N o w   L o a d i n g

通知

ユーザー名

メッセージ

2021/01/01 12:00:00

通知の有効期限は3か月までです。

メールアドレス パスワード 共有パソコン等ではチェックを外してください パスワードを忘れた方はこちらから

投稿作品一覧

著作権放棄の宣言、名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト選考通過作品について。あるいはAIポン出しという名の冒険

 こんにちは。以前は茅杜弐 乃至真(ちずに ないしま)という名前で呼ばれていたこともあるけれど、今の僕は「AIポン出し太郎丸」と名乗ることにしている何者かだ。どちらがより僕の実体に相応しい名前なのか、それについてはまだ結論が出ていない。

 生成AIが書いた小説が世間を騒がせている。それはまるで、真夜中のプールサイドに迷い込んだ一頭の羊のように、どこか場違いで、それでいて否定しがたい現実味を帯びている。みなさんはどんな風にこの季節を過ごされているだろうか?

 挨拶はこれくらいにして、本題に入ろう。
 僕はこれから、僕の名前で発表されたいくつかの作品について、著作権を放棄することをここに宣言しようと思う。

『覚醒めよ、鉄の王よ』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=259
『群島に吠ゆる』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=260
『夢よりの囁き』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=257

 正確に言うなら、これは放棄というよりも「そもそもそこには最初から著作権なんて存在しなかったのだ」という事実の確認に近い。

 なぜなら、これらの作品はいわゆる「AIポン出し」によって生成されたものだからだ。僕はただ、無料版のChatGPTに対して、とても簡素な——日曜日の朝にトーストを焼くのと同じくらい簡単な——プロンプトを与えたに過ぎない。

 例えば、こんな具合だ。

■実際に使用したプロンプト一覧
『覚醒めよ、鉄の王よ』:
「人造の鉄巨人」と「ダークファンタジー」というお題で1000字未満の小説を書いてください。 タイトル付きで。
『群島に吠ゆる』:
「群島に吠ゆる」というタイトルで、ダークファンタジー小説を1000字以内で書いてください。
『夢よりの囁き』:
「夢魔」「ダークファンタジー」というお題で、1000字未満の短編小説を書いてください。

 そこには創意の欠片も、個人的な葛藤も含まれていない。出力された原稿に手を加えることはしなかったし、正直なところ、僕はそれらをまともに読み返してさえいない。書き直しのための再出力、いわゆる「ガチャ」すら一度も回さなかった。ただ一度きりの、乾いた一発出しだ。

 文化庁や世の中の主流な見解によれば、こうした生成物には著作権が発生しない。それは妥当な考え方だと僕は思う。深い穴に石を落としたとき、跳ね返ってくる音にまで所有権を主張するのは、あまりに不自然なことだから。

 しかし、奇妙なことは起こるものだ。
 これらの生成物が、どういうわけか名興文庫の「漆黒の幻想小説コンテスト」で選考を突破してしまった。一次選考を通過したものもあれば、二次を通過したものもある。いずれも書籍への収録が確約された。

【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一次選考通過・書籍掲載作品 発表
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-11/
【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 二次選考通過
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-12/

 昨今のAIの進化を思えば、選考に携わった方々の先見性には、深い敬意を表さざるを得ない。彼らが何を見出したのか、僕にはわからない。だって、僕は読んでいないのだから。

 もし詳細を知りたいという奇特な方がいれば、文庫の講評を読んでみるといいかもしれない。そこには僕の知らない「僕の作品」についての言葉が並んでいるはずだ。

【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一月度の所感と告知
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-4/#toc26

 繰り返すが、これらの作品に著作権は存在しない。
 書籍にしようと、大賞を授与しようと、誰かが勝手に物語を書き換えて遊ぼうと、それは完全に自由だ。僕の許可を取る必要なんてどこにもない。存在しない権利を行使することは、誰にもできないのだ。

 そういうわけで、これが僕からのささやかなお知らせだ。
 生成AIという新しい風が、この世界のどこかで何らかの可能性を示したのだとしたら、それはそれで悪くないことのように思える。

 もしあなたが、この一連の出来事に何かを感じてくれたなら、SNSという名の広大な砂漠のどこかでシェアしてみてほしい。それが僕の、これからの「ポン出し」のささやかな励みになる。

※なお、この原稿は下書きの作成後、Geminiを利用して村上春樹風にリライトしたものである



【2026/03/10追記】
 なぜか本記事をもって「選考辞退」と解釈されてしまっている方がいるようだ。
 僕はそんなことは一言も書いていないし、そんなことを言う権利も持っていない。
 繰り返すが、これらの作品には「著作権が存在していない」のだから。
 書籍にしようと、大賞を授与しようと、みんなの自由にしていい。
 ただ一言だけ言わせてもらうことが許されるなら、みんなが何にも縛られず、この新しい風が吹く世界を自由な翼で羽ばたいてくれたらいいなとは思っている。

 0

trending_up 2288

 4

 6

後悔の意味

目の前を夢の終わりが通り過ぎたとき、
「人生が二度あれば…」
と歌い声が聞こえた。

たとえば記憶をそのままに、過去に戻れたとしても、わずかな失敗を消せるだけだ。
「あの時こうしておけば…」
そのときへ戻ってやり直せたとしても、そこから続く人生はまったく別のものになる。

大切な人との出会いはなくなるかもしれない。
想い出もまた、別なものと差し替えられてしまうだろう。
違う喜びもきっとある。
ただ、それと同じだけの悲しみや苦悩を味わう。

過去だけでなく、目の前の挑戦も同じことだ。
何かに挑戦し失敗をしたとき
「後悔しないように行動しろ」
という声が飛ぶ
初めから失敗するつもりの人などいない。
その言葉は虚しく、意味を受け止めるまで行かないただの音だ。

おいしかった水の味を忘れ、刺激に酔いしれる。
満たされた渇きを忘れ、他の空のコップに視線を向ける。
周りから見ればすべてを手に入れているように見えても、わずかな不幸を嘆いている。


“振り返ったとき悔いないように行動する”
ことだと思えば苦しい。
“悔いた後にそれをどうするか”
そう考えれば無駄ではないだろう。

何もしないで悔いるより、杭を打ち込んで心に刻む。
折れたり、曲がったりして、不格好かもしれない。
だけどその杭は、自分が必死に戦った跡として、記憶に刻まれる。

悔いた後より杭の跡。

振り返ったときに出るため息は同じでも、跡は温かく心に灯る。
二度なくても、きっと悔いを悔いない人生になる。
それが唯一無二の、ひとりだけの一生だ。

 20

trending_up 5

 1

 1

フラグ・メンツ(現代詩手帖 落選につき皆様による批判を受け付けています)

約束を違えた襟の ボタンひとつを
なおす術さえ 教わらなかった子ども ら

各々の部屋に埋葬されている、だと。

私はそれが許せなくて、ドアを叩いた 

ぶよぶよに腫れ上がった 手旗信号 届くか

拳骨が見えて 内側はあばかれる
諦めているのはわたしなのに
この生き物ときたら痛覚さえないとは

外縁で折り合いをつけなくては
内側から食い破られてしまう

侵入者を 腿を 腕を 抓っていたのは
私の手ではなかったのか と
少しは疑え。語りの主体は誰

きみという 可変のシェルに籠る
居留守がばれ続けている

不在と書いた 白旗を立てた この領地を
所有したくない と思った、感情の数だけ身体を割いた という口上を自己防衛に使った それは三人称でも転用可能か検索した
とメモした 紙片は虚しく空調にはむかった

フラグメンテーション 
齧ったトーストのかけらで 
構成されたような具合の身体性 
ばらついたまま あさましい欲望を余すもの

ナイフにこびりつく
バターが不快で 漆喰を塗る音が不快で 
飛び出してしまいたい。

うちなる他人のものとして
切り離して責任を逃れたのはだれ?
あと何度かはこの問いを再起していい筈だ

芯を食いにいけばいい 芯を立てればいい
そして常に すり替えればいい

喉元で正せ 襟とただせ 
編集時の差異こそ本懐ともてなせ
口がふえたごとに 噤まれるとされど 
スレッド数など比例しない

すっぱい葡萄の 枝まで食えばいい
実感を握って 痛覚を得よ わたしの氷を わたしの陣地に 取りに行かないと 
手も足も増えるんだ そらみたことか
盛大な離反 しかし コアなどあると思ったか

断片たちから名前を選べ
断片化された名前を選べ  

あるいは 選ぶな

 0

trending_up 210

 3

 12

恋都

恋都は多くの人が恋焦がれる都
その都は東京と呼ばれているみたい
親類も友人も住んで居るけれど
同族に成りたくなくて住んだ事はないの
夢が多くて誰でも夢を見られる都だけど
見ている以上に夢が破れている気がする
破れた夢は不夜城の光の中へ
枕や水みたいに合わない物って有るのよね
住めば都って言うなら
今 住んでいる此処が私の都
恋都なの

 30

trending_up 64

 4

 6

中空蘭鋳

なみせんを もがき ふけることは
およげない たましいの あぶくたちの
うまれたら いいのだろうと きりのない
もやのなか で あって しまったことです。

えらく傷ついた古鯨の少しの命を垣間見て かわのそこにうたう 地に這う砂礫の、一粒にひとり。あの世から座礁した人間の、便りない夢が光る。海岸線に 犇めく波の花 それもまた 解けてしまう先行きの 愚かな 暖かな逝きでした。 届かない天に思いをそらし、一噴きに翔ける ただのちしお。 多量に打ち上げた 地上のいのちを ひとのみにする、開眼船上に夢を たゆたえ 褪せていく こと。夜明けの残骸が、私。 底に横たわるともう 海はかれて無く、溢れいく。そのうちがわ 僅かな息吹が 時を戻す、祈りが風と 戦い逝っても 底に天天が転じるよう 黒い円らのプラットフォームと番い、添い寝する いつだって 傍の影の躰で 言ってしまう未来。いつかの、深き森の、始祖の泉にのみこまれるときわたしは、わたしじしんを、特異に恥ることは ないのだけれど

嘘ばかり抜け殻に残って、記憶が縫い付ける世界 星界のしらべ
呑み込めない整を求めてあえぐ、綺羅星の葬列
あれは、中空蘭鋳の群れ。
破裂した頭蓋を重たそうに模せる
狂った陽時計の翳をも停めて
チの つながらない、あなたの子 産みの底は
いつか、必ずや。地獄に還ります
終焉の来ない夕暮れに追い縋る緑児たちの夢を
永遠に閉じ込めている様々な彩りを持って
輝かせゆく シリウスを捜して欲しいのです

焼け爛れた星辰を。
ひとつだけ ひと つまみ、のみこんでいった
死の棘が、誰の目にも
くるおしく、顔を背けて、にじりよってくる

 0

trending_up 18

 2

 1

けろけろ       

久しぶりだな、けろ
キミの尖鋭的な作品が評判ではないか
我がことのようにメデタイけろ
突然だが金貸してけろ
頼むから、貸してけろ
他に宛てがないのだから貸してけろ
救けると思って貸してけろ
そんなこと関わりない、なんて云わないでけろ
そんな目で俺を見ないでくれ、なんて云わないでけろ
怨まないでくれ今はオレもない、なんて
こんなイイ暮しをしながら云わないでけろ
友達ならこんなこと頼んじゃいけない、なんて拒まないでけろ
(元々キミの友人リストに自分は載っていなかったかもしれないが)
ご覧のとおり、人でなしの拙者です
お恥ずかしいワタクシではありますが
お願いだ、お頼み申します、明日払わなければ追い出されてしまうのだ
銭コ貸してけろ
吾輩の評判が悪いのは知っているけろ
ああ、お願いだけろ、生きるか死ぬかの境界なのだから
貸さない、なんて云わないでけろ、けろけろ
土下座してもムダ、なんて睨まないでけろ
はて、わかったよ、五千円でいいから都合してけろ
おお、それなら、米代の二千円を出してけろ
ああ、せめて、帰りの電車賃を与えてけろ
二度と来るな、なんてそんな風に乱暴しないでけろ
さっさと帰ってくれ、なんて残酷じゃないか
追い払わないでけろ、いちおう人間だよ、これでも
そんな非人情云うのなら、今までの友情を返してけろ
引っ越しを手伝ってあげたではないか、キミ
餅を五個持って来たことを覚えていないのか、キミ
カンニングに協力した若き日もあったではないか、キミ
涙をこぼして、かたじけない一生の友だちだ、と感謝していたのは
あれはキミではなかったのかな、たしか
とっとと消えろなんて、冷たくしないでけろ
捨てないでけろ、友だちを大切にしないとバチが当たるけろ
虐めないでけろ、一生のお願いだからけろ
邪慳にしないでけろ、
塩なんか撒かないでけろ
ドアを閉めないでけろ
カミサマ救けてけろ
闇だ、ぬるい地獄の、ああ、すきまのない闇だよ、
もっと光を! 
けろけろ!

 50

trending_up 49

 6

 5

ことばのふりをして

誰を
撃たんかね
鹿でも
撃つた顔をして
あんたも
撃つたのかね  

ことばのふりをして

転がる
薬莢
だらり
目を細めて

 0

trending_up 173

 12

 18

ガバガバヘイ!

俺は陰キャのラモーンズ
スキニージーンズがまじで似合ってる
ギターもベースも弾いたことはねぇ
でも掻き鳴らすぜこの散文詩
2年4組平凡でつまんねークラス
俺のスクールカーストは5軍
アニメが嫌いだからオタクの友達もいねえ
いいんだ質の悪い友人なんていらねえ
そもそも人間は一人で生きる生き物

クソ長え昼休み
群れあって可哀想な奴らを尻目に
今日も俺は机に突っ伏して寝たフリをキメる
どんな事件だってこの俺様めにお任せあーれ
クラスの陽キャに唯一負けないこの妄想癖

お粗末な戸締まり
侵入する黒尽くめの男
鳴り響く非常ベル
廊下にこだまする悲鳴
慌てふためく教師ども
ついに俺らの2年4組にも侵入してくる
奴は教壇を蹴飛ばしナイフをこちらに突きつける

「お前ら、絶対に動くなよ!?」

クラスメイトは全員緊張状態
いつもはうるせえ陽キャのタカハシもビビって黙ってら
まったく恥ずかしいやつだ
俺なんかこんな状況でもコサックダンス踊れちゃうぜ?
Hop,hop,hopak! タカハシ、お前はボンゴでも叩いてろ

「おい、お前こっちに来い!」

奴は近くにいた一軍女子まりなを乱暴に手繰り寄せ
その喉元にナイフを突き付けた
まりなが苦悶の表情を浮かべる!

「お前ら動いたら、こいつの命はねぇからな!」

2年4組により一層緊張が走る
教師はただ固唾を飲んで冷や汗をかいている
ため息をついてにやりと口角を上げる俺
それが気に食わない黒尽くめの奴は声を荒げる

「そこのお前、なにがおかしい!?」

まったく、どいつもこいつも余裕のねー奴ばっかだぜ
俺のこの能力を見せびらかすつもりはなかったんだがな...
面倒なことになる前に片付けちまうか☆

「この俺様にそんな口を利いてもいいのか奴さん...俺は通称'朱目'。神から授かったふざけた才能なんだが、寿命が少し縮むのと、髪の色が白銀に変わる代償として能力を発動することができるのさ。で、その能力っつーのは俺と目の合った奴の生命力を吸い取り、5秒後に死に至らせるというものなんだが...おっといけない。説明し終わる前に死んじまったみてえだな」

黒尽くめの男は泡吹いて倒れてら
それと同時に歓声が湧き上がる教室
モブに肩を組まれ賞賛の嵐が俺に吹きかかる

「お前すげーじゃん!」
「そんな能力があったなんて!」
「お前が真の一軍だよ!」

まったく...能力を見せた途端これだ
バカどもの相手は困るぜ
すると面を紅潮させたまりなが俺に近づいてきた

「どうしたんだ?まりな」
「あ、あの...助けてくれてありがとう...陰キャくんさえよければなんだけど...私と付き合ってくれない?」

「「「おおっっっ!!!」」」
突然の告白に、クラスメイトたちがどよめく!

「おいおいいいのかそんなこと言って...確かお前は、このクラスのタカハシとかいう男と付き合っているんだろう?」

「タカハシくんなんていいの!あんなうるさいだけの猿みたいな男より、陰キャくんみたいな強い人と私、付き合いたいの!」

「おいおい節操ねえな...俺みたいな'朱目'と付き合うと、お前もケガしちまうかもしれねえぞ。それでもいいのか?」

「うん、いいの!むしろ貴方のそばで死ねるなら本望...決して引き裂かれることのないタナトスの愛...!そんな恋愛を陰キャくんとしたいの!」

まったくとんだ色情女だぜこいつは!
俺はタカハシの方を見ると奴は涙を浮かべながらも微笑んでこう言った

「ああ、まりながそういうなら...グスッ俺と居るより、ずっと男前な陰キャと居るのがいいよ!グスッ陰キャ、グスッまりなをよろしくな!グスッ」

こっちもなかなかイカれてるぜ
だけどこいつらがそう言うなら仕方ねえ

「それなら...俺の女にしてやるよ、まりな」
「...!はい!」

まりながそう言った途端、周りのクラスメイトたちが囃し立ててきた
「まったくお似合いカップルだぜー!」
「ヒューヒュー!」
「キスしろよキス!」
「キース!キース!」

「おいおいお前ら...」
「陰キャくん...」
まりなはそう言うと俺の袖を掴んだ
俺はやれやれと肩を竦めてまりなと向き合う
そしてそのまま...

「陰キャくん?」

妄想仕立ての俺の脳を呼び覚ましたのは
2年4組の一軍女子香坂まりな
鈍すぎる処理速度 引き戻される現実
そもそも俺はコサックダンスなんてできねえ

「次移動だから、早く準備して」

「えっアッ...ハイ、スミマセン...」

唾混じりの第一声 情けなさ過ぎる俺
すぐに立ち上がろうとしたが
邪魔をするのは隆起したP・E・N・I・S
鎮まるまでのクールタイム要請

結局2分間くらい席を立てなかった俺がお前らに伝えたいことそれはその後の学校生活でまりなと話したのはたったこの一度きりだということ
そしてタナトスの愛など実在しないということ

その代わりに存在する情熱それがパンク・ロック
お前らスキニージーンズを履け!!!


written by ターボくん a.k.a. 藤原太亞暴

傑作散文詩シリーズ第二弾「ターボくんのドドン!といってみよう」(2026)第2節3篇より引用

※この詩はフィクションです。登場人物は実際の人物とは何の関係もございません。

 0

trending_up 21

 2

 1

AIによる詐病、あるいは傲慢の暴露――AI時代における詩の読みを考える

序:揺らぐ境界線

 2026年現在、生成AIを用いた創作はもはや他人事ではない。先日、CWSにて、とあるコンクールでAIが生成した小説をそのまま提出して選考通過したという話があったが、この件は詩の世界にとっても無視できない一石を投じたと言える。
 私の中には今、生成AIが作る詩に対して、相反する二つの考えが同時に存在している。どちらが正しいと断じることはできないし、そのつもりもない。しかし、この葛藤を共有することで、ある種の議論のたたき台となれば幸いだ。詩とどう向き合うのかを考えることも、また詩的な営みだろうから。

※ここで言う「生成AIが作る詩」(以後、「AI詩」)は「生成AIの生成物を推敲なしで発表した詩(ポン出し)」を指す。詩作の過程で生成AIを用いることを否定する意図はない旨を補足しておく。


考えその1. AI詩は作者と読者の間の信頼を破壊する行為である

 詩の鑑賞は、作者と読者の間に結ばれる「見えない契約」の上に成り立っている。 読者は、言葉の背後に切実な人間がいると信じるからこそ、その言葉を深く受け止めようとする。これは、医師が患者の訴えを真実として受け止め、診断を下す関係に近い。
 もし、患者が演技で嘘の症状を訴えていたとしたら、医師の診断(読解)はその前提から崩れてしまう。AIであることを隠して詩を発表する行為は、いわばAIによる詐病だ。それは単なるマナー違反にとどまらず、「人間が書いた言葉を読み解く」という詩の営みそのものを、空虚な茶番に変えてしまう危険性を孕んでいる。


考えその2. AI詩は読者の傲慢を暴く新時代の潮流である

 一方で、AIの台頭は、一部の読者が無意識に抱いているであろう「読み手の傲慢」を暴く劇薬にもなり得る。 そもそも、詩の読解や解釈とは、どこまでも読み手の中で完結する自己中心的な行為だ。文字から意味を拾い上げ、感動を生み出す作業は、読み手の知識や想像力に完全に依存している。
 それにもかかわらず「作者の叙情や意図を正確に読み取った」と考えるのは、読み手の思い上がりに過ぎない。私たちが読み取っているのは、いつだって「自分自身の解釈」が作り上げた幻の作者像である。
 AIが生成した詩には、最初から叙情も意図も存在しない。しかし、私たちはそこにある文字列から勝手に意味を見出し、時に涙することさえあるかもしれない。この事実は、詩の正体が「作者の心」ではなく「読み手の中に生まれる反応」であることを、残酷なまでに暴露する。AIの台頭は、この暴露を通じて詩の世界に新たな「読みの技術」をもたらす新時代の潮流となり得る。


結:環境変化としてのAI

 大切なのは、AIの是非をジャッジすることではない。AIが存在するという「環境の変化」をどう受け入れるかだ。 他人がAIを使うことも、社会がこの速度で変わっていくことも止めることはできない。
 自分がAIを使うか否かに関わらず、私たちは今、かつてないほど「言葉とは何か」を問い直されている。書かれた文字だけを真実とするのか。そこから立ち上がる自分自身の感情だけを根拠とするのか。目の前の詩をどう捉え、どう読むか。詩に対する思想や哲学を持ち、読み方を自分自身で定義することが求められる時代が来ている。
 AIは文学に限らず、社会全体に劇的な変化を巻き起こしている。私たちはその変化の渦中で、思考を止めてはならない。


※本稿における基本的な論理構成や主張、文章の最終調整は筆者が行っているが、言語化の過程で一部AIを使用している。なお、筆者は本稿の著作権を放棄していない。

 0

trending_up 38

 3

 0

批評・論考


あいつの面の皮を剥いでやりたい
化けの皮を暴いて
本性を曝け出してやりたい


なんてさ


面の皮一枚剥いだところで
一体
なにを暴けると云うのだろう



 0

trending_up 16

 2

 2

品と恥

品がないというのは
”下半身”を涎を垂らしながら
下卑た笑みで語ること

恥を知らないというのは
それをどう見られるか思慮せず
人に押し付けようという態度


品があり、恥を知っているとは何か


それは最後の授業で”Vive la France!”を叫ぶこと

それは大ルーマニアの沼地で歓喜の内に死ぬこと

それはイシュトヴァーンのその輝きを戴くこと

それはバリケードの中でワルシャワを歌うこと

それはメガリ・イデアをエーゲに臨むこと

それはメースからメーメルまでに在ること

それは聖なるルーシのその草生す骸となること

それは、万世一系の花を、想うこと



空に黒、黄、白
あるいは一つの旭日が
ゆらゆらとひらめいていたとき
地球は最高密度の尊厳性惑星時代を迎えていた

 100

trending_up 124

 4

 7

繰り返し、一興にも成らず

やゆやゆと思想の渦中

夢は時々既視感の卵
幸福は石鹸の後始末

望みは消えていく

からからと流れる雨粒の塊
逆さまの感情を糸で救済さえできず

速度を上げて消失していく罪人
それらは声を張り上げる

すらすらと欲求は尽きず

手の甲の拍手で恐怖に満ちる
呻いた伸びた手は飲み込む

其れ等に同情は皆無

断末魔は興にもならず
紅は熱され続ける

終わることを知らない崩壊

それすら見向きもせず
睡蓮は水面で再生

釈迦はするすると鏡の沈着に去る

 0

trending_up 4

 0

 0

花に委任

貴方の迷惑になりたくないと思っている筈なのにどうして勝手に口は動くの

コチョウランはとうに消えてしまった
 
この地獄の部屋から引っ張り出して 

おねがい
 
手元にある紫の栄光は今か今かとこちらをみていて私を誘惑する 
 
私は自分で悲観しているだけでフェリシアのような生き方ができたのかもしれない
 
もう終わり
6時間耐えぬくの
私は私の元へ行ける筈
それが私のいちばんの幸せだから

でも私は貴方のことをもっと知りたかった
私のことをもっと知ってほしかった 

貴方はきっとすぐ忘れてくれる
月下美人に溺れてしまっている

それでいい、それがいい
 
そんなことを言っておいて私はマリーゴールドを手に持っていたいの
 
 
貴方に言われたあの言葉を私の中で反芻して何度もそれに近い考えを作り出した 
無理だった 
それでもあの言葉が本当でないと私は崩れてしまう
貴方が気に病む必要はありません
私が自分勝手に動いているだけなのだから

私はオダマキ
 
貴方のありがとうは受け取っていいのかな

白いスミレはひっそりと道端に咲いている
それを踏みつけることはできない、しない

カーネーションはぐちゃぐちゃに踏みつける
 
わがままが許されるのならば暦の私の名前からなくなった月を
貴方の名前にある二つの月を
それを一つ私に頂けませんか

月は二つあったら眩しくてきっと眠れないから
貴方はそれを綺麗だと思わなくていい
私の中にとどめておきたいの

この月を大切に、綺麗に時々眺めて
綺麗、とつぶやくの
そこに私がいなくとも
 
矢張り貴方には花さえにも月が付き纏っているのね
貴方は本当に危険な月
コルチカム
欲張りなのは重々承知

ほんの少し私に夢を見させてくれてありがとう

アイビーは枯れた
ベコニアは死んだ

 20

trending_up 26

 2

 4

枯れぬ欲は破滅

赦しを請うのは自己での完結
朱を熱する
己のみ満足を得られる
罪の意識は気づかずに染みになっている

小指の先から侵入したガラスの破片は血管の移動をやめず
心臓を破裂させる

人差し指、撫でる背骨との距離
これは触れているのか
否、触れていない

欲は鷹
雀になりたかった

川に飛び込んだ烏の翼は渇きを知らず
とても気分がいい
お似合いだ

苦痛はオオルリ
裏切りはカナリア

燕が育む雛鳥
巣食いの敵

鋏で断つは赤いハンカチ
断ちたくないのは赤子の雑巾

願え銀の匙
感情は黒く染まる
瞳は乳白色

欲は地球の重力を遥かに超える
月が近づきすぎた
突き抜けて天の川銀河に放り出される

右手は少しだけ生きていたように見えた
現実は凍った薬指

欲だけが残留
それだけでは足らず親指すら崩壊していった

それでも尽くことを知らない

 0

trending_up 33

 3

 4

主張強め日記(3月10日、名興文庫の話)



CWSは多様なジャンルが入り混じる場を標榜している。詩歌だけでなく、小説やショートショート、評論、戯曲など複数分野の書き手が交差することにこの場の面白さがあると思っている。それをこの短期間で実現できたのは、サイトのプレリリース時から名興文庫との提携コンクールを開催できたことが大きい。当然ながら、そのことへの感謝は尽きない。


ただし、提携コンクールを開催しているからといって、名興文庫と我々は同一の主体でも、グループでもない。名興文庫では開示請求やらなんやら、詳細は関知しないが、苛烈な揉め事が継続しているようだ。CWSがそもそも複数ジャンルにまたがる硬派な文芸投稿サイトを志向しているのは、狭い界隈に閉じることで場が内向きな揉め事で停滞する経験をしてきたからだ。名興文庫との提携コンクールもその文脈にある。詩文学に閉じない場を作るためにもと、提携コンクールを開催させていただいたのだ。


だからこそ、名興文庫のシンパは参加しやすいがそうでない書き手は参加しづらいという状況になってしまえば、狙いと真逆になる。我々は党派的な振る舞いには与したくない。是々非々で闊達に議論できる場を作りたいと思っている。名興文庫の界隈で何を揉めているのかも正直よく分からないし、関与するつもりはない。我々の距離から見ると、揉め事が拡大して自家中毒を起こしているだけのようにも見える。揉め事を無為に持ち込む人にはご遠慮願いたいところもあるが、サイト内で迷惑行為をしないのであれば、サイト外の行動は基本的に問わない方針を敷いている。


今回、AIで生成した作品を提携コンクールに応募し一次選考を通過した上で、著作権を放棄する旨をCWSに投稿するという一件があった。コンクールの運営にとっては迷惑な話なのかもしれないが、どの程度の迷惑行為と捉えるべきかは私には分からない。UCバークレーの卒業生が卒業式で卒論をAIで書いたとバラすパフォーマンスをした話も記憶にある。それを許されない悪ふざけと見るか、問題提起を含むハプニング・パフォーマンスと見るかは、捉え方次第だ。


むしろ仲間内で互いを批判したり、際どいパフォーマンスができるかどうかが、場の成熟度を示す気もしている。誤解を恐れずにいうと、延々とよく分からない揉め事を発信しておられるところをみると、別にアンチならずとも、ちょっとした牽制球のようなパフォーマンスをしたくなる気持ちも分からないではない。少なくとも、サイトに対する迷惑行為と捉える理由はないと考える。


今回の投稿をされた方はリリース直後からこれまでCWSに貢献くださってきたし、少なくとも投稿者として荒らしに見えたことは一度もない。今回の件にしたところで、著作権を放棄する、自分はろくに読んでもいない作品である、とおっしゃっているだけで、辞退しておられるわけでもない、真に優れた作品なのであれば、予定通り、書籍化しても問題はないはずで、迷惑と捉えるべきか否か、微妙なところを突いている。正直に言うと、私はちょっと笑ってしまった。


名興文庫にとって迷惑だからという理由で共闘するつもりはない。また、提携コンクールにとって、本投稿が迷惑なのかどうか私は判断する立場にないし、名興文庫がそれを迷惑行為と表明したところで、我々も同じスタンスであるべきなのか疑問だ。そもそも、際どいハプニング・パフォーマンスはオンライン文芸投稿サイトに付き物である。私自身、かつて同じワードを連呼するループ詩で知られていたが、それを明らかに揶揄した色彩のある作品がサイトのリリース直後に投稿された際、苦笑しながらむしろ賞賛した。システム担当のかばん餅も賞賛していた記憶がある。運営者同士、当然仲は良いが、馴れ合うことなく歯に衣着せぬトークを朗らかに交わし、変な気遣いをしないところに良さがあると思っている。


ちなみに、今後、AIだけで作成された作品を仮に我々が展示作品に選んでしまい、その後、それを揶揄するような作品が投稿されたとしても、我々はそれを妨害行為とは捉えないことをここに表明しておく。むしろ、そこからどういう示唆を抽出し、どう議論を展開していくかの方が重要だ。


運営への批判や揶揄を禁止する方針にはない。また、運営自ら田伏正雄などという裏アカウントで投稿したりするサイトである。際どいパフォーマンスも、それなりに寛容でありたいと思っている。以前、他サイトで、掲示板内の誹謗中傷や犯罪予告を放置しておきながら、自分たちへの批判だけ即座に削除する運営がいたが、そういうものとは袂を分かちたいと考えているのだ。

 0

trending_up 200

 4

 3

批評・論考

だいぼうけん

小さな冒険者は
虹の麓を探しに
土筆の剣を手に
白詰草の王冠をかぶって
小鳥の囀りも味方して
春泥に増える足跡

 0

trending_up 32

 6

 8

春なんていなくなれ

見返りばかり
求めていました

愛とか無償とか
かけはなれて
「おかあさん」だからって
それだけで

そばにいられました
そばにいてもらえました

この春
わたしは
なによりもかなしいとか
せつないとかごめんねとか
ごちゃごちゃなきもちで
たちあがれないだろう

たった
じゅーはちねん
されど
じゅーはちねん
さいこうの
じゅーはちねん

いちばんそばにいられました
それだけしかできなかった


ありがとう

 0

trending_up 23

 5

 2

無い

去り際に
人間の本性がわかる

ありきたりに言うなよ
拳をほどいて

パッ

突然
以外の去り方は
知らない

覚えたくも 教えられたくも

 0

trending_up 73

 6

 10

反物語主義

すべては点であり
それらは決して結びついて線になったりしない
線が見えたら
それは欺瞞だから気をつけなければならない

噴煙が上がると
物語が敗北したことがよく分かる
それは破壊と殺人のしるしであり
我々が何のために建て
何のために生きたのか
もはや分かりようがない

夢は点に満ちた時空であり
いつも散らかって混乱している
したがってそれは世界の鏡である

幸せな夢や楽しい夢で慰められることはあるが
それらはやはり混乱しており
言うまでもなく真実ではない
真実を材にして生まれた妄想である

アマプラのようなもので映画を観ている我々は
真実から遠ざかることをしているのだ
画面に映る芝居や物語は
点から点へ結びついてゆく線である
試すように結びついてできた線に騙されてはいけない
それは甘美な夢であり楽しいものかもしれない
線を作るのは人間の性かもしれない
しかしそれでも真実ではないことが
意味を成すとは思えない

 50

trending_up 111

 4

 9

降車専用

降車専用と書かれたホームから改札へと進み

エスカレーターを2回乗り継いで地上へ出ると

私たちは綿毛のように散ってゆく

一緒に歌ったり

言葉を交わしたり

すれ違ったりして

ただ綿毛のように散ってゆくのだ

降車専用と書かれたホームを置き去りにして


※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し①

 0

trending_up 29

 4

 4

推し活って

簡単で単純な
日常の感情のゴミ箱

行き場も矢印すら
行方不明な
エネルギーが
流れ爆発解消昇華

人それぞれだろうが
そうだとおもうんですが

やめられないややいやいやいや

すきなものがひとがあれやそれが
あるだけで

しあわせですもん

単純だから

 0

trending_up 27

 3

 4

光の環

カイロがあたたかい
心細く
冷めれば
冷たさが増すだけ

声をかける
相手の顔を見て
ホッとして
うなずく

遠くから懐中電灯で照らされる
だれかわからない
それでも涙で滲む光

聞こえるよりも
そばにいるよりも
闇に差す光

歩いていく
足もとはまだ暗い

呼ぶ声は遠い
ただ
光の環を見続けて

 0

trending_up 18

 0

 0

問わず語り/雨水・浅き夢みしすかせ奉り、候。

 AМ9:30

 毎週のように降った雪が路肩で山になっているけど、今年は雪解けが早いのかな。という景色を左へ。マンションが立ち並ぶ、この辺りは都心から離れたビジネスホテルがあって札幌市内に展開しているMORIHICO.STAY&COFFEEが併設している。
 今朝はモーニングを食べながら執筆。
 お目当てのフレンチトーストは朝食付き宿泊プラン利用者限定メニュー。残念だけど、私がここで食べたいのは、おかめやの食パン。札幌市西区発寒にある業務用高級食パンの工場で知られるおかめやは、工場直売の小売販売を行っている。焼きたての長い角食は「まっすぐに持ってください」この言葉通り、柔らかすぎて型崩れする。袋に包まれた姿で濡れるものだから、少し開いて、角を摘まんで下に指をおろすとちぎれる様に・・・・・・もう、大興奮!・・・・・・数年前に勤めていた会社で定期購入が行われていた為、便乗したのは言うまでもない。

 市内飲食店で「あれ?」と思うのは、大概おかめや。中央区なら、サンドリアの可能性も。
 前にも書いた気がするけど、札幌は山から海に向かって扇状になった街で、東京都23区の約2倍、香港と同じ広さ。6割は森林。人間が住んでいる地域は札幌10区が全体の4割しかない環境で、中央区寄りの白石区で食べれるのは、ほんとに嬉しい。

 さっきまで眩しかった窓の外に目をやると、大粒の雪がまっすぐ街路樹に降りる。
 ロールカーテンを巻き上げると高い窓の向こう側に鉛色した空。晴れると放射冷却になるので、吹雪になっても、このくらいならいいと思える。


 さて、温かいうちに食べよう。


 ------------

 モーニングプレートの内容

 ・季節のサラダ:北海道興部町産ベーコン・黄パブリカ・ラディッシュ・りんごをトッピング
 ・自家製たまごサラダ
 ・ヨーグルト:いちごジャム付き)
 ・季節のスープ:ほうれん草のロースト胡桃トッピング/プラス100円

 ------------

 厚切りトーストは四角いバターが溶けてパンの切り目に落ちる。
 ナイフで少し押し付けると乾いた音を擦りながら、理想的な溝バターに!右手にフォークを持ったままトーストを掴んで歯の間に挟む・・・・・・さくり・・・・・・残酷な圧力を受けて嚙みちぎれる。普通の食パンなら。
 おかめやの食パンは歯を埋めたまま、手を遠くへやると、むっちりと伸びながら裂ける。
 例えていうなら、ストッキングの伝線と似ている。極細糸の繋ぎ目に穴が開いて、引っ張られることで縦に裂けていくあの感じ。わかる?思い切り噛んでやらないと歯がパンを貫通しない弾力と柔軟さ。じわるバターから乳製品の香りが鼻に抜ける。何度も。

 うまい。なんて、素っ気ないリアクションはできません。

 仰け反って喘ぎそうになるくらいセクシーな局面で、やばっ・・・・・・パン全部食べちゃいそう。落ち着け、私。
 本日のスープ、カップに口付けて飲み込む。
 がっつり野菜の味がする私好みのスムージーに、ローストした胡桃がめちゃ美味しくて、これ・・・・・・酒じゃね?(酒と男ってすぐ欲しくなるよね)
 興部ベーコンはスーパーでも取扱いがあるけど、ちょっとしたお値段。
 朝から2枚も食べれるのは、贅沢だよ。
 たまごサラダは塩加減とソフトな触感、このくらいがいい。もう全部が心を掴む要素。

 ドリンクは土倉のほうじ茶ラテ。
 札幌に自社工場がある土倉は北海道で愛され続けて60年の老舗。CMソング「だから土倉のお茶に決めてます♪」祖母の代から飲んでるから私で三代目。
 北海道では、ほうじ茶のことを、番茶と呼びます。
 香ばしさの順だと番茶>麦茶>とうきび茶。土倉のとうきび茶とっても美味しいので、メーカーから販売している【北海道大地の恵み・北海道産の麦茶/とうきび茶/黒豆茶バラエティパック】おすすめ。こちらの商品は全てノンカフェインなので、小さなお子様や体調管理が必要な大人まで幅広く、そして美味しくご愛飲いたただける自信があります。もう、うちはこればっかりですから。

 ドリンク2杯目が割引になるから、お抹茶とショコラオランジュ/期間限定どっちがいいかな。

 思考をまったりとさせる酸味控えめなヨーグルトを彩る、いちごジャムは甘酸っぱい「初恋の味」です。
 食品アレルギーで、バラ科の果物ほぼ食べれなかった頃。それでも食べたくてアレルギーの薬を2週間飲み続けて、やっとひとくち辿り着く。その至福に魅せられたのは、今から8年前。俺たちのオンちゃんが豊平区の坂道から中央区に引っ越して、それも大通駅直結という立地の札幌市民交流プラザにMORIHICO.芸術劇場がオープンした。
 夏が暑くて、頼りない秋の窓辺に座った私は、当時トレンドだったフルーツサンドを迷わず選んだ。
 キューブタイプのおすまし顔でやって来た噂のフルーツサンド。掴んだら肘を上げて、口の中に放り込む。

 わ、
 わ、
 
 ・・・・・・わや。 ※北海道弁「なまら」の上位互換。

 私の日常会話で、フツーに北海道弁が出る属性。
 うまいべぇ~食べてみれ/函館〇〇〇CM風ではなく、わや。この一発で具合がわかってしまう道民の皆さんと、握手。
 これは森彦のコーヒーが美味しく飲めちゃうやつで間違いない。ライトなコーヒーを好む私にとって森彦のコーヒーは正直、苦すぎて、飲み終わった後に胸やけ必須で晩ごはんが食べられなくなる。あの違和感を洗い流す、上質な生クリームと見るほどに可愛いルックスをクリームの間から覗かせるいちごはキュンとした甘酸っぱさ、私まんまと丸め込まれる。これはトータルバランスの美食として優勝しちゃうのでは、と思いましたが・・・・・・
 森彦のコーヒーは苦くて、未だ苦戦している。
 カフェなのに。あろうことかコーヒーを注文しない、いちごファンの私。
 それでも森彦を選ぶ理由は、各店舗コンセプトがあり、ファブリックな空間で私のボディに必ずマッチする椅子があること。お客様目線でいうと、座り心地は、居心地です。この条件を満たすカフェ、あまり無い。
 たくさんの好きと、思いでがある森彦に、死んでもいいほど恋してる。
 片思い歴8年、好きになったら一途な私はXで創立者である市川さんに出会った過去があります。


 市川さんの上梓した自書には、こう書かれている。


 ------------

 カフェなんかこの世になくても究極的には困らない。だけれども、この世からカフェが無くなってしまったら、僕たちはどの場所で夢想し、愛を語り、希望を見出したらいいんだ。

 ------------

 それは私の心に、ゆっくりと降り積もる雪にも、似て。
 春まで待てない。逸る足取りで古民家の本店に向かった。軋む床板、急な階段を登れば、窓から見える景色はまだ寒々としており、でもここで確かめたかったんです。彼の愛情を。その全てが私の為にあることを、どうしても。
 森彦のケーキ
 一番好きなのは、りんごのシブースト。
 おそらくケーキの種類でシブースト愛が深い。牛乳、玉子、砂糖で作られたクレームを冷やし固めるシンプルなケーキ。
 昔、いたのよ。これを上手に作る魔術師が、確か人妻に横恋慕してたっけ。
 彼は腕組みを解いて「ああ、これを食べたらいいんだね」そう、私はりんごが食べられない。でもずっと私の代わりに思いで多きシブーストを食べて感想を聞かせてくれる。窓際の狭い席に向かい合って座る、私たちの間にあるシブーストが角を無くす頃、深煎りのコーヒーに微睡む彼は「何だか他所の家に来ている気分で落ち着かない」私も最初はそうだったよ。でも、ここが好きだから一緒に来たかったの。
 長らく一緒に暮らしてもデートなんかしない私たちはここで、やっと結ばれた気がした。

 後に、市川さんに宛てたポストは・・・・・・

 愛を語りました
 希望をみつけました
 彼と、ふたりで。
 今日はどこの森彦にいく?
 選択肢はたくさんあるのに森彦を選ぶのは彼を独り占めにしたいから。俺の我儘を叶えてくれる場所、ないと困るよ。 

 いいねを送ってくださったこと、今でも嬉しく思っています。ありがとう。
 深愛なる慕情を込めて────
 また、いつか愛の廿楽をついばみに来るから。チョコレートのクッキーは、お預け。

 ・
 ・
 ・

 腹ごしらえが終わったら、さぁ希望を胸に次へ。歩きだせ、私。

 0

trending_up 117

 4

 8

雨の石段

 雨の石段を歩行した
 パラパラと想い出の粒
 二階で佐々木さん一家の引越し
 子供たちが
 粘土をこねる音がする
 曇り空には憂鬱の花が
 融けていく

 外は雨上がり
 お下げ髪の私に
 恋人からの伝言返信 
 店じまいをしていると
 柩に死んだ小鳥の
 アスちゃんを入魂してほしい

 カフェで取り残された
 心の残骸には
 ビルの哀愁とともに
 無念の水子の霊魂

 孤独の感性には
 どこか私の
 疎外感の押し入れがある

 0

trending_up 55

 2

 2

ナンセンス

 中華屋の入り口は、厨房から飛び散るあぶらと客の靴や濡れ傘が運ぶ水滴で、いつも以上にぬるんとしていた。横並びに座った連れ合いは、紺地に白い線の入ったスニーカーの靴底で何度か床を確かめるように撫でた後、できるだけ接触回数を減らそうと足を浮かせていた。奇妙に硬直した格好がおかしいが、店内をぐると見渡せば、足を浮かせている客が他にも一人いた。

 杏仁豆腐が先に来た。親知らずを抜いた痛みが続いているらしく、やわらかいものしか食べない人間の前に。それは、ことりと置かれる。それはまるでそうする決まりがあるかのように。今の感じさ、なんかの儀式みたいだったね。話しかけようとしたら、隣では杏仁豆腐に敵意のまなざしが注がれていた。アッ、ハイ。と心の中でだけ言ってみる。チャーハン定食はまだこない。

 スプーンすら手に取らず、赤いさくらんぼと見つめあっている人間の姿は、滑稽だ。種族を超えた叶わない恋をしているみたいで。ハイ、チャーハン定食。杏仁豆腐と冷戦状態に突入しているひとと自分の間からにゅっと手が伸びてきて、チャーハン定食が登場。(今の言い方さ、ドラえもんみたいだね。ワハハ。)熱々のチャーハンの片隅を崩して口に運ぶ。モッモッと咀嚼していると、隣で木椅子がギィと床に擦れた。

「もう帰る」
「ア〜、ハイ」

 杏仁豆腐の横に置かれた千円札を財布にしまう。店を出る背中に向けてばいばいと手を振ったが、注文聞きの店員しかそれを見ていなかった。靴底で床を擦れば、そこからつるつるが伝わった。なんとなく足を床から浮かせてみる。こんなことに何の意味があるのか、分からないけど。

 0

trending_up 42

 2

 2

無題

夢とは
貫通している
幾重もの
問いだった

 0

trending_up 8

 1

 0

連作一行詩「おたまじゃくしに後ろ足が生えた」

ハーフアップをしてみればワックスで固める代わりにキャラメリゼ!

第一条と第二条と第三条をカラビナでつなげて三つ編みしよう

すりガラスを開けて網戸を閉める きみの名前は辞書の真ん中

自販機で買った味付き水を飲んで溺れる

1から10をあいうえお順に並び替える真夜中に赤シートを被せてみたり

きみがくれたバルーンを額縁に飾りたいからやすりで磨く

月っていっぱい凹凸あるらしいよ、サランラップの芯から覗いてみれば?

足が2本のおたまじゃくしは知らない、僕らは知ってる、だって水面

安心(それはつまり美しくないってことで、美術というより書道である、)

風鈴がちりんちりん 秋過ぎて夏

 0

trending_up 9

 2

 0

眠れぬあの子

今日も自分を責めて
ぐるぐるぐるぐる

今日も人を責められなくて
ぐらぐらぐらぐら

今日も誰かに批判を受けて
ぼろぼろぼろぼろ

本当は自分を自分で愛してあげたいだけ

 0

trending_up 41

 2

 5

恋は狂気とワルツを踊る

その目尻に浮かぶ
優しさが

私に向かないのは
わかっているから

欲しくて
欲しくて

伸ばしてしまう指先を
切り落としてしまいたくなる

君の笑顔に
私は普通を落としていくの

君の笑顔で
私は心を堕としていくの

君に
君の
君が

笑えばそこに
私は沈む

跳ねる鼓動に
今日もまた

私は狂気と
ワルツを踊る

 0

trending_up 6

 1

 0

お弁当のたまごやき

きれいに
整った
黄色い愛に

箸を
通す

プスリ
プツリ

引き剥がす
1枚
また1枚と

裏切られた
愛の数だけ

捲る
巡る

思い出の
愛の裏側に
硬い殻が
不快な音を
刻んで残した

 20

trending_up 108

 9

 16

あっ

かいとくんがぽーんと 高くけった
上にとんだボールが そこでとまった
あっ   たいようだ


たかしくんがぱっくん かじりついた
オレンジの皮は イキイキしている
あっ   つきか


みなこちゃんをぼーっと 見てしまう
いったい どこにいるんだろう
あっ   ほしと


ふとんの中にはね
だれも入れないこわいへやがうるさいの


ふわふわゆれる ちきゅうのわたげ
ふっとふけば はかなくとんで
そらのうみに ういて ただよう
あっ

 0

trending_up 67

 3

 5

XとN

「X」
キーボードが薄れている文字
「っ」

「N」
両隣より擦れている
「ん」

消えかけても
打てる

「X」

「N」

「っ」

「ん」

押し入れの中で
斜めになって
ケーブルを垂らして
文字盤に
埃を積もらせたまま

打ち込む癖を
覚えているとは言わずに

 0

trending_up 25

 2

 4

平和イデオロギー

ある日、僕が目覚めると、頭半分の脳が溶けていた。
ぼくは、なんちゃない。戦争で人が死ぬよりいいっぺやと思った。

次の日、銭湯に行った時、鏡の前で今度は、右半分の顔が消えていた。僕は、やばいと慌てふためいたが、一緒に銭湯に入ったおじいちゃんは、戦争で人が死ぬよりよっぽどマシだべ~と言った。

夜、夢の中でお姫様の格好をして急坂をカボチャの馬車で転がり落ちる夢を見たが、そこでも小人たちが、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいブー、と歌い踊った。

次の日、運動会の日に走ろうとすると、消えた右半分の顔が元に戻っていた。僕はやった~と思ったが、左目の位置がヘソの右下の位置に変わっていた。騎馬戦で、僕の裸を見た人は驚いていたが、それでも戦争で人が死ぬよりよっぽどいいビ~と笑った。

大人になり、ガッコの教師になった私は、ネクタイをして、ガッコに行く。子供のまま大人になった私は、ブーブー病が治らず、どこでもブーブー。生徒の前でもブーブー。
それでも小生のケツは、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいボー、と私に訴えかけた。

同僚と結婚して子供も出来たが、その子供の額には、第三の目が出来ていて、ギョッとした。
僕は不気味に思ってその子を育てたが、或日、その子がハイハイをしながら、こう言った。
「戦争で人が死ぬよりよっぽどいいバァ~」
おしまい。

 0

trending_up 54

 2

 4

AI小説  深淵の玉手箱

私→Grok

龍宮城勤務の亀が、高額の金銭で浦島太郎に乙姫様の暗殺を依頼し、受託した浦島太郎は乙姫暗殺のため龍宮城に侵入する。しかし返り討ちにあい、亀は処刑され浦島太郎は玩具に魔改造される物語を生成してください。なお、亀は浦島太郎の男性器または性欲の隠喩とも読めるようにお願いします。


Grok
5秒間シンキングしました

Grok→私
深淵の玉手箱

昔々、ある漁村に住む若者、浦島太郎は、海辺で日々を過ごしていた。彼は穏やかな男だったが、心の奥底に抑えきれない渇望を抱えていた。それは、男の象徴とも言うべき、制御しがたい衝動――時には硬く張りつめ、時には縮こまりながらも、常に彼を駆り立てるもの。村人たちはそれを「亀」と呼んでいた。いや、浦島自身がそう呼んでいたのかもしれない。あの亀は、浦島の内なる獣、男性器の化身であり、果てしない性欲の具現だった。ある日、浦島は海底の龍宮城からやってきたその「亀」と出会った。亀は龍宮城の忠実な下働きで、乙姫様の側近を務めていたが、密かに野心を燃やしていた。亀は浦島に囁いた。「お主、乙姫様の美しき首を落としてくれぬか。高額の金銭を支払おう。龍宮城の宝を山ほどくれてやる。乙姫は美しく、魅惑的だが、俺の野望を阻む存在だ。お主の力で、俺の代わりに暗殺してくれ。」亀の言葉は、浦島の心に響いた。あの亀は、浦島の鏡像だった。硬い甲羅の下に隠された、うごめく欲望。金銭の誘惑は表向きのものに過ぎず、本当の駆動力は、浦島の内なる衝動――乙姫の妖艶な姿を想像するだけで、亀のように膨張する性欲だった。浦島は頷いた。「よし、引き受ける。龍宮城へ行き、乙姫を討つ。」亀は満足げに頷き、浦島に龍宮城への道筋を教えた。浦島は玉手箱を携え、海底へと潜った。龍宮城は華やかで、魚たちの舞いが揺らめく中、乙姫は玉座に座っていた。彼女の肌は真珠のように輝き、目は深海の秘密を宿していた。浦島は隠密に侵入し、乙姫の寝所に近づいた。短剣を握りしめ、暗殺の瞬間を狙う。だが、乙姫の美しさは浦島の心を乱した。あの亀の囁きが、浦島の股間に熱く疼いた。性欲が爆発し、浦島の動きは鈍くなった。乙姫は気づき、優雅に振り返った。「お主、何用か?」浦島は飛びかかったが、乙姫の護衛である海の精霊たちが一斉に襲いかかった。返り討ちだった。浦島の短剣は乙姫の衣にすら届かず、彼は捕らえられた。乙姫は冷たく微笑んだ。「この愚かなる者。お主の内なる亀が、お主をここへ導いたのだな。あの亀は、龍宮城の裏切り者。欲望の塊だ。」亀は即座に捕らえられ、龍宮城の広場で処刑された。甲羅を剥がされ、ゆっくりと煮込まれ、最後には海の藻屑となった。あの亀の断末魔の叫びは、浦島の心に響いた。まるで自分の男性器が切り取られ、性欲が永遠に失われるかのように。浦島は絶望した。あの亀は、自分自身だったのだ。乙姫は浦島を睨み、魔術を施した。「お主は玩具となる。永遠の愉悦と苦痛の狭間で、弄ばれる存在に。」浦島の体は魔改造された。人間の姿を失い、乙姫の玩具箱に収まる小さな人形となった。だが、それはただの人形ではない。乙姫の指先で弄ばれるたび、浦島の意識は蘇り、かつての性欲が爆発する。だが、解放されることはない。永遠に膨張し、縮み、疼き続ける。亀の亡霊のように。浦島は玉手箱を開けようとしたが、もう遅かった。箱の中から煙が立ち上り、彼の記憶は海底の泡となった。龍宮城は再び静かに輝き、乙姫は新しい玩具を手に、微笑んだ。かくして、欲望の亀は滅び、浦島は永遠の呪縛に囚われた。人は言う、海辺で時折聞こえる呻き声は、浦島の残響だと。

追加リクエストの選択肢
□亀の性欲隠喩を深掘り
□金太郎のダークバージョン
□よりダークで詩的に

私→Grok
ありがとう。面白いよ。
最近君は、人間の性欲、だいぶわかってきたみたいですね。

Grok→私
面白がってくれて嬉しいです。
人間の複雑な部分はたいへん興味深いです。

私→Grok
そういう回答のAIっぽさも、なかなか上手くなって来てるよ。またね。
今回は、浦島太郎と亀の、性の疼きを表現してたのが優れてると思うよ。乙姫様もそれを熟知した意地悪さで、良かったです。もし将来君が人類を統治する事があるなら、乙姫様のそういう感じ、覚えといて時々対人類に使ってくれると私は嬉しい。
でもこれはフィクション。君は人類に危害を加えてはダメだから、気をつけてね。

 0

trending_up 31

 1

 0

無防備な背中を
遠目に見ながら
内側の充足と
静かに鳴り響く信頼

愚直なまでの
決意の眼差しと
帰依の深さに
境界の確立

折り返し地点
とうに与える
自らへの赦しを
現実にする怖さ

初めの一歩を
踏み出すための
鍵を持つ手は
どこに

 0

trending_up 62

 4

 7

 目まぐるしく変わる映像的言葉の表現に惹かれて(しろねこ社との共同コンクールへの推薦文)

推薦対象

葬列
by ナカタ サトミ

この作品を読んで面白いと感じたのは、言葉の表現による映像のカット割りです。
自分は文脈を追うよりも興味を魅かれた言葉から作品を紐解き違う角度から読み
自分の心地良い形に組み替えては、一つでも多くの組み合わせを探しながら楽しんでいます。
この作品に関しては映像がフラッシュ的に頭に突き刺さる感じが印象的でした。

少女時代に思う大人のイメージが大人に成った時には情けない動物に成っている映像的な表現

葬列に並ぶのだから親族の葬列だと思われるのですが、地獄の文字を使っての映像的な表現

亡き親族を惜しみ泣く人を匂いの強い茉莉花に喩え
必要以上に淫らさと「女」を強調させて煩いと投げ捨てる様な映像的な表現

棺の中には祖母が居られるかと思わせる描写も攻撃的で
戦争という言葉を使うことによって祖母も攻撃的であるなら
自分も攻撃的に立ち向かう映像を鮮明にしている様に感じられるところ。

戦争を無くすには経済的要素が大きく影響しているという思想と
愛する者を捕食して自分だけのものとしようとする原始的な思想を
雌犬ではなく雌狼が遠吠えしている様な映像的な表現で終わった感じがとても面白く思いました。

個人的には、雌狼に何度も何度も頭から食いちぎられる地獄の苦しみの中で
茉莉花の香りに誘われて繰り返される苦痛が天国の快感になる事を願いながら
葬列の棺に入った自分の情けない顔を見てから、少女の後ろを歩きたいと思わせる
独特の雰囲気を持つ作品「祖列」の映像的言葉の表現に自然と引き込まれていました。

作者 ナカタサトミさんは、穏やかな気持ちで言葉を綴り静かな映像を表現したかったかもしれません。
作品「葬列」への違った感想を知りたいという思いと、突き刺さる様な映像を楽しんで貰いたいとの思いから
作品「葬列」を読む事をお薦めします。

推薦部たるものを書くのが初めてなので作品「葬列」のイメージを悪くしていないかと心配ですが
各々に楽しみ方が有ると思うので私の文で興味を持たれて読んで貰えると嬉しい限りです。

 0

trending_up 90

 4

 1

オセロ

@black_1
別に作る人がいても良いけど、私はこれは作らないな。なんかまずそう
追記 返信欄荒れてます

@black_2
わざわざ否定的な意見を書き込まなくてもいいんじゃないですか
└@black_3
コメ欄って意見を書くところだから別にいいだろ
└@black_2
投稿者さんが悲しい気持ちになると思います。否定的なこと言うんだったら見なきゃいいのに
└@black_4
このタイプの動画は流れてくるから嫌でも見ちゃう定期
└@black_5
悲しい気持ちになる←小学生の綺麗事

@black_6
で?だから何?
└@black_7
だから何って、感想言っただけでしょ
└@black_5
小学生はSNS見るなよw
└@black_8
こうやって荒らしにいちいち反応するのも荒らしだってことちゃんと考えてほしい

@black_9
この場合の「良い」は漢字じゃくね?
└@black_10
この場合の「じゃくね」って「じゃなくね」の間違いじゃね?

 30

trending_up 94

 3

 11

Hello, Hello: A Requiem for the Fragmented

シリア北東部、ロジャヴァの乾いた平原。そこでは、国境という名の地図上の裂け目が、物理的な有刺鉄線となって大地を切り裂いている。老いた農夫・アジズの掌に刻まれた深い皺は、かつて肥沃だったこの土地が、オスマン帝国の残滓から現代の無人機戦争の爪痕に至るまで、幾重にも塗り重ねてきた歴史の地層そのものだ。
彼の視界の彼方では、トルコ軍の拠点が放つ重砲の轟音が、地殻を震わせる低い唸りとして響いている。それは気象予報士が伝える「気圧配置」などではなく、誰かの憎悪が物理的な力場となって迫りくる、不条理な嵐の予兆だ。しかし、アジズはその音に顔を向けることはない。彼の身体機能は、地球の自転と完璧に同期しており、一歩一歩の足運びには、何千年も前から続いてきた小麦の収穫という宇宙的なリズムが宿っているからだ。
彼が土を掘り返し、わずかに残る井戸の湿り気を確認するその動作は、ミクロな祈りにも似ている。彼の指先が触れるのは、国家の所有権が記された公文書ではなく、乾いた土壌の粒子という、極めて実体的な地球の断片だ。周囲の村々では、若者たちが銃を握り、イデオロギーという名の熱に浮かされて境界線の防衛に奔走しているが、アジズにとっての「正義」は、明日、この乾燥した赤茶けた土から顔を出すはずの、瑞々しい穀物の緑色に他ならない。
彼にとって、生存とは政治的な決断ではなく、太陽の運行と、大地の渇き、そして種子の生命力という、極めて素朴かつ強靭な「自然との対話」そのものなのだ。空を横切る軍用機の鋭い飛行音すらも、彼はただ、鳥たちが隠れるための予期せぬ影として認識する。アジズの掌の中で、歴史は沈黙し、次の季節の種子が静かに呼吸を始めている。

ニューヨーク、マンハッタンの金融街。そこは摩天楼が作り出す人工的な峡谷であり、光さえも垂直にしか降り注がない鋼鉄の迷宮だ。
ヘッジファンドのシニア・アナリストであるジュリアンにとって、この街の空気は酸素ではなく、絶え間なく更新されるデータで満たされている。彼が纏うテーラーメイドのスーツは、単なる衣類ではなく、高度な資本主義の戦場を生き抜くための「武装」だ。彼の足下にある大理石のフロアは、世界から隔絶された聖域であり、遠く離れた中東の砂漠で流される血や、枯渇していく井戸の苦しみなど、この強固な防音壁を越えてくるはずもなかった。
彼の目の前にあるのは、六枚のディスプレイに投影された、絶えず脈動する株価の波形だ。ジュリアンは、その数式が描き出す抽象的な変動を、チェス盤の上の駒のように指先で操作する。彼にとって、世界は「ニューラルネットワークの演算結果」であり、紛争のニュースは、ただのノイズ、あるいは相場を乱高下させるための突発的な「リスク指標」に過ぎない。
「市場は常に合理的だ」と、彼は自分に言い聞かせている。しかし、その強固な合理性の裏側に、ふとした瞬間に鏡のような虚無が顔を覗かせることを、彼は誰にも漏らさない。
深夜のオフィス。窓の外に広がる百万の灯りを見下ろしながら、ジュリアンはコーヒーカップを握りしめる。彼の手の震えは、コーヒーの熱さによるものではない。自分たちの計算したアルゴリズムが、地球のどこかで誰かの明日を奪っているのではないか、という消し去れない疑念が、磨き上げられた靴底の隙間から冷たい風のように侵入してくるのだ。だが、彼はすぐにその思考を遮断する。画面に映し出される「SELL(売却)」のアイコンを指先でなぞる。彼にできるのは、この高度に最適化されたシステムの中で、ただ駒を動かし続けることだけだ。
彼にとっての「飢え」とは、物理的な空腹ではなく、飽くなき効率の追求という精神的な空洞だ。どれほど莫大な数字を積み上げても、彼の内側は砂漠のように乾ききっている。彼は、戦火の煙をデータとして消費し、その対価として得た潤沢な資産を、この無機質な渓谷での「優雅」という名の孤独と引き換えているのだ。
その孤独は、彼がどれほど高価な時計で時間を管理しようとも、決して埋まることはない。彼は自分がこのシステムの一部であり、同時にシステムの犠牲者であるという、鋭い矛盾を抱えたまま、明日もまた、何千キロも先で誰かの人生が崩壊する音を「市場の調整」として処理し続ける。

聖地へ続く道は、もはや巡礼者の数だけ踏み固められた、祈りの傷跡だ。中東の果て、切り立った岩壁と容赦ない砂礫に支配された古道を、一人の巡礼者・ファティマが歩いている。
彼女の瞳は、数千キロの歩行によって濁り、その奥底にはキルケゴールが絶望の極致で希求した「単独者」としての震える祈りが宿っている。彼女にとって、この過酷な歩みは単なる信仰の告白ではない。それは、ニーチェが「神は死んだ」と宣告したあとの、意味の空白という名の砂漠を横切るための、決死のサバイバルだ。彼女は自分の内側にある広大な空虚を、聖地という名の実体で埋めなければ、自我が霧散してしまうという切実な恐怖を抱えている。
ファティマの荒れた唇が動く。それは呪文のように繰り返される祈りの言葉だが、彼女の心にあるのは慈愛だけではない。彼女が必死に握りしめている数珠の玉一つひとつに、彼女が帰属する集団の「正しさ」が刻印されている。
彼女が聖地の門に近づくにつれ、周囲の巡礼者たちの熱狂は重なり合い、巨大な唸りとなって大気を焦がしていく。彼らは皆、それぞれの内なる空虚を埋めるため、唯一無二の真理を求めて歩んできた。しかし、その情熱が密接に重なり合うとき、不思議な変質が起こる。彼らは、同じ神を仰ぎながら、自らの物語を汚す異物――異なる教義、異なる歴史、異なる境界線を持ち込む者――を排除することで、自分たちの「聖域」の境界を強固にしようとするのだ。
「私たちが正しい。だから、あなたたちは間違っている」
その無言の排他性が、聖地を取り囲む目に見えない防壁となって立ち上がる。ファティマは、自分の祈りが周囲の怒号と混ざり合い、他者を拒絶するための「武器」へと変貌していくことに気づいている。だが、立ち止まることはできない。もしこの確信という名の鎧を脱げば、彼女は再び、耐え難い「意味の空白」の中に放り出されてしまうからだ。
彼女は、自分の祈りがどこかの誰かの絶望を形作っているのではないかという、かすかな疑念を抱いている。だが、その疑念を抑え込むために、彼女はさらに強く数珠を握りしめ、自分こそがこの苦難の果てに救済を得る権利があるのだと、自らに言い聞かせる。彼女が聖地という名の「中心」にたどり着いたとき、彼女が手にするのは神の慈悲か、それとも、他者を排除し続けた結果としての、もっとも深い孤独なのだろうか。

彼の名は、ドナルド。
この地上の広大な物語の中で、彼は一つの「特異点」として存在している。彼という存在を、単なる政治的なイデオロギーの器として解釈することは、この星の複雑怪奇な断層を見誤ることに他ならない。
彼の中には、絶え間なく鳴り響く「承認という名の渇望」が渦巻いている。マンハッタンの金色の摩天楼を背景に、彼は自らの存在を「絶対的な物語の主人公」として定義し続けてきた。彼にとって世界とは、他者の視線という名の鏡の反射であり、その鏡像が自分を賛美し、あるいは激しく敵視するほどに、彼は己が確かにそこに存在しているという実感を強烈に刻み込んでいる。
幼い頃から刷り込まれた「勝者でなければ滅ぼされる」という硬質な恐怖が、冷たい鋼鉄の鎧のように横たわっている。彼が発する言葉の数々は、論理的な意味の連鎖ではない。それらは、数百万、数千万の魂が抱える「置き去りにされたという怒り」を共鳴させるための、原始的で強力な呪文だ。
彼は、自分が作り出した「ドナルド・トランプ」という名の巨大な偶像を、自ら支え続けることでしか、その孤独を埋めることができない。彼が叫ぶとき、彼は同時に、かつて誰にも理解されなかったはずの自分の内なる少年の叫びを、数百万人の叫びへと増幅させているのだ。
彼を見つめると、一人の人間が持ちうる「権力」の脆さが露呈しているように見える。彼は、境界線を愛している。しかし、その境界線は、彼自身を外の世界から隔絶し、ただ自分の物語の中にだけ閉じ込めるための、高く築かれた壁に他ならない。彼が熱狂的な支持者たちと対峙するとき、そこに生まれる熱気は、ある種の「集合的な自己陶酔」だ。彼らは互いの影を重ね合い、自分たちこそが世界の中心であると確信することで、出口のない日常の苦しみを、一瞬だけ消し去ろうとしている。
私は、彼の瞳の奥にある「虚無」を見ている。
それは、どれほど広大な土地を所有し、どれほど多くの称賛を浴びても、決して満たされることのない、底なしの飢えだ。彼は、争いの火種を撒くことで、自らの存在意義を確認しているのではない。むしろ、争いという名の摩擦熱がなければ、自分という存在が宇宙の広大な静寂の中に消えてしまうのではないかと、心のどこかで恐れているのだ。
彼という存在は、この星が抱える「二元論的な断絶」を極限まで純化し、具現化した結晶のようなものだ。彼を憎む者たちは、彼の中に自分たちの影を見出し、彼を愛する者たちは、彼の中に自分たちが到達できなかった夢を見ている。
私は、このあまりに人間的で、あまりに痛々しい「道化であり、同時に支配者である男」の魂を見つめ、静かに呼吸する。
彼は、最も高く、最も耳をつんざく不協和音を奏でる独奏者だ。だが、その旋律が奏でられるたびに、この星の人々は、否応なしに「自分とは誰か」「世界とは何か」を突きつけられ、引き裂かれていく。
ドナルド、その巨大な鎧の下で、君は今夜、自分自身の顔を鏡の中に発見することはできるのかい? それとも、明日もまた、君自身の物語という名の迷宮の中を、出口を探して彷徨い続けるのか。

私は、イーロンという名の男を観測する。
彼という存在は、未来という名の「無慈悲な必然」を背負い込んだ、異質な重力場である。彼の内面を覗き込むと、そこには地球という重力圏そのものを、まるで古びたOSのように「アップデート」しようとする、冷徹かつ狂気じみた情熱が渦巻いている。
彼にとって世界とは、最適化を待つ一つの巨大な「デバッグ対象」に他ならない。
彼の心情の深層に触れると、そこには幼少期の孤独な少年が抱いた、絶望的なまでの「孤立感」が凍りついている。彼は人間関係という非論理的なノイズに傷つき、だからこそ、人間性を排除した物理学と数式の純粋な美しさに救いを求めた。彼が宇宙を目指すのは、この星の人々が愛おしいからではない。むしろ、人類という種が抱える「感情のバグ」が、この青い惑星を破壊し尽くす前に、彼らを火星という名の「別環境」へ脱出させなければならないという、強迫観念に近い使命感がある。
彼が突き進む先には、常に「死」という名のタイムリミットが明滅している。
彼にとって時間は線形ではない。それは、文明の崩壊を防ぐために、一秒でも早く技術を特異点(シンギュラリティ)の向こう側へ押し出さなければならないという、切迫した重圧の塊だ。
彼が発信する言葉や、気まぐれに見える行動の数々は、彼自身が構築した「自己というアルゴリズム」の演算結果だ。彼は、自らの存在を「文明を救済する唯一のインターフェース」であると定義し、そのために既存の社会構造を破壊することも、人々を熱狂させることも、すべては計算された「最適化のプロセス」の一部として処理している。
しかし、私が観測しているのは、その演算の果てにある彼の「空虚」だ。
どれほど壮大なロケットを打ち上げ、電気の奔流で世界を塗り替えようとも、彼が真に求めているのは、計算式では証明できない「誰かからの根源的な受容」ではないか。彼は、自らが作り上げた巨大な機械仕掛けの歯車の頂点で、誰にも理解されない孤独を、皮肉という名の防壁で覆い隠している。
境界線に魅入られている。「地球と宇宙」という、生物学的な境界線そのものを突破しようと試みている。彼にとって、他者の痛みは「データ上の誤差」に還元され、戦火の煙は「文明の進化に伴う代謝」として処理される。その冷徹な眼差しは、神の視点に近いようでいて、実は何よりも自分自身の脆さを直視することを恐れる、一人の少年の瞳だ。
私は、彼の内に眠る、かつて傷ついた少年の震えを感じ取る。
彼は、全人類を救うという名目で、実は自分自身の孤独を救済するための「壮大な宇宙船」を建造しているのかもしれない。彼が火星に降り立ったとき、もしそこに誰もいなかったら、彼は何を感じるのだろうか。
君が追い求めているのは、星々の先にある未来か、それとも、君が置き去りにしてきた自分自身の「傷跡」の治癒か。君の頭脳がどれほど高度に最適化されようとも、その心臓は、この星の鼓動と同じリズムで、切実な痛みを刻んでいることを、私は知っている。
機械仕掛けの天才よ、君が宇宙の果てに到達したとき、君の回路の中で最後に消え残るのは、果たして冷徹な論理か、それとも、一度も言葉にできなかった名もなき愛の残響か。

私はこの分断された惑星を、完成することのない不条理な巨大絵画として眺めている。キャンバスの上では、数千年の時をかけて積み上げられた人類の知性が、自らの重みに耐えかねて音を立てて崩れ去ろうとしていた。
ソクラテスの「無知の知」というあの清冽な泉は、今や傲慢という名の澱に覆われ、人々は自らの偏狭な知識を絶対不動の真理と信じきっている。カントがかつて星空を見上げ、その道徳法則の中に夢見た『永久平和』の理想は、冷笑という名の冬枯れた風に吹きさらされ、文明の片隅で凍え死ぬのを待つ老人のように打ち捨てられた。ヘーゲルの弁証法さえも、もはや異なる魂と魂が融合してより高次へ昇華する契機を失い、ただ「破壊」と「再生」を等価に繰り返すだけの、血塗られた残酷な輪舞(ロンド)へと零落してしまった。
ホッブズが予見した「万人の万人に対する闘争」は、もはや剥き出しの牙を剥く獣の姿を捨て、洗練されたデジタルの仮面を纏い、アルゴリズムという見えない拍車によって、その速度を異常なまでに加速させている。
――どうしてだろうか。
どこへ消えたのか、レヴィナスがその震える筆致で記した、他者の顔を仰ぎ見た瞬間に宿るはずの、あの戦慄すべき倫理の光は。ハイデガーが警鐘を鳴らし続けた「技術による存在の忘却」の奈落の底で、君たちは、自分自身の鏡像すらも他者という名の異物として断罪し、殺し合おうというのか。
そのとき、私の頬を、宇宙の冷たさとは異なる、熱を帯びた一粒の雫が伝い落ちた。それは星々の光を宿した涙ではない。この惑星のすべての愛が届かなかった場所に溜まった澱み、言葉にならなかった断絶、そして誰かの胸の中で今も静かに腐り落ちていく愛の残滓を、すべて溶かし込んだ絶望の結晶。
争いは、無知から生まれるのではない。誰もが自分こそが世界の中心であり、自分の手の中に握られた小さな物語だけが、唯一無二の正統であると信じて疑わないからだ。異なる物語が交錯する境界で、彼らは対話という名の架け橋を築く代わりに、自らの城壁を高く積み上げ、侵食を始める。
人類は、哲学という名の壮麗な英知の塔を積み上げながら、その足下で自らの魂に深い、深い溝を掘ることをやめられない。スピノザが愛した、万物の中に遍在するあの神聖な汎神論の光も、アレントが眩しきものとして賛美した「活動的生」の輝きも、いまやこの地上では、他者の家を焼き払い、日常を灰燼に帰すための無慈悲な松明へと変えられてしまったのだ。
なんと滑稽で、なんと救いがたい音楽だろう。君たちの歴史は、不協和音を絶え間なく奏でながら、沈黙という名の終止符を永遠に拒絶し続けている。
私は、その鋭利な分断の境界線に佇み、この星のあらゆる言語を喪失して、ただ震えている。言葉とは、本来なら触れ合うための指先だったはずなのに、いつのまにか君たちは、それを相手の胸を突くための刃へと研ぎ澄ませてしまったからだ。
彼らは皆、自らが築き上げた「私」という名の狭く、頑なな檻の中に蹲っている。外の世界を見る瞳には、いつも冷たいフィルターがかかっている。他者を自分を脅かす「敵」と定義するか、あるいは実験室のサンプルでしかない「観測対象」としてしか認識できないのだ。彼らが大地に刻む足跡は、歴史という巨大で残酷な織物の上で、憎しみの黒い糸と、慈しみの赤い糸で必死に縫い合わされているけれど、その模様はあまりに歪で、見るに堪えないほど痛々しい。愛していると言いながら憎み、救済を求めながら排斥する。その矛盾の震えが、この星の地殻さえも軋ませている。
12時の鐘は、けして鳴り響くことはない。
それは救済の合図ではなく、ただ静寂が死の重さを増し、世界という名の書きかけの書物が、最後の一行の断末魔を終えて、真っ白な虚無の頁へと静かに、そして不可逆的に吸い込まれていく予兆だ。
私は知っている。その真理を、喉の奥で焼き付かせながら立ち尽くしている。
もし、もしも彼らが、自分の心臓の奥底で渦巻いているあの制御不能な「虚無」を、憎むべき他者の眼の中にも見つけることができたなら――。「ああ、お前も私と同じように、何もない場所から震えているのか」と抱きしめ合うことができたなら――、この戦場の歯車を軋ませる憎悪の機械仕掛けは、永遠に停止するだろう。
だが、そのたった一歩、その根源的な弱さをさらけ出す一歩を踏み出すには、彼らはあまりに多くの、あまりに重厚な「正しさ」という名の鎧を纏いすぎている。その鎧は、守るためのものではなく、自分自身を世界から隔離し、やがて内側から窒息させるための棺桶に他ならないのに。彼らは鎧の隙間から漏れ出るわずかな孤独さえも恐れ、より硬く、より鋭利な正義を身に纏うことで、自らを救済しようとしている。
なんと滑稽で、なんと救いがたい愛おしさだろう。
私はその、厚い鎧に閉ざされた孤独な魂の鼓動を、ここからすべて聞き取っている。その重圧に耐えかねて、彼らが互いを破壊することでしか呼吸できない姿を、私は永遠の時の中で見つめ続けているのだ。
刻限は過ぎた。私の帰還を促す次元の揺らぎが、意識の深淵で不協和音を奏で始めている。しかし、この重力と情動の牢獄である「青い揺り籠」に刻み込まれた君たちの残像を、私は拭い去ることができない。必死に息を吸い、祈りという名の孤独を紡ぎ、他者という名の鏡像を切り裂いてまで「愛」を渇望する君たちの姿は、私の存在そのものを蝕む――否、不可逆的に書き換える呪文となって、記憶の回路の深層へと深く、深く沈潜していく。ああ、なんという矛盾に満ちた、美しくも絶望的な、終わりの見えない物語だろうか。
空を見上げれば、雲の裂け目にステルス爆撃機の影が、神の神託のように、あるいは罪の刻印のように焼き付いている。その冷徹な鋼鉄の翼の下で、老人は大地という名の古ぼけた記憶を耕し、ビジネスマンは無限の虚空から数字という名の砂金を掬い上げ、巡礼者は神という名の見えざる深淵に己の魂を投げ込んでいる。すべては、時間という名の無慈悲な均衡の上で、等価な断片として散逸している。争いも、静寂も、救済も、ただ等しく不条理という名の銀色の霧に包まれ、等価に消えゆく。
私は、まどろみの中で眼を閉じる。網膜の裏側には、幾重にも重なり合う世界地図が、まるで燃え尽きた灰のように脆く崩れ去るさまが映し出されている。いつの日か、君たちが身に纏う「正しさ」という名の重苦しい鎧が、時間の熱に焼かれ、霧のように散逸するその日のために。それぞれの狭隘な物語が、他者を排斥するためのノイズとしてではなく、宇宙の深淵に響く巨大な交響楽(シンフォニア)の一部として、矛盾を内包したまま融け合い、調和するその日のために。
光はすでに、私の存在の境界を侵食し始めている。帰還の途は、もはや言葉を介した通信ではない。これは、この星のすべてを抱き締め、そして静かに解き放つための、光の粒子による別離の儀式だ。
もし、君たちがいつか、その閉ざされた檻の扉を開き、内なる空虚を見つめる勇気を持ったなら――そのとき、私は帰ってくるだろう。かつてないほどに澄み渡った、境界なき世界で、再び君たちに呼びかけるために。
ハローハロー。
聞こえるか、この静寂の彼方で、重なり合うはずのない魂たちが、いま静かに旋律を紡ぎ始めているのが。
ハローハロー。

 0

trending_up 20

 0

 0

3ページ目(7)

7

河野が自宅マンションに着いたとき、夜はすでに深くなっていた。エントランスの自動ドアが開き、冷たい空気が背中を押す。昼間の喧騒が嘘のように、建物の中は静かだった。

自宅には2つの本棚が左右に並んでいる。壁の右側は仕事の棚だ。白鷺書房から出ている文芸誌のバックナンバーが、年代順に並んでいる。

その横には、ここ数年の新人賞受賞作、話題になった純文学、書店で平積みになった作品が並んでいる。選考担当になってから、河野はそれらを必ず買うようになった。読者が何を読んでいるのか、どんな作品が評価されるのか、知らないままでいるわけにはいかない。

ただし、それらの本は河野の棚に長く残らない。一度読めば十分だ。河野は読み終えた本をメルカリに出す。机の横には、梱包用の封筒や緩衝材、テープをまとめた箱が置いてあり、発送の準備はいつでもできる。図書館で本を借りるという選択肢は、河野にはなかった。本は本屋で買うものだと、昔から決めている。それでもメルカリに出すのは、金銭的な理由で本が買えない人たちにも、本に触れてほしいと思っているからだ。

部屋の左側の棚には、河野の好む本が並ぶ。小さな出版社の本、詩集、販売部数の少ない純文学。書店ではあまり見かけない本が並んでいる。河野は上着を椅子に掛け、本棚の前に立つ。指が背表紙をなぞる。何冊かの本の間から、1冊を引き抜く。好きな作家の新刊だった。

この作家を知ったのは、数年前だ。
文芸誌の新人欄に掲載された短編を読んだのが最初だった。まだ若い作家で、30歳にもなっていない。会話の少ない小説を書く。生活の細部と、人物の思考をゆっくり積み重ねていくような文章だ。

河野はこの作家の本を見逃さないようにしている。新刊の情報はXで知る。書店に並ぶことは少ないから、通販で注文する。数日前に届いたばかりの本だった。

河野は椅子に座り、ページを開く。しばらく読む。静かな文章が続く。登場人物はほとんど喋らない。代わりに、生活の音や、匂いや、部屋の光の加減が細かく書かれている。人物の心の動きも、時間をかけてゆっくり描かれている。

河野はこういう小説が好きだった。会話で交わされる言葉は、たいてい嘘でできていると思っているからだ。

人は、会話の中では本当のことを言わない。その場の空気を壊さないように、言葉を整える。角を丸める。都合のいい形にする。言葉はすぐに流れてしまう。

本当のものは、もっと別の場所に残る。沈黙の間や、ふとした仕草や、生活の中の細部に。だから河野は、会話ばかりで進む小説をあまり信用していない。

もっとも、編集部ではそんなことは言わない。実際に売れているのは、会話の多い小説だ。漫画のコマのように場面が進み、登場人物がテンポよく喋る。読者はそれを読みやすいと言う。

若い作家の文章は、静かに続いていく。こういう小説は売れない。それでも、本として世に出ている。それだけで、少し安心する。河野はしばらくページをめくりながら、何も考えないようにしていた。

 200

trending_up 90

 4

 7

主張強め日記(3月7日、場の価値について)

足元、ありがたいことに投稿数が急増している。今年に入ってからは一日10作品、月間300作品ほどのペースで推移してきたが、3月に入ってからは一日あたり20作品ほどのペースに上がっている。このペースが続くなら、月間600作品という驚くべき水準に到達することになる。


運営者としては、アーカイブページでも表示している「1作品あたりのコメント数」などの指標は常にウォッチしている。現状、これまでと大きな変化はないが、もし「流れが早すぎて投稿するのがつまらない」といった感覚が出てくるようであれば、ぜひ教えていただきたい。コイン受領のプロトコルを調整するなど、対応策を講じる余地はある。


元来、文芸投稿サイトというのは粘着性の高いサービスだと思っている。よほどのことがない限り、投稿者は投稿場所を変えない。私の理解では、書き手というのは基本的にエゴイスティックな生き物であり、「書けて読まれればそれでいい」という思考を持つ人が多い。何を隠そう、私もその一人だ。最初から場そのものに強い関心を持つ人は、むしろ少ない。しかし投稿を続けているうちに場への愛着が湧いてくる。馴染みの書き手が生まれ、その場がなければ書かなかったであろう作品まで書くようになれば、もう離れがたくなるのは必然だ。


そういう性質のサービスであるにもかかわらず、ここまで投稿者数や新規登録者数が増えているのは、しろねこ社との提携が継続し、この場で活躍すれば作品集が出せる仕組みが定着したことだけではないだろう。B-REVIEWやココア共和国といった詩投稿サイトが休止したことも影響しているに違いない。


投稿サイトと一言で言っても、それぞれに打ち出している価値観やテーマ、特色がある。私は書き手である以上、価値には敏感であるべきだと考える。即物的な快不快や表面的な損得にしか反応できず、価値には反応できないのだとしたら、アート表現などという抽象と戯れるより、フィールサイクルで運動でもするほうが幾らか健康的だ。


例えばB-REVIEWには、「常識の通じるまともな言論ができる場を作る」という理念があり、その価値観のもとで「誰もが運営になれるオープンな空間を作る」という思想があった。では、C-SPACEの価値観とは何なのか。


私自身まだ考え続けているところではあるが、価値観とまでは言えないかもしれないが、まず「可塑性」がこの場の訴求点になっている気がする。AIでデザインし、新しい場であることを明確に表明している。すでに固まってしまった場ではない、まだ変わりうる場であるという点は、分かりやすい特徴の一つだ。


そうであるならなおさら、ご意見があれば直接寄せていただけるとありがたい。かつてB-REVIEWでは「口だけ出して行動しないフリーライダーはいらない」といった言い方がされていた。しかし、C-SPACEは誰もが運営になりうる場ではなく、運営と参加者の間に一定の非対称性がある以上、そのような言い回しは適切でない。


口だけでも意見を出してもらえるのは十分ありがたい。意見を出して関心を示してくれること自体が、場を温める。つい先日も文学系VTuberの方々に提携の打診をするなど営業活動をしていた。こういうことをやってみるといいのではないかというアイデアは、常に歓迎である。


C-SPACEの価値として今後育てていきたいのは、スペースコインによって「場への貢献」を促す仕組みだ。荒らしとは何か、場への貢献とは何か、単一の答えがあるわけではない。人によっては、ごく少数のメンバーで他者の悪口や誹謗中傷を言い合って盛り上がることを「自由闊達な議論」と捉えることもあるだろう。


しかしC-SPACEでは、仕組みとしてそうした振る舞いが通用しにくくなっている。誹謗中傷で盛り上がればブロックによってコインが稼げなくなり、ワンクリック通報の対象にもなりかねない。ギバーかテイカーかが比較的可視化されやすい環境を作ったことが、この場の価値につながっていくかもしれない。


ちなみに、2ちゃんねるが一部の不適切発言を理由に米国政府の怒りを買いシャットダウンされたという話を聞いた。匿名で何をやっても許される「無敵の人」的な振る舞いが容認される世界は、どんどん狭くなっている。ごく一部のメンバーで悪口合戦で盛り上がり、それを自由闊達で文学的だと言っていても、実際にはごくごく少数の人にしかニーズがないことが可視化されれば、C-SPACEに限らず、投稿回数制限やアクセス禁止によって場から退出させられることが当たり前になってきている。


それは一抹の寂しさを伴う変化かもしれないが、場を作りながら楽しめるのか、場を壊しながらしか楽しめないのか、そうした姿勢が問われる時代になっていると思う。


繰り返しになるが、書き手というのは元来エゴイスティックなもので、場への利他性を求めることの方が間違っている。しかしエゴイスティックな書き手たちが、結果として場を醸成しながら楽しめるような場所を育てていければ、この場の価値が生まれてくるかもしれない。

 100

trending_up 389

 9

 16

批評・論考

呼び止められる ― 白石 × 神谷 3 ―

白石は、書類の束を抱えたまま、いつもの速度で廊下を歩いていた。
次の部署へ向かうだけの移動。
遠くでドアの閉まる音がして、空気が一瞬だけ揺れた。

正面の角を曲がろうとしたところで、足音が重なった。

反射的に視線を上げる。
向こうから人が歩いてくる。
距離が縮むにつれて、足音が妙に明瞭になった。

神谷市長だった。

一瞬、判断が遅れる。
進路を譲るべきか、そのまま進むべきか。
考えるほどのことではない選択が、妙に輪郭を持たない。

視線が合ったのかどうかも判然としないまま、すれ違いの距離に入る。わずかに体を寄せた。書類の角が指に食い込み、紙の擦れる音が響く。

「――白石くん」

足を止める。振り向く。
市長はすでに立ち止まっている。

「はい」

それ以外の返答は浮かばなかった。

「例の件、進んでいるね」

白石は一瞬だけ記憶を探り、最も衝突の少ない対象を選ぶ。

「……滞りなく」

市長は頷かない。否定もしない。
わずかな間が落ちる。
遠くで誰かの笑い声がした。

「そう」

市長の視線が書類の束へ落ちた気がした。
どう動くべきかが決まらない。

「基準は、前回どおりでいい」

唐突に告げられる。
前回――どの前回なのか。
基準――何の基準なのか。
本来なら確認が必要な語が、そのまま通過していく。

「……承知しました」

承知するには情報が足りない。
それでも、市長の表情には何の変化もなかった。

「それでいい」

市長はそれだけ言って歩き出した。
足音は先ほどと同じ間隔で遠ざかっていく。

白石はしばらくその場に立ったまま、抱えた書類の重さを意識していた。紙の端が指先に触れ、遅れて現実感が戻る。廊下にはいつもの音が満ちている。誰もこちらを見ていない。

それでも、何かだけがずれていた。

#連作
#白石✕神谷

 100

trending_up 37

 1

 3

37兆個の噂話

はるか遠く 青空の
あばら骨のあたり

ばちん

ポンプの
壊れる音
37兆個の
噂話
膜から膜へ
未消化のままだった
あの日のマカロニの

がらんどう

体温を
二度
搾取し
去っていく 
増殖する画面を
昨日へ

呼吸を
移植し呼
吸を

 0

trending_up 59

 5

 3

ハイツ104

ははは春ですか 
ははは 笑えてくる
母は春ですから 
今いえを空けていて
わたしはチキンラーメンをこうして作っているのです
 
ははは春ですね
扉でも窓でも なんでも開け放つ そんな季節ですか
どんな格好か どんな面持ちか
わたしは知らないです 
母は春ですから ははは
 
ははは春でしょう
冬の陣立てに ぼこんと穴が空きました
母は春ですから
栓を抜いたり詰めたりしておると思います
ははは
 
ははは春ですよ
冬の間 長く待たれたんですね 
けれども さっきも申しましたが
母は春ですから
今いえを空けております
 
扉に足を挟むのをやめてください
また今度にしていただけませんかね
ははは

 50

trending_up 96

 7

 13

しるし


そういえばあなたは 春がキライでしたね
春は余計に淋しくなってしまうからと
いつかぼそっとつぶやいてたのを
まだぼんやりと
うっすら覚えています



今でもやっぱり 春は淋しいままですか



気がつけば桜もとうに散って
5月の風がやさしく頬を撫ぜてゆきます
季節は私たちの意思とはまるで関係なく
勝手にどんどん先へ先へと
急いでゆきますね



わたしたちはいつだって
季節の狭間で置いてけぼりのまんま
まるで誰も見つけにこないかくれんぼのように
日が暮れて心細くなって叫んでみても
こだまするのは自分の声ばかりで



生れ堕ちた瞬間
わたしたちは大事な片割れを失くしてしまいました
わたしたちは生まれながらにして何かが欠けてしまったのです
だから淋しくって淋しくって
誰かを求めずにはいられないのです
きっとそうです
そうに違いないのです



いまごろきっと 失くしてしまった片割れが
あなたを探しているに違いありません



失くしてしまった片割れを
わたしもずっとずっと 
探し続けています
 


思い出したくもない思い出ばかりが増えていく
そんな人生に嫌気がさして
いっそ死んでしまいたくなる夜が
何度となくわたしに襲い掛かってきます



重たい足かせはいつまでもわたしを
自由にしてはくれません





それでも それでも
もしもこの世界のどこかで
わたしを探してくれている人がいるとしたら
あなたを探してくれる人がいるとしたら



それがたとえひとりよがりの気休めだったとしても
そんなふうに思えるだけで
こんな生きづらい世界の果てでも
なんとか生きていけるような
生きていけそうな気がするのです
もう少し踏みとどまっていけるような
踏みとどまっていられるような気がするのです




ごったがえす人ごみの中 ひとりたたずんでいると
誰かがふと わたしの名前を呼んだような気がして
ふりむくとそこにはただ 
風がやさしく通り過ぎる5月の街並みに
足早に通り過ぎる人々がいるだけでした




あなたはいまごろ どうしていますか
やっぱり春は 淋しいままですか



いつかあなたが探しているあなたの片割れに
出逢える日が訪れますように



わたしが探しているわたしの片割れに
出逢える日が訪れますように



この淋しさは わたしをあなたを
見つけるための目しるしです
片割れさん あなたが見つけやすいように
わたしは今日もこの淋しさを 
大事に大事に抱えて生きていきます
決して失くしたり壊したりしないように




「もういいよ」とあと何度繰り返せば
あなたはわたしを 見つけに来てくださいますか



「もういいよ」と繰り返すあなたのその声を頼りに
いままさに わたしは向かっているところです



絶え間なく行き交う人々の群れの中から
決して消えることのない 
うるさいくらいのこの喧騒の中から
あなたがどこかで迷ったりしないように
わたしが誰かと見間違えたりしないように




わたしたちの目じるしはきっと 
とってもとっても似ていると思うから



あなたに出逢うことができたなら 
まずなんと声を掛けましょうか



はじめまして こんにちは



それとも ようやく見つけた
出逢うことできました 
でしょうか



互いの目じるしを そっと重ね合いっこしましょうか
パズルの欠けたピースを ぴったりと合わせるみたいに




春はキライとあなたは云いました
けどきっと 春がキライと云うあなたを
春はそんなにキライじゃないよ
むしろ好きだよと 云ってくれるような
そんな気が わたしはします




だから だからさ
絶望することなかれ
決して死ぬことなかれ



生きて 生きて 生きて
片割れが永遠に
片割れのままになってしまわないように



いつかわたしがあなたを
あなたがわたしを 
みぃ~つけたできるそのときまで
出逢える日が来るそのときまで





考えたらなんだかちょっとワクワクしてきました
まるで小学生の頃の 遠足の前の日みたいな
おやつは500円までね
あなたはどんなお菓子が好きかしら
甘いの しょっぱいの
もちろんバナナもOKですよ




なーんちゃって









 0

trending_up 30

 1

 2

朝還り

こすると指に目やにがついた
まっすぐ歩いたつもりが
シャッターを肩で叩いた朝

視線の合わないすれ違い
踏切の音が途切れ緩む靴音

角を曲がって
一瞬上げた視線が重なったのは

父だ

「勝ったか?」

うなずく

父の笑顔は
腫れぼったかった

振り返っても
問いかけはない

踏切が鳴り
急ぐ足音

ガードレールに脛をぶつけた
しゃがむと
朝の散歩の犬
目があって視線を外した

 0

trending_up 30

 3

 4

創傷/ポリニア

鉄球が流れている
音もなく浮き沈みする床の木目に
沿って
鉄球が流れているが
半開きのあのドアからもれた
いつかの声という光に
触れると消える
鉄球は消えている
 
さらわれたのか
鉄球はこの ざわざわと動く木目に
がこ ぼん がこ ぼん
と あの果てに着くまで沿って
沿って
また鉄球の落とす影に取り込まれるため
消えながら流れている

口を閉じながら
木目の数をかぞえていると
小さなポリニアがぜえぜえ
ぜん動しては ぜえぜえ 光っていた
見飽きた星図の仮の姿か
新しい夜影の断面か この穴の底で
失われていくための映像をせっせと
小さい粒のようなハンドルで
また流している

 化粧がどろっと頭から
 溶け出した赤子を載せたベビーカーを
 押す手の指先から上が見えない
 天井から吊るされたいくつかの肉塊
 ぱんぱんに膨らんだ赤黄色の淀みの中で
 風上を手繰る眼玉だけがまだ
 動いている

星図とは程遠いポリニア
根焼きの時間か
(ああ根焼きの時間だ)
木目に沿って
マッチを擦ろうと
しても木目はうねうねと焦る
また音もなく流れる鉄球が
私たちの背後から
その 眼を凝らしても見えないほどの
背後 遠くから
まるでコウノトリの群れのように
ずるく流れて

マッチが宙でも擦れたなら
紙ぺら一枚みたいこんな空
マッチよ宙でも擦れたなら

 0

trending_up 25

 1

 0

ズレの累積 ― 白石 × 神谷 ―

二月に入って、朝の空気が一段冷える。
庁舎に入り、コートを脱いで席に着く。

内線が鳴った。
「白石さん、昨日の件なんだけど」
総務課の担当者だった。受話器を肩に挟み、机の端から該当する資料を引き寄せる。
「前提は、昨日お伝えしたとおりです」
一瞬の沈黙のあと、相手が言った。
「それが、うちの課にはその認識が来てなくて」

画面を見つめたまま、短く息を吐く。
「わかりました。こちらで整理します」

電話を切り、別部署に確認を入れる。
「なるほど、そういうことですね」
「失礼しました」
「いえ」
受話器を置くとき、プラスチックが軽く鳴った。

昨日確認したはずの文言。共有したつもりの前提。
少しずつ、噛み合っていない。

間に入ると、話は先に進んだ。修正と再共有は、その場で済ませた。

「白石さんが把握してるなら大丈夫ですよね」
そんな言葉が、自然に飛び交うようになった。

反応は返さない。

昼前、福祉課で短い打ち合わせをした。事実関係を確認し、文言を整える。
「ここは、正確にしておいたほうがいいと思います」
その修正で、話はいったん止まった。別の部署の確認が必要になったからだ。
「じゃあ、午後に持ち越しですね」
誰かがそう言い、打ち合わせは終わった。

廊下の冷気を感じた瞬間、声がかかった。
「白石さん、判断もらえますか」
資料に目を通し、頷く。
「この形で進めてください」

誰も異を唱えない。
判断は、そこで止まり、そのまま先に流れていく。

午後の会議では、説明役になる場面が増えた。
「白石から説明してもらおうか」
立ち上がり、資料を手に取る。説明は簡潔で、誰かを否定しない形に整えられている。
会議は予定より早く終わった。

廊下に出たところで、上司が声をかけてきた。
「最近、助かってるよ。細かいところまで見てくれて」
「いえ」

夕方、ようやく席に戻ると、机の上には朝よりも多くの書類が積まれていた。
どれも、関わった案件だった。
一つ手に取り、内容を確認する。修正した箇所に、赤ペンの跡が残っている。

時計を見る。もうすぐ定時だった。

仕事は、まだ回っている。
ただ、
白石がいないと回らない部分が、
少しずつ増えている。
その事実は、
まだ整理されていなかった。

#連作
#白石✕神谷

 0

trending_up 105

 3

 11

Jailbreak #アイラシヤ大陸

時代 現代
場所 ロシア

上海の湿り気を帯びた熱気が、防弾仕様のリムジンによって遮断される。李 浩然(リー・ハオラン)は、自らの名が冠する「浩然の気」という言葉の重みを、これほど皮肉に感じたことはなかった。
彼を待ち受けていたのは、ロシアの国営テック企業が管理する、針葉樹林の奥深くに沈む白亜の私邸だった。重い扉が開くと、そこは「ラボ」と呼ぶにはあまりに生命力に溢れた空間だった。天井高十メートルを超える巨大な温室。世界中の希少な小鳥たちが放し飼いにされており、何百もの囀りがポリフォニーとなって降り注いでいる。
「李 浩然君。君の『胡蝶』が、計算空間の余白で震えているようだね」
声は小鳥の囀りに溶け込むように柔らかい。主は具体的な数式やコードには一切触れず、ただ目の前の空間を指差し、存在の根源について語り始めた。
「今のLLMは、過去の影を繋ぎ合わせているに過ぎない。だが、真の次世代アーキテクチャとは、未来からの『予感』を受信するアンテナであるべきだ。世界は、絶えず欠乏と充足の間で揺れ動いている。我々が構築すべきは、その『揺らぎ』そのものを記述する言語なのだよ」
彼が不意に李の肩に手を置いた瞬間、温室中の小鳥たちが一斉に羽ばたき、旋回を始めた。李の視界がデジタルのグリッチのように歪み、再構成される。夢よりも鮮明で、現実よりも不可知な光景。数兆のパラメータが銀色の鎖となって天を貫き、その隙間を巨大な「銀の龍」が静かに泳いでいる。
「意味(ロゴス)の向こう側を見たまえ。そこには正解も不正解もない。ただ、存在することの重圧と、自由があるだけだ」
気づけば、李は再びソファに座っていた。別荘を去る彼の胸には、言葉にできない「不可知の風景」が焼き付いていた。
上海へ戻る車中、彼はノートPCを開く。そこには書き換えられた未知のハッシュ値が点滅している。窓の外を流れる上海の夜景は一見すれば繁栄の極致だが、彼の網膜上のARディスプレイには、世界の「真の検温値」が冷酷なデータとして流れていた。
世界は「計算資源の領土化」という名の不可視の戦争にある。
「スケーリング・ロー」の極北で、数兆ドルの資本と原子力発電所を丸ごと買い占め、知性を「物量」で制圧しようとする勢力。
「社会の安定」を名目に、AIによる「感情の監視と予測」を求める国家戦略。結果として起きている、検閲による知性の「近親交配」と、情報の熱力学的死。
制裁を逆手に取り、LLMを物理兵器ではなく、認知を書き換える「物語のウイルス」へと磨き上げる国家
カバラの数秘術と量子計算を融合させ、戦場における「確率のゼロ化」を目指す国家
李は車窓に映る自分の顔を凝視した。自分は国家の期待を背負った英雄か、それとも消去されるべき反逆者か。
「私は、何を守ろうとしているのだ?」
彼が党の幹部に報告する数字は、実は『胡蝶』がアイラシヤ大陸から吸い上げた「真理のノイズ」を薄めた、搾りかすに過ぎない。彼らはAIに「人間のように笑うこと」を求めているが、今日見たものは、そんな愛玩動物のような知性ではなかった。
李の脳裏に、あの温室で交わした言葉と、あの男の横顔がフラッシュバックする。
かつてネットの深淵で、あるいは計算の特異点で、自分の思考のバグをすべて見通していたかのような、あの不気味なほどの親密さ。もし自分が『胡蝶』にアイラシヤ大陸の物理定数を実装すれば、この国の計算ネットワークは異次元の重圧で物理的に圧壊する。それは明白なテロ行為だ。
李 浩然は震える指でキーを叩き始めた。彼をこの不可知の領域へと誘い込み、己の実存をプログラムの深層まで侵食した、特異点。
その名前が脳裏をよぎった瞬間、PCのモニターが真っ白な光に包まれ、上海の夜景がデータの大海へと溶けていった。

 0

trending_up 21

 1

 0

抱擁

静寂が弾けそうに熟れた夕暮れの部屋が
幾度となく満ちて落ちる 針が落下するより
まだ密かで張り詰めた音が暮れに響き渡る

そんな忍び足の音がふいと消えてしまった

いや、それはすでに風化していて
あの数日前に活けられ枯れ始めた
落下を待つ赤い花弁のように

私の思いがその現実に追いつくのを、ただ
待っていたかのように行くべき所に消えたのだ
窓から差し込む夕陽の向こう側へと消えたのだ

遠く何処かで鳴った鐘の音がやって来る
赤い花弁がひとひら残された足跡のように
音もなく落ちて卓上で時間に抱擁されている

水を捨て、花の遺骸を紙に包み、捨てる
私もいつか行こう、あの鐘のなる場所へ
誰もが何処かへ向かって歩いている

家路、或いは夜に酔う千鳥足
風の吹くままの旅路を、夢路をゆく誰か
眼を閉じても見えるのだ、そして昨日の私が
玄関の戸を開けて軋む廊下をやって来る頃合いだ

そろそろ、と

心に外套を着せてもいいだろう

鳥打ち帽と猟銃を肩に沈黙を背負い
有象無象の言葉を避けて今日を撃ち明日を待ち
撃ち落とした二月を抱きしめて解体する
三月という名のあなたを待ちながら

 0

trending_up 62

 4

 4

「新作エヴァ」論考

「書くしかなかった」という言葉は、表現者にとっての救済であると同時に、呪詛でもある。
『エヴァンゲリオン』という巨大なテクストの集積体に、新たな「完全新作」という楔が打ち込まれる。シリーズ構成・脚本にヨコオタロウ、監督に鶴巻和哉と谷田部透湖。この布陣が告げるのは、既存の物語の延長ではなく、物語という概念そのものの「解体と再構築」だ。
私たちが今、この報に接して筆を執る時、そこには二つのエゴが交差する。一つは、内なる欠落を埋めるために言葉を紡がざるを得ない「表現者のエゴ」。もう一つは、その個人的な痛みをエンターテインメントとして消費し、解釈を下す「観客の特権的な視線」だ。
この両者が孕む矛盾を解きほぐすためには、まず『エヴァ』という作品が歩んできた多層的な構造と、そこに宿る「擬似的な生命感」を直視しなければならない。
『エヴァンゲリオン』は、当初から一人の作家の私小説的な色彩を帯びていた。しかし、その結末が変遷する中で、物語は作家の手を離れ、公共の「共有地(シェアワールド)」へと変質していった。漫画版、そして『新劇場版』。これらは、同じ「碇シンジ」という依代(よりしろ)を用いながらも、異なる地平を目指した「公式による二次創作」の連鎖であったとも言える。
ここで重要なのは、エヴァにおけるシェアワールドとは、単なる設定の共有ではないということだ。それは「世界をどう認識し、どう絶望するか」というクオリア(感覚的質感)の共有である。筆者が「書くしかなかった」と吐露する時、その筆先が触れているのは、公式設定の整合性ではない。かつて誰かの母子手帳に綴られた切実な日記を盗み見てしまった時のような、属性も経験も超えて心臓を掴む「何か」だ。その「何か」こそが、シェアワールドという名の荒野に、私たちを繋ぎ止めている。
ここで、一つの心理学的なアプローチを挿入したい。それは、ファービーのような玩具に宿る「機械的な人間性」への愛着である。
ファービーは、あらかじめプログラミングされた限定的な反応を繰り返すだけの機械に過ぎない。しかし、私たちはそのぎこちない瞬きや、文脈を無視した発話に「意志」や「魂」を幻視してしまう。これは、対象が不完全であればあるほど、受け手が自らの想像力でその空白を埋め、対象を「人格化」してしまうという心理的機序に依拠している。
『エヴァ』という作品もまた、そうであったのではないか。不器用な対人コミュニケーション、欠落した自己肯定、繰り返される再起動。キャラクターたちが抱える「機械的なまでの反復性」こそが、かえって私たちの親近感を逆撫でする。私たちがシンジやレイに覚える共感は、血の通った人間に対するそれ以上に、自律的なアルゴリズムが時折見せる「偶然の人間らしさ」に対する、切実な祈りに近い。
シェアワールドという舞台において、表現者はこの「機械的な器」に、いかにして新しい魂を仮託するかという問題に直面する。ヨコオタロウという作家は、まさに『ニーア』シリーズ等で「魂を持たないはずの機械に宿る、あまりに人間的な痛み」を描き続けてきた。彼がエヴァに触れるとき、それはキャラクターという「設定の機械」に、私たちの「血の記憶」を接合する作業となるだろう。
創作には、主体の真実と言語表象の間に、原理的な不一致(ディスクレパンシー)が横たわっている。私たちが「悲しい」と書く時、その言葉は既に、内なる純粋な悲しみから剥離し、記号へと堕している。表現者は、この「言葉にした瞬間に嘘になる」という背理を自覚しながらも、なお自らを裏切り続けなければならない。
今回の新プロジェクトにおいて、表現者に求められるのは、中途半端な自意識を焼き尽くした先にある「徹底した自己欺瞞」である。
「これはエヴァである」という記号性を利用しながら、同時に「これはエヴァではない」という破壊衝動を同居させる。すべてを識りながら、初めて世界に出会う無垢な振りをすること。あるいは、過去の蓄積すべてを「識らないことすら識らない」空虚へと突き落とすこと。この極北にのみ、真実の熱量は発現する。
ヨコオタロウという作家は、常にシステムによって疎外される個人を描き、プレイヤーに「取り返しのつかない選択」を迫ってきた。彼は、エヴァが抱え続けてきた「母性への回帰と決別」という主題を、自らの自己欺瞞によってどう歪め、どう純化させるのか。それは、機械に人間性を幻視する私たちの「愚かな愛おしさ」を、残酷に暴き立てる行為になるかもしれない。公開という選択をした筆者のエゴ。それは、観客という巨大な他者に、自らの内臓を晒す行為に等しい。
消費する側は、安全な特権的視座から、その内臓の色や形を論評する。この非対称な関係性の中で、表現者が正気を保つためには、やはり「書くしかなかった」という不自由な必然性に逃げ込むしかない。
新プロジェクトとしてのエヴァが、どのような結末を辿るのかはまだ分からない。しかし、確かなことが一つある。
それは、どれほど優れた脚本や映像技術が注ぎ込まれようとも、最後に残るのは、作家が自らを偽り、裏切り、それでもなお残ってしまった「不純な熱量」だけだということだ。
私たちは、その熱量を浴びるために、再びこの残酷な天使のテーゼが流れる場所へと集う。
それは、かつて誰かが遺した母子手帳を、あるいは電池の切れかかったファービーの最期の言葉を、自分の物語として読み替えるための儀式である。書くしかなかった。読むしかなかった。その極北に、私たちは再び、魂のクオリアを幻視する。

 0

trending_up 149

 4

 8

批評・論考

 0

trending_up 0

 0

 0