだ暗い

呼ぶ声は遠い
ただ
光の環を見続けて

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繰り返し、一興にも成らず

やゆやゆと思想の渦中

夢は時々既視感の卵
幸福は石鹸の後始末

望みは消えていく

からからと流れる雨粒の塊
逆さまの感情を糸で救済さえできず

速度を上げて消失していく罪人
それらは声を張り上げる

すらすらと欲求は尽きず

手の甲の拍手で恐怖に満ちる
呻いた伸びた手は飲み込む

其れ等に同情は皆無

断末魔は興にもならず
紅は熱され続ける

終わることを知らない崩壊

それすら見向きもせず
睡蓮は水面で再生

釈迦はするすると鏡の沈着に去る

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都市

家々が

傾きはじめた電信柱が

煙突や高層ビルが

それらの影に

飲み込まれていく私が

巨大な装置(都市)の一部として

満ちては欠けてゆく

"ここは、果てしない森のほんの入り口にすぎないが
森の果てにある、ひとつの出口でもある"

そうして
境目が持つ宿命に迷い込む

遊歩道のひび割れは

大地の息吹こうとしている兆候か

あるいは

地下鉄の隆起か

など


※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し② 修正加筆

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ガバガバヘイ!

俺は陰キャのラモーンズ
スキニージーンズがまじで似合ってる
ギターもベースも弾いたことはねぇ
でも掻き鳴らすぜこの散文詩
2年4組平凡でつまんねークラス
俺のスクールカーストは5軍
アニメが嫌いだからオタクの友達もいねえ
いいんだ質の悪い友人なんていらねえ
そもそも人間は一人で生きる生き物

クソ長え昼休み
群れあって可哀想な奴らを尻目に
今日も俺は机に突っ伏して寝たフリをキメる
どんな事件だってこの俺様めにお任せあーれ
クラスの陽キャに唯一負けないこの妄想癖

お粗末な戸締まり
侵入する黒尽くめの男
鳴り響く非常ベル
廊下にこだまする悲鳴
慌てふためく教師ども
ついに俺らの2年4組にも侵入してくる
奴は教壇を蹴飛ばしナイフをこちらに突きつける

「お前ら、絶対に動くなよ!?」

クラスメイトは全員緊張状態
いつもはうるせえ陽キャのタカハシもビビって黙ってら
まったく恥ずかしいやつだ
俺なんかこんな状況でもコサックダンス踊れちゃうぜ?
Hop,hop,hopak! タカハシ、お前はボンゴでも叩いてろ

「おい、お前こっちに来い!」

奴は近くにいた一軍女子まりなを乱暴に手繰り寄せ
その喉元にナイフを突き付けた
まりなが苦悶の表情を浮かべる!

「お前ら動いたら、こいつの命はねぇからな!」

2年4組により一層緊張が走る
教師はただ固唾を飲んで冷や汗をかいている
ため息をついてにやりと口角を上げる俺
それが気に食わない黒尽くめの奴は声を荒げる

「そこのお前、なにがおかしい!?」

まったく、どいつもこいつも余裕のねー奴ばっかだぜ
俺のこの能力を見せびらかすつもりはなかったんだがな...
面倒なことになる前に片付けちまうか☆

「この俺様にそんな口を利いてもいいのか奴さん...俺は通称'朱目'。神から授かったふざけた才能なんだが、寿命が少し縮むのと、髪の色が白銀に変わる代償として能力を発動することができるのさ。で、その能力っつーのは俺と目の合った奴の生命力を吸い取り、5秒後に死に至らせるというものなんだが...おっといけない。説明し終わる前に死んじまったみてえだな」

黒尽くめの男は泡吹いて倒れてら
それと同時に歓声が湧き上がる教室
モブに肩を組まれ賞賛の嵐が俺に吹きかかる

「お前すげーじゃん!」
「そんな能力があったなんて!」
「お前が真の一軍だよ!」

まったく...能力を見せた途端これだ
バカどもの相手は困るぜ
すると面を紅潮させたまりなが俺に近づいてきた

「どうしたんだ?まりな」
「あ、あの...助けてくれてありがとう...陰キャくんさえよければなんだけど...私と付き合ってくれない?」

「「「おおっっっ!!!」」」
突然の告白に、クラスメイトたちがどよめく!

「おいおいいいのかそんなこと言って...確かお前は、このクラスのタカハシとかいう男と付き合っているんだろう?」

「タカハシくんなんていいの!あんなうるさいだけの猿みたいな男より、陰キャくんみたいな強い人と私、付き合いたいの!」

「おいおい節操ねえな...俺みたいな'朱目'と付き合うと、お前もケガしちまうかもしれねえぞ。それでもいいのか?」

「うん、いいの!むしろ貴方のそばで死ねるなら本望...決して引き裂かれることのないタナトスの愛...!そんな恋愛を陰キャくんとしたいの!」

まったくとんだ色情女だぜこいつは!
俺はタカハシの方を見ると奴は涙を浮かべながらも微笑んでこう言った

「ああ、まりながそういうなら...グスッ俺と居るより、ずっと男前な陰キャと居るのがいいよ!グスッ陰キャ、グスッまりなをよろしくな!グスッ」

こっちもなかなかイカれてるぜ
だけどこいつらがそう言うなら仕方ねえ

「それなら...俺の女にしてやるよ、まりな」
「...!はい!」

まりながそう言った途端、周りのクラスメイトたちが囃し立ててきた
「まったくお似合いカップルだぜー!」
「ヒューヒュー!」
「キスしろよキス!」
「キース!キース!」

「おいおいお前ら...」
「陰キャくん...」
まりなはそう言うと俺の袖を掴んだ
俺はやれやれと肩を竦めてまりなと向き合う
そしてそのまま...

「陰キャくん?」

妄想仕立ての俺の脳を呼び覚ましたのは
2年4組の一軍女子香坂まりな
鈍すぎる処理速度 引き戻される現実
そもそも俺はコサックダンスなんてできねえ

「次移動だから、早く準備して」

「えっアッ...ハイ、スミマセン...」

唾混じりの第一声 情けなさ過ぎる俺
すぐに立ち上がろうとしたが
邪魔をするのは隆起したP・E・N・I・S
鎮まるまでのクールタイム要請

結局2分間くらい席を立てなかった俺がお前らに伝えたいことそれはその後の学校生活でまりなと話したのはたったこの一度きりだということ
そしてタナトスの愛など実在しないということ

その代わりに存在する情熱それがパンク・ロック
お前らスキニージーンズを履け!!!


written by ターボくん a.k.a. 藤原太亞暴

傑作散文詩シリーズ第二弾「ターボくんのドドン!といってみよう」(2026)第2節3篇より引用

※この詩はフィクションです。登場人物は実際の人物とは何の関係もございません。

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後悔の意味

目の前を夢の終わりが通り過ぎたとき、
「人生が二度あれば…」
と歌う声が聞こえた。

たとえば記憶をそのままに、過去に戻れたとしても、わずかな失敗を消せるだけだ。
「あの時こうしておけば…」
そのときへ戻ってやり直せたとしても、そこから続く人生はまったく別のものになる。

大切な人との出会いはなくなるかもしれない。
想い出もまた、別なものと差し替えられてしまうだろう。
違う喜びもきっとある。
ただ、それと同じだけの悲しみや苦悩を味わう。

過去だけでなく、目の前の挑戦も同じことだ。
何かに挑戦し失敗をしたとき
「後悔しないように行動しろ」
という声が飛ぶ
初めから失敗するつもりの人などいない。
その言葉は虚しく、意味を受け止めるまで行かないただの音だ。

おいしかった水の味を忘れ、刺激に酔いしれる。
満たされた渇きを忘れ、他の空のコップに視線を向ける。
周りから見ればすべてを手に入れているように見えても、わずかな不幸を嘆いている。


“振り返ったとき悔いないように行動する”
ことだと思えば苦しい。
“悔いた後にそれをどうするか”
そう考えれば無駄ではないだろう。

何もしないで悔いるより、杭を打ち込んで心に刻む。
折れたり、曲がったりして、不格好かもしれない。
だけどその杭は、自分が必死に戦った跡として、記憶に刻まれる。

悔いた後より杭の跡。

振り返ったときに出るため息は同じでも、跡は温かく心に灯る。
二度なくても、きっと悔いを悔いない人生になる。
それが唯一無二の、ひとりだけの一生だ。

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連作一行詩「おたまじゃくしに後ろ足が生えた」

ハーフアップをしてみればワックスで固める代わりにキャラメリゼ!

第一条と第二条と第三条をカラビナでつなげて三つ編みしよう

すりガラスを開けて網戸を閉める きみの名前は辞書の真ん中

自販機で買った味付き水を飲んで溺れる

1から10をあいうえお順に並び替える真夜中に赤シートを被せてみたり

きみがくれたバルーンを額縁に飾りたいからやすりで磨く

月っていっぱい凹凸あるらしいよ、サランラップの芯から覗いてみれば?

足が2本のおたまじゃくしは知らない、僕らは知ってる、だって水面

安心(それはつまり美しくないってことで、美術というより書道である、)

風鈴がちりんちりん 秋過ぎて夏

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著作権放棄の宣言、名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト選考通過作品について。あるいはAIポン出しという名の冒険

 こんにちは。以前は茅杜弐 乃至真(ちずに ないしま)という名前で呼ばれていたこともあるけれど、今の僕は「AIポン出し太郎丸」と名乗ることにしている何者かだ。どちらがより僕の実体に相応しい名前なのか、それについてはまだ結論が出ていない。

 生成AIが書いた小説が世間を騒がせている。それはまるで、真夜中のプールサイドに迷い込んだ一頭の羊のように、どこか場違いで、それでいて否定しがたい現実味を帯びている。みなさんはどんな風にこの季節を過ごされているだろうか?

 挨拶はこれくらいにして、本題に入ろう。
 僕はこれから、僕の名前で発表されたいくつかの作品について、著作権を放棄することをここに宣言しようと思う。

『覚醒めよ、鉄の王よ』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=259
『群島に吠ゆる』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=260
『夢よりの囁き』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=257

 正確に言うなら、これは放棄というよりも「そもそもそこには最初から著作権なんて存在しなかったのだ」という事実の確認に近い。

 なぜなら、これらの作品はいわゆる「AIポン出し」によって生成されたものだからだ。僕はただ、無料版のChatGPTに対して、とても簡素な——日曜日の朝にトーストを焼くのと同じくらい簡単な——プロンプトを与えたに過ぎない。

 例えば、こんな具合だ。

■実際に使用したプロンプト一覧
『覚醒めよ、鉄の王よ』:
「人造の鉄巨人」と「ダークファンタジー」というお題で1000字未満の小説を書いてください。 タイトル付きで。
『群島に吠ゆる』:
「群島に吠ゆる」というタイトルで、ダークファンタジー小説を1000字以内で書いてください。
『夢よりの囁き』:
「夢魔」「ダークファンタジー」というお題で、1000字未満の短編小説を書いてください。

 そこには創意の欠片も、個人的な葛藤も含まれていない。出力された原稿に手を加えることはしなかったし、正直なところ、僕はそれらをまともに読み返してさえいない。書き直しのための再出力、いわゆる「ガチャ」すら一度も回さなかった。ただ一度きりの、乾いた一発出しだ。

 文化庁や世の中の主流な見解によれば、こうした生成物には著作権が発生しない。それは妥当な考え方だと僕は思う。深い穴に石を落としたとき、跳ね返ってくる音にまで所有権を主張するのは、あまりに不自然なことだから。

 しかし、奇妙なことは起こるものだ。
 これらの生成物が、どういうわけか名興文庫の「漆黒の幻想小説コンテスト」で選考を突破してしまった。一次選考を通過したものもあれば、二次を通過したものもある。いずれも書籍への収録が確約された。

【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一次選考通過・書籍掲載作品 発表
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-11/
【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 二次選考通過
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-12/

 昨今のAIの進化を思えば、選考に携わった方々の先見性には、深い敬意を表さざるを得ない。彼らが何を見出したのか、僕にはわからない。だって、僕は読んでいないのだから。

 もし詳細を知りたいという奇特な方がいれば、文庫の講評を読んでみるといいかもしれない。そこには僕の知らない「僕の作品」についての言葉が並んでいるはずだ。

【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一月度の所感と告知
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-4/#toc26

 繰り返すが、これらの作品に著作権は存在しない。
 書籍にしようと、大賞を授与しようと、誰かが勝手に物語を書き換えて遊ぼうと、それは完全に自由だ。僕の許可を取る必要なんてどこにもない。存在しない権利を行使することは、誰にもできないのだ。

 そういうわけで、これが僕からのささやかなお知らせだ。
 生成AIという新しい風が、この世界のどこかで何らかの可能性を示したのだとしたら、それはそれで悪くないことのように思える。

 もしあなたが、この一連の出来事に何かを感じてくれたなら、SNSという名の広大な砂漠のどこかでシェアしてみてほしい。それが僕の、これからの「ポン出し」のささやかな励みになる。

※なお、この原稿は下書きの作成後、Geminiを利用して村上春樹風にリライトしたものである



【2026/03/10追記】
 なぜか本記事をもって「選考辞退」と解釈されてしまっている方がいるようだ。
 僕はそんなことは一言も書いていないし、そんなことを言う権利も持っていない。
 繰り返すが、これらの作品には「著作権が存在していない」のだから。
 書籍にしようと、大賞を授与しようと、みんなの自由にしていい。
 ただ一言だけ言わせてもらうことが許されるなら、みんなが何にも縛られず、この新しい風が吹く世界を自由な翼で羽ばたいてくれたらいいなとは思っている。

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