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ビールの匂い
バスのドアが開いて、初老の男性が乗ってきた。
座席は埋まっていたので、私のすぐ近くに立った。
歩き回ってきたのか、少し汗ばんだおでこをハンカチで拭いている。
そのとき、なにか懐かしい匂いが鼻についた。
“ついた”と書いたのは、それが決していい香りではないからだ。
「息子をもった父親は、
一緒に酒を飲むのが夢なんだ。
それをお前は壊した」
まだ十代、法律的には飲めない年齢の私にビールを勧めた父。
「頭が痛くなる」
と一杯だけで断ったときに、父は残念そうに私に言った。
「うまそうに飲むんだけどなぁ…」
と未練たっぷりに、ビールを自分のコップに注いだ。
父は、白飯を食べながら「お茶みたいなもんだ」とビールをのどに流し込んでいた。
和菓子を食べながらでもビールを飲むのだから、たしかにお茶扱いだったのだろう。
対して母の系統は下戸だ。
母方の血を引いたのだろうと思っていた。
学生時代、飲み会に参加しないというのは楽しみをひとつ失うことに等しい。
ある飲み会で友人に日本酒を勧められた。
そこへたまたま隣に座った友人が、
「これ旨いんだよ、辛口で。少し飲まない?」
と勧めてきた。
普段なら断るのだが、その日は気分が良かったのか、あまっていたお猪口を受け取り飲み始めた。
弱い、好まないと思っていた酒がうまく感じ、飲み続けることができただけでなく、酔わなかった。
それから何度か試した。
結局頭が痛くなるのはビールだけだったのだ。
一方で父は酒に強かったが、日本酒、焼酎を好まなかった。
好み、体質が合わず、家飲み派の父と外でしか酒を飲まない息子。
グラスとおちょこを合わせる機会は訪れなかった。
冬でも冷えたビールを好んだ父は、1月のある日、瓶ビールをぶら下げて帰ってきた。
栓を空けて飲み始めたが、途中で息苦しそうな仕草を見せて、飲むのをやめてしまった。
ビールを1本飲み切らない父を見たのは初めてだった。
そしてそれが最後のビールになった。
日差しの強い夏の休日、父は自宅の屋根に寝そべり、肌を焼き、汗を流すのを好んだ。
もちろん部屋に戻ってきたらビールである。
野球場でもよく飲んでいた。
神宮の外野寄りの内野席の最上部、風が少し抜ける席でやじることもなく、静かに飲んでいた。
春や秋は母を連れて広い公園へ行き、花を見ながら飲んでいた。
一杯目は一気に飲み、二杯目は自分のペースで口に運ぶ。
グラスに注がれたビールを飲む姿が浮かぶのだが、同時に思い出されるのが匂いだ。
汗をかいた父からは、少しビールの匂いを感じた。
子供の頃、肩車をしてもらったときに、髪から感じた「香り」ではない「匂い」。
嫌ではなかった。
横に立っている男性は、ふたつ先の停留所で席が空き、離れたところに座った。
「寒い冬にな、
それはそれで旨いんだけど、
やっぱりビールは夏だ。
一杯目はとくに最高だ」 。
命日ではないが、ビールを買って墓参りに行ってみた。
汗をかいた缶を墓前に置く。
父のビールは減ることはない。
代わりに少しビールに慣れて、一杯でふらつくことがない私が、缶ビールを減らしていく。
一気に飲まずゆっくりと苦みを味わいながら、言葉のない会話を楽しむのがいい。
ビールを飲み干して、空の缶を墓前に置いて、帰るためにバス停へ向かった。
バスに乗ると前に座って、顔を出している子供が少し嫌な顔をした。
私からも父と同じ匂いがしたのだろう。
「君もいずれは飲むようになるよ、
きっと」
そんな心のつぶやきを感じたのか、子供は隣に座る父に抱きついた。
ビールを飲まない父だったのかもしれない。
願い
嫌でなければ
明日の朝 私が目覚めた時に
愛していると言って貰えますか
その言葉で私は
書きたい事を日記に書きながら
自分がなりたい自分になれるように
生きてゆこうと思います
嫌でなければ
明日の朝 貴方が目覚め時に
愛していると言っても良いですか
人間
太古の昔から、戦争の神様はいたけど
反戦の神様はいないから
戦争に反対する人間を讃えよう
悪と戦うのは正義だとか
防衛は侵略じゃないとか
そんなことを言う神様を見捨てて
良い戦争とか、悪い戦争とか
敵とか味方とか関係なく
戦争に反対する人間を讃えよう
春うらら
私の知る春は
うららうらら麗らかな灰色
雨の匂いがする
ぱらりぱらり湿った土香
濡れそぼる花びら
しとりしとり滴る花露
俯く目に映るのは
ぽとりぽとり枯れ落つ薮椿
頭上で啼く烏
宵闇迫る空
消えた笑い声
霞み歪む景色
それが私の知る
絶望と希望入り混じる
うららうらら
麗らかな春
光る海豚
狩る者の足跡は濡れる
おまえの涙ではないか
煙草の烟で親は
姿をくらまし
波頭に
出生届を叩きつけ
光った海豚が
飛沫を
はためかせた
きみだ
Daseins-Wunderland
その「境界」の波打ち際には、かつて人間が「正義」と名付けた巨大な積み木が、今はただの灰色の墓標として積み上がっていた。それは実体を持たぬイデアの残骸であり、忘却の淵に沈みゆく思考の断片である。空は不機嫌な鉛色を湛え、海は存在の根源的な不安を象徴するように唸りを上げ、岸辺の岩――固着した過去の記憶――を噛み砕いていた。
二人の生い立ちを語る正確な言葉を、歴史は持ち合わせていない。彼らはある時、世界の「余白」から染み出してきたような存在だった。起源を持たず、ただ未完の物語の断片を拾い集めるようにして、この荒涼とした岸辺で呼吸を繋いできたのである。
彼らが「家」と呼んでいたのは、座礁して久しい一隻の巨大な廃船の、心臓部にあたる機関室だった。そこは、錆びついた鉄の肋骨が剥き出しになった、クジラの胎内のような空洞である。かつて機械仕掛けの律動を刻んでいたエンジンは、今や緑青を帯びた沈黙の彫刻と化していた。
兄は、壁一面に拾い集めた「世界の断片」を貼り付けていた。宛先不明の古い手紙、色褪せた植物図鑑の頁。それらは、人間という「欠落の記述」を解読するための曼荼羅(まんだら)だった。一方、妹は部屋の隅、破れたビロードのカーテンを敷き詰めた湿った布の海に溺れながら、兄が読み聞かせる「ここではないどこか」の楽園の寓話に、自らの存在を委ねていた。
この静寂の闇の中で、兄はしばしば一つの問いを反芻していた。それは、自分たちが身を寄せるこの巨大な機械の残骸に、かつて「魂」が宿っていたのかという問いであった。
兄は、錆びついた歯車を撫でながら思考する。もし魂を「内部に秘められた主観的な輝き」と定義するならば、プログラムされた応答や機械的な連動の中に、それは存在しないのかもしれない。しかし、魂とは「他者の眼差しによって立ち上がる現象」ではないか。誰かがその機械に意志を感じ、その沈黙に意味を読み取るとき、魂は「記述」としてその空洞に受肉する。
魂とは、存在そのものに備わった属性ではなく、関係性という回路の中で点滅する電気的な火花に過ぎないのではないか。だとすれば、この廃船も、そして自らの論理(ロゴス)によって妹を導こうとする自分自身も、精緻に組み上げられた「欠落の器」に過ぎないのかもしれない。人間というあまりに絶望的な欠落を埋めるために、我々は「魂」という名の幽霊を捏造し続けているのではないか――。
兄のこの冷徹な洞察は、妹の無垢な信頼という鏡に映されることで、さらに残酷な輝きを増していった。
二人の服装は、この世界の不条理を象徴していた。
兄は、銀灰色の鱗のようになった軍用の重厚な外套を纏い、ポケットには「論理の破片」を詰め込んでいた。彼にとっての「正義」とは、混沌とした海に、揺るぎない幾何学的な秩序を与えることだった。対照的に、妹は廃船から剥ぎ取ったレースの断片を繋ぎ合わせた、幽霊のように薄い白いドレスを身に付けていた。彼女の瞳には客観的な現実は映らず、独我論という名の甘く濁った幻覚の中に生きていた。
その日、賢い亀もドードー鳥も、生への盲目的な意志に従って岩陰に身を潜めていた。だが兄は、自らの内に積み上げた「論理」が、現実に打ち勝つことを証明しようとした。彼は自ら定めた倫理という名の律動を過信し、存在の証明を持たぬ小さな「器」へと妹を招き入れた。
「さあ、認識の変容の時間だ。素晴らしい絶対的な真理を見に行こう」
器が岸を離れた瞬間、世界という名の「客観」は牙を剥いた。色彩が現象世界から剥がれ落ちるような、刹那の沈黙。器が逆巻く無意識の怒濤に呑み込まれたとき、高く掲げられた狂信的な断定は虚無の飛沫の中に霧散した。妹は、自分がなぜこの冷たく暗い「非存在」の檻に閉じ込められたのか、その不条理をロゴスで解き明かす間もなかった。
器が裏返った瞬間、認識の水平線という名のチェス盤はひっくり返り、無防備な現存在(ダーザイン)たちは慈悲なき虚無の潮流へと投げ出された。二人の時間は、そこで閉じた円環となり、永遠の静止へと至った。
事象のあと、存在の岸辺には無数の「なぜ」という名の懐疑が打ち上げられた。
かつて「希望」という名の器であった二人の空洞を、今は緑青を帯びた蔦が締め上げ、精緻な濾過装置のように過去を吸い上げている。陽光という、あまりに平等で冷酷な「忘却」が、彼らが握りしめていた思想の断片を、星屑のように燃え立たせている。
かつて兄が問うた「魂」の在処は、結局のところ、この沈黙する海へと還元された。魂とは、失われた後にのみ観測される「不在の光」だったのかもしれない。
沈黙が現実の幕を振り下ろすとき、鏡の迷宮に閉じ込められた楽園は瓦解し、再演を拒絶するただ一つの「終止符」だけが刻まれる。残されたのは、ただ陽光にさらされた虚無の海と、割れた砂時計の破片だけだ。
ただ、冷ややかな絶対的客観だけが知っている。この何処へも至らぬ終焉こそが、すべてが望み続けた「始まり」の対極にあった、唯一の救済であることを。
ただ泣くことさえ、思うようには。
泣くもんかと歯を食いしばっても
涙が止められない日もあれば
泣きたいのに泣けない日もあって
ただ泣くことさえ思うようにいかない
笑い飛ばしてしまいたいのに
顔を引きつらせるばかりで
笑うことさえままならぬ日もあれば
目に入る小さなものたちに
何度も顔がほころぶ日も
叫びたいのに声にならない日もあれば
叫び出してしまいそうになるのを
震える拳を握り締め堪こらえるえる日も
ずっと眠っていたいのに
何をしたって眠れない日も
ずっと起きていたいのに
起きていられないほど眠い日も
泣くことも
笑うことも
叫ぶことも
眠ることも
そんなことでさえ
思うようにいかない
わたしにとって
生きる日々は
そんなものだ
LESSON 1
なんだか妙に 心がザワザワ落ち着かず
目覚めてしまった午前1時
喉が渇いて 乾涸びそうな妄想にまたかられ
フラフラする足取りで冷蔵庫へ
ペットボトルのウーロン茶 グラスにも注ぎもせず
息も切らせずグビグビがぶがぶ
イッキに飲み干す
体調がずっとよくない
もう2年以上もずっと
あの人から離れることが出来れば
一切の関わりを断ち切れたら
いまよりきっとよくなるはず
……そう思っていたんだけどな
そんなカンタンなことでもなかったみたい
よくさ 子どもの頃にひどい目に遭ったとしても
大人になれば なんとかして苦悩から乗り越えて
強く生きていけると どうにでも生きていけると
そう思い込んでいるひとがいるけれども
それは大きな間違い
だってひどい目に遭ったって気づくのは大人になってからだから
子どもの頃に感じた なんだかよくわからない違和感
同じひとつ屋根の下に住んでいるのに
あっち側 と こっち側
ベルリンの壁よりももっと分厚くて高い壁が存在しているみたいで
なにかと云えば すぐにモノをぶん投げ破壊しまくる父親
ただ単に気に食わないという理由だけで
殴る蹴る髪の毛掴んで振り回す
いつも不機嫌そうで具合が悪そうな母親
口を開けば 出ていく出ていく
顏が違うだの 嬉しそうにしやがってだの
生意気だ 目つきが悪い うちの家系にそういうのはいない
夕食に家族全員が揃ったためしなどなく
母親はいつも ごはんの支度だけしたら
ひとり どこかへいなくなっていて
寝る時間まで帰ってくることはない
この家はなにかがおかしい とは思いながら
なにがおかしいのかっていうのがわからない
そういうの気づくの 大人になってからだから
大人の方がむしろ生き苦しいしツライししんどい
泣き言だって弱音だって本当は吐きたい
でももう大人だから 大人なんだからって
だから仕方なしに 平気なふりを装って生きてるだけ
終わった出来事 遠い過去の出来事
いつまでも縛られてるなんておかしい?
そうね おかしいかもしれない
けれど
記憶の再生ボタンは勝手に何度も何度も押されては巻き戻し
巻き戻されては押されを繰り返す
そしてこうささやきかける
「逃げられると思うなよ」
こんなあたしにだって 忘れたくない出来事くらいある
はじめて中島みゆきの夜会を観に行った日のこと
あまりに感動して 帰りの電車でもずっと号泣してた
はじめてみゆきのコンサートに行った日のこと
何十年ぶりかで歌うという「世情」を生で聴けたこと
はじめてエレカシのライブに行ったこと
背伸びしないとなかなか見えなかったけど
それでもエレカシはミヤジは めっちゃカッコよかった
何度目かのライブでは ミヤジが歌唱中に感極まって泣いちゃって
なんだかこっちまでギュってなったこと
悪いコトばかりでもなかった
いいコトだって
笑えたコトだってあったはずなのに
思い出し方をうまく思い出せない
忘れてしまったからなのか
教わってこなかったからなのか
だったら
だったらさ
LESSON 1
からはじめましょう
思い出してしまったっていいんです
心に深く深く刻みこまれてしまったのだもの
そう易々と消えるものではないのだから
それで自分を必要以上にいじめるのは
もうやめにしましょう
自分をいじめてしまいそうになったら
そのいじめてるやつをノートに書き出して
白日の下に晒してしまいましょう
少し疲れてきましたね
甘いものでも食べて
ひと休み ひと休み
そしてね ひとしきり書き終えたら
ここ一番重要 試験に出すレベルで重要
今日出来たこと3つ
最後に必ず書き記す
なんだっていいの
こじつけだってかまやしない
とにかく 今日いちにち
自分がんばった
よしよし いい子いい子
えらいえらいって
なんにも出来なくっても
それでも なんにも出来ないことを
がんばりましたって
目いっぱい 思いっきり
褒めちぎって讃えてあげて
LESSON 1
あなたは悪くない
生まれてきたことに正解も不正解もない
あなたは間違っちゃいない
疲れたら休んだっていい
倒れそうになったら
どこかに寄りかかったっていい
そしてまた一歩 また一歩
先に踏み出せたならそれで
それこそが 生きる道しるべ
サーチライト
LESSON 1
さぁ 練習しましょう
もうじき
夜が明けます
恋と愛と
恋すると
ワガママを言ってみたくなって
愛すると
困らせるのが嫌になる
恋すると
心が 言葉が 欲しくなって
愛すると
心を 言葉を あげたくなる
ゆらゆらと揺れるわたし
いつかあなたへ辿り着けるかな
グラデーションモーニング
白という色すら
何百種類もあるらしい
ニンゲンにも
コトバにも
キモチにも
沢山沢山タクサンたくさん
つかれちゃうから
もっと シンプルに
まとめたら いいのに
かなしいはかなしい
うれしいはうれしい
くやしいはくやしい
だいすきはだいすき
おはようはおはよう
ひねくれてないきもちだけを
つれていきたくてわたしたくて
カーテンをあける
空すら見事に絶妙なグラデーション
むらさきもしろもあおもおれんじもピンクもくろも
ふくんでまざりあってとけきりはせずの
朝がいて
屁
屁は笑えるから好きだ
屁はした後気持ちがいいから好きだ
屁は愛とか正義とか喚かないから好きだ
本当にそうか
本当にそうなのか
嗅ぐ人が嗅いだら屁は不快なのだ
ゆったりと優雅な席で
屁はした後恥ずかしいのだ
誰の前でも
屁は稲妻のごとく走っているのだ
尻の下から天空高くへと
屁は確かに喚かないが
屁は愛そのものだ
それでなかったら空気に溶け込んで場をなごます筈がない
屁は正義そのものだ
それでなかったら汚れを外に追い出して空に返す筈がない
握りっ屁
透かしっ屁
ひとつとして同じ匂いのする屁がない
ひとつとして同じ音としてこの大地空間に木霊する屁はない
屁
僕は君のことが未だに好きになれない
色の気配の二篇
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雨音は色を変えて
雨粒は
カーテン越しに
夜半の符号を 未だ打っている
その拍子に合わせ
わたしの手が
部屋の冷気と
布の囁きを 探る
春の冷たさを
すこしだけ避けながら
すこしだけ受け入れる
レースの 向こうに
フリルの 内側に
そんな色を 想う。
―――
新しい色は風とともに
部屋の湿度は 色を変える
カーテンは 空の影を映す
窓の隙間から 風を受け取る
フリルの内側の 音が変わる
湿度の記憶は
肌を覆う ドレープの光沢
春の風を
すこしだけ受け入れて
すこしだけ溢れさす
部屋に溢れた風は
わたしの色を
外へと 連れ出した。
図書館
夢をずっと見ていたんだ
永久の中に沈んでいく
図書館の夢を
図書館は一つの宇宙だった
26文字といくつかの記号
宇宙を表現するには
たったそれだけで十分だと
そう言わんばかりに
図書館は存在していた
夜の果てのさなかで
図書館は星であった
図書館の中に
降り注ぐは
万物不滅の雨
無色透明の水銀灯
照らすのは
存在した
あるいは存在しなかった
書物の表紙たち
君がいつか
僕の書いた
あるいは書かなかった
詩集を手に取りますように
素直
褒め言葉だと思って
便利に使うなよ
まったくもって正直に生きては
いませんから
素直な良い子
真っ直ぐ育ってほしい
何じゃそりゃ
あまりにもご都合主義な皆様に
乾杯します
こちらは常に完売なのに
ニチャラニチャラと笑ってくださり
有り難う
疲れた私は憑かれたように
眠ったあとで
突かれたように
起き上がる朝を迎える毎日
素直じゃないです
まったくもって
わたしはわたしという名の
作品を
各々に差し出す為に必死ですわ
ええ
ええ
もう舞台から飛び降りる覚悟でいいますわ
素直にいえば
すべてがだいきらいです
も、く、げ、き
ワレワレハチキュウジンダ
ミテルダケ セカイヲ
はるのはじまり
少しくすぐったい
春みたいな温度
はじまりの前
右隣で微笑むあなた
ふと手が触れて
心が動く予感は
静かに体温を上げて
小さないろ達
花のいろ 新芽のいろ
あさひにうつるそのいろは
まだゆるりとゆれてゆれて
むねのなかの 小さな月は
肌にうつるそのいろいろの
波紋となって浮かびあがる
わたしをつつむ いろ達に
染まるわたしの小さな月は
夜の優しさ 抱えたままに
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HEY HO
HEY HO 夕焼け、満月、風切る私
犬が鳴くのと同じように、歌を歌う
HEY HO 朝露、宿木、愛の雨
鳥が囀るのと同じように、歌を歌う
HEY HO 秋風、春風、弛まぬ流れ
川が流れるのと同じように、歌を歌う
HEY HO 自信満々、天狗鼻
山が聳えるのと同じように、歌を歌う
HEY HO 怒り爆発、快楽絶頂!
雷が鳴るのと同じように、歌を歌う
[つ]つまんないや
なりふり構わずに人を傷つけ、愛し怒らせて
一方的に振りかざした刃がまたあなたの頸動脈に刺さっていく
息も絶え絶えのあなたの声が聴こえない
締めつけられた喉が糾弾する言葉を許さない
暇に腐って 惰眠を貪って 悦楽に微睡んだ
死んで濁った目のカルマ
なぁ 脈が上手く動かせないんだ
つまんないや つまんないや
生きようが死んでようが結局一緒じゃないか
つまんないや つまんないや
鼓動は徐々に萎んでいく
付き合いきれないね 同じだよきっと
過ったことに笑われて、正しさなんか見出せなくなって
誰よりも正しくあろうとした私はいったい何なんですか
恥ずべき日々に蓋をして身を潜めて生きる正午
教えに囚われていく毎日だ 教えに呪われていく毎日だ
勧められある程度楽しかった映画も漫画も音楽も
だんだんと嫌いになっていく
きらびやかなものがドロドロに溶けた鉄のようだ
つまんないや つまんないや
平和も戦争も溶けて煮詰められた坩堝
つまんないや つまんないや
安らぎさえ退屈の延長線
「つまんないか? そうだよな」
灰になって 骨になって 動けないのに
死にたくはないんだよ 誰も彼も
誰よりも愛されたいなんて喚き散らす自己愛者
つまんないや つまんないや
融通もやり直しも利かない世界だ
つまんないや つまんないや
人知れず朽ちていくこの身体が
今 誰かのためにと無理やりいかせようとする
それは愛や呪いじゃなく、自然的なことさ
By Myself
躰中のやりきれなさを振り起こして
もう 誰もあたしを止められない
誰もあたしを縛りつけられない
あたしは あなたじゃない
他の誰でもない
あたし自身に変わってく
理性で抑し殺して生きるのはとっても窮屈だわ
聞き分けのいいやさしい女になんて
悪いけどあたし なれそうにないの
誰かのために自分を犠牲にするなんて
そんな生き方はもうやめにしたのよ
ただこれからもずっと
好きな服を着て生きていたいだけ
サイズの合わない靴を履いて歩くのは
とてもとても歩きづらいったらないからね
あんたが選んでくれたあの靴じゃもう だから
同級生だからって 友だちなんかじゃなかった
彼女たちはただ あたしを笑うだけだったわ
先生たちにも嫌われてたの
学校はいつも あたしに冷たかったのよ
でも 別に気にしちゃいなかったわ
何をするにも トイレに行くさえゾロゾロと
連れだって行動している彼女たちが
なんだか あたしには奇妙なモノのように思えて
ガヤガヤ騒がしい休み時間
あたしはひとり教室の片隅で耳にイヤホンをつっこんでは
太宰や寺山や坂口安吾なんかを
ひたすら読みふけっていたわ
孤独だからって 淋しいっていうのとは理由が違うのよ
淋しいのは あなたをとても遠くに感じてしまうことよ
たとえばその瞳の中に その態度の中に
ここから先はSTAFF ONLY 立入禁止のテープ
あたしの思ってることが あなたに伝わらない
あなたの傷みが あたしにはわからない
そういうのって泣きたくなるわ
あなたはそれを知らなすぎよ
幸福な人ね
あたしそういうの
うらやましい
躰中のやりきれなさを振り起こして
もう 誰もあたしを止められない
誰もあたしを縛りつけられない
あたしは あなたじゃない
他の誰でもない
あたし自身に変わってく
あたし自身に
変わってく
Germany
私はケストナーであったし
あるいはマンでありたいと祈った
わがままは言わないからヘッセとして生きたかった
なぜ心の迸るままに生きることを許してくれなかったのだろう
『巨大な憎悪が私を生かしている。フランスが滅びるのを見るのが確実なら、私は千年でも生きるだろう』
塹壕の中で鉄十字が煌いたとき
ゲマインシャフトは高貴さであった
響き渡る塹壕の砲声と大地を覆う黄色い煙は
人間精神のその一大的交響曲の
完成ゆえの神聖さだけを意味した
卑俗さも卑劣さもそこにはなかった
だから塹壕戦は僕にとっての神様だった
トリコロールを燃やすこと
それは全人類の望んだこと
ありとあらゆるトリコロールを踏みつけるんだ!
君が君という人間性を守るために戦うんだ!
共和主義者どもを地の果てまで追い詰め、ギロチンにかけるんだ!
火にくべていくんだ! そして八月の砲声をもう一度だ!
それだけが人間を救う方法で
それしか高貴さを復元する方法もない
だから僕はヨーロッパ精神とそのクライマックスたる塹壕戦を愛していました
だのに
どうして僕のドイツへの欲求はいつも憎まれたんだろう
どうして誰も僕の高貴さに赦しをくれなかったのだろうか
嘆きの天使
最最最底辺に生きる私には
輝ける未来なんかない
いつでもどこでも空気が読めず
周りからドン引きされる運命になっている
一番嫌いな奴はオノレ自身
こんな人間失格に誰がした
屈辱感に耐えきれずバックレた
世間様の正義が私を木っ端微塵にする
オ前ハ社会ノ穀ツブシ
オ前ハ社会ノ穀ツブシ
高い壁を乗り越えてもさらにもっと高い壁
死ぬまでこれの繰り返し
運の悪い奴は何をやっても
ドツボにハマるようにできている
同情買う奴オレオレ詐欺師
この世は弱肉強食の生き地獄
私のような●●●●●は
一丁前にハッピーになる資格はない
オ前ハ地球ノ落チコボレ
オ前ハ地球ノ落チコボレ
人生に期待する奴は大馬鹿野郎
生きていられるだけで御の字と思え
ラブとかピースとかありえない
夢みたいなこと考えてるから病気になる
オ前ノ一生燃エルゴミ
オ前ノ一生燃エルゴミ
NO NO NO
NO NO NO
NO NO NO
NO NO NO
楽園に行く。
こんにちは。鬱病女です。なんと鬱病な私が!旅行に行きました。母に同伴してもらい、飛行機も列車も乗れました。母がいなかったらきっと行けなかったでしょう。母、本当にありがとうございます……。感謝…………
旅行はとても楽しかったです。今回は母協力の元、連れて行ってもらうことに成功しました。
特急列車に乗っている時のワクワクは、子供の頃のきらめきを連想させるようなものでした。特急列車で歩くたび揺れが私を包み込みました。ホテルは狭いけれど、知らない場所で眠ることは私に非日常な感覚を届けてくれました。
私は毎日布団の中に引きこもり泣いています。ですが、旅行中はなんだかそんな私が嘘みたいでした。すっぴんにワンピースでスキップをして、カンカン帽を被って見たり、新しくピアスを買ってつけてみたり、募金をしてみたり、猫を追いかけてみたり、神社で参拝をしてみたり……。時間は嘘つきのように過ぎていきました。見知らぬ果ての古き土地はなんだか全てのものが煌めいてみえました。
私は東京に帰って、自分の部屋に荷物を置き布団に潜り込むでしょう。そのときの私が泣いているかは、分かりません。自傷行為をしているかもしれません。でも私は私に忘れないでと言いたいです。あなたは旅行をして、見ず知らずの土地で楽しみ、生きることに希望を見出したのだと。あなたは少しでも、あなたは楽園で生きたひとなのです。
フラグ・メンツ(現代詩手帖 落選につき皆様による批判を受け付けています)
約束を違えた襟の ボタンひとつを
なおす術さえ 教わらなかった子ども ら
各々の部屋に埋葬されている、だと。
私はそれが許せなくて、ドアを叩いた
ぶよぶよに腫れ上がった 手旗信号 届くか
拳骨が見えて 内側はあばかれる
諦めているのはわたしなのに
この生き物ときたら痛覚さえないとは
外縁で折り合いをつけなくては
内側から食い破られてしまう
侵入者を 腿を 腕を 抓っていたのは
私の手ではなかったのか と
少しは疑え。語りの主体は誰
きみという 可変のシェルに籠る
居留守がばれ続けている
不在と書いた 白旗を立てた この領地を
所有したくない と思った、感情の数だけ身体を割いた という口上を自己防衛に使った それは三人称でも転用可能か検索した
とメモした 紙片は虚しく空調にはむかった
フラグメンテーション
齧ったトーストのかけらで
構成されたような具合の身体性
ばらついたまま あさましい欲望を余すもの
ナイフにこびりつく
バターが不快で 漆喰を塗る音が不快で
飛び出してしまいたい。
うちなる他人のものとして
切り離して責任を逃れたのはだれ?
あと何度かはこの問いを再起していい筈だ
芯を食いにいけばいい 芯を立てればいい
そして常に すり替えればいい
喉元で正せ 襟とただせ
編集時の差異こそ本懐ともてなせ
口がふえたごとに 噤まれるとされど
スレッド数など比例しない
すっぱい葡萄の 枝まで食えばいい
実感を握って 痛覚を得よ わたしの氷を わたしの陣地に 取りに行かないと
手も足も増えるんだ そらみたことか
盛大な離反 しかし コアなどあると思ったか
断片たちから名前を選べ
断片化された名前を選べ
あるいは 選ぶな
𝚂𝙷𝙸𝙽𝙸𝙶𝙸𝚆𝙰 𝙻𝙰𝚂𝚃 𝙱
2026/03/08
あなたのこと、わたしのこと。
血液型を聞かれる。
でも、もっと聞いてほしいことがある。
誰と住んでいるか聞かれる。
でも、もっと聞いてほしいことがある。
料理できるか聞かれる。
でも、もっと聞いてほしいことがある。
わたしは、
あなたが話したいことを
ちゃんと聞けているだろうか。
あれは何の音
あれは何の音
鳩が泣いてる
あれは何の音
腸が動いてる
あれは何の音
明日が来ない
冬の透明
白い息が
頬を舞う
ふと夜空を見上げたら
月と星たちがきらめいていた
無垢なひかりに照らされて
私の心も
すこしずつ
洗われていく
透き通っていく
BAR「Creative Writing Space」
ニーズがあるやらないやら、まったく見当がつきませんが、
毎度おなじみの思いつきで、BAR「Creative Writing Space」を開業いたしました。
皆様にお使いいただけなければ、すぐに閉店いたします。
電脳空間の片隅にある、吹けば飛ぶような小さなBARでございます。
一杯引っかけた体で雑談していただけるスペースをイメージしています。
「Talk」がさほど機能していないことも踏まえ、もっとカジュアルに使っていただけたらと思っています。
【ルール】
・ワンドリンク制です。必ず何かお飲み物をご注文してからお話しください。ノンアルコールでも構いません。
・お代はいただきません。もしスペースコインをお支払いになりたくなったら、他のお客様に奢ってあげてください。
・酔っ払いすぎにはご注意くださいませ。
Creative Writing Space事務局
2026/03/21
批評・論考
パラジクロロベンゼン
学習机の上で勉強されているのは
パラジクロロベンゼン
パラジはパラダイス
クロロは苦労人
ベンゼンはベンゼン大使
みな、一様に春を待ってる
勉強しているのは
ナオミキャ・ンベル
ナオミキャは浪岡修平
ンベルはとどのつまり
明日からきっちりと春である
浪岡修平は「防虫剤を囲む会」の会長
もちろんナオミキャは浪岡修平だが二人に面識はない
ンベルはどとのつまり
月に一度の会合が奇しくも本日開催される
第一高等学校の校舎が見える公民館集会場
八畳敷きの部屋
定刻通りに会合は始まる
事務局長の田中が簡単に挨拶をし
会の設置規則第四条第一項に基づき会長である浪岡修平が
座長として議事の進行を執り行う旨を宣言する
ちなみに田中は事務局長を名乗っているが
その他に事務局員はいない模様
この会においてパラジはパラダイスではなく
クロロは苦労人ではなく
ベンゼンはベンゼン大使ではない、それはあくまでも
ナオミキャ・ンベルの学習机の上のみのことである
ンベルはとどのつまり
明日からきっちりと春である
浪岡修平はこの公民館のある町会長にも就任している
地元のちょっとした名士であり
優れた人格の持ち主であり
肩が小さい
若い頃に肺を患い生死の境をさまようが
奇跡的に助かる
以来、痰の絡む咳をよくするようになる
さて、という浪岡修平の一言で議事が始まる
出席者は会長及び事務局長を含め七人
ナオミキャ・ンベルは学習机で一人
流れるように議事は進行する
畳の上に座る七人の真ん中には防虫剤がひとつ
会が始まってから五分遅れて会員の中村が到着する
それから数分後、定期券を忘れたと言って
中村は再び離席し公民館を出て行く
ナオミキャ・ンベルが窓を開ける
風の匂いを嗅ぐとやはり間違いなく
明日からきっちりと春である
近所の犬が吠える
何にでも吠える犬である
定期券を取りに走る中村の姿が見えるが
ナオミキャ・ンベルにはそれが誰であるか知る由もない
学習机の上では
パラジとクロロとベンゼンが
一様に春を待って
春の話をしたがっている
集会場では浪岡修平の流れるような進行で議事も終盤である
次回の会合の日にちの取り決めを行い
結局間に合わなかった中村には
後日事務局長の田中が連絡することとなる
次回の主な議題は予算と決算です
田中が確認をする
もうそろそろ春ですかね、と浪岡修平が呟くと
会員が一様に頷く
ンベルはとどのつまり
明日からきっちりと春である
中村が転ぶ
上着のポケットの中で防虫剤の割れる音がする
それでも立ち上がり
会に間に合うことを信じて走り続ける
距離きれい
距離きれい距離正常距離すなお距離ちかい距離異常距離こわした距離埋めた距離おいた距離焼いた距離たべた距離はいた距離裏返した距離ねばついた距離褪せた距離折れた距離煮た距離詰めた距離棄てた距離ひろった距離拭いた距離眺めた距離苦い距離渋い距離甘い距離辛い距離厚い距離薄い距離軽い距離重い距離逃がした距離飼った距離借りた距離濡れた距離脱いだ距離洗った距離干した距離履いた距離よごした距離綺麗
ゆうた!!
ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆつた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆうた ゆう ゆうたああああああああああああああああああああああ!! 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ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああ!! ゆうたああああああああああああああああああああああハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ穴ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ穴ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ八ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
手と灯り
肩に乗り
高いところから見た空と雲
おもちゃが壊れて
泣いた背中に触れた声
完成がわかっているように
ピースが埋まり
絵が見えてきている
肩を超えて夕陽が作る影
老いた手を引き
合わせる歩幅
重ねた日々を薄める霞む目
寝返りをうつ夜
枕が合わず迎えた朝
窓から漏れる陽射しを
手で遮る
踏み出した瞬間に
流れるときは
目の奥に消える
重ねた記憶を
浮かび上がらせるろうそく
照らす灯は揺らいでいる
密愛者のひとりごと
秩序立った昼間の街の輪郭がほどけ、夜が立ち上がる。
パノラマ街に滑り込んだ私たちは、
当たり前の日々を骨の髄まで染み込ませた体で、
ありふれた週末限りの恋人となり、
霞みがかった心ごと火の玉になろうとする。
うわの空を滑る巨大な旅客機が月明かりを吹き飛ばせば、
もう一瞬で夏だ。
どんな言葉に辿り着けば満足なのかも分からず、
私たちは喋り続けた。
映画やドラマじゃない、こんなにもありふれた夜なら、
固く閉ざした魂もいっそネジを外して、
そのつもりならいつだって引き返せるぐらいの、微睡の中へ。
よがって、もがいて、軋むベッドの上、
皺くちゃのシーツを二人で纏う。
私たちは、絡め合う思惑の海をたゆたう迷子。
誰かに強く抱きしめられている時だけは、
何も考えられなくなるのをいいことに、
私は、一つ一つの心残りに折り合いをつけるだけで使い切ってしまいそうな、
命の残量に思いを巡らせていた。
巡らせた思いの水中に、呑まれていった。
...701号室を出たあなたに5分遅れて建物を離れれば、
二時間だけのやましい約束は終わる。
首都高速に乗る前のタクシーの車内に、
大仰なボリュームのドリームポップがフルバースで駆け抜けて、
後部座席の私は、
追いすがるテールライトの眩い光を右目で溶かす。
道の段差に揺られて、他人との軋轢に振られて、
寝静まった家々の間を縫う路肩に停まり、
'ただいま'も'おかえり'もない、赤茶けた溜め息ひとつの帰宅。
今の私が帰って来られる場所は、まだ、この街にしかない。
永遠みたいな顔をした寂しさと連れ添って上京したばかりの私を、
出迎えてくれたあの初々しさの気配はもう残っていない、103号室。
一人には少し広かったこのワンルームが狭くなるたび、
心の隙間はむしろ広がる一方で。
新しい'今日'を受け取るごとに、
手放す言葉をひとつ選べ、と詰め寄る真っ白い原稿用紙には、
花開く時を逃し続ける何万もの夢の蕾が宙ぶらりんのまま、
今もずっと、咲いてみせるその日までの勇気を、
張り詰めている途中だったりして。
ひとりになるとどうでもいい事に頭を使い始めるのが私の悪い癖。
真面目に勉強していたらもっと華やいでいたかもしれない二十代が、
もうすぐ終わる事。
所在も忘れたフォルダに眠っている書きかけの詩を締めくくる為の、
決定的な一言。
明日からの私の、生きる意味。
とか。
生きているだけで必要とされる人間なんて、
ほんの一握りの、限られたヒロインだけ。
なりたい自分も、逢いたい誰かも、取り立てて思い当たらない毎日に、
四六時中試されているような。
ある日ふと、何もかも諦めたくなる瞬間はきっと少なくないな。
私には、そうしないで済む理由がどれだけ残っているだろう。
引き金に指をかけた私を引き止めてくれる人たちと、
あと何年繋がっていられるのだろう。
探し求めたってもう彼はいない四畳半のフローリングに、
二人で選んだカーテンの影が月明かりを遊泳している。
限りなく灰に近い真っ黒な夜でも、
報われた日の朝に広がる一面の白でもない、
そのどちらにも、あと一歩届かない場所。
私の夏は今年も、ここに捨てる事になりそうだ。
即時一杯の飯に如かず⑪
ep.11「アフタヌーンティー」
六本木某所
品格が求められるエグゼクティブに許された完全会員制のプライベートクラブは窓のないラグジュアリーな空間にシノワズリを潜める。海外エアライン機内誌で紹介される高級クラブは第一線で働くビジネスパーソンの社交場。
燦然と輝くアフタヌーンティーセットに見惚れる。
ここで見たものは全て、表には出せないので、記憶に留めたい。
伝統的なスリーティアーズは下から順に、
サンドイッチ
スコーン
ペストリー
英国式キューカンバ―サンドイッチにフォークを入れると鮮やかな緑色に吐息が漏れる。軽快にピクルスを口に運んだところで、宗一郎が笑いながら長椅子に背を預けた。
「ふぅーん。彼氏とセックスしない理由は、あれか」
「・・・・・・総一郎、あのさ」
「俺よりいい男と出会ったら、それは俺の運の尽き。もう、こうして会うことも無くなるんだろうな。俺たち」
スコーン、食べないならクロテッドクリームが欲しいと目で欲しがる俺を悪戯にも覗き込む、総一郎は黒すぐりをナパージュしたような瞳で見つめ返してきた。
「ニースでこれ食べた時の俺たちは、若かったな」
総一郎の手から離れる、それは音もなく崩れながら懐かしい香りを立てた。
ティアンと呼ばれる器に野菜を入れて焼いた料理のエピソード。
スライスしたトマト、ズッキーニ、シェーブル(山羊のチーズ)が並ぶフランス料理は彩りこそ良いが味に馴染みがない俺にとって酸っぱい思いで。
────あれから10年。別れても宗一郎と居るのは、一度きりの奇跡が起こす縁で、結ばれているのかも知れない。
「お前の初めてを貰った時は「こんなに幸せでいいのか?」さすがに躊躇ったよ」
フォークの先が急に重くなって落としそうになる。
その話だけは、やめてくれ。
初めての男といえば美しく聞こえるが、それまで経験する機会がなかっただけで恋人はいた。相手が求めて来ても応える事ができなかったのは・・・・・・誰にでもある葛藤・・・・・・簡単に許せるほど性的な興味を示すことができずに避けてきた俺の心と体は、たった一夜の過ちでは済まない程、宗一郎のいい様にされた。
3段目、待望のペストリーに屈託のない笑顔を見せる宗一郎は愛慕のショコラに狙いを定め、天の川のような星屑を散りばめたグラサージュに唇を寄せる。
続いて俺も、ああ────
職人の技術もさることながら、恋人たちがロマンチックに過ごす時間を演出する為だけに創られた一欠が甘く溶けていく。最中に一瞬の煌めきを残しながら消えていく至高の完成度に瞳を閉じて、胸に募る思いごと飲み込む。
「芸術的で、言葉にならない」
「だろ?ルノーのショコラは俺のサルバトーレなの」
真っ赤なラズベリーに舌鼓を打つ、宗一郎の唇から抜き取られる金のスプーンはガラス製のランプから漏れるわずかな光を集めながら繊細な輝きを放ち、不敵な笑みを呼び寄せる。
慌てて視線を外したがテーブルの下で指先を忍ばせる攻防に勝てないまま捻じ込んでくる強引さに、負けた。
ぬくい、だとか、ひゃっこい、だとか
あたしの手って
ひとよりちょっぴりぬくいのね
ぬっくいのよ
よくさ 手がぬくいひとは心が冷たいとか
ひゃっこいひとは 心がぬくいとか
云ったりするひとっているじゃない
ていうか
むかしっからのいい伝え
習わし的な
心臓に一番近くにあるから的な
そういうヤツ
でもさ でもでも
手が ぬくい
とか
ひゃっこい
とかで
心の温度がわかるんだったら
こんな楽ちんなことってないよね
もっと世の中へいわになるっていうか
無駄に争ったり ややこしくなってこじれたり
そういうの きっとなくなるんだろうし
てか
心の温度ってなんだろね
なんだろ
春
梅は うむ
海は うむ
木に
水に
倦むことなくただようもの
昨日無く
いつまで有るかわからぬものを
そうして
うまれたものは いまを
駆ける 颯爽と
きみが嗅いだ花や潮の香は
通って行った証拠だ
姿は見せず
春の馬が
もちろん
視覚的に四角
であるところのトド
まることを知らない
まるで丸
であるような
ビシビシ
ないしヒシヒシとした
菱形のひしめきで
なくもない
暗夜行路の鮟鱇
よもやよもや四万本の木
河岸の話
はたまた時に象に似た
あるいはヘソならぬイソ
かもしか錯乱や月
などなどの
長く保たれる事柄については
論ずるにも
イヤ!
オー!
なくなく
長々伸びるという
言うまでもない話だ
俗物礼賛
バチバチと
無数の穴を通り抜けて
あらゆる物事が世間に出てゆく
バチバチと
大なり小なりマネーの渦を生みながら
あらゆる物事が世間に出てゆく
無数の穴には何者も近寄れない
塞ぎようがない無数の穴を通り抜けて
あらゆる物事が際限なく世間に出てゆく
神聖な或いは秘密の物事すべてが
あっと言う間に無数の穴を通り抜けて
世間の俗人たちの胸を撃ち抜く
世間がすべてだ
愛嬌があってお金が好きで情欲に身も心もまかせられる
そんなタフな俗物たちの頭の中にこそ夢が宿る
夢を見させてあげよう
口さがない相談好きの俗物たちの間では
神聖さも秘密も騒がしく愉しい見世物となる
無数の穴から世間に向かって
あらゆる物事の弾丸を撃ちまくる
奴らの正体は何なのか
そういう問いを発してしまうのが俗物なのだ
何でも問えば知り得ると思うのは誤りだ
問いは夢であるから
せいぜい問いで心を膨らませたままでいるのが
我々の自然な愛すべき姿なのである
作品は死体である——鑑賞と倫理、複数の立場について
(多々AI対話推敲Claudeで記事作成)
作品は死体である——鑑賞と倫理、複数の立場について
2026年3月23日
はじめに:なぜ「死体」と呼ぶのか
作品を語るとき、私たちは様々な比喩を使う。「作品は鏡だ」「作品は窓だ」「作品は問いかけだ」。そのうち、「作品は事件現場だ」という言い方がある。これは芸術人類学者の中島智が示した捉え方で、興味深い。作品を「出来事そのもの」として見ること、完成品ではなく制作プロセスをその通過点として捉えることの重要性を指摘したものだ。
しかし、私が自分の制作と向き合うなかで感じるのは、「事件現場」という比喩では足りない、ということだ。むしろ、そこに「死体」という別の比喩が必要になってくる。
「死体」——それは、事件現場にあるもの。でも同時に、現場の読み方を大きく変える。
なぜそう呼ぶのか。それを説明するために、もう少し根本的なところから始めたい。
第1部:書く行為の本質——今を殺すこと
生と死の定義:流れるものと止まったもの
まず、ここで「生」と「死」をどう定義するかが重要だ。
生きていること=今、流れている。運動している。未確定である。
死んでいること=止まった。固定された。過去になった。
この定義は、道徳的な意味での「善悪」とは関係ない。単に時間の状態についての記述だ。
流れているものは形がない。動いているから捉えようがない。一瞬ごとに変わっていく。その中にいるあなたは、その流れを完全には把握できない。「今」は常に逃げていく。今を認識した時点で、それはもう過去だ。
書く=流れるものを止める=殺す
それでは、私たちが「書く」とはどういうことか。
思っていることを言葉にする。感じたことを文字にする。その行為の本質は何か。
それは流れているものを止めることだ。
形のない思考を、形のある言葉に変える。動き続けている感覚を、静止した文字に固定する。その瞬間、何が起きるのか。
流れていたものが、止まる。 運動が、形になる。 生が、死に変わる。
だから「書く=殺す」なのだ。
不可逆的な相転移
しかし、ここで重要なのは「不可逆性」だ。
運動を書く → 痕跡になる(自然、避けられない) 痕跡を書く → 運動にならない(不可能)
なぜか。時間の向きが逆だから。
運動は未来に開いている。今のあなたは未確定な状態で存在している。だから、それを言葉にすることはできる。
しかし、一度言葉になったものは、もう過去だ。それを読み返しても、それは「痕跡を読む」という行為になるだけで、再び運動にはならない。触れることで新しい運動は生じるが、書かれたもの自体は動かない。
書いた瞬間に、その内容は「いま」ではなくなる。それは確定され、固定され、変わらないものになる。
これが「死体」だ。
第2部:痕跡としての作品
痕跡とは何か
痕跡という言葉で何を指しているのか、もう少し詳しく考えてみよう。
風が砂を吹く。その軌跡が砂紋になる。 水が石を流す。その力が侵食になる。 足が地面を踏む。その跡が足跡になる。
こうした自然現象のなかで残るのは、意図や感情や説明ではない。それは単に「何かが通過した」という事実だけだ。方向、力のかかり方、速度、質量——そうした物理的な情報が、形として残る。
痕跡には、それを作った「何か」の説明がない。意図も感情も運動もない。ただ、通過したという事実だけがある。だから痕跡は、意味の前に立っている。それは「意味が発生する環境」であり、「意味そのもの」ではない。
書かれたものが痕跡だとすれば、読者が手にするのは、作者の「意図」でもなく「感情」でもなく、「運動が通過した跡」だけ、ということになる。
保存と変質——壜のメタファー
保存しようとする試み、それはしばしば失敗する。
新鮮な食材を壜に詰める。「これで保存できる」と思う。でも、詰めた瞬間に何が起きるか。その内容は、もう新鮮ではなくなっていく。酸化する。発酵する。変質する。壜の中では、確かに何かが「保存」されている。でもそれは、元の形のまま保存されているのではなく、変質した形で保存されているのだ。
作品も同じだ。「この瞬間を作品という形で保存しよう」と試みる。でも、保存された瞬間、それはもう「この瞬間」ではなくなっている。時間が経つ。読まれ方が変わる。自分自身も変わる。かつて「今」だったものは、どんどん「過去」へと遠ざかっていく。
だから、棚に並べられた過去の作品は、すべて「死体」のようなものだ。かつて「今」だったもの。でも、今はもう「今」ではない。全部、殺されたもの。
第3部:「事件現場」から「死体」へ——比喩の転換
事件現場という比喩の有効性と限界
「作品は事件現場だ」という言い方は、ある点では有効だ。
事件現場は、「何が起きたか」を推理させる場所だ。散らばった物、残された痕跡、配置——それらすべてが、出来事を語る手がかりになる。だから鑑賞者は、その痕跡から「事件」を再構成しようとする。犯人は誰か。何が起きたのか。どういう順序だったのか。そういう問いへ向かう。
つまり、「事件現場」という比喩は、必然的に読者を「解決」へ駆り立てる。読者は「推理」の快感を求める。「納得する」ことを求める。そういう方向へ引っ張られる。
でも、「解決」がない場合は?
しかし、もし「事件」そのものが再構成できない場合はどうか。
因果関係が解体されていたら。主体が確定しなかったら。時間的な連続性が消えていたら。そうした条件下では、読者は「事件の筋」を復元しようとしても、復元できない。手がかりが足りない。あるいは、手がかり同士が矛盾している。繋がらない。
そのとき、事件現場という比喩は崩れる。読者が手にしているのは「事件の証拠」ではなく、単なる「断片」「配置」「圧のかかり方」だけになる。
つまり「事件現場」は、もう「現場」ではなく、別のものになっている。
それが「死体」だ。
死体と事件現場の違い
死体と事件現場は、根本的に違う。
事件現場は、「何が起きたか」を問う場所。痕跡を通じて、出来事を再構成する。だから読者は解決へ向かう。
死体は、「何が起きたか」を説明しない。説明できない。それはすでに運動を終えた、固定された結果だ。意味的な回収に先立って、そこに存在している。
死体は、おそらく何か事件に関わっていただろう。でも、死体そのものは、その事件を語らない。死体があるだけだ。
だから、読者の関わり方が変わる。
第4部:死体に対峙すること——複数の立場の可能性
事件現場に立つということ
事件現場に立つ、とはどういうことか。あなたが突然、その現場に立ち会った。そこに死体がある。
あなたは、そこで何か一つの役割を果たすわけではない。あなたは、複数の立場を同時に持つことができる。
あなたは警察官かもしれない。事件を解決することが目的。真犯人を見つけ、動機を明らかにすること。
あなたは肉親かもしれない。その死体が愛する人間だったら。感情的な関係性の中にいる。
あなたは犯人かもしれない。罪悪感や、逃走の不安、あるいは別の感情を持ちながら現場を見ている。
あなたは通りがかりの人間かもしれない。何の関係もない傍観者。でも、その場に立ち会うことで、何かを感じずにはいられない。
重要なのは、この複数の立場が同時に可能であるということだ。作者は「こういう立場で読め」と指定しない。死体がそこにあるだけだ。読者は、その死体の前で、自分がどの立場に立つのかを選ぶ。あるいは、複数の立場を揺らぎながら経験する。
選択と責任
その選択には、責任が伴う。
あなたが「警察官」として死体を見れば、あなたの読みは「犯人探し」「事件の再構成」になる。その読みは、作品の一つの側面しか照らさないかもしれない。
あなたが「肉親」として死体を見れば、あなたの読みは「喪失」「愛」「悔恨」といった感情に焦点を当てるかもしれない。
あなたが「犯人」として死体を見れば、あなたの読みは「逃走の不安」「後悔」「自己弁護」といった心理に焦点を当てるかもしれない。
どの立場で見るのか。その選択は、読者のものだ。作者は強制しない。でも、その選択をした瞬間から、読者は責任を負う。自分がどう読んだのか、その読みがどこに立っているのかに、直面することになる。
鑑賞とは「思考すること」
だから、鑑賞とは何か。
答えを探すこと? No。 意味を回収すること? No。 作者の意図を理解すること? No。
鑑賞とは、その現場に立ち会った人間として、「何を見て、何を思うか」という行為そのものだ。
その思考プロセス、その問い、その戸惑い、その選択。それらすべてが鑑賞だ。
そして、その思考には、必ず倫理観が付随する。
第5部:倫理観の自動発生
死体は、倫理を要請する
「倫理」という言葉は、しばしば「規範」「〜すべき」という道徳的な重さを持つ。でも、ここで言う倫理観は、そういう意味ではない。
死体の前に立つ。その時点で、何かが自動的に立ち上がる。それは「この死体に、どう向き合うべきか」という問い。「この死体を、どう扱っていいのか」という困惑。
死体は、勝手に消費していい対象ではない。物体でもなく、ただの材料でもない。かつて「生」であったもの。その固定された結果。だから、それに対する接し方が問われる。
複数の立場と倫理
重要なのは、この倫理観が「一つ」ではないということだ。
警察官として死体を見る人と、肉親として死体を見る人では、その倫理観は異なる。
警察官は、科学的な証拠採取、動かしてはいけない部位、という形式的な倫理に従う。
肉親は、その死体への敬意、触れたい衝動と触れてはいけないという禁止の間で揺らぐ倫理を経験する。
犯人は、逃走を優先させる倫理と、自分がしたことへの倫理的責任の間で引き裂かれる。
通りがかりの人間は、何もしてはいけないという無力感と、それでも何かを感じずにはいられない責任感の間にいる。
つまり、倫理観は複数で、流動的だ。絶対的な規則ではなく、その立場によって変わる。そして、その立場を選ぶのは読者である。
倫理観は「要請」ではなく「発生」する
ここが重要な点だ。
作者は「倫理的に読め」と要請しない。死体として作品を提示することで、倫理観が自動的に発生する。それは、死体という対象の前に立つことの自然な結果だ。
つまり、倫理観は、作者からの命令ではなく、死体という物質性そのものがもたらすもの。だから、読者は「倫理的であるべき」という道徳的な圧力を感じるのではなく、単に「この対象に対して、どう接するか」を問わざるを得なくなる。
それは構造的に必然化される。選択の余地がある形で、でも確実に立ち上がる。
第6部:作者の側の放棄
作者は何もできない
ここで、作者の側の問題を考える必要がある。
作品を死体として提示する。その時点で、作者は多くのことを放棄する。
「こう読んでほしい」という願い。 「この意図を汲み取ってほしい」という期待。 「正しく理解されたい」という欲望。
すべて、手放す。
なぜなら、死体として提示された時点で、読者はその死体をどう扱うか、自分たちで決めるしかないから。作者には、もうそれに対する発言権がない。
読み手の暴走に対する無力性
そして、もう一つ重要なのは、作者は読者の暴走に対して、何もできないということだ。
死体として提示された作品に対して、読者が暴力的に接することもできる。踏みにじることもできる。無視することもできる。作者には、それを止める手段がない。
だから、作者は「倫理観が守られることを期待する」ことしかできない。でも、その期待が保証されることはない。
つまり、作者は「倫理観を要請しながら、その実現を保証できない」という矛盾した立場に立つ。
でも、それでいい
でも、それでいい。というより、そうであるべきだ。
作品を死体として置くことで、読者の自由が最大化される。読者はどう読んでもいい。どう解釈してもいい。どう怒ってもいい。どう感動してもいい。その自由が守られる。
同時に、その自由の中で、読者は自分の読みに責任を負う。どう読んだのか。なぜそう読んだのか。その読みが何を露出させているのか。それは、読者自身の問題になる。
作者は、その読みに対して「ありがとう」としか言えない。その読みが何を体現しているのか。読者がどこに立っているのか。それを受け止めるだけ。
第7部:節度と敬意——接触の作法
死体は「接触の仕方」を問う
死体に対しては、自動的に「接触の仕方」が問題になる。
勝手に動かしていいのか。触ってもいいのか。どこに触ってもいいのか。どれくらいの距離を保つべきか。
死体という対象の存在が、これらすべての問いを立ち上がらせる。
それは、規則や指示ではなく、死体の物質性そのものから発生する問い。だから、強制的だが、外部から与えられた命令ではない。その場に立つあなた自身が、必然的に問わざるを得ないことになる。
敬意と距離
死体に対する接触の仕方には、必ず「敬意」と「距離」が含まれる。
敬意とは、それが「かつて生きていたもの」である、という認識。単なる物体ではなく、何か意味のある対象として扱うこと。
距離とは、無闇に近づかない、無闇に触らない、という慎重さ。あるいは、感情的に引き込まれすぎない、という理性的な保ちの問題。
これらが、死体の前に立つ者に必然的に要求される。そして、その要求は、作者からのものではなく、死体という対象そのものからのものだ。
複数の立場による節度
先ほど述べた通り、死体に対する立場は複数だ。それぞれの立場によって、敬意と距離の取り方は異なる。
警察官としての敬意と距離。 肉親としての敬意と距離。 犯人としての敬意と距離。
それぞれが異なり、相互に矛盾することもある。でも、その矛盾の中で、読者は自分の立場を問い続ける。
その問い続ける行為そのものが、節度を生む。
第8部:読者の多様性と責任
「何をどう読み取られても、ありがたい」ということ
だから、作者としての立場は、シンプルだ。
「何をどう読み取られても、ありがたい。考えて言葉に出していただいて、『良い』と思う。」
なぜなら、それは読み手が自分の立場を体現しているに過ぎないから。
その読みが「浅い」か「深い」か。その読みが「正確」か「誤読」か。そういう判断は、作者はしない。できない。なぜなら、作者はもう、その作品に対して「正解」を持っていないから。
代わりに、読者の読みを通じて、「その人がどこに立っているのか」が明らかになる。その人の世界観が、立場が、倫理観が、読みの中に現れる。それは、読者自身を体現している。
読者の自由と責任
だから、読者の自由は最大化される。同時に、その自由の中で、読者は完全に責任を負う。
「何もしないでいい。でも、何かをしたなら、その選択に責任を持て」という構造。
読者は、死体に対して、警察官になることもできるし、肉親になることもできるし、犯人になることもできる。でも、どの立場を選んだのか。なぜそこに立ったのか。その選択は、読者のものであり、読者が負う責任だ。
第9部:「解釈」から「鑑識」へ
解釈とは何か
通常の鑑賞では、「解釈」という言葉がよく使われる。
「この作品をどう解釈するか」「作者の意図を解釈する」「隠喩を解釈する」
解釈とは、基本的に「意味を見つけ出す」行為だ。作品の奥に隠された「本当の意味」があると仮定して、それを明らかにしようとすること。
鑑識とは何か
これに対して「鑑識」は、別の行為だ。
鑑識とは「そこに何があるのか」を調べること。
意味を見つけることではなく、物質そのものを見ること。断片の配置を見ること。圧のかかり方を見ること。切断面を見ること。継ぎ目を見ること。
意味の前に立つ。意味に到達する前の段階で、すべてを見る。
死体に対する行為は、まさに鑑識だ。医学的な検死から、警察による現場検証から、肉親による最後の対面まで、すべてが「意味を見つけ出す」ことではなく「そこに何があるのか」を直視することだ。
鑑識の多様性
そして、鑑識は、立場によって見えるものが変わる。
警察官の鑑識:血痕の位置、致命傷の部位、推定死亡時刻 肉親の鑑識:顔つき、手の状態、最後の着衣 犯人の鑑識:自分の行為の痕跡、逃げられたかどうかの可能性
同じ死体を見ていても、見える側面が異なる。そして、どの側面を見るか、という選択は、立場を選ぶことと同じだ。
第10部:作品を死体と呼ぶことの意味
三つの層
作品を死体と呼ぶことの意味は、三つの層から説明できる。
第一の層:時間論 書かれたものは、流れるものを止めたもの。生から死への相転移。このプロセスは、必然的で不可逆的。すべての作品は、この構造を免れない。
第二の層:物質性 死体は、対象の前に立つ者に、必然的な問いを立ち上がらせる。「これにどう接するか」という問い。その問いから、倫理観や節度が発生する。
第三の層:関係性 死体として提示することで、読者の自由が最大化される。同時に、その自由の中で、読者は完全に責任を負う。複数の立場の可能性が開かれ、読者はそこに立つ。
これら三つが重なることで、「死体」という呼び方が、単なる比喩ではなく、制作と鑑賞の本質を指し示すことになる。
なぜ「比喩」ではなく「概念」なのか
「死体」を「比喩」として使っているのではない。それは「概念」だ。
なぜなら、比喩は「本当ではないこと」を指す。比喩は「例えるならば」であり、実際のことではない。でも、作品が死体であることは、比喩ではなく、制作と時間の本質についての記述だからだ。
書かれたものは、本当に死である。本当に痕跡である。本当に過去である。その時点で、鑑賞のあり方が本当に変わる。
だから、「死体」は概念であり、制作と鑑賞の根本的な構造を指す言葉。
終章:常に問いの中に
循環構造
結局のところ、この全体は、一つの循環を成す。
今(生)→ 書く → 死体(痕跡) → 触れる → 今(新しい生) → また流れる → また死体...
この循環を通して、存在を確かめる。 何が流れたかを知る。 何が変わったかに触れる。
そして常に、問い続ける。
「今はどこにあるのか」 「私はどこにいるのか」 「書かれたものは何なのか」
答えはない。でも、問い続けることで、「今」にいることができる。存在を確認できる。
読者を前にして
作品を死体として置くことで、読者は複数の立場の可能性を引き受ける。その中で、どこに立つのか。どう接するのか。その選択と責任の中で、鑑賞が成立する。
作者は、その読みのすべてに対して「ありがとう」である。なぜなら、それは読者が自分たちの世界を体現しているに過ぎないから。
倫理観も、節度も、敬意も。すべては、死体という対象の前で、自動的に立ち上がる。作者が強制するのではなく、その場に立つ者が必然的に問わざるを得ないことになる。
最後に
戸惑いながら進むこと自体が、この仕事に値する。 怖いまま進む。 わからないまま触る。 常に問いの中にいる。
そして、いつか手を離す。委ねる。
書かれたものは死体。 でも死体があることで、生が見える。
判断基準の矛盾と、その本質——排出と形態化による創作の構造
(多々AI対話推敲Claudeで記事作成)
判断基準の矛盾と、その本質
——排出と形態化による表現の構造
2026年3月21日 18:56
はじめに
表現活動において「判断基準」という言葉は、透明で客観的であるかのように扱われる。作品が完成したとき、「これは良いのか、悪いのか」「どこを修正すべきか」という判断を下すために、何か確固とした基準があるはずだという前提が置かれやすい。
本稿が扱うのは、その前提の揺らぎである。
判断基準は、表現の前に先立つ固定的なものではなく、表現行為の中で立ち上がる。さらにその基準は、客観的に一つに定まるというより、触れ方(接触の質)によって毎回変わる。
表現を論じるには、この不安定性を欠陥としてではなく、表現システムの構造として捉え直す必要がある。
混沌とは何か
混沌とは脳内の未然の渦である。ラベルをつけられていない、複数の可能性が同時に回転している状態。意識の表面に上がる前の、生きた思考の領域。ここでは生死の二項対立さえ成立しない。生きてもいなければ、死んでもいない。ただ、そこにある。
表現行為とは、この脳内の未然を外部に排出しようとする運動である。言葉を書く、形を彫る、音を配置する、身体を動かす、映像を編集する——あらゆる営為において、内部の混沌は何らかの形態に変換される。この排出は、多くの場合避けがたく起きる。混沌が外に出ようとする衝動が止められないからである。
排出の不可避性と形態化による「死体化」
排出した瞬間、混沌は混沌ではなくなる。テキストになり、形態になり、音になり、動きになり、構造を持つものになる。
ここに喪失が起きる。排出されたものは、混沌そのものではない。混沌の運動が、輪郭として残った痕跡である。
本稿では便宜的にこれを「死体」と呼ぶ。ただしそれは価値の否定ではない。生の運動が、他者に触れられる形で残った状態を指す。
そして、この「死体化」こそが、他者に触れられる条件でもある。形態を与えることで、生きていた思考の運動の跡を、他者が追跡可能にしている。
判断基準の矛盾
ここで判断基準の矛盾が生じる。形態化された作品に対して、「これは完成したか」「どこが崩れているか」「どう修正すべきか」という判断を下そうとする。しかし、その判断基準は、どこに立つのか。
排出前の混沌に立ち返ろうとしても、排出された瞬間、混沌は消えている。形態だけが残っている。形態を眺めることで何が見えるのかは、接触の質によって毎回異なる。全体を前から見るのか、重なりを観察するのか、通底する構造を読むのか——その見方によって、判断は変わる。
つまり判断基準は、判断の前提として先立つものではない。排出・形態化という行為の中で立ち上がる。そしてその基準は、形態に触れるたびに更新される。形態を眺めるたび、それは新しい「今」を発生させ、その中で新しい問いが立つからである。
新しい問いの発生
形態に触れることで、新しい問いが立ち上がる。「この形態は何か」「この配置は何を指しているのか」「この痕跡の意味は」——形態化した瞬間に、新しい未然の渦が生じる。
その新しい問い、新しい渦に対して、判断基準を立てようとする。だが、その瞬間に、また新しい形態化の試みが始まり、またその中で新しい問いが立つ。この循環は終わらない
構造としての必然性
この矛盾は、解決されるべき欠陥というより、排出・形態化という行為が持つ構造として現れる。
混沌が形態に変わること。その形態から新しい混沌が立つこと。その新しい混沌をまた形態に変えようとすること。表現は、この反復の中でしか持続しない。
判断基準を固定化することは、この循環を止めることに近い。固定化した瞬間、形態は閉じられ、触れられない過去に封じ込められる。生動性を失う。
判断基準の正体
判断基準は、固定されてはならない。その都度立ち上がり、その都度消える仮設として扱われるほうが、表現の運用に適している。
判断基準は、過去の版との比較の中で生まれる。「ここが前と変わった」「このバージョンではこう異なっている」——時間の中での変化を追跡することで、初めて精度が生まれる。
それは固定的な基準ではなく、変化そのものを基準にすることである。判断基準を外部に求めるのではなく、形態が時間の中でどう変わるのか、その変わり方を追うことが、表現を続けるための現実的な方法になる。
循環構造
混沌(脳内) → 排出(表現行為) → 形態化(痕跡) → 触れる → 新しい問いの発生 → 新しい混沌が立つ → またそれを形態化しようとする
この循環を通して、表現は存在する。
判断基準の矛盾とは、この循環が内包する緊張の表現である。矛盾を解決しようとするのではなく、その矛盾の中で判断を仮設し続けることが、表現の実務になる。
記憶から距離を置く。理解を留保する。判断基準を問い直す。その問い直しの中でしか、生は更新されない。
結論
混沌は排出されることで形態に変わり、新しい問いを発生させる。その新しい問いから、また混沌が立ち上がる。
これは真理や法則というより、表現行為の中で反復されやすい構造である。
表現とは、この構造の中で、固定しない判断を重ね続けることである。削りながら、弄びながら、常に問い直しながら進む。その生動性を、運用として維持する。
一つ
一つをする
一つのこと
一つのことだけを
むしろ
それだけしかしない
たとえ何かを
伝えたくなっても
それでしかしない
一つのことだけで
一つをする
一つのこと
一つをする
上町の家。
子どもの頃に暮らした家がある。
こじんまりとしていて、それゆえ使い勝手の良い家だった。
お風呂に勝手口があり、
開けると家の裏はそのまま江ノ口川だった。
母はよく風呂の水あかをすくい、勝手口から川に投げた。
ドアノブの影がホットドックに見えた。
幼い私は、その影を見るたび、
心の中でかぶりついていた。
向かいの家は石川さん。
留守番の時は、よく長居させてもらって、
お菓子をもらうことが当たり前のようになっていた。
壁は薄く、隣人の階段を昇る音が聞こえた。
ずっと幽霊の足音だと思っていた。
もう片方の隣には、画家が住んでいたらしい。
覚えているような、いないような。
それでもアトリエの記憶が、一枚の写真のように
心の中に残っている。
実際の風景なのか、心象風景なのか、
今となってはまったく分からない。
美しい南天の実がなっていた。
赤い実というのは、宝物のように見える。
ベランダは木の床で、朽ちれば新しく替えた。
替えたばかりの木の感触が、素足に残る。
鉄の門は、何度も色を塗り替えた。
私はよく、よじ登り、揺らして壁にたたき付け、
その振動を楽しんだ。
兄弟で部屋を散らかした時、
父が怒って裏の川にすべて投げ捨てたことを覚えている。
あれから、だいぶたった。
季節は何度も巡り、家々も人も変わっていった。
父も介護が必要になった。
家は年々、暮らしやすくなっていく。
それでも私は、あの家に戻りたいと思うことがある。
リフォームもせず、古いままで。
しかし、戻ることはないだろう。
今日も、手間のいらない世界の中で暮らしている。
父のデイサービスの日程を決め、
介護リフォームの間取りで悩む。
今はただ、
父が一日でも長く生きて、
その一生を
幸せに締めくくることができるようにと祈る。
shidan
遠い森の中
色とりどりの鳥たち
麗しくよくとおる声で
さえずりあつて
私は立つ
酢漿草の上
何も聞こえてこない
ただ遠くで森が揺れてゐる
変わらぬ森の深さ
知らない風の記号に
新しい鳴きかたを
鳥たちが試しだす
私は蹲う
落雁色の空の下
新しくはないやりかたで
又同じみぞ筋を掘りなおす
https://i.imgur.com/la2ngxV.jpg
ひらがなで噛む
かわいいきみに
みらいをのろう
あいのおもさを
とわにちかおう
専業主婦のラップ
朝6時 起床 脳内起動
夢では労働 現実無報酬
体重計乗る 増えてる数値
食ってねーのに なんでだマジ?
髪の毛 輪ゴムで 留めるモード
流れる ワンオペ 毎日ロード
サランラップ 入口が分からず ストップ
イラつき ループして メンタル ドロップ
専業主婦 ノーギャラワーカー
でも回してる この家メーカー
見えない労働 無限のループ
誰か1人でいい 気づいてくれルール
焼肉の日 肉を並べるプレート
煙と油で リビングがフレイム
家族は バクバク 口にイン
肉 野菜 どんどん 消えてくシーン
焼いても焼いても 皿はクリーン
腹は減ってる 私はノーフィード
飯を作ってる 私のサイド
旦那はテレビの 感想ガイド
「このドラマさ〜」って それ今??
こっちは命がけ 食事のジムな!!
専業主婦 ノーギャラワーカー
でも回してる この家メーカー
休みもない 終わりもない
それでも回す この世界
私は無課金 生活ライン
息子は課金で レベルをスカイ
私はAndroid リアルにロー
息子はiPhone きらびやかフロー
一日終わる でもまた始まる
繰り返すループ 抜け出せないカルマ
それでも信じる この日常ルート
無駄じゃないって 言い聞かせる
誰かのために きっと生きてる
無駄じゃないって 信じてる
信じてる
信じてる
石蛍
無機物の生命が
いないとなぜいえるのか
蛍石にたいして
石蛍がいないとなぜいえるのか
じゃあ、石蛍ってなーに?!
その名の通り
石でできた蛍でござい
たん、たん、たん、と明滅し
たんたんたんと
魂の宿るところにおるのです
しいたまじゃなくて!?
しいたまではござらん
じゃあ、しいたまってなーに?!
しいたまとは
強いて言うなら珠であり
敷いた卵でござい
卵を敷いたのはもちろん親鳥でござい
卵の親鳥じゃなくて!?
さよう
じゃあ、卵の親鳥ってなーに?!
卵の親鳥とは
かつて卵だった親鳥によって
産み落とされた卵の行く末であり
今はまだ卵でもある親鳥のことでござい
つまり、時間とは水平に続くわけではなく
前期後期という言葉があるように
前か後ろにあるのであって
上半期下半期のように
上や下にもあるのである
ということはだな
卵の親鳥親鳥の卵は
同時に成り立つのでござい
石蛍が成り立つことも
これで自明になったわけです
蛍が光るように
石も光る
開けば開くように
閉じれば閉まるのである
石蛍のしいたまが
親鳥に産み落とされて
夏
水死体の午後が
開く
投げ出された脚のように
凍えて閉ざされる
だけなのでござい
いつまでもそのままのあなたでいて
頭上に落ちてくるまで箱を高く積み上げるあなた
食べてる最中なのに、弁当箱の形が変だといって裏返すあなた
手元に集中して足元を見ないから転びそうになるあなた
帽子の表裏が逆のまま歩いていくあなた
朝の挨拶はしないのに、新年の挨拶はするあなた
ほとんど喋らないのに、今日は声が出ないというあなた
見ると分かるはずのイタズラに100%引っかかってくれるあなた
なんて無邪気なの!!
残念ながら、わたしはそんなあなたが大好きです!
アスファルトの色
下り坂に入ると
アスファルトの色が変わり
道が広くなった
小学生のとき
車に迫られながら自転車をこいだ
サドルから腰をあげて
立ちこぎをした上り坂
背負ったバットが肩を叩いた
息を切らして着いたバッティングセンター
小銭を落として追いかけ
自転車が倒れた
メーター料金が上がる
金属バットの音は
聞こえない
隣の母は
ホットコーヒーの缶
両手で包んでいる
触れるとどちらも冷たかった
アスファルトの色が変わり
慣れた狭い道
なだらかに上り坂
バットのない自転車が
窓を横切った
即時一杯の飯に如かず⑩
ep.10「珈琲とチーズケーキ」
週末は休日返上、こんな事で有給消化が実現するのか。
宗一郎との約束をキャンセルするのが忍びなくて、ギリギリまで書類をまとめ、先方に連絡を取りながら夏空を仰ぐ。
いい天気だ、仕事してる場合じゃない・・・・・・何やってんだ、俺は。・・・・・・
「お疲れ様です」
声をかけられ反射的に顔を上げると、路嘉が立っていた。
「今日、出勤してるような話を、まぁ・・・・・・聞いたんで」
「会社では話かけるなと言った筈だ」
「いいでしょう、誰も居ないし。これ、差し入れ」
手渡されたビニール袋には缶コーヒーとチーズケーキ。
販売前からネットで話題の復刻版じゃないか。抽選販売なのに、どこで入手したのか尋ねる寸でに言葉を堰き止める。
────あの日の嘘に傷つく自分に追い立てられ、路嘉に嫌な思いをさせるくらいなら黙っている方が利口だ。
「何も聞かないんだね」
今にも泣きだす揺らぎに俺の方が動揺して、肩に手を伸ばして・・・・・・しまった。今、勤務中。・・・・・・場所を弁えて手を引くと路嘉の目から涙がこぼれる。
泣かせて、しまった。
完全に悪者になった気分で、ため息をつかないようにゆっくり息を吐くと心拍数が跳ね返り急かす。緊張感に耐え切れずオフィスから路嘉を連れ出して話だけでも聞くことにした。
頼む、頼むから声を出して泣かないでくれ。
社内で部下を泣かせるなんてコンプライアンス重要視している弊社ではあってはならないこと。一部始終、監視カメラで録画されている。
どんな理由で相手が感情的になっても泣いたらまずい、落ち着け。
宗一郎のように慰めてやる術を直ぐに思いつくほどロマンチストでもなければ、和真のように優しい言葉で包み込んでやれる度量も、俺には無い。
惨憺たる状況に路嘉の言葉が続く。
「もっとキレイに遊んでよ」
「遊び・・・・・・て、誰もそんなこと言ってないだろ」
「そんな風にしか見えないよ」
「じゃあ聞くけどお前この間、誰と飲んでた」
勢い任せに声を荒げ、振り返ると、立ち止まる路嘉と至近距離で見つめ合う。
涙を染み込ませた唇から生意気な言葉はひとつも出てこない、どころか。困り顔で短く息を吐きながら、俺の腕を掴む仕草があまりにも可愛すぎて語彙を全て失う。何なんだ、お前。そんな顔したって許さんぞと心を鬼にしなければ、抱きしめてしまいそうだ。
ああ、もうどうにでもなれと路嘉の背中を押して暗がりの給湯室へ踏み込む。
ドアを閉めた途端に抱きつかれた勢いで壁に手を付く。今度はお前から、やめろ上着が濡れる。動くな。
背後のドア越しに台車を押しながら電話の取次ぎをする業者の騒々しさを黙ってやり過ごし、狭間に立つ俺は息を潜めて、見上げる路嘉から顔を背けた。
「怒ってるの?友達と飲んでた」
「そうか。いつもならすぐ既読になるのに返事がなかったから」
「絢斗には関係ないでしょう」
「お前のこと心配して悪いのかよ」
「悪いけど?絢斗が構ってくれないから慰めて貰ったの」
急展開に、眼鏡がズレ落ちる。
「奥さんいる人だし一回だけ。もうしないから、ちゃんと俺のこと見てて」
何を言ってるのか理解できなくて、確認のため聞き返す勇気がどこにもみつからない。
そうか、俺は甲斐性が無いから"また"浮気をされた。起きてしまった事は変えられない、路嘉の男らしさに絶望するのではなく俺ができる償いを建設的に考えよう。
路嘉が飽きないように満足させて・・・・・・やれる自信が全くない。・・・・・・メンタル落ちたくらいで不倫するなんざ、どういう了見だ。ふざけたこと言いやがって今度やったらただで済むと思うなよ。そんな意味合いを込めて小悪魔の頭を撫でてやる俺の精一杯なエピソードを聞く宗一郎は気の毒そうな目で、ルージュのファルコネを注いだ。
雨音は色を変えて
雨粒は
カーテン越しに
夜半の符号を 未だ打っている
その拍子に合わせ
わたしの手は
部屋の冷気と
布の囁きを 探る
春の冷たさを
すこしだけ避けながら
すこしだけ受け入れる
レースの 向こうに
フリルの 内側に
そんな色を 想う。