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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

気配

犬を散歩させている人がいた

けれどよく見ると
犬はいない
人もいない

ただ散歩だけがあった

それもまたやがて咲く
桜の気配に
溶けて消えた

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飽和

三日目の雨は音もなく
山法師の花弁で珠となる

山肌を滑る霧の往還は
新芽の産毛の間を抜ける

落ち葉を踏む音さえ沈み
枝葉の雫のみ空気を揺らす。

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私は人間であろうか。

私は鳥であろうか。
気ままに空を飛び、あるいは気ままに地に降りる。空を飛ぶということがあたかも当たり前かのような顔をして。
私は埃であろうか。
隅の方に追いやられ、悪者扱いをされ、なんともかわいそうなものであるのかもしれない。社会の欠点として隅に追いやられる姿は、もっともである。
私は時計の秒針であろうか。
馬鹿みたいに時を刻み、社会の動きを一秒単位ですべて決めていく。しかし果たしてそれが楽しいと言えるものだろうか。いや、秒針というものに楽しさを求める人生などは虚しいものなのだろうか。

あるいは、私は人間であろうか。
鳥でも、埃でも、時計の秒針でもない美しさと醜さというものが共存しているものが、人間である。でも、それが私でもある。私は人間である。この世にある、人間である。

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拝啓、海の音が聞こえます。

拝啓、海の音が聞こえます。今日も窓辺に立つと、彼らが白波をたてて光り輝いているのが見えます。さて、以前教授は海はお嫌いとおっしゃっておりましたが、今はいかがでしょうか。歳を重ねて物事の見え方が変わるといいますが、可愛く思えたりなんかしてはこないでしょうか。でもこの年になると、もはや変わらないというのも悪くない気がしてきてしまいます。
ところで、私も変化がありました。あの「朝日」が嫌いになったのです。希望に満ち溢れているものだからこそ、目を逸らしてしまうというものは間違いでしょうか?毎朝毎朝私の目元をくすぐり起こしてくるそれが、最近はひどく鬱陶しいのです。だから、教授のご意見もお聞きしたいと思っています。
いつも同じ書き出しなので、きっと教授は私からの手紙ということをすぐにおわかりになるでしょう。そしたら笑ってやってください。敬具
追伸、先日世にも美しいと自負できるような貝がらを拾いました。手紙に添えて。

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出発点

自分のことばかりの言い分
せいぜい家族や恋人くらいか

けれども愚痴っぽい主張に
正義や正論への根拠を繋ぎたい

侵すものは排斥だと指を立てて
所詮は大河の一粒として叫ぶ

はからずも寄り添ってしまえば
転換され続けるだけの責任とか

教室ごとに配られる答案用紙
どうせすぐにでも燃えるゴミの日

等しくは見えるであろう出発点から
てんでばらけて各々好きに行ってしまえ

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おぞけ

ろうそくが  焼けるいのち 痛いよ
あの毛布に包まれて

爛れた

消火器が
母のかお


 

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花曇

町並みの軸は摩耗する
その浅瀬の透明な温い水は塩辛いものだ
ジグザクのうそを指折り数える
見知らぬ場所であれ不自由な語尾にのせる
小骨のかたちを定めるように游ぐばあい

仕切られた裏を愛してあげることにする
なにもないから、じぶんで抱いて
白檀に造花を、なんて灰をおとして
吹かしている、喧騒ばかりを煙にまく
気儘なだけで なんの歴史もありません
褪めるばかりの騙りといいわけさせてください

なにをどこでどうしてこうなったのか
ひとひとりの圍が整然と並ばっている
ばかだなあ、漏らしてみた(余りにもと置く。)
色白の記憶から指先でぬぐうようにして
拾った憐憫。くちごもる躯という連絡船は
いのちという理屈がねじ込まれるあたり、
けれどむき出しの蒼天、輪郭が崩れていくのを
その偽薬、おもえば生か死か箱庭は斜面
黙って見過ごせばいいのに微酔のさま
剥離した余剰なものが穴から溢れたものと 
ゆめでもなく、致死量を浴びた

無地に花と折る、咲う――劣情。賭して息吹
もしゃくしゃすっから、投げ出せず震えてんのか

かけ狂うじてしまった桜色にこうして
ぐだらぐだらとのさばる、眞砂のうつわでは
ヒカリの状態で濡れている。この弛んだ鍵の束
求めることなどただ、漉いた部分から錆びて
落ちないように埋め尽くしてしまいたいだけで
染み込んだままの微熱と富んだトビラがある

ふくよかな春風は強く背を押しては
すっと燃え尽きてしまうもの
掬いきれずに薄明、ここまできたけれども
くだらないなぁ こりゃ地獄の空だ
あんた生きているんだろう
じゃあな 花筏、それが凡てだ

意味も形も知ったところでなんも変わらない
帰ることが成らない、流れもの 総ては明け離れる

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たくさんたくさん

人間がたくさんいる
人間はただ生きて死んでいくということが認められていない

学び働き世代があり上下があり
金という道具に命を握られている

たくさんたくさんたくさん
人間がいて
人間社会という言葉がある
その言葉に恐怖を感じる

人間のカタチをしているだけで
大きな大きな負荷を与えられている

それでもこんなにたくさんたくさん
電車にもバスにも道にも建物にも
人間はたくさんいる

もうたくさんだ

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花鳥風月と君

なかなか会えない日々も
同じ花の香りをかいで
春の訪れを知る
愛しさを 幸せを
わたしはこのまま
感じていたいのです

同じ空の下 同じ月を見て
綺麗だと言いたくなる
この関係に
感謝をせずには
いられないのです

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石蛍

無機物の生命が
いないとなぜいえるのか
蛍石にたいして
石蛍がいないとなぜいえるのか 
じゃあ、石蛍ってなーに?!
その名の通り 
石でできた蛍でござい
たん、たん、たん、と明滅し
たんたんたんと
魂の宿るところにおるのです
しいたまじゃなくて!?
しいたまではござらん
じゃあ、しいたまってなーに?!
しいたまとは
強いて言うなら珠であり
敷いた卵でござい
卵を敷いたのはもちろん親鳥でござい
卵の親鳥じゃなくて!?
さよう
じゃあ、卵の親鳥ってなーに?!
卵の親鳥とは
かつて卵だった親鳥によって 
産み落とされた卵の行く末であり
今はまだ卵でもある親鳥のことでござい
つまり、時間とは水平に続くわけではなく
前期後期という言葉があるように
前か後ろにあるのであって
上半期下半期のように
上や下にもあるのである
ということはだな
卵の親鳥親鳥の卵は
同時に成り立つのでござい
石蛍が成り立つことも
これで自明になったわけです
蛍が光るように
石も光る
開けば開くように
閉じれば閉まるのである
石蛍のしいたまが
親鳥に産み落とされて

水死体の午後が
開く
投げ出された脚のように
凍えて閉ざされる
だけなのでござい

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散るように

雨の声が広がっていく
春が濡れ
眺める心に雫が響く

舞う花びらを
追えないように
零れていく
気持ちはもう戻らない

一つ二つと手にしては
儚さがだけが美しい

過ぎて行く恋心
せめて涙が飾るなら

雨に紛れて泣けばいい

散るように泣けばいい

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敵は本能寺以外も全部敵


本能寺でなくても就職戦線、敵だらけ
五条川には花筏、ファミコンソフト
「信長の野望」握りしめた兵どもが、
ぷかぷか、ぷかぷか、浮いてるよ。

「そりゃあ、ずいぶん古い蛇蝎じゃねえか。
スーツじゃ、戦えねえ事くらい、
教えとけっつーのな。
そりゃあよう、武士がきるものっていえば
鎧か、白装束か、白無垢か、
棺桶しかねえだろうよ。」

かぷかぷかぷかぷ笑っているあいだに
また新しい裏切りはおうこうするのに。
迦陵頻伽はもちろん、
ホトトギスごと、斬ればいいじゃんよ。
どんくさいねえ。

ドグラマグラを読み過ぎて
ドグラマグラに読了されて
ブックオフに売り飛ばされた人間なんて
そこらじゅうにいっぱいいるんだから、
だから幻想文学ばっかり読むなっつったの。
だから
「信長の野望」ばっかりやりなさいっつったの。
「信長の野望」に人生がすべて詰まってるって言ってたじゃん。
高橋名人の言う事をいつまでたってもバカにしやがって。
元号変わっただけで 油断しやがって。

さあ、本能寺賭博場
丁か半か、伸るか反るかの大勝負
俺に残るは十六連射のみ
列席されたる地面師どもが
札束、喰いちぎりながら
俺の姿態を舐めまわすようにみてやがる

十六連射に命かけ、
ばしらす血しぶき、花吹雪
女衒の街を背にすれば、ねめたい視線が
ば、蛮が蛮
ファミ通読んでた電脳部
振り向くおいらはよそ者で、
いつかのOB煙たく思う、学生時代が
俺にもあった

丁か半
トゥービー オア ノット トゥービー
生きるか死ぬかはイカサマ次第
十六連射の青春よ
今こそ、われとともにあれ
みなまで言うな
本能寺じゃなく 本能が変。

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電信柱


 奈々ちゃんのパパは、奈々ちゃんが6才のお誕生日を迎える前に家を飛び出して行ってしまいました。

                *

 奈々ちゃんと、弟である2才の俊太君と、ママとパパは、奈々ちゃんが物心ついた時、東京に住んでいました。
 でも、田舎で寡婦として一人暮らしをしていたおばあちゃんが再婚したのをきっかけに、そのお義祖父さんのところへ、奈々ちゃん一家は呼び寄せられました。山口県です。


「パパは何処へ行ったの? ママ」


 緑色に赤いバラが咲いたワンピースがお気に入りの服。ふっくらとした愛らしい奈々ちゃんは、ある日、ボブヘアーの髪を揺らし、ママに問い詰めました。
 思い切って訊いたのです。

 でもなんとなく、訊いちゃあいけない事のような気がしていた。

「うん、奈々ちゃん。パパはね、今お仕事に行っているのよ。ママと俊太君とで元気に待っていようね」
 笑顔が美しいママは、明るい声で答えました。

「はい……」

 金融業を営むお義祖父さんはおばあちゃんに意地悪ばかりをし、お化粧すらさせませんでした。

 おばあちゃんはかつて、ずっとずっと、いつも美麗に紅を引き、粋に華やかな着物を着る女性だったのに、山口県に嫁いでからは、お手伝いさんのようにお義祖父さんからこき使われるのです。

 奈々ちゃんは怖い目をするお義祖父さんの事が好きになれませんでした。

                *

「あ、パパ! パパッ!」

 ある日の幼稚園の帰り時刻の頃、パパが奈々ちゃんをお迎えに来ました。
 
 その後、奈々ちゃんはあんまり憶えていないけれど、気づくと真夜中で、車の後ろに寝転がっています。
 電信柱が何本も、何十本も並ぶさびしい、畑ばかりが広がる道をパパが車で運転します。
 どうやら俊太君も車に乗っているようです。

 パパのふるさとは東京です。東京を目指していたパパは途中、公衆電話から、山口でオロオロとし生きた心地のしないママに電話を掛けました。

「パパ! お願いよ。奈々と俊太を返してちょうだい。俊太はまだオムツなのよ!」
 ママは電話を受け、泣き叫んでいる。

 高速道路もまだ通っていない昭和の時代です。

 パパは、電話を掛けた兵庫から山口まで、愛するわが子達を返しに車を走らせました。

 ――――ママが嘘をついていた事を、薄々感じていた奈々ちゃんでした。

 パパは、金融業のお仕事が辛くて逃げたのです。優しいパパです。

                *

「お姉ちゃん? パパはなんで居ないの?」
 
 言葉がしゃべれるようになった俊太君が4才の頃、小学3年生の奈々ちゃんに訊きました。

「うん、俊太君。パパはね、お仕事に行っているんだって。きっと帰って来るよ」

 奈々ちゃんはそんな風にしか言えませんでした。

「ふーん」

 俊太君はその時なにを考えたのか、奈々ちゃんにはわかりませんでした。

 絆創膏が取れかかってヒリヒリとする、怪我をした膝小僧のような痛みがするばかり。

 ――――パパが、とっても奈々ちゃんと俊太君が大事だからあんな事をしたと、車で東京へ連れて帰ろうとしたと、わかっている奈々ちゃんです。
 きっとパパは、幼稚園の先生に適当な嘘をついた事でしょう。
 だって奈々ちゃんは、幼稚園バスで毎日帰っていたのだから。

 
 切ないパパの演技を想像し、大人になった奈々ちゃんは(パパに会いたいなー)と今でも思っています。




https://i.postimg.cc/fL0VVYNN/dian-xin-zhu.png

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なんにもいらない

なんにもいらない
月明りと煙草があれば

冷たいコンクリートに立つはだし
吹く風になびく黒髪

毛先に降り注ぐ蛍光灯
足をくすぐるカーテン

これからも寄り添う観葉植物
誰かが話してるラジオ

ああ 私の周りには
こんなにものがあったんだなあ

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持続と継承のアウラ

元彫刻家「なあ、お前いつまで掘り続けるの?俺はもう辞めたぜ。全然完璧な作品に仕上がらないし、全然終わらないし、お前もいつまでやるの?」
彫刻家「んー、いつまでって、やり続けるも何も勝手にそうなってしまうんだよ。俺だって納得のいった例なんて無いし、上手く出来た例なんか無いし、完璧な出来に仕上がった事もないし、そもそも完全や完璧なんてこの世に存在しないと思っている。けど、それでも尚、永遠に到着することの無い謂わばアキレスと亀の様な、そんな絶対に永遠に辿り着く事のない線の上をずっと歩いてしまうんだ、最近になっては人間は何世代にも渡り、歩き続けるから彫刻もとい芸術と云うのは永遠に終わらないんじゃないか、とさえ思ってしまうんだ。そう考えると俺のこの彫刻も取るに足らない些細なものだけどそれでも尚、俺は象り続けてしまうんだ。」
元元彫刻家「やっぱそう云うもんなのか」
彫刻家「そう云うもんなんじゃない、多分」

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 2

 1

デンセン

不意に私の前に立った人影に
顔をあげると
久しぶりだねと笑う
君がいた

私も久しぶりだねと
ぎこちなく笑って
視線を落とす

こぬか雨が二人の間に降り注いでいく

君は何を言うでもなく隣に立って
電車を待っている
瞬間無音になる

何だか私たち電柱みたい
電線が繋がってない電柱。
傍にいる人の感情って伝染するよね
だから私も無言で立っている

伝染 電線
ふふっ。
何だか笑えてくる

混線 断線
だから ほら
君の声も聞こえなくなった


君は何か言いたそうな顔をして
私を見ているけれど
話すことなどないでしょう?
二人の間に


何だか私たち電柱みたい
雨に濡れて淋しそうな電柱。
傍にいる人の感情って伝染してしまうから
私も心揺らされる

電線 伝染
ふふっ。
笑うところじゃないのに

混線 断線
ほら もう
君の声も聞こえなくなった

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 1

Spring has lost 

糸の切れた
パペットみたい
柔らかすぎて
するりと
すべり落ちていく
しっかりと
抱きしめていたのに

開いたままの
きれいな目に
まだ
何かが映っている
ようで



レグルス
(2008–2025)

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春の海

海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
春の海、私の胸の裡もまた、
すっきりと青く澄んでいる。

思い詰めることを続けてきた、
あの不吉な緊張がするすると解け、
眼前に広がる春の海を
まことに美しい、と思って見つめている。

何かを美しいと思い、
その美しさを尊ぶことの出来る心が、
また私のもとに戻って来た。

ああ、海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
美しく、じつにしずかな、春の海である。


(2026.4.2)

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乙女椿と猫の耳

乙女椿の花びらの
その薄く柔らかでひんやりと
夜露が染み込んだ感触にふと
どこかで触れた覚えがした


どこで触れたのだったやら

どこで触れたのだったやら


ああそうだ
猫の耳の先端だ

毎夜わたしのくちびるに
やさしく触れる
あの耳だ

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高級なハート


もうすぐお花が咲くよ

仕事人間のあなた 会社を引き継ぐことになったあなた

お花が咲きます

あなたは、日々 黙って 想っている
あたしと中学生みたいなデートをすることを

知っているのよ
春爛漫な あなたの夢を、あたしって

でも思い通りに行かなくて 二人はテレパシーと夢の中で慰め合う

――――やっと 今夜逢えた あたしの我儘のため
それでも ほんの少しの時間は不満よ だけど、嬉しかった

ホワイトデーのチョコレート ありがとう
あの指輪 早く買ってね!
スウィーツを齧ったら 二人のキスのほうが甘かったわ

春が来ると信じて 待っています

あなたの会社が、今にも増してお金持ちになりますように
あたしはきっと……あなたの如雨露でありますように
あなたにもっとナデナデしてもらえますように
あなたとあたし ずっとお花を育てていけますように


https://i.postimg.cc/mrtLps0z/gao-jinahato.png

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あい・し・あう

いみ
     を
        ことばで

まいごに

 するなんて、 

 
ことばが


  いみを

かさまし したり


            まどわすのも

め ん どくさい ね



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あたし時々おもうの


伝わるか伝わらないかっていうのは
なにを云ったか
が問題なのではなくって


つまるところ 結局は


誰が云ったか
が問題なんじゃないかって





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さよなら.com 1

あの日の雨は
もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない



明日
海を見にいこうと思う
海を、見にいこうと思う



辞書の文字が夕焼けに溶けて
世界がぼやけて
君の世界がぼやけてゆく



その証拠に
明日の仕事のことを少しでも思い出すと
簡単に消えてゆくのです



くしゃくしゃになってるのは僕のほうで
握りつぶしてしまった写真の中でも
君はやっぱり笑顔なんですね



今、君が飛び立つ理由を僕は知らない
君が微笑んでいる理由も僕は知らない
バイバイ、エンキドゥ



君の声も
君の顔も思い出せないのに
君の匂いなんて思い出したはずもない



せめて、ハーブをちぎり
魂を
在るべき場所へ



なんやわしの腹だけままだまだ元気やなあ
 って言うから
みんなで笑って欲しい



第二製鋼所もとうとう夜間休止だという朝で
も、工長のおっちゃんはいつもの調子で、次
の夜にはいつものように、グッド モーニング
なんて言いながら、会える気がした。


   

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Gluon nested


生まれ来る時に
握りしめていた全てを捨てて
開いたその小さな小さな手のひらは
全ての世界につながってゆく

https://youtu.be/u8MRUVrDaRU?si=8jAezFt6kATO29Am

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つじつま合わせでもかまわないから

ダマすよりダマされる方がマシだと 誰かが云った
自分ほどバカ正直なニンゲンもいないと また違う誰かが云った
バカ正直なニンゲンが バカ正直に人をダマし
ダマしていることにすら気がつかずに
平然とした顔をして こんにちはなんて挨拶を交し合ってる
とんだバカ正直もあるものだと 困惑していると
それがこの世の倣いだと したり顔してまた違う誰かが嘲笑う




     混雑する電車の中 泣き叫ぶ赤ん坊とその母親に
     聞こえるようにあからさま 舌打ちしたことはないか

     買い物しているとき 客がその棚を見たくて後ろにいようと
     構わず淡々と品出ししている店員にイラついたことはないか

     ところかまわずきゃあきゃあ騒ぎまくる女子高生のその口を
     二度と騒げないように縫い閉じてしまいたいと思ったことはないか

     自転車が車道通るのは ぶつかりそうで危ないという割に
     歩行者はいつも置き去りにされてることには誰もあまり気にもしてなかったり

     若い頃の悪事はすべて「ヤンチャ」ってコトバに置き換えて
     偉そうにしているヤツは全員消えろって思ったことはないか

     陽キャだ陰キャだ カーストだ
     一体ここはどこの国だよ? 
     いつからインドになったんですか?

     みんなちがってみんないい、んじゃなかったのか
     コソコソヒソヒソ 寄ると触ると誰かの悪口影口
      あのひとってあのひとってキョーチョーセ―ないよね
      全然空気読まないし てか 読めないのか

     多勢に無勢 大勢vsひとり
     なにをしてもなにを云っても構わない
     そんなターゲットを見つけては みんなしてふくろ叩き

     差別? 偏見? 
     ちがうちがう そうじゃな~い
     歌いながら笑いながら
     こっち来んなあっち行けよと 
     石を投げつける




     親切の押し売りをしたことはないか
     親切の見返りを求めたことはないか

     浮足立ってる人間を 心の底から軽蔑したことはないか
     
     人は外見じゃないなんて 嘘つけよって思わないか
     
     全員死ねばいいのにと 一度でも思ってみたことはないか
     
     自分よりかわいそうな人を探してはいないか
     自分より劣ってそうな人を見て安心したことはないか  
     
     行こうと思えばどこへだって行けたはずなのに
     行けども行けども行き止まりの袋小路だったことはないか
     
     ふいに自分がいま何をしているのか 
     何故ここにいるのかわからなくなって
     呆然と立ち尽くしてしまったことはないか
     
     眠れなくて夜 ひとりで声を放って泣いたことはないか
     誰に届くことのないその声が これでもかというくらいに
     自分の耳にこびりついて離れなくて
     どうにもやり過ごせない夜を明かしたことはないか




ひとはひと 自分は自分
なのに足元は 不安定でおぼつかなくて落っこちてしまいそうで
だからいつだって 誰かと比べたがってばかり



天秤はいつだって 
どちらか一方が少しだけ重い



求めない 求めない 求めたい
心はいつだって ウラオモテ
風向き変わるたびに 
あっちヒラヒラ こっちヒラヒラ
翻ってばかり





生きていてもいいですか?
こんなふうでもいいですか?



生きるに値するだけの理由を
ひとつ わたしにください


つじつまを合わせるための
ただそれだけのための理由を



どうか どうか



ひとつ わたしにも
ください










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 3

 3

日常詠、ガチャガチャを回してみて

わざはひを描いて筆は蝸牛

https://i.postimg.cc/85p8xHn5/IMG-20260312-215001.jpg

『硬つむり』という、おそらくコレはダイアモンドの。

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 1

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つめたい


ディズニーランドの入場口、
すぐ入ったあたりで心臓が止まってしまった
のであれば
もう少し泣いたのかもしれない

つめたくなったあの人を見て
泣かないわたしはつめたいと思われ、
じゃあお前らはあたたかいのかよ
と思う

脳でよう考えんと
反射だけで調子よく泣けるお前らは
そんなにえらいんか?
根拠なく堂々と正義って書き殴れる
狂った暴力の塊のような
プラカードみたいな顔しやがって。
あったかさ、やさしさでいうとこの、
お前らのどこにアンパンマン感があるんじゃ。
せいぜい、
ヤマザキパン工場から出直してこい
お前らにはまだアンパンマン工場は
五十年、早すぎるからじゃ
なにが、はとこのよしおですう
この度はご愁傷様ですう、ぐすん。じゃ

だれやねん。
そして、だれたち、やねん。

つめたくなったという事実だけで
泣けるお前らになにがわかる
つめたいわたしと
つめたいあの人のなにがわかる

知らん子供が退屈そうにしている
いい子に育てよ
スイッチ、押せば泣くのなんて簡単じゃ。
と、
いともたやすく言う大人になんかなるなよ
いともたやすく理解出来ていても
泣かずにいる大人にもなるなよ
損するばかりだから。

ディズニーランド、行こうとしてたらしいな
わたしの知らん子と
わたしの知ってる女と。
ディズニーランドに行く三日前に死亡が確認されたらしいな
わたしが下から見上げたマンションの一室で

悪巧みしよるからや
神様が死亡フラグや、って思ったんじゃ
今だ、と思ったんじゃ
わたしみたいな顔して。
でもやっぱりディズニーランドの入場口あたりでないと、わたしは泣けんな。

わたしは
格別、つめたい人間じゃないわ
外野の陰口がわかるくらいには
つめたいだけじゃ。
あんたほど、つめたくないわ
しょうもな
ただ、泣けないだけじゃ、あほくさ。

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やさしいカラス

朝方から降り続いていた雨が上がった夕方近く、公園の傍の車道をカエルが歩いていた。
公園から迷い出て来たガマガエルは、行きかう車にお構いなくゆっくりとマイペースで歩いていく。
しかし何を思ったか、歩道に向かっている足を車道の中央へ方向を変えた。

このまま行けば間違いなく轢かれてしまう。
人ではなくても、車に轢かれるのを見るのは嫌なものだ。
けれど助けようにも、グロテスクなガマガエルを掴むような気にはなれない。

見るのを止めようにも、一度気になったものからなかなか目を逸らせずにいると、一羽のカラスが飛んできた。
一声鳴き声を上げてから旋回し、ガマガエルの脇に降りた。

そして、ガマガエルの車道側を寄り添うように歩き始めた。
車もカラスが目に入り、少し避けて走っていく。
ガマガエルは、カラスに邪魔され方向を歩道側に変えた。
カラスはガマガエルが進むたび、自分を障害にするように歩道の方に先導して行った。

やがてガマガエルが歩道へ上がると、カラスはまた鳴き声を一声上げ、空へ飛び立っていった。

ゴミをあさり、人を威嚇し、真っ黒なその身体。
カラスにいいイメージを持つ人はいないだろう。
人間にとってカラスは敵だが、それは彼らにとっても同じことだ。

しかし自分たちの生活の邪魔をすることはないガマガエルは、カラスにとって味方なのかもしれない。
外見ワルそうなやつでも、付き合ってみれば義理に厚くいい奴だというのは人にも当てはまる。
カラスへの印象も同じだ
彼らにだって言い分はあるだろう。

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 3

 4

マッチングアプリ 

1
源流の林道の車止めには、たいてい夕方になると、どこからともなく釣り師が集まってくる。奥へはもう車で入れないという、行政の慎ましい断念みたいな鉄の柵があり、その手前に軽だの古いジムニーだの、三十年前の車だのが並ぶ。見栄の匂いがしないのがよかった。新車のローンを背負った車は、こういうところにはあまり来ない。来るとしても、もっと手前の広い駐車場までだ。
 その夜も、七輪の上でホルモンが焼け、脂が落ちるたびに炭が熟れた柿みたいな色にふくらんだ。誰かがスーパーで買った安いウイスキーの瓶を回し、紙皿の上には切った玉ねぎと、塩のきいた鶏皮、それから誰かの女が作ったという唐揚げがあった。アルミホイルに包まれて少ししんなりしていたが、そのしんなりした感じが、むしろよく出来たものの証拠みたいに見えた。
「やっぱ、土日に沢いくのを邪魔しない女だよな」
 最初にそう言ったのは、古い軽トラで来ていた男だった。髭に灰みたいな白いものが混じっている。彼はホルモンを裏返しながら、ひどく真面目な顔をしていた。
「いや、邪魔しない、じゃ甘いよ。前夜にちゃんとつまみ作りそれを持たせる女。あれは格が違う」
 と、別の男が言った。みんな笑ったが、笑い方は半分本気だった。実際、その場にいた全員が、アルミホイルの唐揚げにちらりと目をやった。
「このあいだアプリで会ったのなんか、ディズニー好きって書いてあったもんな」
 「それは一番だめだろ」
 「何がだめって、三月から九月までの土日の重要性をわかってないんだよ」
 「向こうは向こうで、土日は舞浜の埋立地に男なら連れてけって思ってるだろうがな」
「セッキヤ!!!」
 ウイスキーが回るにつれて、男たちの言葉は雑になった。愛知の女は製造業マインドが遺伝子レベルで組み込まれているので管理志向が強いだの、東京の女は自然を消費の対象と思い上がっているだの、婚活の連中はまず年収と車種を見てくるだの、好き勝手なことを言い合った。聞いていればひどい品評だったが、品評している男たちのほうもまた、十分に市場の外れにいた。毎週末、夜明け前に山へ入り、濁りや増水の気配に一喜一憂し、魚より先に水の匂いで一日を決めるような男は、たいていアプリの検索条件にうまく収まらない。
 だから、その場の話には、女を選ぶというより、自分がはじかれないための祈りみたいなものが混じっていた。
「でもさ、ほんとにいるのか。沢をやるのに文句言わない女なんて」
 「いるわけないから、みんな酒飲んでんだろ」
 「いや、一人だけ知ってる。俺の先輩。前の日に煮物と握り飯持たせてもらってた」
 「あれは勝ち組だな」
 「マジか!!!」
 また笑いが起こった。火がぱちと鳴った。ホルモンの脂が落ちる。夜気が冷えてきて、林道の奥から水の音だけが、やけに近くに感じられた。
 俺は紙コップのウイスキーをあおって、暗いほうを見た。沢は見えない。ただ、あの闇のどこかで水が石をなめ、落ち葉を押し、イワナが黄色い腹をひるがえしていると思うと、胸の奥が少しだけほどける気がした。平日の仕事も、人づきあいも、アプリの画面の中で規格表みたいに人間を並べる感じも、俺にはどこか遠かった。生きている気がするのは、結局、沢の岩に足を置いたときだけだった。
「お前もやれよ、ちゃんと。アプリ」
  軽トラの男が言った。
 「やってるよ」
 「どういう条件で見てんの」
 「沢を邪魔しないこと」
 「それだけ?」
 「それだけ」
 みんなまた笑った。だが、その笑いの中で、俺は少しも冗談を言ったつもりはなかった。
 沢を邪魔しないこと。それさえあれば、あとのことは、案外どうでもよかった。夜職でも、宗教でも、思想でも、スペックでも、何でもいい気がした。人間にはそれぞれ、削られたくない芯がある。俺にはたまたまそれが沢だった。たったそれだけのことだ、と、そのときは本当にそう思っていた。
 夜が更けるにつれ、男たちの声は林道の闇に吸われていった。誰かがもう一度ホルモンを網にのせた。火が上がり、柵の向こうの暗がりが一瞬だけ赤く照らされた。見えない水の気配だけが、ずっとそこにあった。

2
 釣りからの帰り俺はマッチングアプリを開いた。助手席には濡れたウェーダー袋が転がっていて、車内には煙と汗の匂いが残っていた。電波は細く、画像の読み込みが遅かった。
 プロフィールには、余計なことはあまり書いていなかった。釣りが好きです、では軽すぎるし、源流釣りに人生を捧げています、と書けば、だいたい引かれる。だから、「山と川にいます」「土日は自然の中で過ごすことが多いです」くらいに留めてあった。嘘ではないが、だいぶ穏当な書き方だった。
 彼女のプロフィールは、最初、写真より文章が先に目に入った。
 市場原理に回収されない暮らしに興味があります。自然や土地の声に耳を澄ませたいです。週末は、駅前でスタンディングか、海や川のそばにいることが多いです。
 少し変わっている、と思った。だが変わっているというより、アプリに流れてくる他の言葉より、どこか浮いていた。年収や旅行やカフェ巡りやピラティス、そういう光沢のある単語が少なく、土地とか声とか、誰にも説明しにくいものばかりが書かれていた。
 写真は二枚だけだった。一枚は川原みたいなところで、風に髪を持っていかれている横顔。もう一枚は手元だけで、段ボールのプラカードを持っていた。文字は半分しか写っていなかったが、海を守れ、のようなことが書いてあった。
 俺は何となく、いいねを送った。送ってから、少し考えた。沢を邪魔しないどころか、ひょっとすると逆に、自然保護だなんだで釣りそのものに文句を言う類かもしれない。だが、そのときはウイスキーも入っていたし、何より、プロフィールの文章に妙な引っかかりがあった。市場原理に回収されない暮らし。そんな言い方をする人間は、少なくともミラコスタに泊まりたいというようなタイプではないだろうと思った。
 翌朝、まだ薄暗いうちに目が覚めて画面を見ると、マッチしていた。
 最初のメッセージは向こうからだった。
 川の写真、きれいですね。どこも傷ついているのに、それでもきれいなのが不思議です。
 少し面食らった。きれい、で終わらず、傷ついているのに、が付く。その言い方に、見ているものが少し違う気がした。
 俺は、源流です。入るのは大変ですが、人が少ないのでまだ残ってる感じがあります、と返した。
 彼女は、残っている、という言い方、わかります。生き延びている感じがしますよね、と返してきた。
 そこからやり取りは意外なくらい早く続いた。彼女は時々駅前でスタンディングをすること、海岸でゴミを拾うこと、山が痩せると川も海も一緒に死ぬと思っていることを書いた。俺は、雨の降り方が変わったこと、砂防堰堤の上で魚が途切れること、昔より沢の足場が荒れていることを書いた。
 彼女は言った。
  そういう話のできる人、アプリにいませんでした。
  俺も、ほとんど同じことを思っていた。
 たいていの女は、沢の話をすると、すごいですね、危なくないんですか、で終わる。あるいは、休日はもっとゆっくりしたいです、と返してくる。その正直さを責める気はないが、そこから先には行かない。けれど彼女は、危険の話より、土砂の話をした。魚より、流域の話をした。しかも説教くさくなかった。どこか、風景に話しかけるみたいな書き方をする女だった。
 数日後、彼女はこう書いた。
 今度、海を見にいきませんか。山の話をする人と、海の前で話してみたいです。
 俺は画面を見て、少し笑った。普通は逆だろうと思った。だが、そういうずれ方が、むしろよかった。
 いいですね。行きましょう。
 送信してから、俺は自分でも少し驚いていた。まだ会ってもいないのに、妙に決まった感じがした。アプリでは、ときどきこういうことがある。何十人も流れていく顔の列の中で、たった一人だけ、誰かの文章がこちらの芯に引っかかる。
 その時点では、彼女がどういう女なのか、本当のところはまだ何もわからなかった。ただ、少なくとも市場の棚にきれいに並べられる種類の人間ではない、ということだけはわかった。そしてそれで、俺には十分だった。

3
 初めて会った日は、風が強かった。海沿いの砂浜で待ち合わせたのは、彼女の提案だった。駅前のカフェでもよかったのだが、彼女は、海の見えるところがいいと言った。春先の砂浜にはまだ人気がなく、遠くで犬を散歩させている老人が一人いるだけだった。
 彼女は、画面で見るより背が高く、薄い色のコートを着ていた。顔立ちははっきりしているのに、どこか焦点が定まらないようにも見えた。風のせいかもしれなかったし、もともとそういう目をしているのかもしれなかった。手には紙袋を持っていた。
「これ」
  と言って、彼女は小さな包みを出した。
 「何?」
 「おにぎり。朝早く出るって書いてたから、癖で」
 包みの中には、海苔を巻いた小さな握り飯が二つ入っていた。まだほんのり温かかった。俺は少し笑ってしまった。林道の車止めで、前夜に握り飯を持たせる女の話をしていたことを思い出したからだ。まさか、そんなに早く、こんなかたちでその気配に触るとは思わなかった。
 砂浜を歩きながら、俺たちは最初、よくある話をした。住んでいる場所、仕事、休日の過ごし方。だが、どちらもその種の履歴書じみた話に長く留まる気がなかった。彼女は海を見ながら、急に言った。
「昔より、砂、来なくなってると思いませんか」
 俺は彼女の横顔を見た。
 「わかるの?」
 「何となく。でも、何となくじゃなくて、たぶん山が荒れてるんですよね。山が痩せると、川が痩せて、海も痩せるから」
 それは、俺の仲間の源流マンが言う話に少し似ていた。ただ、仲間たちはもっと乱暴に言う。最近は山が死んでるとか、雨が終わってるとか、林道屋が切りすぎたとか。彼女の言い方は、それよりずっと柔らかく、それでいて逃げ道が少なかった。
「沢でも思うよ。前より石が動くし、崩れてるところ増えた」
 「そういうの、誰もつなげて考えないですよね」
 「つなげて考えると、面倒だからじゃない」
 「でも、面倒なことって、だいたい現実ですよね」
 彼女はそう言って笑った。その笑い方は、他人を試すようでいて、自分もそこから逃げていない感じがした。
 俺たちは波打ち際まで降りた。風が強く、靴の中に砂が入った。彼女は、環境保護の活動をしていると言った。月に何度かスタンディングをすること、チラシを配ること、たまに変な人に怒鳴られること。俺は、それに対してとくに引かなかった。
「迷惑じゃないんですか、そういうの」
  と彼女は言った。
 「何が」
 「活動とか。面倒くさいって思われるかなって」
 「沢を邪魔しないなら、たぶん大丈夫」
 「沢、そんなに絶対なんですね」
 「絶対だよ」
 「じゃあ、私も似たようなものかもしれない」
 その言い方がよかった。思想とか正義とかいう大きな単語ではなく、似たようなもの、と彼女は言った。人に理解されないまま手放せない何か。たぶん彼女にも、それがあるのだと思った。
 帰り際、彼女は俺の車に乗った。古い軽で、後部座席には沢靴とザックが転がっていた。彼女はそれを見ても嫌な顔をしなかった。むしろ、濡れたフェルト底を覗き込み、「川の匂いがする」と言った。
 その言い方で、半分くらいは決まってしまったのかもしれない。
 次の週には、彼女は俺の部屋に来ていた。その次の週には、彼女の紙袋が玄関に置かれるようになった。買い物袋、プラカードの芯、海で拾った貝殻、読みかけの本、そういう生活の細いものが、少しずつ部屋の隅に増えていった。俺のほうも、ウェーダーや毛鉤箱をしまう場所をずらした。彼女は金曜の夜になると、たまに小さなつまみを作った。俺は彼女のスタンディングの送迎を一度した。
 あまり話し合った覚えはない。いつ同棲になったのかも曖昧だった。ただ、どちらも市場に並ぶための顔を長く保っているのが面倒だったのだと思う。彼女は俺を、市場原理に回収されない男だと思っただろう。俺は彼女を、沢を邪魔しない奇跡みたいな女だと思った。
 その時点では、それでよかった。
  たぶん、よすぎたのだと思う。


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 2

 1

ぎんいろに、なみうって

むねの波間の 小さな月は
風がふいたら 水底のように
ひかりの網目で わたしを包む

夜の優しさ 湛えた月は
まだほどけずに 胸の底

わたしを包んだ銀砂の布は
午前の陽光 透かしの星々
夜の光は そろっと裏に回る

静かな確かな 銀の月
わたしを照らした 冬の月
桜の波間に 見る月は
波打つ色も 胸染めて


いましばらくは そのままに。

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 6

 4

おかえりノート


書いては消して ほおづえついて
まばたきをして メガネ外して
ため息ついて 立ち上がる

聴きたい曲はコレじゃない とか
靴下がキツイ とか
今朝ミルクを飲みすぎたから とか
ちっぽけで デタラメな 理由をつける

つぶやいたって いいじゃない

鏡のワタシは ふくれっつら
お気に入りのコップで 思いっきりうがいをしてみる
裸足になって つま先立ちで歩いてみる
部屋のすみっこのガジュマルに ほんの少し水をやる
鼻唄交じりに 机に向かう

書きかけのノートと目が合った

さらりとメガネをかけて
うん と頷き
「おかえり」の詩を 書きはじめる

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 2

 2

愛と名付ける

言葉にしてしまえば 
愛している 
結局はそれしかない 

あなたというひとを 
私がどれだけ憎み、妬ましく、哀れみ、許せないか 
大切に、誠実に、守り、毛一筋も傷つけたくないか 
あなたは知らないだろう 
どれだけ求め、そして同じくらい突き放したい衝動 
矛盾だらけのこの 
こころで 
愛していると 
他に当てはまる言語が存在しないことが歯がゆく 
結局 
うつくしいものだけをかき集めたようなひとこと
「愛している」 
そんなものではない 
うつくしい想いと同等に醜さが確かにあるのだ
私の中の愛という愛全てを捧げてしまう悔しさ
それを唯ひとりに捧げられる途方もない歓喜

あなたはそんな私のこころを知らず 
信頼しきった顔で無防備に隣で寝ている 
そのすこやかな寝息を永遠に壊したくないのに 
次の瞬間にはもう 
首に両手を這わせ締め上げたくなる 

儚く、したたかなこのこころは何だ 
誰か名付けてほしい 
愛している 
確かに愛してはいるのだ 
だがそこに潜む醜さを包含した時 
それでもやはり 
ひとは 
それもまた愛だというのだろうか 

最近効かなくなりつつある睡眠薬を飲み干し 
あなたのまぶたに唇でそっと触れる 

知らなくていい 
あなたは私が差し出した半分のこころだけを信じて 
残りの半分は知らなくていい 
脅かしたくない 
喰い殺したい 
どこまでも矛盾するこころで 
愛している 
あなたの耳元に聞こえない程のちいさな声で 
私はつぶやいた 

 600

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 10

 12

トイレの花子さん

わたしが幼き頃
こわい話といえば
花子さんで

学校の怪談
七不思議の
定番で

いまや、、、
どうした
何処にいる?

花子さんに
会ってみたく
なったりしている

モノも人も物語も
怪談までも
増え溢れ廃れても

花子さんに
会ってみたくなる
遠く離れてしまったからか

いやいや
近づいているのかも
しれなくて

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 1

 1

嘆きの天使

最最最底辺に生きる私には
輝ける未来なんかない
いつでもどこでも空気が読めず
周りからドン引きされる運命になっている

一番嫌いな奴はオノレ自身
こんな人間失格に誰がした
屈辱感に耐えきれずバックレた
世間様の正義が私を木っ端微塵にする

オ前ハ社会ノ穀ツブシ
オ前ハ社会ノ穀ツブシ

高い壁を乗り越えてもさらにもっと高い壁
死ぬまでこれの繰り返し
運の悪い奴は何をやっても
ドツボにハマるようにできている

同情買う奴オレオレ詐欺師
この世は弱肉強食の生き地獄
私のような●●●●●は
一丁前にハッピーになる資格はない

オ前ハ地球ノ落チコボレ
オ前ハ地球ノ落チコボレ

人生に期待する奴は大馬鹿野郎
生きていられるだけで御の字と思え
ラブとかピースとかありえない
夢みたいなこと考えてるから病気になる

オ前ノ一生燃エルゴミ
オ前ノ一生燃エルゴミ

NO NO NO
NO NO NO
NO NO NO
NO NO NO

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 2

 10

狐と踊れ

クリニックの待合室には
体重三十キロ台ぐらいの女性がいて
針金みたいに細い脚で
カクカク貧乏揺すりを続けていた
坊主頭の青年が
母親らしき人に付き添われ
大声でお経を唱えながら
診察室へ入っていった

おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ

一人カラオケで
三時間歌ってから
もう一時間延長しようとしたら
待ってる客がいるからと追い出された
ゲーセンで一人プリクラ撮影会をやり
ダンスダンスレボリューションもやろうとしたが
同世代の男の子たちが集まってきたので
回れ右して帰った

おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ

満員電車の中で
痴漢に遭った
助けを求めたかったが世の中そう都合よく
正義の味方なんていない
バスの中はバスの中で
いちゃついてるカップルがいて
八つ当たり気味に
後ろからシートを蹴った

おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ

家にたどり着くと
びしょ濡れの制服を脱ぎ捨て
シャワーを浴び
ファイナルファンタジーを夜までやった
それから薬を飲み
鞄の底から百均で買った
ビニール紐を出し
部屋のドアノブに縛りつけた

おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ


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 2

 10

浮気と、男の誠実さについて。

 即時一杯の飯に如かずを連載している、及川まゆらです。

 いわゆるBL小説
 と、いうものは読者を楽しませる「定義」が含まれている作品が多く、こうあれば、あるほど良いとされる法則/テンプレートが定まっているジャンルです。
 女性向けですよね、BLを好んで読みたがるノンケはそれほど多くは無い認識。
 だから女性が好きなシュチエーションを濃厚にした方が、オタクっぽく仕上げた方が受けがいいと知りながら、現実的な恋愛観や男の素質を全面的に押し出した12話目は「男が浮気をする瞬間」を如実に描いています。ああ、なんですよ。男の心理。

 主人公には様々な葛藤が日常と、年下の彼氏との関係にあり。

 いつも浮気をされます。

 ゲイ視点でいうところ、体の浮気はしょっちゅーで。というか男なら・・・・・・軽率ですが"そんなもの"よくあること。
 男のメカニズムをここで熱く語る気はないけれど、性風俗が昔からある産業で、昨今では痴情のもつれの裏側に潜む色恋で命を落とす事件も珍しくない。風営法も変わりました。でも、性風俗はいつの時代も、誰もが利用できる揺るぎない位置付けとして存在しているのかなぜか。
 需要があるから。
 利用する人が多いから、働く人も増えてお客様のニーズに合わせた提供を行えるよう高時給の設定もできる。
 日常的にセックスができる文化が日本人男性にはある。ゲイでも、ノンケでも。お金を出せばセックスができる環境になんせ置かれていますからね。
 性欲ってね、旺盛かどうかではなく性的なことは誰でも興味があるし、できるならしたい。倫理観とかその場に置いて無くなる。だから浮気=悪い事というマインドは「その時、大切な人を思い出せるか」これを実行できる男は、誰かに誠実さを見せていられる。評価される意味と必要性がある男にとっては、そのボーダーは命取り。
 ただ、嘘も方便。他人とのセックスを息抜きだと心の底では思ってる男が大半なので、浮気する側の気が知れないのは当然です。抜けばいい、事後は顔も名前も覚えて無いような事をして、何となくその時をやり過ごした経験なんか誰にでもある。私がいう"そんなもの"とは、読んで字の如くそう。で、ここからもっと深掘りすると男は自分が辛かった時に側にいて心を支えてれた相手に心を許す。

 ここでいう許す、は
 委ねる
 自分の身勝手な甘えを相手に放ってもいいと思い込んで、やる。
 などの意味合いを持つ、心の在り方。

 言い方悪いけど、コイツになら何をやってもいいと思ったら本質的な諸相と行動が拡大する。これは良くも悪くも、絶対です。
 それが性的な行為を伴うと男はみるみる素直になっていく。
 人を知る上で、そのプロセスがあると解像度が高まる。男にはその感覚というか容量が大きいのかなと相手にする上で、感じます。例えば私の友人、アメリカ人男性で大卒後のエントリーからシステムが日本とは全く違う快速エリート勢の仲間入り、一流と呼ばれるステージへ野心で進んだ結果、彼は一族から見放される。そして訪れたコロナ禍と壮絶な4年間。おそらく彼の人生の試練、これ以上にない厳しさとプレッシャーの連続でした。
 彼の孤独に寄り添う私の存在は性愛もブロマンスも超えた親愛で結ばれ、今では思考がクラウド同期しているのではと笑い合う仲。
 男と男が生涯の友として対等に付き合うプロセスに重要視されるのは、絶対的な許し合う心と許容、そして熟年していく過程に私たち男だけが感じる共感。あんなに激しかった彼が優しく思いやる心を最中に捧げられるようになったのは、はっきり言おう私の調教の甲斐あっての出来事。めっちゃ顔面好きすぎる。私が理想とする骨格と旺盛が弾ける荒々しさはもうあの時でなければ得られなかったので、出会いのタイミングは大事だと実感。
 今はすっかり大人になっちゃって、相変わらずキレのいい嫌味と思わせぶりに苛々して仕掛けたくなるけど。長い指の上に顎を乗せて眉をしかめて見せる、あの激ルックスが可愛いので許す。お前が何をやらかしても私だけは、私たちだけはわかってあげられるよっていうお墨付き。

 そんな実体験を込めて、物語に付与する。
 主人公は恋愛が下手くそ。
 然るべき処で、怒れない男っているでしょう。感情的にはなるけど感情表現が上手くできない、適切な言葉が出て来なくて泣いてしまう。言えない。その一線を超えたら壊れちゃう。根底に不安を隠し持つ男はいわゆる弱者男性なんかではない。優しいの、愛したいって気持ちが上回るからおかしなことになるんです。

 浮気をされたり
 浮気をしたり
 傷ついたり、生きていく為に仕方ない行為を突発でも受け入れながら生きていく。

 世間ではおじさんと呼ばれ、おじさんであるが故に大勢の他人に対して配慮しなければならない概念に囚われ、それが社会のルールであるが如く思考に埋もれる。
 どうすれば自分が救われるのか。
 苦悩した先に、散々自分を弄んだ元彼しか選択肢が無い。絶望的な状況であっても快楽に身を委ねて逃れたいと思うほど苦しい、主人公の愚かしさは男にしかない心の恥部を夜に溶かしていく。そうやって間違えていく答え合わせが、今後の展開に盛り込めたら物語としては何度でもクライマックスを迎えられる。
 主人公の趣味である料理が充実するのも、食のリポジトリによる効果が大きい。
 料理を作って食べることは彼が心から求める自由な時間と、自分の遠い通りになる「失敗のない幸せ」評価してくれる人々がより幸福を与えて彼を認めてくれる。自信と探求心が同じところにあって満足感を得られるなら、恥ずかしさと引き換えに得る快楽の比では無い。満たされる幸福感と到達するまでの過程は明確で穏やか、そのものが主人公の性格という作りです。
 嫌な事があったら飯を作って忘れて切り替える、単純さも・・・・・・
 人を相手にした時の不器用で、自分中心な考えと失態も、実際にいそうな男として外さない。

 17話で終わった物語ですが、機会があれば視点/一人称なので主人公を変えながらこれからも書き続けられたらいいなと考えています。

 ええ、飯の話に事欠かない「暮らしの手帳」みたいなものですから。

 即時一杯の飯に如かず
 よかったら、皆さまご覧ください。きっと、うまい飯に出会えますよ。

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回想と展望松鶴屋風、もしくは或る散骨 

されば、
ひとこと君に伝えておきたいことがある、それは
君が僕より誠実なわけじゃないということ。
というのも、
ねえ、
君が残忍なブルドッグ大尉の寝袋だった頃、
僕は塹壕でずぶ濡れののらくろだった。
君がタイマーの毀れたウルトラマンだった頃、
僕はぼろぼろの襤褸をまとったデロリンマンだった。
君が気のぬけた飴色のコーラだった頃、
僕は気のふれたひずんだラムネのビー玉だった。
君がひきこもりのヒネくれた丸太ん棒だった頃、
僕は碾き臼の挽肉にされるままの木偶の坊だった。
君が寝ても覚めても漂流しているアルコール中毒だった頃、
僕は覚めても寝ても飲み続ける贋の夢中毒患者だった。
君が飢えた犬たちの豚小屋で輪姦されていた頃、
僕はだるい猿の夢の中で私刑される豆腐の脳髄だった。
君が狂った運命の星にゴロまきゴロついてた頃、
僕は苦し紛れにフィールドの縁でゴロゴロ転がるボールを追っていた。
君がのべつ幕なしのたりプウタロウだった頃、
僕はノッペラボウの瘋癲のがらんどうだった。
君が四月の一日オフクロの頸を切り行った頃、
僕は四月の一日溺れた夢の頸を絞めていた。
君が涙の波乗りサーカスの鳶の王様だった頃、
僕は何もせぬ夢の無産会社の専務だった。
君が雨のない夢の荒地の地上げ屋だった頃、
僕は穴だらけの夢を弔う気球の揚げ屋だった。
君があぶく銭の胸騒ぎを隠していた頃、
僕はあぶれ者の空騒ぎに沈殿していた。
君がすかすかした素晴らしい西瓜だった頃、
僕はすべからく誰何されるすがすがしいスカだった。
君が詩まみれの血達磨の雪だるまだった頃、
僕は血まみれの火だるまの風車だった。
君が意味のない反古の山の文車だった頃、
僕は痛みの頂きで燃える地図の火車だった。
君が僕を血の針の尖で拒絶していた頃、
僕は君を死の灰の海に虚脱させていた。
君の元妻が付け火の焼け太りで着膨れになる頃、
僕の今妻は土色の貧乏太りで火膨れになることだろう。
君がついに極彩色のエロ本タワービルの屋上から飛び立つ時、
僕はきっと僕を鑿のコトバで跡形もなく彫り刻むことだろう。
しかしだからといって、
ねえ、
僕が君よりユメ誠実なわけじゃない。

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 1

 1

【短歌】親愛なる冬のみなさま【まとめてみた】

銀紙にくるまれた冬をとりだしてほうばる前にすこし眺める




透明をかさねてかさねて神無月こんないろでも光になるのか


夏掛けにいっしょうけんめいもぐりこむコタツごっこと音も無い窓


濡れ鼠かわかしたので眠りねずミルクのふとんにくるまって尚


おや中尉あなたでしたかこの冬を鏡のように磨く役目は


十二月なにを撮っても美しく星の採取に役立ちました


枝ぶりは丑三つ時ならシカのツノ冬の昼なら空の花束


将来は研究しようと思い立つ無垢なそらほど寒いふしぎを


碧すぎて夜はとうとう紅くなる電信柱へ薪をくべよう




終わり際は初冬とおなじ匂いみたいこんな鼻ではわからないけど

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 12

三度目のお願い

今日はあったくせしなかった。
最初は相手から言ってきたのに今じゃその体温が頭にこびりついて後悔しかしない。
照れながらも言ってくる様が可愛かったのにこれじゃ恥ずかしい。
そんな事もあれば遅刻したお仕置きとして言ってみれば良かったと後悔が混じる。けれど言ってしまった時、引かれないかの心配と言う言葉よぎり、心を止める。
いっそのこと会うたびに言ってくれればいいのに。

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 1

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SHINKA!!

始まりのシグナル 
瞬間にシンク
深層のインナー 
心火がインプット→Lgniter

さぁ次は真価のヒントを探すイントロ
限界のラインもハイにして一歩
迷ってもワンダー 
段差もダンサー
転んだ瞬間 
条件反射でランナー
不安がバンバン鳴ってもガンガン
突破の感覚掴んでジャンジャン
曖昧な先々もライトでライド
迷彩のメンタル
一斉解体してファイト
正解の形は毎回違う
でも大体“今”が最大値だろ

SHINKA!! 
心火が進化して
深化して真価出して神化級
LaLaLaLaLaLAで脳内ジャンプして
限界ラインを一瞬でブレイクして
SHINKA!! 
世界をアップデートda
僕らの進化は止まらねえステート

昨日の失敗 
今日なら失速しない
切り替え一瞬 
気分は疾走モード
心の深海 沈んだ真意
拾って再起 神域ライン
限界の前で前例破って
前進宣言 全然OK
天井なんて幻想で
連勝モードで前方へ
震えた胸がメロディー連搬
心火の温度で全部転換
僕らの進化は永遠拡散

SHINKA!! 
心火が進化して
深化して真価出して神化級
LaLaLaLaLaLAで脳内ジャンプして
限界ラインを一瞬でブレイクして
SHINKA!! 
世界をアップデートda
僕らの進化は止まらねえステート

ここから先は加速のセクション
雑音まじりの過去もコレクション
弱さも強さも全部インフュージョン
混ぜて混ざって生まれるレボリューション
心の奥の奥の奥で
ずっと燻ってた火種が呼んでる
「もう測定予測値内を反復横跳びするのは飽き飽きだろ」と

SHINKA!! 
心火が進化して
深化して真価出して神化級
LaLaLaLaLaLAで脳内ジャンプして
限界ラインを一瞬でブレイクして
SHINKA!! 
世界をアップデートda
僕らの進化は止まらねえステート

上限超過
まだまだこれから
そう僕らはずっとUpdater



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 1

 1

あさ

めがさめてないている

なにかに
おいかけられていた

めがさめて
つめたいくうきのなか

まだ
ゆめのなか

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 4

 8

春の詩

冬に捨てた言葉達が
緩む土手で顔を出す土筆の様に
心に返り咲いたなら
なにくわぬ顔をして摘み集めては
花を揺らす風を友に麗かに
春の詩でも書いてみようか

春を待つ
気持ちは一歩
背伸びする

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 5

 4

も、く、げ、き

ワレワレハチキュウジンダ

ミテルダケ セカイヲ

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 5

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paypayと30円

あ、虫だ。

なんか可愛いよね、私のそういうところ。

なんでかな、とても難しい顔をしている…。

最近流行のグミ、凄く美味しかった。また食べたい。

…散らばった君との思い出かき集めて、放っとく。

本当は大事にしたいんだよね…ここだけの話だよ。

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 3

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ブリンキーとピンキー

 冬の教室は、加湿器の蒸気と、誰かの脱ぎ捨てたコートの湿った匂いで充満していた。おれはいつものように、周囲の顔色をうかがうことに心底疲弊していた。クラスメイトたちの「自分だけは安全圏にいよう」とする卑屈なパーソナリティが、視線の端々に透けて見える。おれはそういう本性を見破るスキルだけは人一倍だったから、この閉鎖空間にいるだけで、呼吸が浅くなるのを感じていた。
 おれのすぐ後ろの席には、彼女が座っていた。
 彼女は、いわゆる「不良」のレッテルを貼られている女子だった。いつも不機嫌そうにスマホをいじり、髪は校則で禁止されている色に染めたロングヘア。廊下ではいつも他愛もない様子で上級生の彼氏と喋っているクールビューティーだ。おれとは住む世界が違った。どうでも良い話だけど。
 授業の終わりに、プリントを後ろに回すタイミングが来た。
 おれは無言で振り返り、彼女の方へ紙の束を突き出した。その瞬間、暖房の熱気と外気の温度差のせいか、おれの眼鏡が真っ白に曇った。視界から色が消え、ただの白い霧になった。
「……ぷっ、何それ。前、見えてないじゃん」
 彼女が笑った。
 それは、周囲を威嚇するような尖った響きではなく、もっと幼い、例えば無邪気に泥団子を転がしていた子供のような、無垢な響きを含んだ声だった。
 その「音」が、おれの記憶の鍵をこじ開けた。
 霧の向こう側で、幼い頃の風景がフラッシュバックする。
 おれたちは、親友だった。レトロゲーム好きだった親たちの趣味で、パックマンのモンスターの名前をあだ名に付けられ、呼び合って遊んでいたはずだ。おれが赤い「ブリンキー」で、彼女が桃色の「ピンキー」。
 親の仕事の都合でおれが引っ越してから、おれはその事をすっかり忘れていた。
 名前は、ユキ。そうだ、彼女の名前はユキだった。
 家のアルバムには二人で一緒にお風呂に入っている写真もあった気がする。すっかりと忘れていた、けれど確かにそこにあった記憶だ。
「……ユキ?」
 おれが小さく呟くと、彼女の笑い声がぴたりと止まった。
 曇りが取れ始めたレンズの向こうに、本物のユキがいた。
 彼女は一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたが、すぐにその瞳に鋭い色が戻った。まるで自分の弱みを見られたのを塗りつぶすように、彼女は唇を歪ませて不機嫌を露わにした。
「……あんた、今なんて言った? 気安く呼ばないでよ。マジで、うざいんだけど」
 彼女はプリントを奪い取ると、わざと大きな音を立てて机に伏せた。その拒絶の仕方は、まわりを傷つけながら自分だけは安全圏にとどまろうとする、彼女特有の防衛本能そのものだった。おれは、自分の失言を呪った。気まずさが、冷たい風のように背中を通り抜ける。
 だが、数分後、放課後のチャイムが鳴る直前だった。
 彼女が、おれの背中を指先でつついた。振り返ると、彼女はどこか落ち着かない様子だった。
「わたしは、結構前に気がついてたけどね」
 彼女は、おれの機嫌を取ろうとしていた。さっきの言葉を無かったことにするかのように、不器用な優しさを差し出してきたのだ。彼女の目は泳いでいて、その指先はかすかに震えているようにも見えた。
 彼女は、おれがあの頃の「ブリンキー」であることを知っていた。そして、今の自分が、あの頃の純粋な「ピンキー」ではいられないことも、痛いほど理解しているのだ。
 おれたちはもう、パックマンのステージを無邪気に駆け回る小さなモンスターではない。
 偽物のパーソナリティで自分を塗り固めなければ生きていけない、出口のない迷路に迷い込んだ大人一歩手前の生き物だ。
「……おお、気がつかなくて悪かったな」
 おれがそう言うと、彼女はフイッと顔を背けて教室を出ていった。その背中は、かつて公園を走り回っていた少女の面影を、どこにも残していなかった。
 彼女は廊下で待っていた上級生の彼氏に呼ばれ、そのまま人混みの中へ消えていった。


 こんな話を食卓ですると、ピンキーに似た面影を持つ娘は喜ぶし、嫁はなぜかキレてしまう。
 別にキレるほどの内容ではないはずなのだが。
 だが、その理不尽なまでの「拒絶」と「独占欲」の入り混じった反応こそが、かつておれが呼びかけた、初代ピンキーの行動原理そのものなのかもしれないと、近頃は感じている。

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愛になる


今まで感じた
心のすべて

受け入れられた
心のやさしさ
あたためて

言葉のなかに
心伝えて
いつまでも

目に触れるもの
感じるたびに

心のすべてが
愛になる

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日本の最北端で買ったコンドーム

宗谷岬の土産屋に、どういうわけかコンドーム。
分からない。近くにホテルなんかないし、大体日本の最北端まで来てコンドーム買う奴があるか。
「なんで?」
「なんでだろうね」
面白いからという理由で、購入。
なるほど、こういう馬鹿なカップルがいるから置いてあるのか……

まさかこれが二人で買う最後の土産になるとは思わなかった。
帰り道でトラックに突っ込まれ、無事だったのは、俺とコンドームだけ。
土産屋のオッサンの計算高いマネタイズが遺品になった。
「なんで?」
返事はない。

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あれから数十年。いま、病床に伏している。
もう、目は見えない。言葉も話せない。
意識はあるが、周りの誰も自分に意識があるとは思っていないだろう。
そもそも、誰かいるのか?

そしていま俺は猛烈に焦っている。
あのコンドーム。結婚してもなお、捨てる決心がつかなかった。
俺の自室の机の中に入っている。入院前に処分し損ねたのだ。
事故や彼女のことを家族に話したことはない。
だからこそ、化石化した謎のコンドームの存在は、きっと家族を困惑させるだろう。

そうこうしているうちに、病室には宗谷岬の冷たい風が吹き、ぼやけたサハリンの輪郭が映る。
走馬灯に思いを馳せている場合ではない、俺の頭の中はコンドームのことでいっぱいだ。
こういうのって、穏やかな気持ちで見るもんだと……こんな焦りながら見る羽目になるとは……
「なんで?」
「なんでだろうね」

ごめん。もはや誰に謝ればいいのかも分からないけど。

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いいあらわせないけど 

自死をした娘さんの携帯料金を
ずっと払い続けている
と綴れたブログを見かけた

誰に何と言われようが
そのお金は必要経費で
娘そのままなんです。

このような言葉に
しばられたみたいに
こころがびたり
ここ数日
かたまってうごけない

わかる気がします
などとたやすくことばは
かけられず
けれどなにをするときも
ふいにそのひとの言葉を
何度も何度もおもいだした


昨日の夜読んだ漫画の主人公の
言葉が
そんなわたしをひょいっと
すくいあげた
何年ぶりかにゆっくりじっくり
漫画を読んだ

「わたしがあなたの記憶も全部
未来に連れて行くよ」

こんな風に言っていて
この主人公のエルフ族は
寿命がとてつもなくながく
周りのは人間は「通り過ぎていくよう」に
「人生」を終えてしまう

いいあらわせない
なにをなにがいいたいのか
わからない つたわりきらないばかり


だから

だけど

だからこそ


やっぱりいいあらわせない


ただただ あの主人公の笑顔が言葉が
眩しくって

生きているって
     


わたしも料金をはらいつづけてしまうかもしれません
そうおもうのです

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即時一杯の飯に如かず⑫

 ep.12「シメパフェ」

 元彼の宗一郎は浮気っぽくて────
 三下り半を付けるまで随分と時間を費やした。何度となく甘い言葉に騙されきた俺にも惰性があり、違う男に可能性を感じて選ばなかったにのは、他人と新たな関係を構築するのが面倒だった半面、宗一郎を失う寂しさに束縛されていたからだ。
 別れて、半年。
 仕事に打ち込んできたが、誘われたらまんまと出向いてしまう自分の愚かしさに頭を抱える。
 路嘉にどうやって接したらいいのか判らない。
 また、浮気をされたら。ごめんで押し切られやり過ごしてしまう。それが浮気をさせる要因だと和真に指摘されても治らない俺はクズ・・・・・・いや、自分を貶めるのはやめよう。

 湯けむりを潜り、勢よく吹き出るシャワーを顔に浴びて前髪をかき上げる。
 ポンプから押し出される業務用のボディソープを掌で泡立て、汗と一緒に流せばガラス張りの向こう側で待つ、宗一郎と目が合った。
 濡れた体のままバスローブに袖を通して、裸足で絨毯を歩いた先にあるクイーンサイズの広いベッドに横たわり。枕をひとつ、抱えるのが俺の寝ぐせだ。
 まだ少し酒が残ってる。

 「悪酔いしたか?チェイサーしろってあれだけ飲み方教えてやったのに」

 交わしても執拗に追いかけてくる唇を怪訝に払い、酒臭いため息をひとつ。
 わかってる
 どれだけ嫌がってみせても、この男には通用しない。

 「絢斗。ちょっと見ない間に、色気出てきたね」
 「お前がそういう目で見てるからだろ」
 「やばい興奮してきた・・・・・・ほら、これ見ろよ」
 「言われなくても見えてる」
 「素直だな、お前こういうの好きだろ」

 バスローブの上から唇を這わせて耳元で甘く囁いた後、俺の眼前に見開くそれは・・・・・・




 8段重ねのタワーパンケーキ、アイスクリーム付き。




 「本日のシメパフェ」
 「パフェじゃねぇだろ。無理だって・・・・・・宗一郎のだめなところ、そこ!」

 
 部屋にライブステージがある独特なセッティングと、コンチネンタルブラックファーストで有名な新宿ファッションホテルはランチ休憩限定「メガ盛スリーナイン/999円」と呼ばれるホットミールが人気を博している。
 甘いものは別腹というが、宗一郎は甘いものが主食。
 糖尿病予備軍の名を欲しいままにフォークを突き立て、俺が隣に座っているのに自撮りを楽しむ。

 「この上からチョコレートかけて。もっと左、そこ・・・・・・いいよ・・・・・・ゆっくりかけて」
 「わざと言ってないか」
 「絢斗のエッチ。そんなに俺としたいの?」

 上目遣いでスマホのカメラを向ける宗一郎の手を押さえる、やめろ。
 
 甘い余韻が視線となって身を寄せれば、着信音。
 この手を離せば現実に引き戻される。いいのかと声をかけてくる宗一郎の体温から抜け出して、和真の声に答える。
 平然を装う、俺の声に陰る瞬間を見逃さない和真から「今、どこ」まさか宗一郎とホテルに居る、なんて・・・・・・隠し通せる自信はない。
 胸の内がざわつく。今、俺は浮気をしているとここにきてようやく頭が追い付く。身勝手で浅はかな行為に思わず、出掛かった言葉を飲み込んで肩をすくめる俺は息をするのもやっとの思いで、だけど謝罪ひとつせずに電話は終わった。
 和真に謝ったって、仕方ない。でも───
 
 苦しい。

 冷たい真っ黒な塊が温度に溶かされ、角を失うように、俺だって。俺だって甘えたい。
 大人だから、
 男だから、
 そんなの全部忘れて、優しく触って欲しい。どれだけ頑張っても安らぎに辿り着けない生命の危機感に耐えられず、露命を繋ぐ思いで自分から宗一郎の手を握った。

 宗一郎は唇のチョコを舌の先で舐めながら、微かな薄ら声で、事実を覆ったアルミパーチを裂くように返す。
 

 お前の良いところはゴリ押しが通用する
 純然たるその性格だな
 今の俺にできる精一杯はさせてもらう、いいな。シャワー浴びて来る。


 暴かれた俺の正体。
 立ち上がって短い息をつく宗一郎の手を繋いだまま下から見つめていると、甘い香りで囁く。俺とお前しかいないのに、またそれ────全く酷い男だ。

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plenty

多すぎる荷物と花束と
離れた場所に停めた車まで歩いた

桜が咲いた日
たくさんの
言葉と
雨が降っている

明日からは 新しい生活

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