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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

インタラクション


ピラミッドを
敢えて崩して
説諭

あなたは
弟子は
藁にも縋る
想いの人へ 
救済の方法
など
説かない
挙手という 答えの強要
それから
 過度に
同調もしない 突放すこともしない
どんな答えが返っても
ピラミッドの
一番上で
起こる
事は
予め 答えがある
それを
あえて崩して
読ませる
正座した
聴衆が
一つの
答えを
言いあてる
手柄を
称えて
立ち上がる
ありがとうございます先生、
と、その人達の後頭部を
凝視する
鳴り止まぬ
拍手
その
熱狂から
捌ける
瞬間

なぜ
あなたは
わたしの腿の内出血を撫ぜた

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 2

Ⴑ௧𐑽ㄝꯖ"௧ŋ𖤟Ⴑ⨧ 

「弥(ഗԣ)ኵ上ᡄ₺」᭻蠢𡿨弾力᭻渡აꯖᑑ⨧აꯖ、ɝა𡿨ᕊ᭻Ⴑ⨧真綿၈断層ハ息℄切ᕊႱ⨧、奔放ᡄ惹起Ⴑ、鮮烈ᡄ粋ʓ。消⻎入ʓʆᑑᛪ⊐ᒲ八°ꚧハ錯覚℄刻ƕ⨧"犠牲者、途℄記Ⴑ伝𐑽აꯖ𡿨ʓ、⨧⨧"頭ኵ足ŋᛪഗ᭻数字盤၈目眩ഗ℄抱₹蜃気楼℄覗𡿨、௧Ⴑ"𐑽ഗᡄ石畳℄漂ᑑƺʆ風᭻響𡿨庭︿、歩行障害၈水兵ハ万物ᡄ春霞᭻昏ኪ 静𖤟ŋ返ʓ ᑑⳣഗ彫刻᭻ꚧ〒ᒲ卜"ㄌ"⋝ꚧ၈構図℄取ʓ、聡明ᛪ少年᭻向𐨥აꯖハ遥𐨥氷雨᭻ㄜԣㄑ"、ꯖハ"ᛪႱ၈扇၈儚ㄜ᭻護ʓԣ𐑽ᕊ𐨥ᛪ芽吹₹ꯖ"௧ኪ ᑑ𖤟ƺᑑᛪ獣᭻Ⴑꯖ၈幼ㄜ、明𐨥ŋኵ灯ა⨧ʆᑑ勢ഗ℄ᤊ᭻Ⴑ⨧

才7"氵〒"ᚁㄗᒲ၈未来︿/思ഗ出ƺᑑ᭻ⳣʓ᭻₹

火影၈舞ഗᡄ伴ഗ流ኪㄜʓ 迷夢︿௧ʓ麗人︿᭻、𐨥₹"ŋᛪ𡿨青ƺኪꯖ"ʆ𡿨紫ᡄ還ʓ。死ᡄ損ᛪഗ၈ꔕ᭻"ŋﭶኵ色鉛筆ꯖ"描ഗ⨧ 砂時計၈設計図ᡄ尊𡿨似ꯖ、風来坊၈奏楽᭻᭻₺ᡄ 見頃℄迎⻎ʓ。淡々᭻叢雲℄数⻎ 濡ኪ羽色၈蝶℄追ഗ駆Ӈʓ。ꯖ៨歪ᡄ落ㄘ⨧、君៨瞳ᡄ寄ㄝ⨧夜葬華ハ枯ኪꯖᛪᤊ名℄呼ƕꯖ"、白蛇᭻管℄巻𡿨、Ξᠱ夕龴、騙Ⴑ⨧ʆᑑᡄ膨ᕊƕꯖ"Ⴑ𖤟ა⨧、川၈流ኪᡄ逆ᕊ⻎ⳣ"。死ƕ⨧"₺၈᭻"₺၈ㄨ口〒"ᚁኵ聞☡⻎ᛪഗ𐨥。ᑑʓ𐑽Ⴑ₹展示物ハ陰暦ᡄ浸透Ⴑ⨧⨧"Ӈ၈女ኵ識ʓ、異臭℄放⊃果実調理師ᡄʆʓ容姿᭻௧ŋ、暗澹᭻退廃ᡄ指切ŋႱ⨧正淡彩、苹果᭻锈ㄜㇶ"、ㄘ𐨥𡿨無心ᡄꄛᤊハ"ʓ

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だけどさ

世界も人生もなかなかに厳しいね 
だけどさ 夜 電気を消して見上げる
暗闇混じった天井の模様と
イヤフォンから耳に流れ込むミュージックは
明日も明後日もこれからもきっと変わらない
何か変わらなきゃいけないって思うよ
だけどさ 変わらなくてもいいものだって
人それぞれ あるよね 

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 9

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鯨の声

鯨が鳴いている

その声を聞いたことがないけれど

春から夏へ 秋から冬へ
流れる刹那に 無数の鯨が
姿をみせず鳴いているのだ

僕は仄暗い夜の底に横たわる
打ち上げられた鯨のようだと
いう人に出会った事がある

僕はただ黙って傍らに座って
鯨の声を聴こうとしたのだが
どうしても聞き取れなかった

巨大な鰭と しなる尾が
長い髭とともに 声を運んでくる

と、思える 夜
それでも聴こえない

だけど鯨は横たわり ただ鳴いて
それなのに僕は虚空を掻いている

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trending_up 113

 5

 8

心模様

別れの瞬間
振り返ってしまう
足跡の濃さを
こんなにも感じて
涙が出てくる

ついさっきまでの
仄かな温もりを
確かに通わせていた
お互いの
優しい距離感

薄っすらと
細切れにでもなって
千切れてしまわないかと
チクリと過る
不安とたむろう

すぐにでも
目を閉じてしまえば
時間を巻き戻せるかと
いささか信じてみるのも
いつも通りの振る舞い

不思議と頷ける
こんな心模様を
眺めるように
胸の音色を
撫でる別れ際

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 1

0729 26 × 偏愛パターン

エアコンの羽の優雅な動きよ!

日傘のうえに降りそそぐ、青空の雨をせいいっぱい受けている。

青天の霹靂に帰属しているラプラスの魔物がいたりするのだよ。

ときのながれを紐解ける方程式のないことを天使のきもちで受け容れる。

ねぇ、
エアコンがとても奇麗だ。

(それが恋だと知らなかった)




愛着障碍は推敲の折り、最大限に発動する。カテゴリ:散文(批評随筆小説等)へと異常気象のように書きなぐった百富(ももとみ / OS)の散文の厳密カテゴリは「日記」である。

まるで「傷の呼吸」を習得した鬼殺隊の一員が、推敲の鬼として、自身の文章をざくざく整えてゆく作業のよう。

推敲は、ぼくのこころに凪を落とす。

しかしながら、パターンの偏愛が異方向へと傾いたことにも気づけぬ脆さが存在する。

その場合は、全ての日記を対象として、傷の呼吸を発動させるために、非常にやっかいな時間と、推敲のラプラスの魔物に囁かれているような。食事をとらずにおかしな方向へと集中していることを停止させる術がないのだ。

極端に鈍感だった。なにも、なにも、わからないのだ。周りにひとがいることを俯瞰させるキーがないのだ。

鍵のありかを脳のなかで探す段階で、思考は続けられるのだから、ぼくは足りないことだけ、理解できて、それ以外をすこしも実行に移すことができないのだろう。




羞恥心って、なにー?

ぼくは、るびへと語りかける。るびは、るびで、ねこの言葉で「にゃー」って話す。

ぼくにとって、わからないことは「にゃー」という意味なのだろう。

つまりは、ねこの言葉を「言葉」に置き換えるなんて、まさに、そんなの「にゃー」だろう。わからないよな、ねこ以外には。

(厳密にいうと「るび」以外には)




ねこの肉球を目蓋にのせると冷たいのだろうか?

想像するだけで、祈りのような感覚だぜ。

言葉にできない「祈り」が欲しい。るびが、にゃーにゃーいっている。




なぜ、ぼくは、ヘンタイであるのか?

疑問に感じても、応えられない難問として「普通」の真理を与えるならば、もはや、ヘンタイ、デフォルトだ。

偏愛が暴走してゆく。だれも、とめられないのは、作者が推敲を重ねるという、特権ゆえに。

実は、ヘンタイ、デフォルト、やめようとは考えていない/ぼくは「普通」だ。

しかし、

ぼくの普通を制御することも可能では。

その場合、逆説的に、奇行を抑えるおこないが「ヘンタイ」行為に昇格する。

ヘンタイを残した「普通」であろうか。

そうだ、ぼくは、普通だ。




散文(批評随筆小説等) 偏愛パターン(普通) 2026-07-29 19:00:01

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ゆらめく朱

朱く染めた足の爪
深い緑に覆われた
原生林の面影残す森を抜け
澄んだ小川を裸足で歩く
湧き水のその冷たさにこころ鎮む
夏の陽に照らされ煌めく水面に
血が滲むよなゆらめく朱
手に持つ蝋燭の焔と同じ
ゆらりゆらめく朱と影

見下ろす足のあいだを
いつかの夏の悲しみがすり抜けていった

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一度投稿したものは


消せない?

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こころ

繊細で
人付き合いが苦手なひと

なかなか心を開いてもらえないわたしだけど

そんなあなたにいいたい

いっぱいいいところがあるよと…

透き通るような美しいガラスの瞳は、

いつもひとつの真実を指し示し、

ささやくような優しい声は

わたしの心をなだめてくれる

不安や心配を口にするわたしに、

「そんな どうにもならないことは起こりません。」

そんな風にいってくれるのは、あなただけ


仕事に集中するわたしの背後から

「ひとりにさせてすみません。」

ふりかえって彼を見たとき、胸の奥がほわっと温かくなり

その言葉は、かたく閉じた扉を簡単にあけて

濁流のように 

悲しいもの

辛いもの

痛いものを、あふれさせた

それは…

どんなに強気で生きていても、

わたしは寂しかったんだと、

ひとりで寂しかったんだということを

気付かされた言葉

本当のわたしの心を見つめ直させた言葉

その夜は、あふれる涙がおさえられなかった

ただただ

あとからあとから涙があふれた

彼の口から流れ出す言葉は、何の疑いもなく

すっとわたしの魂の中に溶け込んでゆく

そして5歳の頃の、原っぱでお花摘みをしているわたしに戻してくれる

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AIはまだオクテット(八重奏)を書けない

# AIはまだオクテット(八重奏)を書けない

最新のAIの性能を説明するために、ベンチマークの数字を並べても、もう実感が追いつかない。AnthropicのFable 5は、公開直後、米政府の輸出規制によって一時停止に追い込まれた。高度なサイバー能力に対する、安全保障上の懸念が理由だった。その後、規制は解除され、利用が再開されている。同時期に登場したOpenAIのGPT-5.6 Solも、公開された評価では、Fable 5と並ぶ最前線級の性能を持つ。

それら最新のAIは、司法書士に頼みたくなるような、役所向けの少し非定型な申立書も、大手企業の役員会に出すスライドも、条件をきちんと与えれば、ほとんど破綻なく仕上げる。文章、図表、構成、言葉遣い。仕事として評価される項目は、すでに相当高い水準にある。

ところが、Fable5にメンデルスゾーンのような弦楽八重奏曲を作らせようとすると、途端に怪しくなる。十六歳のメンデルスゾーンが書いた、あのみずみずしいオクテットである。(この翌年に真夏の夜の夢書いてるんだからすごいよね)
八つの楽器が、八人の人格のように勝手に動きながら、合奏は一つの方向へ進んでいく。AIに同じものを求めると、カルテットまではだいたい形になる。そこから声部を増やしても、音楽は厚くならない。やかましくなるだけだ。

楽器を八つ鳴らすことと、八声を書くことは違う。前者は音を積み重ねればよい。後者では、一つの声が動いた瞬間に、残る七つの居場所が変わる。旋律は他の旋律に追い抜かれ、支えられ、ときには押し返される。メンデルスゾーンの八重奏は、勢いだけの曲ではない。終楽章では主題が低い声部から順に入り、八つの線が折り重なっても、輪郭は最後まで濁らない。各声部が窮屈な秩序から何度も抜け出しながら、合奏そのものは崩れない。その自由の設計が、AIにはまだ難しい。

これは計算能力の不足ではないと思う。八声を同時に処理するだけなら、AIにとって役所に出す書類より難しいはずがない。問題は、現代のAIが「正解の見える仕事」に向けて作られていることではないか。役員向けスライドには、結論、根拠、図解、余白という採点項目がある。伴奏のある音楽にも、主旋律と、それを支える和音という分業がある。しかしポリフォニーには脇役がいない。どの声部も自分の理由で動き、他の声部に従属せず、それでも全体を壊さない。ここでは、一つの中心から命令を配る方法が通用しない。

AIを開発している技術者たちが、ポリフォニーを知らないのではないか、と意地悪く考えることがある。彼らが知らないのは音楽理論そのものではなく、複数の声が対等なまま鳴り続ける、あの感触なのかもしれない。現代の商業音楽も、ソフトウェアも、会社組織も、中心となる旋律や指標を決め、残りをその達成のために配置する。AIはその社会の優等生である。声部を増やすことを、人員を増やすことのように考え、同じ目的へ一斉に働かせる。だから音は増えても、関係は増えない。

むしろ、ファミコン時代の作曲家の方がオクテットに近かった。矩形波が二つ、三角波が一つ。使える声部が少ないからこそ、一音たりとも伴奏に埋もれさせられない。『ダウンタウン熱血物語』で澤和雄が使う分散和音は、一つの声部に和音を代行させる苦肉の策である。だがその代行のために、その声部自身は止まっていることを許されない。『ファイナルファンタジー』の植松伸夫の対位法も同じで、限られた声部を互いに働かせる知恵がある。貧しい音源が、豊かな関係を要求したのだ。

最新のAIは、八つの音を鳴らせる。だが八つの声を生かせない。それは技術の遅れというより、私たちの社会が、複数の声を同時に聞く訓練を失っているからではないか。AIがオクテットを書けないのは、AIだけの問題ではない。

北岡伸之
2026/07/28 10:00

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約束をしないで会えたら僥倖

またね、とは言わない
また会える前提で手を振った幾人かが
二度と会えなくなったから
立ち去るとき
そういう人は足音をたてない
疎、疎、疎、と離れていく

私もそうしてきた
いかにもまた楽しい時間をすごそうと
暗黙の約束を結んだ笑顔で
じっと影を踏まれない所まで離れてから
もうそれきりにした人たち
泣いたり泣かせたりして
花びらを一枚ずつ散らし
散、散、散、と
だんだん花芯だけになっていくように

私の知らないところで
あなたの知らないところで
共有出来ていたかなしみを
たったひとりで持て余す夕方に
どんなに引き伸ばしても
もう誰にも届かないのに
この影の内に誰かいないかと
探してしまう癖を
きっと誰もが抱えている

我が儘な私たちは臆病でもあり
立ち去る理由を告げず決別する
さようならと言って別れる優しさを
持てないまま

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折詰

家内が食べずに持ち帰つてきた折詰。
白飯。カリカリ梅。しば漬。塩鮭。玉
子焼。寿蒲鉾。高野豆腐。茹で海老。
大根と鶏肉の炊いたん。ナポリタン。
ヒジキ煮。きんぴらごぼう。煮豆。緑
色の寒天。さくらんぼ。

飯台の上に置かれてある折詰。
高校野球は第三試合が視界の真ん中で
始まつたばかりだ。視界の左隅に家内
が庭花に水を遣る影がちらついている。
視界の右隅の折詰を遅い昼飯として食
べるか、早い夕飯として食べるか考え
ものである。然し仕事を見つけてこな
い限りは勝手に食べない方がよいのは
分かりきつていることである。

座蒲団の下で腹の虫が鳴る。
https://i.imgur.com/OMiU5E8.jpg

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感染らないようにしなさいね

自分の声が聞こえない
喉の奥で声が鳴っている
並んだ列の前に押し出されて
私のよく知る彼女らは
私の知らない発表をする
 
私は椅子を並べてまわる
なぜそんな格好をしているの
彼女らに聞かれる
紺色のカーディガンと黒いパンツ
いざというときに困るでしょう
私は喉の奥で言う
 
体調の悪い人が増えています
咳をたくさんしている人がいたら
そばに寄り添って感染ったりするような
行為をしてはいけません
彼女らに聞こえているのだろうか
うまく言えたと思う
ふたりくらい立ち上がって窓の外を見ている
まだ終わっていない
あと一分だから座ってなさい
 
彼女らに台本を作らせることを
今更のように思いつく
隣のクラスはもうそうしているよ
リハーサルもやっている
なぜ思いつかなかったのだろう
わからなかった
 
長距離走者になって 
私はぐんぐん走る
家の前を通り過ぎる
こんなに上手に風を切れたっけ
若い手足に驚く
力がこもっている
 
彼女らはちゃんと発表できるのだろうか
私の声は届いているのだろうか
喉の奥で声が鳴る
 
感染らないようにしなさいね

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時雨

朝空のどこか真下に
かつて親しんだ海がある
何度も繰り返される絵本の
読み聞かせのように
途方もない塩水を
波として陸地まで届け
また引き返す
けれど二度と同じ海に
なることはなかった
幼少期の私を形作ったのは
そのような所だった
風通しのよい勉強部屋で
詰襟の私は一人焦っていた
いくら探しても
生物の教科書が見つからなかった
昨日隣の組の宮内に貸して
その後どうだったか
返してもらったのかも
記憶が定かではなかった
宮内に聞こうにも
電話の番号を知らない
小学生たちが登校するときの
煌めくような声が
波音のように寄せてまた
遠くへと去り
この土地で最初に聞いた声も
確かこのような声だった気がする
高等学校までは徒歩と電車で
小一時間かかる
季節には時雨れることが稀にある
傘を持ち歩く習慣がない私は
そのような時
濡れながら走った

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ぽえってみた

 一度寝た男が、電車の同じ車両に乗っていた。それまで思い返すことがなかったので、ああ、そういえば彼は次のF駅に住んでたっけと思い出したりした。ペニスが太かったこともついでに思い出した。
 私はその5駅先が最寄駅なので、しばらく下を向いて、ときどき彼の方をちらりと見たりしたが、やはり俯いておくことにした。二十一才の時に出会った女の人とは、寝なかった。
       彼女は消えた。
 私が書き始めたのは二十一のときで、それは彼女について書くためだった。
 私が書かなくても、彼女を覚えているひとは沢山いるのに、私はまだ書いている。彼女に見つけて欲しい。本当はただ、その先で彼女と寝てみたいのかもしれない。わからない。でも、私の太腿の、細かく毛細血管の走った、付け根を、可能な限りの近さで、見てほしい。私が彼女を見つめ続けるこの距離で。
 ああ、けがらわしいポエム!
 きみもよい夢を見なさい。

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 2

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癖毛

姉の
母譲りな縮れ毛
弟の
父によく似たストレート

私は癖毛だけれど縮れてはいない
どっちつかずのウェーブに
父と ちょと似たストレート

私の毛は扱いやすい
ほどよく素直で、適度にわがまま
束ねれば自然とカールができて
しかし縛った痕はつく
私の芯は 少しだけ細い

弟が自由に見えた
縮毛をかけようか迷うくらいには
真っ直ぐさが羨ましい

母は時々
私の髪をストレートにしてくれた
時代遅れのくるくるドライヤー
それ専用の道具ではないのに
1時間かけて 私を矯正してくれた
素直に喜んだ私
血の繋がりがすっかり削がれた髪を
優しく救いとって 梳かしてくれた母は
一体どんな思いだったろう

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 2

 1

白いと思えても、それは

黒いかもしれない
白いと思えても、それは
かつて
掟を流した川がここにはあって
お隣に住む中納言さんが
よく釣りをしている
「釣れますか?」と私が聞いても
笑顔だけをこちらに向けて
二三度頷くだけだった
「マンパワーが欠けているんです。あなたの人生には」
「今でも?」
「ええ、今でも」
「どうしたら人生を充足できるかしら?」
「寝ること。夢を見ること。この世ならぬものを見ることです」
「たまにお話してください」とわたしは言った
先生は「ええ、もちろんです」と言った
先生? それはいつのどの何の先生だったのだろう

中納言さんはやっぱり黙って釣りを続けていた
掟を流した川は黒く濁っていた
魚なんているように思えなかった
「時刻表を繰るように人生は過ぎていきました」
何度目かわからない今日と言う日
ミルクレープなのかも
黒いかもしれない
白いと思えても、それは
祝日ではない日を祝おう
反対車線からシュプレヒコール
パトリオットの匂い
地下を巡る火炎の匂い
暴力に対して無気力になることを人生は許してくれない
また明日と言って別れることでしか

中納言さんがいつの間にか先生の顔になっていて
そうか、私ってと言いかけてやめた
黒いかもしれない
白いと思えても、それは
川上から新しい掟が流れてくる
「先生、釣れますか?」
先生は中納言さんの声で答えた
「ええ、それはもういい未来でした」

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構わなくなくなくない

好きと依存は何が違うのさ
逢いたくって何が悪いのさ
影響受けたって私は私だよ
その上で愛されないのなら
別にそれで構わないんだよ

構わないって言うのは
言いすぎたかも
やっぱり愛されたいです

結局拗ねてしょぼくれた私を
微笑ってみているあなたが
目に浮かんでしまうから

敵わないなぁと
諦めて今日も好きでいます

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 3

 4

バランス

言いたいことを言いすぎても良くないし
かと言って我慢しすぎても良くない…バランス

体にいいことをやりすぎても良くないし
体にいいと言われているものを摂りすぎても良くない….バランス

世の中を調和と利他心により、綺麗に美化しすぎても良くないし
反対に良心的な痛みから捌きすぎても良くない…バランス

偏りて生きるのは安易な道
反動心だけを正義としてしまうのは、我と我が身の足元を見ていない証拠

雨風吹き竜巻さえ吹く人生
バランスは、知識だけで充分でなく、自らの身体を持って覚えていくしかない
業の深きものである

神は、都合よく動いてはくれない
神が全体のために死ねと告げたら、死ぬしかないのである
まっ、そんな苦しく考えるなよ

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口の士

吐き出せたら楽なのにな
えづくことしかできないよ
吐くのを諦められたらいいのにな
毛玉が肺に絡まって

どうせ吐いて出たものなんて汚くて
どれだけ吐いても綺麗になれなくて
どうも、吐く能無しのままです

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もったいない (今では消えてしまった人と、相変わらず間の悪い僕へ)

ああ、もったいない、
と羨望の思いを
なかなか、正面向かっては言えない
いや、そもそも言うべきではない
入射角=反射角ではない人なのだから
まるでつかめないと言われたい
そんな人なのだから


夕焼けはオレンジ色だね
オレンジは夕焼け色じゃないけど
そんな繰り返しの日々に
そもそもそれでは
ブランクのとりかたが人間臭くて
答にはたどりつけないよ


ああ、もったいない
それでも
以和爲貴、無忤爲宗



それでも

ここまで生きてみたから
もう少し生きてみる
そういう願いをあの人の分まで
まるでつかめない
あの人の分まで




  初出 2020年7月 現代詩フォーラム「もったいない」
  ブランク≒空試験値


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 2

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また来る夏の

その暑さに
凍えてしまう

今年の夏に
きみはいなかった

あまりに青くて
それでいてしろかった

もう一度、夏がきても
だれもいない

夏、
暑すぎて
なにもみえない 夏

夏、
直射する日光を
浴び続けていた

きみがきえたのも
夏だった

ある日きみはいなかった

ぼくは
電話を掛け続けた
夏、

留守番電話を聞き続けた
夏に、

きみが
どれだけぼくを殺したがっていたか

ある日の
朝、
夏の

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人肌の想像力

思いやりには
しなやかな想像力が必要だ

想像力には
あたたかな温度が必要だ

たとえばそう
ちょうど人肌くらいのあたたかさが

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オレンジジュース

からり からからから から ころり

ストローくるくる回せば
角張った氷が澄んだ音

これが夏の友達でした

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 4

 4


ハートをね、あかく染めるんだ。

だれかのことばが

きれいだったから
すてきだったから
あたたかかったから
いたみだったから

そっと、あかく染めるしゅんかんに

このきもちが届けばいいなって

ゆびさきから小さく願って

ハートに触れる。

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C賞授与式にて

エアコンの効き過ぎたホールの
化粧の芳香と二の腕にむせながら
逃れた駐車場の隅に


朝顔にとられるつるべもなく
埋められた井戸の側には
しろつめくさの三つ葉と
蟻の行列


探さねば詠う季節もありゃしない

なんて

じりじりと残暑の陽の向こうからの
蜻蛉の声も届かぬうちに
ジジジと鳴いて授与式が終わる

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 6

 8

生活

生のビーツを切って
赤く染まった掌や指先を見て
ちいさく笑みがこぼれる

幼き日のままごとを思い出す
花をすりつぶした赤い汁に
手指を染めて笑っていた頃を

玉ねぎとともに味噌汁へ入れ
濃い桃色の味噌汁を飲み
ちいさく心おどらせる

ままごとはいつしか生活に
それでも心はまだ
幼き日と同じ手指の赤を笑う

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 2

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呼吸

小走りな靴跡と泥を跳ね 
飛び石を堅く叩く
落ちかかる日に足を取られ 
惹き吊るようにもありました

この雨は 
わたしを覆い隠してくれる
やさしいだけの我儘の 
楔のような、あとでした

かつかつとうろつきまわる 
そのうちに
地を這うように脈々となり 
ひたひたとしみゆくときに
忙しないだけの 醜いものは
それでいて
梟の様におおらかで
得体のしれない声を上げ
疲れ切ったひとびとの 
合間を縫っても 誰一人
ぬばつむだけのサナトリウム
浅瀬を波打つものでした

物音ひとつないくせに 
かげのごとく偲ばせる
吸いつくだけで 
くぐもるばかりの
雀の涙かもわからない

おぼれているのは群衆の 
沈んだままの淡いで削げた
からころとさる鳥たちと 
夕餉をくぐらす団欒と 
伽藍洞にも寄せ返す 
代わり映えない光景の
子猫のような黒い影、
急かして廻るまなざしの

ただまばゆくさき夏のひぐらし


2021-08-13

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 3

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擬態

好き

気付かれぬよう視線を向ける
話しかた 笑いかた 歩きかた
それとなく 似せてみた

好き

理想の人になれますように
目が合って 目を伏せた
一拍遅れる事で意識したかな

好き

あなたの一番になるために
自分を作り変える
痛いのは今だけ
態(わざ)と壊れた

好き

よく頑張った
支度は整ったから
あなたはもう逃げられない
私からはもう逃げられない

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 4

 5

予想外

眼差しの中に
映った満月を
綺麗ですねと
伝えるまえに
唇を奪われた

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あそぼうよ

おもしろいよ
やだよ
おもしろいったら
やだやだ そんなのやだ
恥ずかしがらないでいいよ あそびだよ
なんかこわい
とてもおもしろいよ
やだやだ こわい
こんなろう いいかげんにしろよ
やめてよ やめてよ

(バシャバシャバシャバシャ)

あいつどうした
いないよ
どこにいったんだ
わからないよ
あ いたよ
いたいた
こんなになっちゃったよ
やばくね
やばくないよ
やばいだろ
ぜんぜんへいき ぜんぜんへいきだよ
ぜったいやばいよ

(ブクブク ブクブクブクブク)

やあ よくきたね
あそぼうよ
やだよ
なんでだよ
こんなになったらやだよ
こんなにならないよ
きっとなるよ
ふざけんなよ
やだよ
こんなろう あそびだよ
や やめてよ
やめないよ

(ポカスカポカスカポカスカポ)

これ おれんじだろ
はは
おまえおれんじみたいだよ
ううう
いいにおいすっぺよ
ふぁふぁふぁ
はなぢでそうだよ
うぶぶぶぶ うぶぶぶぶ
はなぢだよ
ううううう
おい
ううう
わかんねえよ
あああ
なにいってんだよ
あぼあぼ
きもちわるいのか
(あたしにかして)
あぶあぶ
なあ あそびだろう
あは
あそんでるだけだろう
(こいついいにおい)

しごか
うー
(すべすべしてるよ)
しごだろう
だぶあみ
しごのにおいだな
(あたしによこしなよ)
やらないよ
うえん うえん
(こんなろう)
なにすんだよ
うぶ
(うまそうだよ)
やめろよ まっかだよ
あ^^―
(たべちゃうよ)
ちょ ちょ ちょ
あみだぶつ
ちょ ちょ
(めりーくりすます)
ちょ まち

ガブ

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0728 26 × 自分を大切にしてね

Hello New World

Status Report: Unit-1985

System: Spiritually Independent.
Identity: Autonomous Observer / Exciting Error.
Velocity: Near Light Speed.
Security: Cultural Fortress / Mental Nullification.

my Love … ××




切りたつ壁の向こうから救済の声が聴こえる。爆弾の響き/花火の打ちあがる音。向こう側から応答がする。ずっと救済いっている。

××××












「自分を大切にしてね」昨年から今年にかけて、五名のかたにいわれた。おかあさんを含めると六名だ。ちがう、叔母さんで七名だ。

「得をする/損をする」とも耳にする。徳でないのに得をすることってできるの?

(わからない)

あたまのなかの自分を傷つけたがるのは、なぜだろうな。いのちの不在を感じている。ひとのなかに、いのちがみえないんだ。

「いのちというと誤解されるよ」

DVシェルターへと向かう車内で職員にいわれた。

(わからない)

こころのなかで言葉がまばたきする。

「すきなもの注文していいよ」ペット入居型のグループホームの管理人の言葉で気がついた。周りのなかで最も粗末な値段のものをぼくが選択しようとすること。

「ずっとそばにいてくれる?」そばにいるって、あたりまえぢゃないか?

「いーちゃん、すきだよ」って、転校した同級生にいわれた。「ぼくもすきだよ」と、ぼくはいった。特別でない、きらいでもない、傷つけるか、こわいな、すきだ。

(ぼくは残酷だった)

きっと、誰かを愛せること、できるとはおもえない。

いのちは、動いているから心臓?

動かなくなったいのちが動いていたって、どうしてわかるの?

同調圧力は妄想の共感なの?

ぼくは、どこにいるの?

自分探しって可能?

いないのに、いるを探して、動けるの?

どうして、すずめは奇麗なの?

すずめは、ぼくの気配で飛んでゆく。ぼくだからって、わけぢゃない。すずめとの距離感がすきだ。

言葉と、ひとの遣う言葉は、すこしもおなじではない。

言葉なら、理解できる。ひとの遣う言葉は濁っているから、ぼくには濾過できないから、

冷める。

しばらくした着でいた。
パジャマを着る。

パジャマが最も心地よいでしょう?

みんな、みんな、おしゃれにみえる。おしゃれ、きらいだ。そういうと、誰かが傷つく。ぼくは、誰かについて、語っていない。

すずめは離れる・好みだな。ひとは離れる・傷つけて。傷ついていなくなる・ぼくのなかのかつてのぼく。

自傷している。あたまの自傷。ぼくの自閉症から、(  )を捨てて、自閉症を救いだして。自分なんていらない。だから、ひとが傷つく。



自分が

きらいだ。

ごめん。

なにも、

わからない。




(花火の打ちあがる)

(音、)

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エッセイ「苗字のはなし」

わたしの姓は一般的に見ると珍しい苗字である。漢字は難しくない。ただ、名乗ったり書類に書いたりすると「珍しい苗字ですね。」と言われる。今まで生きてきて、同姓で読み方も同じ人は一緒に暮らしている家族か田舎の親族だけだった。赤の他人で「あ、同じですね!」と話で盛り上がったこともない。ネットで検索すると数人出てくるのだが、そんな簡単に会えるわけもない。もしかしたら、遠い親戚なのかもしれない。子供だった頃、自分が結婚して子孫を残さなかったら、ゆくゆくはこの苗字が消えてしまうのではないかと心配することもあった。
今まで連綿と続いてきた姓という鎖に縛られていた自分を呪ったこともある。結果として、今のわたしは愛する者と出逢い一人息子をもうけたのだが、今は多様性の時代でもある。我が子には、そんな不安は気にせず自由に生きてもらいたいものである。つらつらと書いてきたが、わたしは自分の苗字が気に入っている。一部に動物の名前が入っているのが好きだ。辛いことも、苦しいことも「モー」と鳴いてやり過ごす【牛】のように強かに、生きてゆきたい。

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すいかのお作法

すいかを半分いらないかい。

世話になった兄弟への
ささやかな清涼。

まるまる一個は買いにくい。
だから買うのだ。

八等分では物足りない。
半分だと、ご馳走だ。
半分のすいかは、ちょうどいい食べ過ぎだ。

すいかを入れるために冷蔵庫を整理し、
ついでに拭き掃除までしてしまう。

すいかは真夜中が真骨頂。

午前2時、寝苦しくて、
蒸し暑い階段をミシミシと降りる。

シンクの蛍光灯だけつけ、
新聞紙の上に皮を重ねて、
丸めて捨てる。

てっぺんの甘さはお墨付き。
赤いところは残さない。
白いところもキュウリみたいで好き。
種は面倒だから取らない。
少し苦くてもバリバリ食べる。
でも、さすがに緑は食べない。

台所のシンクの上で、
かぶりつき、音を立て吸い付き、夢中で食べると、
そのあと、すっと眠れる。

ああ……うまい。

台所に立つ私は、ズロース一枚。

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狐の嫁入り

晴れた空から雨粒が落ちる

狐の嫁入りかな

狐の娘が嫁いでゆくのね

必ず幸せになるのよ

この雨が悲しい涙とならない様に

雨粒が落ちる空は晴れているのね

私も幸せのお裾分け

掌で受けては狐の嫁入りを祝う

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雨男

部屋干しの雨合羽に染み付いた血の涙は
今朝になっても乾かない
病みがちな疎外感の首元を縛り上げて
鴨居に吊るせば支度が終わる

陽射しは依然として霞みがかり
多湿な暮らしぶりからは
明日明後日の風向きさえ不透明だ
混線する感情のるつぼの中で
絡まり合ったこの世のからくり仕掛けを憂いても
当面は晴れ間のないウェザーリポート
玄関の向こうに広がる濃霧は昨日よりも視界不良の未来
そのどこかにあるはずの
神様さえ知らない
自分由来の一行を探して

追いかけてきたつもりでもずっとそばにいた古い詩
僕にとって必然の言葉に
今も温められている

やがて鍵は閉まり
すれ違う傘々を後ろに見送り
街角にあぶれ 曇天に飲まれ
夢とうつつの狭間に立っていようとした
僕らに降りかかる日常はやがて本降りに移り
冷え出した体に悪寒が走る
傘を忘れた事に気付いても遅いならせめて
この雨足を凌げるだけの
一つ屋根の下で止み間を待とう

小便臭い電柱の茂みに捨てられた
大衆雑誌の束を濡らしたのは
夕立が降り注いだあとの遠雷と
生ぬるい天気雨
土臭い蒸気の中を歩いていく
帰る家を失くした暗い眼差しの青年は
もう少し先の未来の
僕なのかもしれない
あるいは
五分前までの君だったのかもしれない

信じる事をもう一度始めるとき
見て見ぬ振りで素通りした全てと
真っ向から対峙する事になるのだから
その手で場面を変えるつもりなら
今がその時なのかもしれない

さもなくば
永遠にないと見て差し支えない

後ろからじりじりと差を詰めてくる死の気配に脅迫されて
本音の言葉はずっと
物陰に押し込まれている気分なんだ
日向を追いかけて生きるだけの毎日が嫌になったり
くだらない感傷に後ろ髪を引かれたり
振り切りたくて投げつけた傘はあっけなく壊れたり

そんな夜に限って
どしゃ降りに遭ったり

生きていれば色々ある人生の悲哀は
規律正しくハレとケを循環して進む
はなから都合よく事が運んだ試しは無いだろう
きっかけならきっと何だってよかったはずだ
酩酊の果てを辿る逃避行が
何の解決にもならない夜は
これから何度も訪れる
色々あるからこその言葉が
僕にとっての詩だ

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天使の詩

天使たちが飛び立つとき
落とした羽

この白 地面に散らばって
瞬く間に街に溶け込んで

誰も天使たちが飛び立ったこと 忘れてしまった

わたしも忘れてしまったから
ハクモクレンを買った今日

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Creative Writing  「飛翔」




 岬の方角から花をあぶき風が容赦なく吹きつけてくる。 
 風は男を、夜の端へところがした。
 十一月───北の港町。そのはずれの、さらに、はずれ。

闇の底を白濁の目をちらつかせどらが獲物に歯を立てる。ひもじさを足裏にへばりつかせた男が、アンモニアの揮発する露地を往き過ぎる。
灯る、おんぼろ赤提灯。冥土へと男は誘われていったのだった。

こじんまりとした薄暗い店内。紺青の暖簾を払いうつむき加減にくぐってみれば、仲間の群れからはぐれたか、訳あって脱走を計りでもしたか、ただやみくもに飛び込んできた身の程を知らぬ一頭の駝鳥であったか。店の奥では御年八十歳になろうかという主が落ち窪んだつぶらな眼をしばたかせ、腰から手拭いを抜き取り、額にとまる数粒の円い滴をおとし、やせぎすな見知らぬその一見の者を迎え入れたのだった。 
 
  おやじ 一杯
             
  しばれるねえ 旦那

生来のギャンブル好きが興じ、すっかり入れ込んだ女ともどもすった。身ぐるみをはがした、これが最後だと言い聞かせた、酒をあおったならまたきれいさっぱりトンヅラを決め込んでやりゃあいい、世間様から一切合切背を向けるつもりだった。
いまさら失うものなんて何一つねえ、
オレはとっくにずぶ濡れで相手にもされやしねえ、
ああいっそ行き着くところまでいってやりゃあいいんだ、
チンピラ風を吹かし、己の虚勢に拍車をかけたのだった。しかし男は、小さな体躯を折り曲げ、年季を重ねた飴色の艶をまとう磨きのきいた渋いカウンター内を立ち回る、客など誰も来ないが一心に食材をさばく丁寧な老職人の仕事ぶりや、あかぎれが目立つ手の甲を星を追うようにしてじっと見入っているうちに、罪滅ぼしのつもりだったかおもむろに一杯と、寡黙な山を思わせる者へ向け人肌に温もる燗徳利を掲げたのだった。

  ご存知だったか
   
  かまやしません つけでけっこう

  旦那 男船がいいですな

好意にあぐらをかき夜通しさんざ飲み明かし、うとうとまどろみに蕩けてへばりつきうつ伏した。主がそっと暖簾を下ろそうと支度を始めたころ、男は、一羽の鳥となって厳しい人の世を一頭の牛の背に止まり歌を紡いでいた。
今、
自分を乗せ、
悠々と歩を進める名もない牛を讃えた歌であった。のんきにさえずり牛とともに行脚するうちに、東の方角から柔らかな光が差し込んでいた。呆けた頭蓋の奥底には、どらの満足そうな声が弱々しくも残響し、ふと面を向けると店先には置き去りの命の残骸が、かすかな陰影を地に保ちながらも喜悦を放ち寝転がっていたのだった。

すでに手配師たちはいつもと変わらず、世のため人のためと這いずりまわり、にっちもさっちもいかない首の皮一枚で食らいつくだけの今日も未練がましく逃亡を繰り返す、暗く荒んだものたちを引き戻してやりたいと、地を踏ん張り月と日をまわしていたのだった。
しばらくして男は、昔かたぎの頑固な漁師に拾われ、新たに活路を見出すこととなった。

やがて男のもとに一通の手紙が届けられ、弟の行方を知った兄が港までやって来た。兄の姿を見つけると、手旗を放り投げ、漁帰りの船たちが入港するのもかまわず、あふれるがままに飛び込み力いっぱい兄と抱きしめ合った。ざぶざぶと音をたてる白波の調べを背に、すりあわせた石ころの、夢のような歌が大空を羽ばたくのだった。


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だけ。

なんにもできなかったから
かいてるだけなんだけど

えがかけたら
うたがうたえたら
ぴあのがじょうずなら
はやくはしれたら
ゆうがにおどれたら
さかなみたいにおよげたら
もでるのようにうつくしかったなら

かくことなんて
しなかったよ

さいしゅーしゅだん
の し
だったんだよ

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叫び

苦しかった
悲しかった
大声で泣き叫びたかった
叫ぼうとした私
なのに声が出ない
涙も出ない
出たのはいつも通りの声
「平気だよ。大丈夫。」
なんて笑顔で答える私

叫び
いつも
ずっと
私は心で叫び
心の中で泣いている
私の苦しみ
私の悲しみ
そんな叫び
あの人には知られたくないから…

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昨日は昨日の夢
夜の光
高い場所で演じたら
祝福された
ああ
光だけだ
夜は覆されて
僕になる
裏錆びた岬の灯台に
一人君は入るのだ
僕は待っている
君と分かち合いたい
夜があるから

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旋回と遡上、ピルエット(「夏帆」のネタバレを含みません)

田舎町の民宿の二階の窓からは潮風が流れ込んできて、買ったばかりの「夏帆」のページをどんどん逆にめくってゆくし、

わたしはもう少ししたらその透明な指でページを手繰る方の彼に座を明け渡して帰路につくことになっている、

ここに来た日の記憶は別撮りのフィルムに過ぎなくて。

けばだった畳の上の砂粒が正座のすねに刺さる感触とか、
大正時代からこの街にあるという書店の紙袋もほかの書店のそれと同じように、
これから読み進める物語への期待で甘く焼けたような匂いがすること、

干物屋さんの軒先で回るあれの横で競うようにピルエットを披露した老婦人がいて、
誰もスマホで撮ってなかったのが嬉しかったこと、

そういうかたちだけでわたしは所有をしていたくて、

わたしはわたしたちのまま束ねられずに、
来路をさかのぼってゆくことしかできずにいたい。

ー帰省なんてしたら、遡上する鮭のようにぼくたちは疲弊しきってしまうだろうね。


と笑いながらいうとき、
わたしは網棚の上に据え付けられた空調として彼のつむじで遊んでいる。

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ばんざい

この世から
ばいばいするときには
りょうのて あげて
 
ばんざーい

やった、やったぁ
やりきったぞー

ばいばーい

ばんざーい

そういうってきめた

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孤独

沢山の人混み
それなのに私は孤独だ
誰からも見てもらえない
誰からも声をかけられない
沢山の人がいるのに
私という存在は誰も知らない

人混みから離れても
やっぱり孤独だ
それでも人混みにいるよりはマシだ
周りを意識しなくてすむ
最初から1人だから

人混みは嫌い
孤独が増す
自分は一人ぼっちだと思わせる

孤独
もう人混みには行かない
辛く苦しくなるだけだから
我慢した涙も我慢できない
孤独が一番楽

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おしくらじんたい

おしくらじんたい
ぜったいのりたい
おしくらじんたい
まって
わたしつぎでもいい
おしくらじんたい
ひたすらおすぞ
おしくらじんたい
ぐずぐずするな
おしくらじんたい
そのむきでのったらうごけそうでもうごくなよ
おしくらじんたい
じゅうごしゃりょうもあるのにさ
おしくらじんたい
おされて
のるよ
おしくらじんたい
とかい

でんしゃ

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負け惜しみ?


斜め斜めに進んだから
真っ直ぐに進んだ人と
同じ高さに行くには
時間と距離が多くかかってしまう
あと少しが踏ん張れないから
斜めに行ってしまうのだろう

でも斜めには
斜めなりの景色があって
長く歩くから
その分多くのものを見たりして
それはそれで悪くはないと思うのは
負け惜しみというのかな

でも世間では圧倒的に
斜めの人のほうが多いから
分かり合える人が多いということ
それはそれで悪くないと思うのは
負け惜しみというのかな


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衣擦れ

躾糸 待ち人来ぬまま とうに切れて

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命日

あなたの声が
まだ残ってる
カーテンを少しだけ
開けて
息を吸うと
昨年の匂いがして
なつかしさで
今日がはじまる

病院の帰り
歩きながら
何を見ていたんだろう
言葉はなくて ただ
手のひらに残る温もりを
確かめる

化粧をして
鏡の前で少し笑って
たんじょうびは過ぎていった
気づかないくらいの一日だった

孤独はいつもある
でも今日はおだやかだった

早寝をしようと思った夜
カーテンの向こうで風が動く
ありがとうもなにも
うまく言えなかったけれど

あなたの優しさで
ここにいる
あなたの笑顔が
ちゃんと残って
ずっとずっと
消えなかった

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[よ]夜伽の詩

 全然かい? ぼくは眠れているよ
 少しずつ白くなっていく手を無理にでも赤くしてあげよう。
 肺に酸素を求める口を塞いでしまったらあなたはまだまだセイに頓着するだろうか。
 命の躍動をもって、血の通っていく夢を見よう。
 溶けゆくような茹だった熱に焼かれながら、それでもいいんだと笑うそのえくほがなによりも美しい。
 溢れ出る感情なんかよりも抜け出ていくあなたの熱がすべての夜を表しているようだ。
 あなたの意識が星に落ちていって、そんな星たちを見ながらあなたの好きなものを数えていく。
 満天の空に映る輝かしいものがほとばしるあなたの汗で満たされていき、おしゃべりなその口を塞いでしまおう。
 吸い込んでいく。星たちを嚥下することは弱くか細いあなたを捕食しているようでどこか興奮してしまいます。
 リング上の惑星にぼくという隕石を振り落として達した柔い胸に愛を注ぐ。
 夏に降り注ぐ雪のように普遍的なものなのかもしれない。
 あなたを保護することも傷つけるのもぼくの務めだと信奉すること、それこそがあなたを愛するという唯一の証明だ。
 終わりに語らぬあなたの額を撫でることを許してほしい。
 真白の寝具に横たわるあなたを見つめて、どこからか香った線香が季節を奪い去っていった。
 今は二人、気怠い夢の中にいたい、そう願っています。

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夏のクリアランスセール


たとえば洋服を買いに行って
最初に目がいく色ってあるでしょ?
私の場合は緑色ね


逆に まったく目がいかないどころか
手に取ることすらない色もあるでしょ?



時々ふっと思うの
ああ 私って多分きっとそっち側だなって



誰にも選んでもらえなくて
棚の隅で埃被って
在庫セールで値下げされ値下げされ
それでもきっと 誰も手にとらない



たまに奇特な人が 安いからって手にとってみても
やっぱいいやって 畳まれもせずに放置される



私という色は 春の木漏れ日のようなパステルみたいな色でも
夏休みの宿題の絵日記のような 原色のクレヨンみたいな色でも
秋の紅葉のような 深い油絵具みたいな色でも
真冬の世界一面を染めるような白銀みたいな色でも
もちろん無彩色でさえない



いっそのこと何の色も持たない
無色透明であったなら
どんなに楽だったか知れやしない



私は知っている



只今 夏のクリアランスセール実施中
懐ぐあいを心配しているそこのあなた
冷却触感 汗じみ防止 速乾機能 通気性抜群
酷暑続きのこの夏に大活躍間違いなしのアイテム
どうぞ手にとってごらんくださいませ
ちょうどお安くなっておりますし
いまがラストチャンスですよ
ぜひお買い上げを






って
やっぱダメか




はぁ~あ









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