投稿作品一覧
青い
空の青や水色、淡い紫、と様々な色に覆われた何処までも続いていそうな夕暮れの空。そんな空を映す水田が風に吹かれ、波紋を広げた。嫋やかに靡く水面に映る、一言では表すことのできないような空の多彩さと空には無い、水の艷やかさ。パレットのように見えるそれは、いつか自分が染め上げた滅茶苦茶なものではなく、ただひたすらに何処までも美しかった。
それがなぜか、どうしようもなく苛立たせた。美しい絵を真っ黒に塗り潰してしまいたい衝動のような。美しすぎて手が届かない虚しさと、遠くに追いやった自分に、堪らなく苛ついた。
池の桜
池の桜は咲いたでしょうか
春爛漫 池の周りを歩くのは
笑い始めるには程よい距離で
スベッてばかりのあなたの冗句に
そろそろと口が綻び出すから
花は見ています
どれだけあなたが善良で
どれだけ私が悪人か
逆も然り
花びらを映す水面の影は
黒い石から放たれている
差し溢れる光に 皆が
裏地の厚みを忘れたら
良いも悪いも一緒になって
かいくぐるだけよ
闇、光、闇、光、
池の桜に聞きましょう
映っているのはどんな絵かと
あなたは少し口を開いて
私はぐっと肩を引き締め
宵闇、酔いどれ、薄色、薄哀し、
池の周りを歩く距離は
程よい頃合いで面を外し
高笑い、互いの、他我に多角と
宴のような顔の混じり合い
そろそろ
歩きに行きましょうか
思考のミックスジュース
逆再生して
パイン,キウイ,
イチゴ,バナナ,モモ
林檎
一つの思考が
果物に還るまで
わたしたちの
手もと
轟音で
ミキサーが
鳴る
plenty
多すぎる荷物と花束と
離れた場所に停めた車まで歩いた
桜が咲いた日
たくさんの
言葉と
雨が降っている
明日からは 新しい生活
おかえりノート
書いては消して ほおづえついて
まばたきをして メガネ外して
ため息ついて 立ち上がる
聴きたい曲はコレじゃない とか
靴下がキツイ とか
今朝ミルクを飲みすぎたから とか
ちっぽけで デタラメな 理由をつける
つぶやいたって いいじゃない
鏡のワタシは ふくれっつら
お気に入りのコップで 思いっきりうがいをしてみる
裸足になって つま先立ちで歩いてみる
部屋のすみっこのガジュマルに ほんの少し水をやる
鼻唄交じりに 机に向かう
書きかけのノートと目が合った
さらりとメガネをかけて
うん と頷き
「おかえり」の詩を 書きはじめる
青の溶液
彗星の速度で
時間の裏側へ遠まわりする
夜に
ないていたのは
きみの骨。
ずっと昔に
置き忘れていた
戸棚の
ビーカーの
青の溶液
核反応の
名残りのように
振り返る一瞬に
飛散した欠片
留め置かれた記憶。
とおりの街路樹は
原子に揺らぎ
葉は すこしの 風にゆれる
裏通りには
犬の模型が
透明のままに
佇んでいる
破片は宙空を漂う
4億年後にも
そこにある。
戸棚のビーカーは
既に破損しているのに
溶液はそのままに
すこし 紫にくすんで
形状を保っている。
ラベルには
1900 と
表記されている。
あさ
めがさめてないている
なにかに
おいかけられていた
めがさめて
つめたいくうきのなか
まだ
ゆめのなか
Spring has lost
糸の切れた
パペットみたい
柔らかすぎて
するりと
すべり落ちていく
しっかりと
抱きしめていたのに
開いたままの
きれいな目に
まだ
何かが映っている
ようで
レグルス
(2008–2025)
コーヒー、深夜、それだけのこと
コーヒーは
いつも僕の悲しみ
何かが心を締めつけるわけでも
あるいは涙腺を痛めつけるわけでも
ないというのに
ただ悲しみだけが
そっとそっと、攻めてくる
コーヒー、深夜、それだけのこと
なのに
ただ顔を上げては
一片の眠気さえ失った目に
星を焼きつける日々が過ぎ去るんだ
欧化主義者としての僕の詩
ヨーロッパ
人間精神の最終地点
あるいは運命に生きる人々の
その荘厳なる大地
僕はヨーロッパ人でありたかった
ヨーロッパのその運命に生きたかった
なのにヨーロッパを讃える詩を書けば
なぜかその讃美歌はいつも無視される
皆、薄情じゃないか
あの神話を果たすために生まれた塹壕戦に祈りを捧げるべきじゃないか
全ヨーロッパ人が運命に目覚めて
その運命と義務を果たすために砲火に身を捧げたのに
書くべきは神と呼ぶに至ったヨーロッパ人ではないのか
日本の詩も文学も果てはアニメもボカロさえも
ありとあらゆる全てはヨーロッパに祈りを捧げるために生まれたのに
1914年、ヨーロッパはその瞬間に僕の神様になった
春の風船旅行
時は 破産した
裸で蛇を 抱いたのだ
腕の中に抱きし サクラ色のもの
にわかに枯木と変わり 蛇となり
火と燃えあがり 炎の舌がなめあげて
ぼうぼうと 視界も こころも焼き尽くし
おれは 破産した
何処へ行くという 当てもなく
何をするという 目処もなく
春の地球にひとり浮く
いま おれは 煤だらけの 黒い火ぶくれの風船だ
ともだちも きょうだいも こいびとも
しごとも くらしも
すべてが燃え尽きて 灰になってしまった
火ぶくれの 血だらけの風船が道の上
春の地球にひとり浮く
あくせくと あがいた日々がなつかしい
そしてこれは 夢ではない
これがまったき 自由というものだ
所有せんとする こころ
逢いたき人にまみえんとする のぞみ
ゆめというゆめ
ねがいというねがい
すべてが燃え尽きて 灰になってしまった
春の地球にひとり浮く
空にこの ぽっかりと浮かぶ 浮揚感はどうだ
そしてこれは夢ではない
これがリアルなまったき 自由というものだ
ではひとつ 風船の腹のあたりに針さして
さてひとり 出発するといたそうか
ぷしゅーーーーーと 穴から悪い夢を吐き出して
あの まだ見ぬ真昼
あの はるか大海原への旅へとさ
生まれ変わるか否かは わからない
でも 行こう
あの 大海洋の上空へ
さあ行こう
春の風船旅行
たくさんたくさん
人間がたくさんいる
人間はただ生きて死んでいくということが認められていない
学び働き世代があり上下があり
金という道具に命を握られている
たくさんたくさんたくさん
人間がいて
人間社会という言葉がある
その言葉に恐怖を感じる
人間のカタチをしているだけで
大きな大きな負荷を与えられている
それでもこんなにたくさんたくさん
電車にもバスにも道にも建物にも
人間はたくさんいる
もうたくさんだ
蕾のまま
好きだと告げることが
好きだと思うことさえ
裏切りなのではないか
そんな 迷い 抱えて
それでも
綻んだ桜の蕾を見つけて
目に浮かぶのはあなたの顔
岐路
目の前にある
分かれた道
赤子が後ろへ
下がらないように
人は前へ歩む
他人の言葉が耳に届く
おいしい店の匂い
横切ったきれいな人
足を踏み出せば
幻覚のように
魅惑の道は消える
たとえいま苦しくても
歩んだ道には
触れられる温かい手
選べるのはひとつだけ
足跡が残る
過去は自分だけのもの
本音
会いたいと伝えたら
画面の向こうの貴方は
どんな顔をするのかな
びっくりするかな
困るのかな
もし同じ気持ちだったらな
つい送ってしまった
つい溢れてしまった
『本音』
しばらくして
ついた既読
返事が怖くて
画面を伏せて
通知が来ても
気づかないふり
いつも通りの
温度のメッセージ
がっかりしたのと
同じくらい
ほっとしたんだ
美輪さんのボロネーゼ
萎えるよ 皆
萎えるよ 皆と
笠利 End la
POLO 見ねぇ皿
歌への 性
絡める 汁
エラ Snow
to ラメの意?
ガツンとみかん
風呂には居る
助けろ
寝ると明日
そこにエルフ
皆 捨てられ
見つけられない
辛め to 否
ボロね?エエよ!
見渡す
絡めるの 汁
エラい濃厚
辛め to 意なる
彫らす ノウハウ
皆 ステテコ
見つけたりぃな
絡めるの 汁
ボロネーゼ
美輪さん、噛み!噛み!
憂鬱な歌
渡された歌詞カードには、
「憂鬱な歌」と書かれていた。
これを長調で歌おうってんだから、
笑っちまうさ みんな面白がった。
僕は思い立って、
誰もいない体育館から
渡り廊下へ抜けたんだ。
夕日がメラメラと燃え上がって、
僕の濃い影を地面に落としていた。
詩は病院をあるく (詩はあるくXXIII)
二ヶ月に一度の金曜日
いつも通りの予約時間
街の割には大きな病院
採血室はもう並んでいる
順番が来て いつも通りに腕を出す
内科のある新館まであるく
街のアマチュア作家の絵や写真
書が並ぶ掲示板の一番端に
少し色褪せた小学生の寄せ書き
コロナの時の あの緊張感を
あの頃詩を書いていたら
わたしは何と書いたのだろう
いつの間にか外のテントはなくなった
テントの跡だけが コンクリートに
未だ残っていた
詩は黙って それを見る
二ヶ月後も まだあるだろうと。
散るように
雨の声が広がっていく
春が濡れ
眺める心に雫が響く
舞う花びらを
追えないように
零れていく
気持ちはもう戻らない
一つ二つと手にしては
儚さがだけが美しい
過ぎて行く恋心
せめて涙が飾るなら
雨に紛れて泣けばいい
散るように泣けばいい
今年度もお疲れ様でした
沈黙のミーティング。
雄弁に何も語らぬアジェンダ。
捨象のためのデータドリブン。
墓場まで持っていくサーベイ。
戦略なきディレクション。
戦術なきPDCA。
隕石としてのエグゼクティブ。
屈服しないでマネージャー。
暴落するエンゲージメント。
なぜか貰えるサラリー。
打鍵音は銃声である。
木蓮の蕾
ぼくはまだ
あのアパートにいる
冴えない朝の光が
カーテンのすきまから
こぼれてる
きみは なにも言わずに
ぼくの髪を撫でる
それだけでよかったのに
憧れは 遠くて
触れた瞬間に 壊れていく
ぼくは
きみのことが 好きで
だから このままで
いいと 思ってた
きみが ぼくのことを
忘れてしまっても
ぼくは たぶん
忘れない
ベランダの隅で
苔が 静かに増えていく
誰にも気づかれずに
意識が 遠のくみたいに
やさしさは 消えていった
あの日のいたずらも
笑えなかった理由も
まだ ここにある
きみのためなら
どんなことでも
できると 思った
悪いことだって
きっと できる
きみが 願うなら
ぼくに 死んでほしいと
言うなら
そのときは
少しだけ 笑って
木蓮の白さが
やけに 重くて
これ以上
近づかないように
手を思い切り伸ばして
空に触れようと
身をなげるよ
飽和
三日目の雨は音もなく
山法師の花弁で珠となる
山肌を滑る霧の往還は
新芽の産毛の間を抜ける
落ち葉を踏む音さえ沈み
枝葉の雫のみ空気を揺らす。
メンヘラ女子は眠れない
リストカットもファッションなら
オーバードーズもまたファッション
スマホで撮ってハッシュタグつけて
今日もブログにうPする
映えるインスタ盛るX
7個のサイトを使い分け
裏垢病み垢自撮り垢
メンヘラ女子は眠れない
彼女は歌舞伎町のホストを刺したあと
その画像をネット上にばら撒いた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある
自分自身を消費せよ
誰もがアピール誰もがジャッジ
もっと可愛くもっと過激に
勝手に拡散勝手に炎上
量産型に地雷系
キーワードは「ぴえん」と「エモい」
迷惑動画もバズればノーカン
メンヘラ女子は眠れない
彼と彼女はSNSへ投稿し
トー横のホテルから飛び降りた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある
(ラップ)
プリン髪して痛バ持って
とてたま気分でバイ活オワコン
キラキラ女子に港区女子
無理ゲーだったらパパ活女子
干物女にはなりとうない
外見スペック超絶ウィケメン
スパダリわかりみキュン死にしてねアピ
パリピギャルサーマジ卍
誰得禿同同担拒否
どーでもよすぎワロタそれなw
メンヘラ女子は眠れない
きみとわたしのあわいに
海と空に境界などないように
白と黒の境界などないように
あり得ないとあり得るの境界も
きみとわたしの境界も
本当はなにひとつないのかもしれない
そこにあるのは
ただ揺らめく波のようなものだけで
風船
あの子は風船を持っていた
みんなが欲しがる風船だ
でもわたしはそうじゃなくて
あの子のため息を気に入っておりました
いつだかあの子の風船を
誰かがうばいにやって来たけど
ついに誰のもとへも行かず
わたしはあの子の血を拭きました
きれいな晴れの日の朝に
あの子はいつもの明るいえがお
でもああいとおしいあの子は
風船に連れ去られてしまった
わたしの方があの子より
ずっと背の高いはずなのに
いつの間にかわたしはあの子の
靴の先っぽ 見上げていたのです
そうしてあの青い空へのぼったっきり
わたしはあの子を見ないのです
日常詠、ガチャガチャを回してみて
わざはひを描いて筆は蝸牛
https://i.postimg.cc/85p8xHn5/IMG-20260312-215001.jpg
『硬つむり』という、おそらくコレはダイアモンドの。
小さな星の軌跡 思い出話「自意識の痛みと、踏み越えない距離」
夏休みの午後、山間のわたしの家は蝉の声で満ちていた。
玄関を開けると、汗をぬぐいながら立っている先輩。リアキャリアの機材が、今日の目的を静かに語っている。
「こんにちは、ちーちゃん」
「いらっしゃいませ、先輩」
部屋は、レース越しの木漏れ日が床に散っている。
わたしの白いワンピースの裾が光を受けて、
“いつものわたし”
より少しだけ大人びて見えている、といいななんて。
そのことに気づいてほしい。
でも、気づかれたら恥ずかしい。
その矛盾が胸の奥でじんわり疼く。
先輩は窓の外の林を見つめて、ふとカメラを構えた。
「ちーちゃん、あの窓辺に座ってみてくれる?」
言われた瞬間
“見られる”
という意識が一気に体に広がる。
恥ずかしいのに、断りたいわけじゃない。
むしろ、すごく期待している自分がいる。
座ると、先輩の視線がファインダー越しに触れる。
その距離が、普段より少しだけ近い気がする。
かしゃ、かしゃ、かしゃ。
蝉時雨とシャッター音。
わたしの心臓の音も混ざっている。
「先輩、外でも撮りませんか? 木漏れ日のところで」
言った瞬間、胸の奥が痛くなる。
“もっと見せたい”
という気持ちを、自分の口で言ってしまったから。
先輩は一瞬だけ固まって、それからゆっくり頷いた。
「うん。行こう」
家の周りの木立は、午後の光で満ちている。風が吹くたび、光の粒が揺れて、ワンピースの布がふわりと浮く。
「ちーちゃん、今の感じ……すごくいいね」
その言葉にじんわり熱くなる。
褒められた嬉しさと、
“見られている”
という意識が混ざって、自分でもよくわからない気持ち。
でも同時に、
“これ以上は、先輩を困らせてしまうかもしれない”
という不安が、足元をそっと引っ張る。
わたしは少しだけ背伸びして、
光の中に立つ。
“もっと綺麗に見えたらいいのに”
“先輩の目に、どう映ってるんだろう”
“でも、これ以上は踏み越えちゃいけない”
そんな気持ちが、蝉の声と一緒に胸の中でざわざわする。
先輩と前に見た、図書館の写真集。あの全てをさらした大人の人とは違う、わたし自身の気持ちを、きっと見せることが出来たはず。
カメラを交代して、今度はわたしが撮る番。
先輩の横顔に木漏れ日が落ちて、
星みたいに光っている。
カシャリ。カシャリ。
撮るたびに、
“わたしが見ている先輩”
が一枚ずつ増えていく。
「ありがとう、先輩」
「僕こそ、ちーちゃん」
蝉の声は遠くで続いている。
この瞬間
“見せたい気持ち”
“踏み越えない距離”
の二つの気持ちがわたしをそっと揺らしている。
光はまだ揺れている。
その揺れこそが
今のわたしの全部だと思った。
https://note.com/chikusui_sefuri/m/mc4ef7cab4639
noteにまとめがありますのでよろしければ。
三度目のお願い
今日はあったくせしなかった。
最初は相手から言ってきたのに今じゃその体温が頭にこびりついて後悔しかしない。
照れながらも言ってくる様が可愛かったのにこれじゃ恥ずかしい。
そんな事もあれば遅刻したお仕置きとして言ってみれば良かったと後悔が混じる。けれど言ってしまった時、引かれないかの心配と言う言葉よぎり、心を止める。
いっそのこと会うたびに言ってくれればいいのに。
春の海
海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
春の海、私の胸の裡もまた、
すっきりと青く澄んでいる。
思い詰めることを続けてきた、
あの不吉な緊張がするすると解け、
眼前に広がる春の海を
まことに美しい、と思って見つめている。
何かを美しいと思い、
その美しさを尊ぶことの出来る心が、
また私のもとに戻って来た。
ああ、海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
美しく、じつにしずかな、春の海である。
(2026.4.2)
愛になる
今まで感じた
心のすべて
受け入れられた
心のやさしさ
あたためて
言葉のなかに
心伝えて
いつまでも
目に触れるもの
感じるたびに
心のすべてが
愛になる
愛のメロディ🎵
um〜 聞こえるよ メロディ
um〜 なつかしい メロディ
um〜 笑顔が弾けだす
um〜 思い出のメロディ
五線譜の音符も踊り出す
粋な メロディ
自然と仲間も集まるよ!
ありがとう 愛のメロディ
um〜 口ずさむ メロディ
um〜 楽しいみんな
um〜 笑顔が溢れ出す
um〜 愛のメロディ
さぁ!歌い出そう 歌い明かそう
大好きな 仲間と
今宵は歌の翼にのって
どこまでも 飛んで行こう
um〜 ありがとう みんな
um〜 愛してるよ みんな
um〜 明日につなぐ
um〜 希望のメロディ
ありがとう ありがとう ありがとう〜
um〜 愛のメロディ!
気配
犬を散歩させている人がいた
けれどよく見ると
犬はいない
人もいない
ただ散歩だけがあった
それもまたやがて咲く
桜の気配に
溶けて消えた
春の詩
冬に捨てた言葉達が
緩む土手で顔を出す土筆の様に
心に返り咲いたなら
なにくわぬ顔をして摘み集めては
花を揺らす風を友に麗かに
春の詩でも書いてみようか
春を待つ
気持ちは一歩
背伸びする
事故
どんでんどんでんどんでんどん
軽自動車が子供を轢きそうだ!
危ないーっ!!
キキーッ!!
ダブンッ!!
でかい鳥が子供を攫いました。
バクンッ
鳥が子供を食べました。
「我が子供、鳥の栄養になりにけり。」
ぎんいろに、なみうって
むねの波間の 小さな月は
風がふいたら 水底のように
ひかりの網目で わたしを包む
夜の優しさ 湛えた月は
まだほどけずに 胸の底
わたしを包んだ銀砂の布は
午前の陽光 透かしの星々
夜の光は そろっと裏に回る
静かな確かな 銀の月
わたしを照らした 冬の月
桜の波間に 見る月は
波打つ色も 胸染めて
いましばらくは そのままに。
Gluon nested
生まれ来る時に
握りしめていた全てを捨てて
開いたその小さな小さな手のひらは
全ての世界につながってゆく
https://youtu.be/u8MRUVrDaRU?si=8jAezFt6kATO29Am
トイレの花子さん
わたしが幼き頃
こわい話といえば
花子さんで
学校の怪談
七不思議の
定番で
いまや、、、
どうした
何処にいる?
花子さんに
会ってみたく
なったりしている
モノも人も物語も
怪談までも
増え溢れ廃れても
花子さんに
会ってみたくなる
遠く離れてしまったからか
いやいや
近づいているのかも
しれなくて
余白
飽きもせずに
直向きになって
見せるでもなく
習慣とでも言えば
それまでのこと
始まりからここに
そして終わるまで
一つも浮かべず
何も願わず
ありがたきを想う
天のあらましに
付き従えば
この身に深く委ねた
もうすぐの
これからのこと
大きな命の
一部に過ぎない
小さな命を
しなやかに
そして終えるまで
始まりのここに
余白に嵌める
静かな決意を
ただ一つ
置くだけの信頼
あたし時々おもうの
伝わるか伝わらないかっていうのは
なにを云ったか
が問題なのではなくって
つまるところ 結局は
誰が云ったか
が問題なんじゃないかって
ズレの累積 ― 白石 × 神谷 1―
二月に入って、朝の空気が一段冷える。
庁舎に入り、コートを脱いで席に着く。
内線が鳴った。
「白石さん、昨日の件なんだけど」
総務課の担当者だった。受話器を肩に挟み、机の端から該当する資料を引き寄せる。
「前提は、昨日お伝えしたとおりです」
一瞬の沈黙のあと、相手が言った。
「それが、うちの課にはその認識が来てなくて」
画面を見つめたまま、短く息を吐く。
「わかりました。こちらで整理します」
電話を切り、別部署に確認を入れる。
「なるほど、そういうことですね」
「失礼しました」
「いえ」
受話器を置くとき、プラスチックが軽く鳴った。
昨日確認したはずの文言。共有したつもりの前提。
少しずつ、噛み合っていない。
間に入ると、話は先に進んだ。修正と再共有は、その場で済ませた。
「白石さんが把握してるなら大丈夫ですよね」
そんな言葉が、自然に飛び交うようになった。
反応は返さない。
昼前、福祉課で短い打ち合わせをした。事実関係を確認し、文言を整える。
「ここは、正確にしておいたほうがいいと思います」
その修正で、話はいったん止まった。別の部署の確認が必要になったからだ。
「じゃあ、午後に持ち越しですね」
誰かがそう言い、打ち合わせは終わった。
廊下の冷気を感じた瞬間、声がかかった。
「白石さん、判断もらえますか」
資料に目を通し、頷く。
「この形で進めてください」
誰も異を唱えない。
判断は、そこで止まり、そのまま先に流れていく。
午後の会議では、説明役になる場面が増えた。
「白石から説明してもらおうか」
立ち上がり、資料を手に取る。説明は簡潔で、誰かを否定しない形に整えられている。
会議は予定より早く終わった。
廊下に出たところで、上司が声をかけてきた。
「最近、助かってるよ。細かいところまで見てくれて」
「いえ」
夕方、ようやく席に戻ると、机の上には朝よりも多くの書類が積まれていた。
どれも、関わった案件だった。
一つ手に取り、内容を確認する。修正した箇所に、赤ペンの跡が残っている。
時計を見る。もうすぐ定時だった。
仕事は、まだ回っている。
ただ、
白石がいないと回らない部分が、
少しずつ増えている。
その事実は、
まだ整理されていなかった。
#連作
#白石✕神谷
つじつま合わせでもかまわないから
ダマすよりダマされる方がマシだと 誰かが云った
自分ほどバカ正直なニンゲンもいないと また違う誰かが云った
バカ正直なニンゲンが バカ正直に人をダマし
ダマしていることにすら気がつかずに
平然とした顔をして こんにちはなんて挨拶を交し合ってる
とんだバカ正直もあるものだと 困惑していると
それがこの世の倣いだと したり顔してまた違う誰かが嘲笑う
混雑する電車の中 泣き叫ぶ赤ん坊とその母親に
聞こえるようにあからさま 舌打ちしたことはないか
買い物しているとき 客がその棚を見たくて後ろにいようと
構わず淡々と品出ししている店員にイラついたことはないか
ところかまわずきゃあきゃあ騒ぎまくる女子高生のその口を
二度と騒げないように縫い閉じてしまいたいと思ったことはないか
自転車が車道通るのは ぶつかりそうで危ないという割に
歩行者はいつも置き去りにされてることには誰もあまり気にもしてなかったり
若い頃の悪事はすべて「ヤンチャ」ってコトバに置き換えて
偉そうにしているヤツは全員消えろって思ったことはないか
陽キャだ陰キャだ カーストだ
一体ここはどこの国だよ?
いつからインドになったんですか?
みんなちがってみんないい、んじゃなかったのか
コソコソヒソヒソ 寄ると触ると誰かの悪口影口
あのひとってあのひとってキョーチョーセ―ないよね
全然空気読まないし てか 読めないのか
多勢に無勢 大勢vsひとり
なにをしてもなにを云っても構わない
そんなターゲットを見つけては みんなしてふくろ叩き
差別? 偏見?
ちがうちがう そうじゃな~い
歌いながら笑いながら
こっち来んなあっち行けよと
石を投げつける
親切の押し売りをしたことはないか
親切の見返りを求めたことはないか
浮足立ってる人間を 心の底から軽蔑したことはないか
人は外見じゃないなんて 嘘つけよって思わないか
全員死ねばいいのにと 一度でも思ってみたことはないか
自分よりかわいそうな人を探してはいないか
自分より劣ってそうな人を見て安心したことはないか
行こうと思えばどこへだって行けたはずなのに
行けども行けども行き止まりの袋小路だったことはないか
ふいに自分がいま何をしているのか
何故ここにいるのかわからなくなって
呆然と立ち尽くしてしまったことはないか
眠れなくて夜 ひとりで声を放って泣いたことはないか
誰に届くことのないその声が これでもかというくらいに
自分の耳にこびりついて離れなくて
どうにもやり過ごせない夜を明かしたことはないか
ひとはひと 自分は自分
なのに足元は 不安定でおぼつかなくて落っこちてしまいそうで
だからいつだって 誰かと比べたがってばかり
天秤はいつだって
どちらか一方が少しだけ重い
求めない 求めない 求めたい
心はいつだって ウラオモテ
風向き変わるたびに
あっちヒラヒラ こっちヒラヒラ
翻ってばかり
生きていてもいいですか?
こんなふうでもいいですか?
生きるに値するだけの理由を
ひとつ わたしにください
つじつまを合わせるための
ただそれだけのための理由を
どうか どうか
ひとつ わたしにも
ください
あい・し・あう
いみ
を
ことばで
まいごに
するなんて、
ことばが
いみを
かさまし したり
まどわすのも
め ん どくさい ね
好きだよ
かわいいかわいいあの子は
ミニスカートが似合うんだね
白くて少し筋肉質な足
骨ばった体
何色の服が似合うのかな
なんでも似合うけど
優しい色が好きだな
すぐに肌荒れするのが嫌って言ってたけど
ポツってできたニキビがかわいいんじゃん
いつも笑顔で
きっと辛いこともあるのかな
弱音一つ言わずに頑張るあの子
ちゃんとぎゅってしてくれる人はいるのかな
スポーツが好き
お菓子大好き
目が好き
よく褒められるのは唇と笑顔
今度会ったらたくさんチョコをあげよう
君の好きなもので溢れる世界は
私は私を好きになる
エイプリルフール
嘘をつけるのは正午まで
どこかの国ではルールがあるという
半日だろうが一日だろうが
年中無休で本当のことを言わない私には
関係のない話だった
似たような言葉をしたためている同士よ
今日ぐらいは、あなたの
ほんとうをさらけ出してみないかい
怖がらなくても
心配しなくても
今日は四月一日だから、
みなも本気にはしないさ
いつものように、冗談めかして
あなたのなかにひそむ
その真実を
小鳥が死んだ夜
目が覚める様なブルーの羽色と、コロっとした体型が愛くるしい、マメルリハというインコを知った時、私は一目で虜になった。
マメルリハの雛が入荷したと知って、ベビーカーに子供を乗せて、遠くまで買いに行った。
小さな紙の箱に入れられた雛が、カサコソと動く度に、空気穴から中を覗いて、動いているのを確認しながら帰った。
昼間は3時間おきに粟玉という、雛の餌をスプーンであげて、入れ物を毛布に包んで大切に育てた。
ゴンと言う音と、何かが床に落ちる音がして、その音の方に振り返ると、マメルリハがドアにぶつかって下に落ちていた。
掌に乗せて、何度名前を呼んでも、ぐったりとして目を瞑り動かなかった。
亡骸をティッシュで包み、クッキーの入っていた、青い花模様の小さな箱に入れ、枕元に置いた。明日、庭に埋葬するまで、自分の側に置いておきたかったのだ。
豆電気の仄暗いオレンジの灯りの下で、箱からそっと取り出し、両手で冷たくなった体を包みながら泣いた。
隣で寝ていた夫が寝返りをうち、私の方を見た。そして何も無かった様に背を向け、夫の寝息と時計の秒針の音だけが暗闇に響いていた。
[て]手と足
手を取って 足を取りあって
相手よりも前へ 前へ
縺れた足取りが後方から掴まれて
反射的、倒れないように前方に伸ばす
手足、手足、手足、手足⋯⋯
手と手を取り合うことが苦手な我々は
路行く者の足を払う
情けないね、人というものは
手を煩わすことを厭わない
足で纏いでごめんなさい
手足の枷をつけたのは自身なのに
鎖に繋がれた身体が誰かを救いたいと嘆いたのだ
不器用なくせして、雁字搦めなのに
どうしようもないね
それてまも伸びた手を握りたいなんて
安い心の悦を満たしていたい
そんな打算で愛は生きている
むち
生きてよ
せのじゅんにならんだときから
ひとは
つまらないものだと
知ったはずだよ
やさいをたべて
にくをたべて
たまごをたべて
てをあわせたら
まるで葬式みたいなのに
きせつの帳尻を
あわせているだけ
だいじょうぶ
だって わかいから
うらやましいわ
だって わかいから
あおくても
つめたい錆の
においくらい
ねむれないよるの
さびしいよふけに
知ったはずだよ
花鳥風月と君
なかなか会えない日々も
同じ花の香りをかいで
春の訪れを知る
愛しさを 幸せを
わたしはこのまま
感じていたいのです
同じ空の下 同じ月を見て
綺麗だと言いたくなる
この関係に
感謝をせずには
いられないのです
天然豆
常磐線のボックス席から、女子高生の遠慮や屈託のない話声が聴こえてきます。「天然豆まじこうぇーよね、社会でみたあの写真の天然豆やばくない」「あトウね天然痘」気を使いながら訂正した声です。そんな話を聴いていた私は、しかし、と思ったのでした。本当に怖いのは天然豆の方でそれを私は知っている、と。昔々のことです。ある所にお爺さんとお婆さんをが住んでました。お爺さんは二丁の鉈を研ぐのを日課にし、お婆さんは物干し竿の先端を刃物で尖らせ鑢で磨くのに余念がありませんでした。ある日お爺さんが声をかけました。「さあそろそろ頃合だ。ところでシャア少佐はいつの間に大佐になったのだろう」するとお婆さんが「ジャブローの後でしょうか。では行きましょう」と答えました。二人はガンダムファンだったのです。鬱蒼とした竹藪が目的地でした。竹は何十年ぶりかで花を咲かせていました。竹の花が咲くのは不吉の前兆といいます。そこへ竹藪をねぐらにしている狸が現れました。お爺さんは「そろそろと思うが、天然豆は膨れているだろう」と声をかけました。狸はなぜか困った表情で「大変言いにくいんですが、隣の集落の白鼻芯が昨日すげー食べててあと十年は大丈夫みたいです」お爺さんが俯き考え込んでる仕草をしていると狸は「キシリアと合流した後じゃないですか」と言いました。お爺さんは、はっと顔をあげました。「盗み聞きするつもりはなかったのですがお二人が、あまりに熱心にガンダムの話をしていたのでつい聞き入ってしまったのです」時は1984年、Zガンダムの放送が開始される前年でした。今後ガンダムに何らかの進展があった時、横で解説してくれる先生がいなくてはいけない、と思ったお爺さんは狸を家に連れて帰り、それはそれは大事に世話をしました。そうしてお婆さんが尖らせていた物干し竿を地面深くに突き刺し、延長バーをつけて家よりも高く聳えさせ、丁寧に調整された二丁の鉈をその天辺に横にして備え付ける。するとそれは電波塔になり、三人はハムをはじめました。CQCQCQ映画版Zガンダムのエンディングありえないと思うのですが応答せよ。令和となっても電波の中で三人の声が揃っています。
2024/07/15@海遊館吟行より
夜がくるじんべゑ鮫と云ふ夜が