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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

さかな

変な魚を見たよ
見たこともない魚だ
目の中で泳いでいた
夢じゃないよ
こいつが好きなんだよ
睫毛のすき間から湧いたんだな
とてもいい感じだよ
平べったくて
目が三つもあったんだけど
かわいかったよ
色は黄色だよ
その傘の色だよ
ああ 今も泳いでるよ
そこ そこ
そこで泳いでるよ
だいじょうぶだよ
余計なお世話
これはおれの魚だからな
けど おまえだけには見せてやろう
ほーら 癒されるだろう
いい魚だろう
ハードだからな
この世はとてもハードだから
癒されるだろう
おまえも好きだろう
顔に出てるよ
おれの魚だよ

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赤子の心

心はみんなよちよち歩き。
ハイハイとたっちの違いだけで、
みんなよちよちのまま
あの世へ行くのさ。

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bledisang


 flower

祟り花は大陸からやってきた。罹患すると肌が、腕が、指がどんどん葉や茎に変わり、顔は色づきぱっくりと割れ、やがて全身が花になって咲いてしまう、原因不明のおそろしい奇病だった。いや、病であるのかどうかすら定かではない。ただ、生き物から生き物へ伝播するということだけがわかっていて、それがまるで祟りのようだから、祟り花と呼ばれている、ということだった。祟り花がこの小さな島国を席巻し、そのすべてを美しい荒涼に変えてしまうのにさほど時間はかからなかった。街は都心のほうから五彩の花や緑に覆われていった。かつて人であった花は、どれも服の切れ端だったり、にぶく光る装身具だったり、かつてを想起させる雑多なものを引っ掛けて、咲いてすぐのものを判別するのは容易だったが、人であったころの名残はすぐに飛んでいってしまって、風化してしまって、やがて自然の花と判別がつかなくなってしまうのだった。

祟り花は人だけではなく他の生き物たちをも無差別に侵食していった。行き交う鳥たちは翼のほうから茎葉が茂り、街には野には、鳥の花弁が雪のように降りしきる。草食む獣たちはみずからが草花と化し、それを別の獣が口にしては、咀嚼するそばから草花に変じた。川海にはかつて魚や両生類であった花弁が流れただよい、さながら水葬の儀式のようだった。花々はおのが出自を主張するようにもとの面影を残し、それぞれ違う色や形として咲き乱れていた。おなじ人間の花でも、あわい暖色で丸まったもの、刺々しい形の極彩色、幽かに透けてみえる花被片をもつもの、さまざまな相貌の花が入り乱れ、もしかするとそれは、彼らが人であったころよりも見分けるのは簡単かもしれなかった。

祟り花の症状の進行は人によってまちまちで、罹患してすぐに全身が変色し、そこでそのまま花化してしまうものもいれば、少しずつ体が緑に冒され、蝕まれるようにゆっくりと花へ変わり果てていくものもいた。やがて与太話のような噂があちこちで囁かれるようになった。他のものへ祟り花をうつしつづけると、自らの花化が少しずつおさまるというのだ。根のない話は瞬く間に広まって、祟り花をわずらってもまだ動けるものは、必死にそれをうつそうと、中には見ず知らずの他人に抱きついたり、接吻を試みるものまでいたけれども、そもそも祟り花がなぜ、そしてどのように伝播するかはなにひとつ分かっておらず、ただ都市伝説めいた飛語だけが白熱し拡散されていくさまは、まるでそれ自体がひとつの伝染病のようでもあった。

祟り花が島を花園に変えてしまってもなお、花化せずにいられたわずかな者たちもいて、そのほとんどは、世間からはぐれ、引き篭もりがちに暮らしていた者たちだった。花とならずに済んだ、あるいはなり損ねた彼らは、祟り花の蔓延後、よりいっそう閉塞的に暮らすようになった。花が旺盛に繁茂していくにつれ、しだいに島から生き物の気配は消えていった。あるとき、完全に花と成り果てた者からはもう祟り花はうつらないということがわかって、彼らは安堵し、少しずつ棲家から外へ出歩くようになったものの、しかしそのうち、人を避けて生きてきたはずの彼らもだんだんと人恋しさに苛まれるようになって、生き残ったものたちを捜しに遠出しては、その身を次々と花に変えていった。

祟り花をまぬがれて、人里からのがれて、私は山奥に打ち捨てられた廃屋に暮らしていた。廃屋といっても、朽ちかけの農具が押し込められた埃っぽい納屋だった。元の持ち主など知らないがおそらくとうに咲いてしまっているだろう。しばらくは付近の畑から野菜や果物などをかっぱらって飢えを凌いだが、手入れするもののない果菜はあまりにもよわく、すぐにくたびれてしまって、やむを得ずそのあたりに自生している山菜や野草を食べるようになった。かつて人だったかもしれない野花を摘んで食べることもあった。飲み水は近くの渓流から汲み上げたが、たくさんの花弁が泡のようにあがっては流れていく川の様子はとにかく異様で、そこから掬った水を飲むのは毎度気が滅入る。いつまでこんな生活が続くのだろう。身体はどんどん痩せ細り、もはや枯れた果樹と見分けがつかない、これでも人でありつづけていると言えるのだろうか。元より在宅で、誰とも関わらず、引きこもるように暮らしていたけれども、それでもこんな、時間も日付も分からず、朝かも夜かも分からない、まるで獣のような生活のなかで、空腹と人寂しさにじわじわと心身を蝕まれ、これでは花になった方が幾分幸せだったのではないか、あの快適な部屋の中に一輪咲きほこるのが正しかったのではないか、と私はだんだん思いはじめていた。眠っているのか、目覚めているのか、判別がつかなくなって、しだいに幻覚や幻聴のたぐいに悩まされるようになっていった。

祟り花が大陸からやってきてもうどれだけの月日が経ったのか分からない。いつまでもつづく鈍い頭痛に朦朧としながら、喉の渇きを潤すため、ふらふらといつもの渓流へ赴くと、川べりに何かの影がじっと伸びている。見るとそれは細身の女性だった。妙齢に見えるその顔立ちは整っていて、身の丈は私よりひとまわり短く、腰ほどのながい黒髪が風にたなびいていた。放心し惚けていると目が合って、慌てて逃げようとすると、待ってください、と強く呼び止められる。しわがれていたが、どこか余韻のある声だった。人を捜してきたんです。この島で自我をなくさずにいるのはきっともう私たちだけで、祟り花をうつすもの、うつせるものはもはや誰もいない、だから共に山を下りませんか、と彼女は縋るように言った。混濁する意識に、承諾も謝絶もできぬまま、なんとなくそのまま彼女につれられ、久方ぶりに山を下りた私の眼前には、地平までどこまでもつづく、砂漠化してひび割れた大地と、その上にたくさんの色相が咲き乱れている光景が広がっていた。こうして砂漠を花が埋め尽くす現象を、私はむかしどこかで目にしたことがあるような気がした。

祟り花がもたらしたその眺めに目を奪われていると、突然、指の先から猛烈な痒みにおそわれ、見ると指の皮膚を突き破って植物の蔓のようなものが蠢いている。隣の女性に目をやると、紺のブラウスの裾からわずかに蔦のようなものが覗いているのが見えた。そのままひしゃげるように私の身体は崩れ落ち、四肢のほうからわさわさと茂って、少しずつ上へ、頭の方へ蔓が伸びていく。ごめんなさい、終わりたくないんです、と搾り出された声は震えていて、ああ、また騙されたのか、と、瞬間、くらい渦が沸き、動けるうちに彼女の首でも絞めてやろうかとも思ったが、しかしいずれにしても、どうせこのまま花になってしまうのだなと思って、それなら私はいったい何色の、どんな形の花をつけるのだろうと思って、私はただ茂りながら、こちらから目を逸らす彼女の整った顔を見つめていた。やがて視界が歪み、私の意識はしゅるしゅるとほどけていく。

ここにあなただけが残るとしたら、
もう誰もあなたを祟ることはない、
誰もあなたを祟ることはできない、
だからどうかこの、
成れ果てた花を覚えていてほしい、
砂漠に咲き乱れるたくさんの、
色とりどりの私たちを花束のように抱えて、
あなたはきっといつまでもあなたでありつづけてしまう、
それこそが私があげる祟り、
私たちがあなたにあげる祟りだから、



 flow

裏山には竜が棲んでいる、と、父は言った。そのとき私はまだ六つで、そもそも竜というものが何かを知らなかった。祖父が亡くなってからそう経たぬ頃だ。遥かむかしから一族の土地であった裏山の深くに、大きな竜が棲んでいるのだ、と、父はそう話した。幼い私には、その竜さんという人がいったい何者なのか分からなかったけれど、なにやら凄くて偉大な存在である、ということはなんとなく父の話しぶりから感じ取れたので、その竜さんにぜひ会ってみたいと思った。何度も何度もせがんだけれど、しかし父は、もう少し大きくなったら自分で捜しに行きなさい、と言って、それから少しも取り合ってくれなくなってしまった。

小学校に上がってさらに数年経ったころ、私はついに決心し、竜さんを探しに裏山に登ることにした。山は祖父が亡くなってから少し荒れてしまってはいたが、畑のある中ほどまでは拓けており、そこまでの山路は父が手入れしていたので登るのにさほど苦労はない。しかし畑として使われている区画から奥はいっさい整備されておらず、まったく手付かずの荒廃林となっていた。当然歩きやすい道などないし、仕方がないから、迷いにくくて比較的登りやすそうな、畑の脇の用水路沿いに山を登っていくことにした。登っていくにつれ、細い水路は何度も分岐し、やがて天然の河川へと合流したが、それでもまだまだ奥へ続いているようだった。生い茂る葛や笹を掻きわけ、へとへとになるまで登って、少しずつ日が赤らんできたころ、不意に視界が広がり、木々がひらけて小さな空き地のようになっている場所に辿り着いた。空を隠すように重なる樹木の帷の、その隙間から僅かに光が差して、落ち葉の小道や苔岩をぼうっと照らし出している。その厳かさに息をのんだ私は、なにかが川の先の方でちかちかと反射しているのに気づいた。近づいてみると、乳白色の鱗に包まれうっすらと苔むした蛇、いや、蜥蜴だろうか、とにかく巨大な鱗の塊が、川沿いの苔岩に身体を横たえ目を閉じている。おそらく眠っている。私は興奮して、あっ、と声を上げてしまって、慌てて口を噤んだ。見たこともないほど大きな蜥蜴だ、起こしてしまったら襲われてひと吞みにされてしまうかもしれない。しかしいまさら息を潜めてももう遅かった。私の声に目覚めた蜥蜴は岩のような首を持ち上げ、ぎょっとその瞼を開いた。膜を裂くように突き出された瞳は青く深く、切れ長の瞳孔がこちらを刺すように睨んでいる。私は完全に固まってしまって、そのまましばらく見つめ合っていると、鱗の塊がすうっと身を起こし、麓の家のせがれか、と言った。聞き間違いではなく、確かにそう言った。突き離すような冷たい声音だったが、不思議と、あたたかい声だなと思ったのを覚えている。

聞けばその生き物こそが件の竜で、先代の先代のそのまたずっとずっと先代の頃から、この山に棲まわせる代わりに、麓の畑を害獣たちから護ってもらっていたのだという。私たちの一族とは長い付き合いで、他にもいくつかの約束事を交わしてきたそうだ。彼、か彼女か分からなかったが、とにかくその竜は声色こそ淡白だが穏やかな話し方をするので、私はすぐに恐怖心をなくして、自分の足よりも太い尻尾に腰掛け、ひたすら彼を質問責めにしたのだった。普段何をしているのか、何を食べるのか、何故話せるのか。しかし竜はあまり自らのことを語りたがらなかった。私の問いにただ耳を傾け、小さく揺らめきながら目を閉じていた。その仕草は、話を黙々と聴いているようにも、うつらうつらと船を漕いでいるだけのようにも見える。だから私はだんだん話すことがなくなってしまって、少し寂しくなってしまって、ほどなく口を閉ざした。なんともいえない静寂が訪れた。

ふいに竜がぐっと身をもたげ、傍らに横たわる、おそらく彼の餌食になったのであろう獣の死骸を咥え、川のほうへと歩いていく。少し迷ってあとを追うと、彼は濡れるのもかまわず川へとおりていって、澄んだ水面のうえに獣をそっと横たえた。肉を削がれ、ほぼ骨と皮だけの亡骸は、ばらばらとゆるくほどけながら、流れに沿ってゆっくり川下へとくだっていく。ごらん、この骨は、皮は、そこに残されたよすがは、流れて畑に降るだろう。お前たちに降るだろう。そうしてここに上がってきたお前たちを、ふたたび流すこの身は老いず朽ちず、ゆえに流されることなく、ただここで流しては降らせる、それが約定なのさ、と、彼は言う、その語りの抑揚は人のそれとは異なり、まるでなにかの歌をうたっているようだった。いいかい、もうここに来てはいけないよ、と、そう言ってから、それきり巨大な竜は何も言わなくなってしまった。

その日からも何度も、言いつけを破って私は竜に会いにいったが、あれ以来彼は何も語ってくれず、歌ってくれず、会いに行くたび、言葉をかけるたびに、真珠のようだった鱗の光沢は翳り、青い瞳の海は濁り、力なくうなだれ地に臥せり、ひゅるひゅると風の抜けるような喘ぎを洩らすようになっていく。日に日に衰弱していく彼は、どれだけ聞いてもやはり何ひとつ語ってはくれず、ただ、もう来ないでくれ、頼むからまだ来ないでくれ、と、私にひたすらに懇願するようになった。私にはその理由が分からなかった。だから私は会いに行き続け、問いつづけた。彼のことを、自身のことを、約束のことを、何度も何度も問い詰めて、彼がもう瞼を開かず、ほとんど動かなくなってしまったころ、なんとなく私は悟って、ようやく彼の元へ通うのをやめた。

そして父が亡くなって少し経った日、私はふと彼のことを思い出したのだった。何故忘れていたのだろう、まだ生きているだろうか、もう会いに来るなと言われていたのに、どうしても、込みあげる衝動を抑えられず、今すぐにでも話を聞いて欲しくて、真夜中だったにも関わらず急かされるように裏山へ向かった。記憶よりも荒れ果てている山林を、用水路沿いにしばらく登って、足元もおぼつかず、暗がりに何度もつまづき、ずきずきと痛む足を引き摺り、息も切れ切れになったころ、ようやく見覚えのある空き地が見えてきた。しかし竜はいない。もう死んでしまったのだろうか、あるいは、子供の頃に見たおかしな夢だったのだろうか、そう思って、なんだか急に馬鹿馬鹿しくなってしまった私は、戻ろうかと帰路の川辺に身を向ける。すると、川沿いの苔岩に何かが彫ってあるのが目に留まった。しかし暗くてよくわからない。近づき、目を凝らして見るとそれは何かの名前のようだった。びっしりと、長大な名前の羅列がまるでなにかの呪文のように刻まれている。継ぎ目なしに列をなす名前はもはやどこから区切るのかもわからず溶け合い、岩の凹凸に沿って彫られているから、辿っているうちに蠢いているかのような錯覚をおぼえる。列の最後には祖父と父の名前だった文字列が混ざっていた。それはずっとずっと前に彫られたようにも、今まさに彫り起こされたようにも見えた。

山を降りたら、私は息子に教えなければならない、
裏山には竜が棲んでいる、と、



 flaw

狭い街に憧れていた。山もなく、森もなく、断絶を知らない光と、音信不通の人の海。卒業してまもなく、期待と憧憬と少しの憂慮を抱えながら飛び込んだその街はしかし、とてもひとりがひとりぶんとして暮らせるような街ではなかった。蚕の蔟部屋のような一画に梱包され、どこを見ても汚れた鉄の塀に囲われたなかを、箱から箱へ搬送されていく。雑踏と喧囂のなかでひたすらどこかへ流されつづけた私は、気がつけばわずかばかりの手当と処方箋を握って、実家のあるこの田舎街に運ばれついてしまったのだった。海のそばにあったはずの実家はいつのまにか陸に打ち上がり、海は遠くなって、付近には可愛らしい名前のついた住宅の森が出来あがっていた。小洒落た家が規則正しく整列し、庭には光沢のある新車が連なっている。私が離れたたった数年で、あたり一帯はすっかり都会にかぶれてしまった。いちめんに海を望めることだけが自慢だった実家の窓からは紺青が消え、かつての展望はすべて人の生活に侵食されていた。

いきなり帰ってきた我が子を、両親は何も言わずに迎え入れてくれた。私が憔悴しきっているのを察したのかもしれない。久しぶりに誰かの作った料理を食べ、あたたかい湯船に浸かった。自室は家を飛び出してきたときから何も変わっておらず、まるであの瞬間から部屋そのものの時間が静止しているようだった。定期的に手入れはされているようだったが、家具などはそのままで、窓の外のせわしない街並みだけが時の移ろいを感じさせた。何をする気にもなれず、それからしばらくはひたすら無為に過ごした。寝て起きて食べるだけの日々が続いた。はじめは黙って見守ってくれていた両親もやがて、これからどうするつもりなんだ、と、やんわり焦りを促してくるようになった。私は答えない。答えられない。運ばれる以外のやりかたをすっかり忘れてしまった。

せっかく地元に帰ってきたということで、かつての旧友たちと連絡をとりあって、みんなで飲みに行くことになった。懐かしい顔ぶれは揃って私を見つめ、なんとなく雰囲気が変わったね、と言う。私にはむしろ、みんなの方がどことなく雰囲気が変わったというか、どうにも浮き足立っているように感じられた。都会はどうだったかと聞かれる。当たりさわりのない苦労話をする。酷い話だ、と口々に彼らは言う。みんな私が帰ってきた理由に薄々勘付いているようだったが、あえて痛ましい患部を避けるように、取るに足らない些事な質問をつづけた。だんだんと、まるで傷口を外側からゆっくりと広げて晒し上げられているような気分になってきて、いよいよ私は気分が悪くなって、そうだ、親が呼んでいるから今日はもう帰らなければ、などと言って、途中で逃げるように会を抜け出してしまった。去り際に向けられたみんなの不気味な視線。やはり彼らが変わってしまったのだ。

しだいに両親は今後のことについて詰問してくるようになった。捲し立てるような早口で、私に早くまともになれと言う。お前はおかしくなってしまった。直さなければ。二人の態度はどんどん辛辣になっていった。食事をしているときも、風呂に入っているときも、しまいには寝ているときですら、ひっきりなしに二人の罵声が聴こえてくるようになった。絶え間なく繰り返されるその文句。いよいよ耐えられなくなって、寝るとき以外は家を空けるようになった。あてもなく街を徘徊する日々が続いた。私にはだんだん奇妙なものが見えるようになっていた。近所の人たちの身体を、なにか黒い芋虫のようなものが這っているのだ。芋虫はうぞうぞと這い回り、彼らの身体に煤のような跡をつけていく。その跡もだんだんくねり出して、やがて別の芋虫になり這いずりはじめる。これはどういうことだ。みんななにかに取り憑かれている。しかしこんなことを言えば、また奇怪な目で見られてしまう気がして、私は誰にも打ち明けなかった。打ち明けられなかった。いつのまにか両親の身体にも付いている芋虫。見ていると気分が悪くなるから、あまり視界に入れないよう顔を伏せて過ごすようになった。

両親の声はいまや怒鳴るようなものに変わってもはや寝ることすらままならない。昼も夜も街を徘徊し、なるべく遠くを巡回しているのに、両親の声や旧友の声、耳に残る色んな声が響いて、いまや街のどこからでも耳に届くようになっていた。すれ違う近所の人たちもみんな数多の芋虫を纏いながら、ぶつぶつとなにか意味不明な言葉を呟いている。いや、叫んでいるのかもしれなかった。どこからでも聞こえてくる。たまに知人に遭遇することがある。私を変わってると言う。変わっていない、私はあれから少しも変わっていない、と答えると彼らは首を傾げて、これまたぶつぶつよくわからないことを叫びながら走り去ってしまう。誰も彼も理解不能な呪文のようななにかをぶつぶつと呟きながら、口々に私が変わっているという、変わってしまったという、みんなの身体の芋虫はどんどん分裂し、たくさんの芋虫に覆われた彼らはもうのっぺらぼうの影みたいになっていて、元の身体が話しているのか取り憑いた芋虫が話しているのかもはや分からない。ああそうか、人に虫が憑いているのではなく、虫に人が憑いているのだな。肉の身体に収まりきらなくなった芋虫たちは溢れて地べたにぼとぼと落ちる、なんだか訳のわからないことを喚き散らしながらそれぞれが自我のままに蠢き、手当たり次第に這いずり回るせいでそこら中はもう煤だらけ、ぐちゃぐちゃの這い痕が子供の落書きみたいに道路を、塀を、外壁を覆っていびつな蛇行をえがき、まるでなにかの伝言のようにも見える複雑な紋様がそこらじゅうに残されている。あおく古い景観を埋め立て隠すように、上から作った規則的な街並みはすっかりみにくく変わり果ててしまった。真新しい構造はすべて汚され、いまにも元のすがたへかえろうとしている。黒は浮かんだり沈んだりを繰り返す、人からのがれたおびただしい数の芋虫はいちように黒い糸を吐き出し、私になにかをうながしながら繭をつくる、繭をつくる。そこらじゅうに人の形をした黒い点々がぶら下がって繭のなかでくねくねとくねり変態していく、黒い部屋の中から私が変わっていると謗る彼らはどろどろに溶けて運ばれやがて羽化するに違いない、墨色の鱗粉を撒きちらして飛び回るかつて芋虫だった人々、あるいは人々だった芋虫が舞うたびにもう声も聞こえなくなって羽ばたきだけが瞳の裏側を揺らす、いまや視界のぜんぶはくらい煤に埋もれた黒の部屋、何も見えないから私は記憶を浚って、掬いあげた景色や言葉を忘れないようにぶつぶつとたえまなく暗誦する、やがて口からぽろぽろとなにかが溢れだすようになってそれが皮膚のうえを這いまわるのを感じた私はいっそう早口になって、だからもっともっと中身が出るようになって喉が引っかかり声が出ない、暗がりにたくさんの意味の分からない絶叫だけが呪詛のように響くから負けないほどに大きな聞こえない声で残ったものをひたすらに唱え、ここでこうしてどろどろと取りこぼし歪められ形の崩れていくものをこんなにも、ひとつでも残るように唱えつづけるわたしはこんなにも、変わらずにいて変われずにいて、ただぶつぶつとただどろどろと終わらない詞を唱えつづける、唱えつづける、



 flawer

花の鎖骨のあいだから滔々と湧きいでる木魂、
かえすものもなく、とどまるわけもなく、
この地に降り、この血に降り、
薄明の浅いねむりに、触れぬ手の影絵を浮かべ、
咲いている、繚乱を踏みぬいて躍る蹄たち、
朝までやむことのない足音は雨季とよばれ、
枯れては結ぶ、の、
折形を、再演する黒衣、
齟齬に潰れた花片の符号を繋いで、
ふと思い出した象りをつくっては、
そのたびにまた溢していく、

脈絡はたのしく飛び跳ね、是非もなく、
触覚は息をひそめて水棺のなか、
欄外の皮膚を史前の傷が掻く、
横断し、そのうえを縦断し、
格子模様が虹彩を満たすここは塩柱の街だから、
耳塞ぐように瞼蕾んでは、
凍えるものがたりにふけっていた、
含意は天からくだり、
寓意は点からくだり、
とうに帰るところもときも忘れて、
ただとぐろに手を合わせる因子の、
そのひとつから、あるいはそのすべてから、
はぐれては惹かれ、惹かれては浮かび、
いまや解読不可能なむかしがたりが、
歓楽の先、小路の暗がりへ唆す、

知己の獣たちの群れに呑まれ、
ただうずくまって、
最後尾の眩暈が通り過ぎるのを待っていた、
逆光の映写幕、黒点が暈けて、
点描の蛾があかりを游ぐ、
鱗粉からこぼれ箱詰めされるうろこたち、
咀嚼されるたびまじりまじわり、
粘度を帯びる植生、の、
繭から垂れる、黒い唾液が、
詞を浸し、死を浸し、
水葬の手つきで遺失の不明を浚っていく、
ほら、
もうぜんぶ湿っているよ、
しるすため、しるされるための繊維は、
みにくく弛み、こうも組織は爛れて、
腐乱のこんな耽溺だけをたよりに、
なんどもなんども不備を捧げつづけた献呈、
もうすぐ火葬の季節が来るね、
炙りだした野にはひどく微熱が滲み、
祟りの記録が咲きほこっているだろう、
点眼する、千紫万紅、
とおい星のように灯って、
ああ、
なにもかもが正しくみえた、


乾いた砂漠のなかに立っているあなたへ、
花の下に遺した電報を、よんでください、
それはきっと吉報だから、
どうしようもなく吉報だから、

どうか、
花の、瞳の、
流す、血を、
分かち、
この呪詛の、
降るのを、



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花を拒んだ獣たち

その男の人の鼻腔は
足の中指と薬指にぴったりだった
緑色のものを信じないと決めた朝から
すでに何年か経っていたし さっき
駅前ではティッシュばかり配られていて
誰も花束を持っていなかったので
とても気持ちが安らいだ
傷つきすぎた人間はみんな
やさしさの模造品に詳しくなっていく
男はサトミ様と喘ぎながら私のつまさきへ
祈るように顔をうずめて息をした
遠くでサイレンが鳴っていた
どこかの家が燃えているらしかった
私たちは部屋の黄色い明かりの下で
互いを人間として扱わないことで
ぎりぎり人間を保っている
彼のファミリーネームは知らない

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シナモンシュガーバター

苛立ちをこんがりと焼いて
バターをたっぷり塗る
お砂糖とシナモンをふりかけて
むしゃむしゃ食べる
噛んで噛んで噛み砕いて飲み込んで

苛立ちはいま、腹の中

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文芸投稿サイトでなんか死ぬな

文芸投稿サイトで人が亡くなったらしい。
4月の終わりのことだった。「げばば」と呼ばれるアカウントの母が知らせてくれた。
「息子がお世話になりました。げばばは先日、永眠いたしました。生前、このサイトでの活動を大変楽しんでいたようです。皆様にご報告申し上げます」


私はその投稿を読んで、げばばが何者だったかを考えた。
げばばというのは、私が長年参加する投稿サイトのコメント欄に「げばば」とだけ書く人物だった。誰かが詩を投稿すると「げばば」と書いた。誰かが小説を投稿すると「げばば」。作品投稿も「げばば」だった。「げばばとはどういう意味ですか」と何人かが聞いたことがある。げばばはいつも「げばばです」と答えていた。


私は特にげばばと関わったことがなかった。ただその存在だけを知っていた。コメント欄に「げばば」という文字が現れると、ああ今日も存在しているな、と思っていた。それだけだった。


訃報の投稿にコメントが集まり始めた。「ご冥福をお祈りします」というコメントがあった。「ぼぼぼ」というコメントが来た。「むむむ」というコメントも、「ぴぴぴ」というコメントもあった。そのサイトには、数年にわたって音だけを書き込む投稿者が一定数、存在していたのだ。


私はげばばの母を名乗るアカウントに聞いた。「げばばはどういう方でしたか」。
しばらくして返信が来た。
「田伏正雄のMASAO TABUSEというツイキャス配信を毎週見ていたようです。そこでひどい扱いを受けていたことを、死の直前に話してくれました」


田伏正雄のMASAO TABUSE。文芸投稿界隈の迷惑者に人気のツイキャスだと、私も聞いたことがあった。私はアーカイブを探して再生した。田伏正雄という人物が、リスナーを一人ずつ呼び出し、やったことを読み上げ、ただ一つの問いを投げていた。悔い改めますか。それだけだった。


最初に呼ばれたのはぼぼぼだった。田伏がやったことを読み上げた。複数の文芸投稿サイトで、他の投稿者のコメント欄に執拗に「ぼぼぼ」と書き続けた。相手がブロックすれば別アカウントを作り、サイトを変えても追いかけ、相手が投稿をやめるまで続けた。田伏は淡々と読み上げた。「あなたは悔い改めますか」。ぼぼぼは言った。「ぼぼぼ」。田伏は言った。「次の方。Bye」。


次に呼ばれたのはぴぴぴだった。田伏がやったことを読み上げた。運営者に執拗に「ぴぴぴ」と繰り返し、サイトを廃墟にした。田伏は淡々と読み上げた。「あなたは悔い改めますか」。ぴぴぴは言った。「ぴぴぴ」。田伏は言った。「次の方。Bye」。


次に呼ばれたのはげばばだった。田伏がやったことを読み上げた。複数の文芸投稿サイトで、あらゆる投稿に「げばば」とだけ書き続けた。意味を聞かれても「げばばです」とだけ答えた。サイトの議論を「げばば」で埋め、対話を不可能にした。田伏は淡々と読み上げた。「あなたは悔い改めますか」。


げばばは少し間を置いてから、言った。
「はい。悔い改めます」


コメント欄が止まった。
田伏の配信が始まってから、悔い改めますかという問いに、悔い改めますと答えた者は、これまで一人もいなかった。ぼぼぼも、ぴぴぴも、むむむも、でろでろも、全員が自分の音を繰り返すばかりで、実質的には答えを拒否した。
しかしげばばだけが、はいと言った。


田伏は長い沈黙の後、言った。「では、げばばのリズムで、ぼぼぼと言いなさい」。げばばは言った。「げぼぼ」。田伏は言った。「げばばのリズムで、ぼぼぼです」。げばばは言った。「げぼぼ」。田伏は言った。「もう一度」。げばばは言った。「げぼぼ」。


コメント欄が動き始めた。ぼぼぼが発言した。「それは、ぼぼぼとは違いますし、げばばのリズムでもありません。指示に従っているとは評価できないでしょう」。私はぼぼぼと知り合って数年経つが、初めてぼぼぼが「ぼぼぼ」以外の発言をしているところを見た。


次の週のアーカイブを再生した。コメント欄にぴぴぴが書いていた。「悔い改めたなら、げばばのリズムでぼぼぼと言えるはずだ。言えないくせに、言えるようになるための行動計画も策定されていない。これは言えるようになろうとする姿勢が欠落しているということだ」。でろでろが書いていた。「悔い改めるつもりがないのに、悔い改めると答えた。虚偽の悔い改めはもっとも罪深い」。ぼぼぼが書いていた。「げばばの住所を特定しました。思い知らせてやりましょう」。田伏は何も言わなかった。


さらに次の週のアーカイブを再生した。むむむから報告が来た。「毎朝郵便受けに紙を入れ、一日に50回電凸しています。げばばのリズムでぼぼぼと言え、と日々絶叫しています」。でろでろは言った。「玄関の前でげばばのリズムの音源を24時間大音量で流し続けています」。ぼぼぼは言った。「げばばのSNSアカウントをすべて特定しました。げばばの自宅全てに盗聴器を仕掛け、げばばのリズムでぼぼぼを言っていない時間、すなわち全ての時間において、げばばに電磁波攻撃を仕掛けています」。
田伏は何も言わなかった。たしなめるわけでも、止めるわけでもなかった。


私はげばばの母を名乗るアカウントに連絡した。「アーカイブを聴きました」とだけ書いた。
しばらくして返信が来た。
「息子はげばばのリズムでぼぼぼと言おうとしたのです。毎日、血豆ができるまで練習していたと言っていました。しかし気がつくとげぼぼになってしまうと。それだけは変えられなかった。げばばのリズムでぼぼぼと言えれば終わると思っていたようです。でも言えなかった。最後まで、言えなかった」


私はその返信を読んで、しばらく画面を見ていた。


私は田伏へ抗議として、あるいはげばばへの供養として、あらゆる投稿に「タブセ」というコメントをつけた。
合理的な思考なのかはわからない。しかし、その日だけはタブセとだけ書いてやろうと心に決めたのだ。


その夜、文芸投稿サイトのコメント欄に、あの文字が現れた。
「げばば」。
私は読んだ。言いたいことはわかるような気がしたが、誰のリズムか理解できなかった。

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#じんたま 17 The Cat's Trophies and the Eternal Loop

少し未来の話、大森元貴氏から配信『#じんたま』について訊かれたなら、私は「2026年5月13日のツイキャスを聴いてみて。そこに全てがあるから」と言うだろう。
この日前後にかけては、そもそも色々あった。
まず私自身がそうだ。この掌編の読者にはわからないかもしれないが、私個人のX上で様々なことを試している。元来ものぐさな性格で何もしない方なのだが、今回の『#じんたま』に関しては思うところもあり、思いつく限りのことをやってみようという気持ちになっている。(以下、私個人についての文章は割愛する。これは後々『#じんたま』が有名になった時に、TBSの『情熱大陸』などで語ることにする)
掌編『#じんたま16』で書いた通り、三浦氏はまあまあ変な感じになっていた。過去形なのは、今現在、15日の時点ではそう変でもない感じだからだ。
この掌編を書く間に、クヮン・アイ・ユウさんのツイキャスは一回更新されている。
今週土曜日の雑談回に向けての打ち合わせで、昨日のお昼ぐらいに三人で事務的なことをやっている。その放送は告知こそされていなかったが、録音はアップロードされていたので、もちろん聴いてみた。つつみさんはお子さんの学校の用事があるらしく時間を区切っていたが、それでも一時間以上の放送となっていた。
土曜日の放送には三浦氏が来られないらしく、三浦氏が番組内で行っている様々なことをつつみさんが代わりに行うことになっているらしい。三浦氏が土曜日の『#じんたま』を休むのは初なのだろうか。つつみさんは細々した音源を三浦氏から送ってもらい、それを流すタイミングを練習していた。その練習は10分ほどで終わったが、あとは雑談というか、前日の出来事に対する反省やら何やらを喋っていた。その時には、三浦氏の感じもまともになっていたように聴こえた。
前日、すなわち13日の三浦氏は、やはり個人でも色々動いていたようだ。私のスマホにも事の次第は入っていたのだが、私はビジネス上の関係で一切反応しなかった。で、その後開かれたユウさんのツイキャスで、ユウさんと三浦さんが爆発してしまった。私も内容を精査するためにそのツイキャスを何度か聴いていて、つつみさんも相当な回数を書き直しているらしいのだが、結果的に言うと、とても高度な応酬であったと言える。
お互いに仕事上の似た経験があるのかもしれないが、理性を程よく失いながらもリスペクトは忘れず、それでいて相手を失神させてやるような勢いで30分ほど続いていた。
元々、三浦氏は過去の録音ログの多さから判断するに経験値があり、あれぐらいはやれるだろうと思っていた。だが、ユウさんの頭の回転の速さには正直驚かされた。論的には三浦氏が有利なのだが、ユウさんの手数というか、ロジックの隙を的確に突いてくる明晰さは、少し聴けば理解できるほどの立ち回りであった。
その後、花緒氏が登場したり、キャスが落ちたりしたのだが、それらを含めて情報量が多すぎてお腹いっぱいになってしまっていた。
三浦氏のYouTubeのログの多さについては、私は人間関係に疎い方なので、特にB-REVIEW関係の放送ログが残っているのはありがたい。掌編『#じんたま』を投稿するようになってからはちょくちょく聴いているのだが、結局それらのログは何なのかといえば、「失敗の歴史」なのだと思う。
三浦氏はここ20年ほどの間に様々な試みを行っている。YouTube上に残したそれらの記録が、彼にとって何の意味があるかはわからない。猫がネズミを捕ってきて並べておくような感覚なのかもしれない。
しかし私にとって、それは三浦氏が力及ばず力尽きた「絶望のループ」の詳細に映る。三浦果実氏は、実は未だその円環の中に取り残されているのではないかと感じる。何度目の絶望か感覚がわからなくなって、仕方なく記録を残しているような印象を受けるのだ。
ユウ氏、つつみ氏と組んで再び何かに立ち向かう三浦果実氏。今回はどうなのだろうか?
私もまた、その絶望の円環を外から解析しようとしている。これはつまり、時間遡行のゴールでもある。配信『#じんたま』がその円環を突き破れば、遡及的に三浦氏が辞めた九つの試みも、すべてがそのための軌跡へと昇華することになる。
私はその答えを三浦氏が残した過去に探し、配信『#じんたま』は未来に向かって漕ぎ出している。この連環もまた一つの試みであり、ユウ氏と三浦氏の言葉の応酬も、ようやくそれに耐えうるだけのものを得たということではないだろうか。つつみ氏の勤勉さと、ミニチュア制作から発露する経験値も強力な推進力になっている。三浦氏はネット詩人生の最後に来て、やっと勝負できるカードが巡ってきたのではないかと思っている。
たまに情緒不安定になる感じだが、なんとか頑張ってほしいなと傍からは思うばかりである。

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なあ地球

なあ
地球 
お前は 
食べられるのか 

ちぎれるか 
レタスの
葉っぱみたいに

なあ 地球 
骨みたいに 
尖ってアブナイのか 
焼いたら どうなる
匂いは
かなしいか
それともサボンか

煙は出るか


 涙は流すのか


 御経は唱えるか

 葬式はするか

あの星にもな
れなかった
連中の為に

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そんなことあるわけないだろと笑われるが、本当にあった話

2025年12月25日
私はとある神社の前にいた。
老朽化の進んだ古くて小さな神社は、人生の転機や新しい挑戦をしたい時に参拝すると良いとされている。
「来年こそ幸運が雪崩のように押し寄せますように!できればバラ色の人生もお願いします!」
誰もいなかったので、遠慮なく声を大にして祈願をした。
すると、拝殿の扉がガタガタ音を立てて開かれ、中から、小さなおばあちゃんがひとり現れた。
「あなた時間ある?お茶でも飲んでいかない?」
えええ?神社の中でお茶ですか?かつて人生の中で経験のない事だわ!こんなLuckyってある?
心は踊り、欲深い私は、迷うことなく誘われるがまま、中に入っていった。
温かみのある優しい声で、おばあちゃんはゆっくりと話を始めた。
「私はここで洋裁教室をやってるのよ。週に2回、10時から16時まで。いつきてもいいのよ。週に一度でもいいし、月に一度でもいいし、あなたの都合の良い時でいいの。あなたも洋裁やってみない?」
見渡すと、年配の女性が、冬のコートやジャケット、ワンピース等を作っている。
素晴らしい作品の数々だ。
「是非わたしもやらせてください!」
即決即答した。
何故なら、チャンスがあれば洋裁をやってみたいとかねてから思っていたから。

この世に服はあふれているのに、直感が迷わず「これだ!」とささやく運命の一枚にはそうそう巡り会えるものではない。
だから、粋な色柄の生地で、私の感性が閃くままに服をデザインしてみたかったのだ。

早速、生地を探しに行った。
透明感のあるエメラルドグリーンの麻の生地に一目惚れ!
私の大好きなあの南の海の色だ!
姿見で顔映りをチェック。似合わなければ、買っても意味がない。
うん、大丈夫そうだ、良かった。
あとは、必要なもの、糸やファスナーや、裏地などを購入し、準備は整った。

気付けば、幾つもの偶然が折り重なり、私は神社へ通い、お参りを済ませると、そのまま神様の前で洋裁を学ぶという前代未聞のありがたい習い事が始まったのだった。

何と言っても、パワースポットで、ひと針ひと針心を込めて縫わせて頂くわけだから、仕上がれば、幸運と幸運を繋ぎ合わせた『福服』となるわけだ。

今、目の前には、最後のアイロンを待つだけのエメラルドグリーンの福服が静かに佇んでいる。
それは、私が私に贈る最高のご褒美!

この一着に袖を通した瞬間から……
人生がキラッキラの幕を上げる。

始まるよ! バラ色の人生が!!

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無題

私が最後に見るのは貴方でいい

いろんなものを見て
いろんな人と出会ってもいい

誰かと恋に落ちてもいい

桜の花が枯れて葉が落ちて
蝉の唄が聴こえて
紅葉が真っ赤に染まって
雪が神社に積もって

美しいものをたくさん見て

それでも それでも

貴方が最後に見るのは、私でいい





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やさしいナイフ

愛される才能のない子どもほど
笑顔の上達が早いねと
児童精神科医の教育的な左目が言っていた
私は八歳なりの知恵で
老人の死体のような自分を匿った 
それは将来おじいちゃま以外に捧げても
血肉を隠しておくための練習で
祝福を拒むあいうえお絵本 安心毛布
ニモは主人公になってしまった魚だから
幸せにはなれないといまも信じていると
この話をすると恋人のきみはいつも
わからないという顔をするけれど
つづけてもらっていいんだよ
サガミオリジナルならもう一箱
シンクの下にあるからさ

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書置。

突然、死んでしまわぬように
必死で生きています。
親であるが故に
絶対に死なないように

冷蔵庫には
家族の予定表
病院の予約票を
ベッタリとはりつけて

書置。
遺書ではなくて
(えんぎでもない!!!と笑い飛ばして)

もしもわたしに「突然が」訪れたら
だれか「書籍化を切望」して
わたしのことばだけはのこしてね
呟くだけでもいいからさ、
ちょっとだけでも ことばくらいは
残そうともがいてくれたら嬉しいな

    そう、これは、ただの書置

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二度と行かない所に
赤い傘を忘れた。

雨の日に元気でいられるようにと
赤を選んだ。

もしかしたら、もう、
いらなくなったのかもしれない。

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山水と潮風―溢水の遥

 七月の日曜日、山間の温泉を出た遥は、駐車場で少し立ち止まった。

 午前中はよく晴れていたが、午後の山の空気はすでに湿り始めていた。お湯は気持ちよかった。露天からは稜線が見えて、人もほどよくいて、悪くない時間だった。
 なのに、着替えて車のシートに座った瞬間、遥は自分が軽すぎることに気づいた。
自分の胸の奥、水脈の流れ、流れはあるのに軽い。何か違う物で満たされている。そんなズレかた。

 エンジンをかけながら、その感覚に名前をつけようとして、やめた。山を下り始めると、カーブのたびに木々が流れ、やがて川沿いの道に出た。川面が、曇り空を映してくぐもった光を返している。ラジオをつけようとして、やめた。このズレを、音で埋めたくなかった。

 海沿いのバイパスに入ると、潮の香りが来た。
 遥はバイパスから並行する下道に降りると、堤防脇に車を停めた。自宅まではもう十分ほどだったが、身体が先に動いた。

 エンジンを切ると、静かになった。窓を少しだけ開ける。

 潮の湿った香りが、静かに入ってきた。
 外出着は汗ばんでいた。お気に入りのシャツも、皮膚に薄く貼りついている。帰れば清潔なシャワーと、ベッドの上には優しい寝間着が出してある。なのに遥はここで、見えない波に身を委ねていた。

 ヘッドライトが流れるたび、フロントガラスに光が走る。遥の膝を、ハンドルの影が横切ってゆく。また来て、また過ぎる。誰も遥に気づかない。

 波の音が聞こえた。

 規則的ではない。来るたびに違う。遥の心臓は、自分のリズムで打っていた。波と、心臓。潮の香りと、汗の香り。どちらも遥のもので、遥のものでもなかった。

 フロントガラスの向こう、黒い海に月が浮いていた。

 時折ヘッドライトが走るたびに、遥の姿が浮かぶ。汗ばんだ外出着の遥が、暗い海を見ていた。見えない波に、ただ、委ねていた。

 温泉が満たした何かは、波の音の中で少しずつ、形を変えていった。出るのでも溜まるのでもなく、ただ、並んで流れてゆく。

 どれくらいそうしていたか、分からない。

「ん、」

 小さな声が、波の合間に一度だけ響いた。やがて遥はエンジンをかけた。バイパスに戻り、十分を走った。

 明るい浴室で、シャワーを浴びた。

 潮の香りが、排水口へ流れてゆく。汗も、山の水も、一日の重さも、湯が引いていった。化粧水を手に取り、伸ばす。いつものシトラスの香りが、浴室に広がった。

 自分の手から、今日最後の水が、水路を辿ってゆくのを遥は感じていた。

 寝間着に袖を通す。柔らかく、軽い。今度は、ちょうどいい軽さだった。
 部屋を暗くして、ベッドに入った。スピーカーから、波の音を小さく流した。

もう一度小さく、「ん、」と呟く。
そして遥は眠りに落ちた。

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死のう交渉

死のう
交渉
しよう
高尚な
死にしよう
そうしよう

枯葉が言ったんです。
傷んでいったんです。
枯れたのは、
だからか、
それとも
からかいだったからか。
枯葉は枯れていたのか、
枯れていない枯葉でいたい
から、
こうしよう。
死のう。
交渉
しよう。

誰かいませんか?
構いませんか?
もうむりだ
限界だ
わたし、出口で
待っているのに
どうしても
出ていってしまう
誰かいませんか?
構いませんか?

禁帯出の
言葉と音
キンクができた
こときれるまえに
ねじ切れた
ぶるー
くるうほどぶるー
ほとばしる
くるー
どうしよう
でも、
なんで、
こわい
出ないで
ね、
死の

交渉
しよ?

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鳴いたのは犬か?

素朴でいることの難しさを
噛み締めて
鳴いたのは犬か?

何度目かの語彙爆発
発芽に耐えうるだけの
強度が足りない
あなたにはなれないわたし
わたしにはなれないあなた

校庭で遊んでいた子供たちが
いっせいに校舎へと戻る
交差点を右に曲がる度に
同じパン屋を見つける
毛先の広がった歯ブラシを
口にくわえている

カーブミラー越しに見つめていたのは
あなたのどの部分だったのか
まだわからないけれど
わたしには(苦すぎる朝だ

階段を一段とばして上がる
手すりをつかむ
腰の骨が軋む
踊り場に陽だまりができている
チャイムと笑い声の響く
廊下には気配のみ住む

ふくつうのくすりや
ずつうのくすり
不眠不休の時という暴力
素朴でいることの難しさを
噛み締めて
鳴いたのは犬か?

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時の流れに身を委ねるな



時間なんか
いつまで経ったって
なにもひとつも
解決なんか
してくれやしないわ

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3分の調整 ― オフィスの遥

 午前十時四十分。
会議室の空気は、少しだけ乾いていた。

 プロジェクターの光が壁に当たり、資料のグラフが淡く揺れている。
 誰かの言葉は形のまま、一定の速さで流れてい く。

 遥は椅子に浅く腰掛け、背筋を保っていた。手元のペンは、持っているだけで動いていない。

 最初のズレは、喉だった。
乾いている、というほどではない。
ただ飲み込む動作が、呼吸と嚥下のあいだで、わずかに噛み合わない。

 ――あ。

 気づいたときには、もうずれている。
 なにかの流れが、どこかで止まる。
 無理に開こうとすると、不自然になる。

外では、誰かが頷き、誰かがメモを取り、すべてが円滑に進んでいる。遥の中だけが、ほんの少しだけ、ずれている。

 水位が、低い。
それは、言葉にしても変わらない感覚だ。

外の流れは一定の速さで続き、内側の流れは、ほんのわずかに遅れている。

 遥は、合わせるのをやめた。
ペンをそっと置く。
視線は前を向いたまま、動かさない。

 吸う。
 止めずに、そのまま落とす。

 空気が、喉から胸へ、さらにその下へと沈んでいく。
腹の奥、名前のないあたりに、わずかに重さが集まる。

 もう一度。

 吸う。

 今度は、少し遅く。
 やはり止めずに、落とす。

そのとき気づく。

足の裏が床に触れている。
硬さ、温度、逃げない感触。
そこへ、呼吸を預ける。

外の声は、相変わらず続いている。
グラフも、資料も、淡々と流れてゆく。

 遥は、内側の流れに指を浸すようにして、遅れていた線を、そのままの形で受け取る。

 ――これでいい。

 体が、先に知る。
 流れが、追いつく。

遥は、そこで初めてペンを持ち直した。

ひとつ、短いメモを書く。
意味のある言葉ではない。
ただ、今の位置を残すための印。

会議は、そのまま続いていく。
遥も、その中にいる。

外側の流れは、変わらない。
そして同時に、内側の水路も、変わらず流れている。

二つは重ならないが、ぶつかりもしない。

会議室を出ると、廊下の空気が少しだけ湿っていた。

遥は足を止めずに、ひとつ息を吸う。
胸の奥で、水面が静かに揺れ、すぐに戻る。

 「ん、――大丈夫」

声には出さず、そう思う。
誰にも見えない場所で、
流れは確かに続いていた。

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問わず語り/真夏の猿クマ合戦

 こんにちは
 いつも余計なことをするのに長けている、及川まゆらです。

 ようやく北海道も気温が上がり、夏のような・・・・・・の、ような・・・・・・私はそんな言葉は騙されない。
 外に出れば太陽はいかに素晴らしい恒星であるかを知ると同時に、日蔭の冷たさに真実を見出す。一日の半分は夜、太陽は高く昇ってこそ地表を温めるがしかしここは北海道。日本の東に位置する、ということは日本で一番日没が早い。北海道・東北・日本海側は気候条件で日照時間も短いので、そうなると一日の寒暖差もある。
 
 わぁ、夏みたい~っ! そんな日が、年間通して何日あるか。

 想像してみて
 今年の夏は電気代が上がるのに対して補助実施。ガソリンの補助も続くらしい。
 でも、エアコン/冷房の稼働率は年間50日ほど。
 それっぽっちしか使わないものが安くなったとて、10月~3月の冬季に電気料金の値上げが押し寄せ、電気代が半年で約50万という現実がここ数年継続中。まっ赤な北の大地で氷点下の洗礼を受ける道民の私が、どれほど夏に憧れているか。どこの地域が30度なの? 現在地は13度下回っているけど、これから暑くなるんだよね??

 想像してみて
 まだ寒いのに大通公園で、ライラックまつりが始まる。もう、来週からですよ。
 ウェザーニュースで2週間の天気予報を調べたら最高気温が毎日20度くらい。おそらく道民基準の夏日は25度、以上ではなく25度を含む。そこら辺で間違いない。気象庁の標準を下回るけど、寒い思いをしながら外で今年を占うようにワインを飲んで、ライラックが終わったら、よさこいソーランに神宮祭。ああ、もうここまでくれば初夏の陽気ですね。
 1日の終わりは桑園の競馬場に暮れる美しい夕陽。右回りのコーナーに沈むオレンジの夕陽と水色の空が藍色と混じりながら、夜を連れて来る。
 去年の札幌記念は雨でした。私はリバティアイランドの墓碑に手を合わせ、この夏の出会いに、自分の人生が変わることを予期した。あの夏は思い出なんかじゃない、ずっと忘れないよ。

 夏日:最高気温が25℃以上
 真夏日:最高気温が30℃以上
 猛暑日:最高気温が35℃以上
 酷暑日:最高気温が40℃以上

 2026年
 お願い、夏終わらないで。────6月の平均気温、23度。

 30度になると朝からビール飲もう、ていう勇ましい気持ちになれるから夏っていいよね。
 熱帯夜は最低気温が25度より下回らない日のこと。骨まで溶ける夜なんて年に何度かしかないので、寝苦しいのをいいことに何かしようぜって事になりがち(詳細は伏せます)そもそも熱帯夜は7日ほど、8月の中旬にはトンボがタンデム結合して飛び散らかす。お彼岸過ぎたら、秋ですよ。
 ちなみに春彼岸はまだ雪が残っててお墓参りに行けないから、お盆と秋彼岸しか、墓地に行かない道民の暮らし。
 5月に夏酒とか「あー、日本酒界隈はせっかちだ」と腕組み、笑いながら冷始め。
 そろそろ冷やし中華も始めますかと箸上げ、小さなグラスにビールを注いで泡だらけ。なに、ご愛敬だと手を打ち、6月はナントカで酒が飲めるぞ。酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ。音頭に千鳥足で、暖簾を潜れば夏の風に撫でられる。通りすがりにしちゃ、ちょっと艶めかし過ぎやしないか。どれ、いつも親父さんの顔見に行きますかとアスファルトの白いラインをはみ出していく。

 そこらに熊も出始めた。

 里に下りてくる熊出没注意。昔はそんなことなかったのに、山に餌が無いというけれどそれは生態系の変化で、野生動物はその名の通り厳しい自然の定めを生涯とする。
 ヒグマの寿命は20~30年。若輩者や弱い個体は繁殖ができず、追いやられるか死ぬしかない。
 春に駆除されず、生息数が増えれば山の中で生存競争は上がり、気候変動の影響で例年通り作物が育たなければ食えない者は生まれ育った自然のなかで飢える。生きるための選択肢として里に下りて、人を襲い、山に返れと脅かされても行き場がないから本能で奪う生き方しかできない。
 ヒグマは3~5歳までが性成熟で繁殖が可能。
 雌は4歳ほどで出産が可能。妊娠のメカニズムが着床遅延という特殊な現象で、春から夏にかけて交尾して受精卵が体内に留まり、冬眠に備えて脂肪を蓄えて餌を豊富に食べれたお嬢さんだけが受精卵を着床させられる。弱い個体や餌が食べられないと妊娠することができません。自然環境の厳しさに適応するための合理的な繁殖戦略が遺伝子に組み込まれています。
 妊娠期間は2ヶ月。厳冬に巣穴で出産します。赤ちゃんはとても小さく500gくらい。2~3頭出産、完全母乳で子育てしてる間、母親は絶食と無排泄。
 これらを本能的に可能とする熊は、自然界で強者として生きる生態系を象徴する事項。

 出産は緊急と危険性が一線で、熊は哺乳類なので、子宮内膜が剥離し出血します。

 その状態から回復するも自分次第、たった一匹だけで数頭の子育てする。
 野生のヒグマは群ではなく単独で生活をする習性あり、一生の大半はひとりぼっち。
 小熊時代しか親や兄弟と暮らさない。母親がいるから安全とも限らず、小熊は常に殺される対象です。雄熊は自分以外の父親から生まれた子供を殺す、これも本能的に備わっており、母熊は子殺しから逃れるために山を出るそうです。子育ては1年半~2年間、小熊の生存率を確かなものとするために母親は餌も食べられず、狂暴になり、わが子を守ることで必死。わが子が殺されようものなら大変な参事を招くと言われる、熊の執念深さの犠牲となった事件はあまりにも有名です。
 熊の出産は5~6回。
 一生のなかで、出産と子育てを何度も繰り返すことが可能なのは、短期間で負担が少ないこと。単独で安全を考慮しながら慎重に子育てができる、などの理由がある。
 群で暮らす動物は社会性が高く、天敵から身を守りながら効率的に食料が探して、子供を共同で育てるメリットがありますが、猿のような複雄複雌もあればゴリラは単雄複雌。雄は思春期を迎えると群れから離れるのが一般的で、集団の継承性は担保されていません。強い者だけが頂点に立つ責任を担う。同じ野生動物でも生態は様々で、皆命を繋いでいます。

 だからも岩から生まれた孫悟空は強くなるために、不老不死を求めて旅立ち法名を授かり、各界の王は武器や武具を差し出し益々強くなり斉天大聖と名乗る。
 猿たちは神と崇め、天帝からの刺客は誰も倒すことができず、手の付けられない石猿の威を狩ることができたのは仏の最高位・釈迦如来でした。
 五行山に500年封印された孫悟空は、観音菩薩の救済により三蔵法師の弟子として功徳を積むことを許される天竺への旅路が、世界四大奇書のひとつ西遊記。
 初手から史上最強のカードを手に入れるなんてチートすぎる、というのが現代的な視点ではありますが、これには深い理由があって・・・・・・菩薩は仏になるための修行段階にある者、他者を救済する慈悲の象徴です。この救いと許しが基で、頑なに不老を求め続けた猿もお利口さんになっちゃうんだから仏パワー凄まじい。

 シンプルに信仰
 そして、純粋に生きてることの大切さを神様や動物たちに教えられた気がする。今回はそんなエッセイになりました。

 ( ´Д`)=3 フゥ…

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 3000文字のとどめに顔文字、ここでもロクな・・・・・・っと、間違えた・・・・・・余計なことをする私です、ご容赦ください。

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宝物(あなたに)

五十六歳の誕生日
わたしはベビーベッドより
起床する

暴力はなかったことに出来る世界で
暴力をなかったことに
しなかった

あなたがいる

わたしは
赤ん坊の
ふりをして
泣く

三歳で
止まったままの
瞳孔

あなたが
わたしの
ひっこめかけた
手を握り
宝物と
笑うから

わたしは
やっと
安心して
瞼を閉じる

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断捨離


どんなにいらないからって
捨てることができないものって
な~んだ?




それは自分自身です






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[ふ]副菜の詩

正午、座卓に置いた
白米と汁物、焼き魚に
もう一品ーーー

「なんにしようかしらん
きっとこのままでは
みすぼらしい。
なんて、いうのかね」

小鉢 に
 小松菜、または春菊
  醤油 たらり
  胡麻 ぱらり
 庭先にノビル
  酢味噌を添えて
 白和えは粗めに練った
  少しだけ辛子を効かせて
  胡麻 ぱらり
 糠は程よく残し よく冷やし
  胡瓜と茄子、または茗荷
 蕗はしっかり蒸す甘辛煮
  鰹の削り ひらり
  醤油 たらり
 豆は甘めの金時
 ひじきは鉄器で炊いたもの
全て あなたの好物でございます

主菜は迷わないのに
いつももう一品が香らない
手は一刻もかからないのに
脳裏にハマらない

目的地は見えるのに
至る道筋が見えない みたいな
新聞紙に阻まれて
あなたの顔が見えない みたいな

割烹を脱いで合わせる手
米を搔き込む次の箸は
どんなものでも必ず副菜へ

よぉーく、隣で見てきました
高さの違う箸と共に

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リノリウムジゴク

一組のあなたが
短靴下を捲り上げると
白い足首の内側に
筋彫りの六芒星や✕印
いたいいたいいたづらなので
その筋線はところどころ震えて
いいたいいいたいすきといいたい
いいたいだけですきではない

日除けの無い理科準備室で
──────見せて貰つて、

床板の矧がれた視聴覚室で
──────見せて貰つて、

ヤンマガやBOMBで覚えた事で
やれる事は精精これぐらい
あそこで待つ先には、
到底ゆきつけないジゴク
三組の私は三組に戻つて
黒板を消してゐる
気配を、不実を、消してゐる
一組のあなたは、
別の校舎の防火扉の重みの前で
また色目を使つてゐるのだらう

体育館のリノリウムの上で
孤立無援となる五時限目ジゴク

バスケ部の男女が性能順に
入れ替わり立ち替わりジゴク

──────見せて貰つた、のだけど

カピカピに黄ばんだ慾暴は
ポリエステルの制服生地の表を
緩慢に滑落してゆくジゴク

https://i.imgur.com/6LTZ0Wt.jpg

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継続、力にならず。

頑張って打った文字、渾身のタイトル。
スマホの読み込み。
サイトの重いサーバー。

頑張って打った文字、渾身のタイトル。
全て消えた白紙の空間。
0/20000(文字)の絶望。

難しい授業、びっしりのノート。
もうすぐテスト。
何度も復習。

難しい授業、びっしりのノート。
破ったページ数枚。
大切に保管。

難しい授業、びっしりのノート。
テスト当日の焦り。
見当たらない数枚。カミを呪う点数。

継続、力にならず。

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五百円

 
 
 五百円あれば文庫本が買えるだろうと考えた。
 家内はもっと出してもいいという。千円でも二千円でも出していいという。なぜなら家内は神経が鋭く、普段から強い口調で私にあたってしまう事があり、それで私が不憫であるからというので、千円でも二千円でも出すという。しかし、考えてみるに、自分の方が家内に済まない事をしている。私は料理が全くできない。私の半分には九州男児の血が流れているからとかなんとか言って、フライパンをまともに振るった事がない。ともかく家内には日々迷惑をかけて生きているから仕方ない、千円も、二千円も貰えない、しかし五百円が無ければ文庫本は買えない。お金が無ければ文庫本は買えない。文庫本、タダじゃないんだもの。それにもし文庫本がタダで売っていたら、何か騙されているような気がして嫌だから、五百円で文庫本が買いたいと言った。


 家内は、財布を覗き、五百円玉が無い、という、それで千円で勘弁してくれと言う。ええ、いや困った。私は困って、二階の小銭を貯めている箱を開ける。そこから何とか、五百円をひねりだす。あった、あった、百円玉が五枚あった。じゃあ、いいじゃない、五百円あるならわたしにせがまないでもいいじゃない、と家内が言う。ああ、そうだ、こういう事をしちゃうから、やっぱり自分の方が悪い、悪に染まりきっている、と言って、その五百円を自分の財布に入れると、ちょっとまた、むすっとしてしまっている家内をようようなだめ、それじゃあこの五百円で、文庫本買ってきますね、って言ったら、あきれたって愛想つかされて、まあ、いいんじゃない、でも早く帰ってきてね、お昼ラーメンだから、なんて、言うもので、うん、そりゃ分かった、悪かった、ほら、悪いでしょう、なんて言って、俺、っていうかわたくし、一人、未だ寒い春の道をグングングングン歩いて行った。書店目指して。


 ともかく、財布の中には五百円がある。五百円あれば安心だ。文庫本も買えるし。ってところでコンビニがあった。寄っていくか、コンビニ、ええ、しかし五百円しかないぞ、大丈夫か、コンビニ寄って。うーん、どうしよう、ショートホープが三百円、ライターが百五十円、合わせて、四百五十円。買える。買えるなぁ、煙草買えちゃうよ。いいや、でも買わない。だって、そもそもこの五百円は文庫本が欲しいからひねりだした五百円であって、それに今、私、禁煙中だし。えっ、禁煙なんてするもんじゃないって?どの口が言ってるかって、この口だな、だってストレスは文庫本で発散できるんですか、そうだなぁ、まあ、スカッとする小説を買えばいいんじゃないだろうかってボヤボヤしていると、コンビニの前の灰皿で誰かが煙草を喫っているよ。ああ、いい香りって思う。未だ自分がニコチン依存から抜け出してないからなんだろうな。どうしよう、まあ、いい、このコンビニで煙草は買わなくていい、だってコンビニなんて幾らでもあるもの。それに今日の目的がしっかりした。文庫本を買う事だ。そうと決まればさっさと行こうって、グングングングン、歩いていった。 
 

 するとそこにはラーメン屋があった。おいら、腹が減っていた。もう大分、歩いてきちゃったけれど、お腹の事考えてなかったよ。家内が早く帰ってこいっていうにしても、今、腹が減っているんだよね、ラーメン、ラーメン、四百五十円。安い。信じられないほど安い。老舗の中華料理屋だよ、醤油ラーメン、トッピングつけなきゃこの値段だよ。しかしここで四百五十円使っちゃったらどうする。家内に、何の文庫本、買ってきたの?そりゃ、ラーメン代に消えたさ、じゃ、会話にならないだろ?不仲のはじまりだよ。それは避けたい。でも本当に腹が減っているよ。どうしよう、大体、ここのラーメン屋は、安くて早くて、旨い、で有名。ミシュランの星三つ、は採っていないだろうね。そうして、自分というかわたくし、腕を組んで、五百円が入った財布を握って考えました。まず、さっさと書店に行って、五百円で文庫本を買ってしまう。そうしてダッシュで自宅に帰る。早く帰ってきてね、ってのがミソなんだ、つまり今日の昼食は、家内お手製のラーメンだよ。覚えている。私は覚えている。だったらね、今は我慢すべきときじゃないかと思うんだ。思えば私は苦労してきた。今、大体時給でいえば千円するが、そうじゃないときも懸命、千円分は働いていたって事じゃないかなぁ。それにしても以前勤めていた工場の部長が優しくて、まあ千二百円くらいのパワーで働いていたような気もする。今はどうだかわからない。まあ、この世は諸行無常と悟ってから、まあこの時、悟らなかったら良かったのだけど、その恩ある部長が異動になるってんで、自分は工場辞めてしまった。家内に散々迷惑かけて、これから四百五十円で一人、ミシュラン星三つとは全然言われていないけれど、旨そうな醤油ラーメンを啜ろうとしている、わたくし、というか俺、何様だ?俺様か?お子様か?ちゃうやろ。文庫本を買いに行くって話だろ。


 というものもなんで、そんな文庫本が欲しいかって言ったら、やっぱり家内だ。家内は頭が切れて教養がある。神経を尖らすときもあるが、教養があるから悲惨にならない。むしろ、ユーモアで返してくれる。反対に俺と言ったら、なんだ、教養なんてまるでなし。無学の恥さらしでいいんでしょうか、この一生。考えていたらわからなくなって、ともかく毎日、冷水シャワー、滝行の修行をしていたら、閃いた。夏目漱石の文庫本を読めばいい。夏目漱石はロンドンでノベルス、つまり小説について勉強してんけど、当時のロンドンの産業都市みたいなんが嫌になってノイローゼになって緊急帰国。しかし英語堪能なインテリジェントでもあるやん。この人の本読んだら、めっちゃ、かしこ、になれるんちゃう思たら、今、滝行の滝が流れるスピードが、スローモーションになった事が思い出されて、俺、というかわたくし、目を閉じた。ラーメンを諦めよう。家内の作ったラーメンを食べても同じラーメンだろうと。ラーメン差別反対、ラーメン差別反対!!俺、憤怒のような形相をして、グングングングン書店の方へ向かっていった。


 遂に書店に着きました。どうだ。誘惑に勝ったちゅうこっちゃ。というか、なんでさっきからちょくちょく、関西弁みたいになっているんだろう。そんなの知らにゃー、は静岡弁。そんなの知らにゃー、そんなの知らにゃー。わたくし、まるで念仏のように、にゃーにゃーを唱えていたら、やっぱりすれ違った女子高校生の顔ったらなかったわ。ちょっとダメージでかいぞ。そういうとき、私は家内の優しい顔を思い出す。慈悲深いマリア。わが聖母。今日は文庫本を買って帰るからね。ズカズカ、文庫コーナーに向かった。五百円じゃ、文庫本しか買えないことは分かっていても寂しいや。いや、この寂しさは、むしろ、勇敢なる者が感じる寂しさじゃないだろうか。私は闘う。闘う、と言っても、文庫本、夏目漱石を選んで買うだけなんだけど。すいません、これ、下さいって、夏目漱石の「文鳥・夢十夜」をレジの係りの人に渡す。その価格、まだ、紙の値段が上がってゆく前ちゅうことで、四百三十円。ふふっ。五百円をパパッと差しだす。買った。夏目漱石の文庫を手に入れた。遂に数々の誘惑を打ち負かし、女子高校生にドンビキされつつ、買ってしまったんだよ「文鳥・夢十夜」。


 という事で今、私は家内がラーメンを茹でてくれるのを待ちながら、夏目漱石をパラパラめくって読んでいる。おっどろいたー。激烈に面白い。でもそんな風には見せないように、わたくし、っていうか俺、激烈にクールを装って、黙々、読む。どう?面白い?うーん、まあまあかな、なんて返して、これでちょっとは偉くなりたいもんだ。



 

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ぽ.かん

ことばがあってよかったですね
ことばがあるからこそ
みなみなさますくわれているのです

ほら、ぽかん
ことばをなくしてまぬけづら
あ、とか、う、とか、んーで
いきつぎして
「なんといっていいかわかりませんが」
ってことばにすがりつく

ふふふ だから ことばがいちばん
すきなんです わたくし
ことばがだれよりなによりつきさしても
かみさまよりもゆーのーなので

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フォークのお作法

小父さん 気づいていないだろうけど
あなたはあなた自身の防犯カメラとして
雇われているんですよ
男性という生き物を思い切りたかったら
次の朝まで一緒にいなさいと
かつてママに教わりましたが
あなたの年老いた親たちは女性について
どんな物語を読んできかせたの?
たとえば夜道ではうしろを歩くなとか
泣いている子にアメをやるなとか
そういうことを誰かに教わった?
あるいは女の子はいつでも
赦すために存在していると
父親の書斎の明かりの下で
自然に信じるようになったの?
あなたが人にやさしくするとき
傷つけたいわけではないのでしょう
きっと私ならわかってあげられる
水辺へと降りてくる鳥が
近づいてきても傘を構えたりしない
ただし小父さん あなたはこの先一度も
ラメを落とした私の顔を
見ないまま老いていくでしょう
愛されるためにつくられた表情が
浴室の湯気のなかで崩れると
ずいぶん幼い獣がいる
ほんとうはずっと震えているのに
かわいいねと撫でられるたび
歯を見せない練習ばかりしてしまう獣が
自分の頭皮に爪をたてている
でもどうか心配しないで あなたが夜更け
検索欄へ打ちこむ文字のぬめりも
38℃の海の泡と消えるのだし
世界には飢えた者どうしが見つけあう
独特の足音があるから
こんどJR三ノ宮駅の構内で
おいしいケーキを食べましょう

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初恋の影

心の中にい続ける人がいる。
傘に隠れていた彼女が、振り返った姿を今でもはっきりと思い出せる。
何度恋を重ねても、その影は消えることがなかった。

出会ったのは高校1年、15歳の時。
雨が降っていたのを覚えている。
小柄で小顔、大きな黒目が特徴の『少女』という言葉が似あう女性。
それが彼女との出会いの印象だった。

彼女への好意は会うたび、確実に私の中に宿っていた。
ただ思いとは裏腹に、望みとは違う方向へ進んでいく。
一定の距離を置いた付き合い。
これが2人の形だった。

彼女は乱暴な男言葉で話すところがあった。
それは彼女なりの防衛策だったようだ。

人として好きになってほしいと望んでも、10代の男たちは彼女に覆いかぶさることを望んだ。
自分が望まれていることだけを頼りに、
「好き」
になるのではなく
「好きになろう」
としていた。

「今度こそはと思ったりして、期待すんだよ」
投げやりに、そして呆れたような口調で言った。
彼女は私に自分の恋愛を話した。
どんな形でも求められる複雑な喜び、受け入れるために努力。
身体を重ねるたびに、彼女は自分を納得させようとしていた。

本来はそんな気持ちを聞きたくはなかった。
ただどこかに吐き出したい彼女の思いを受け止めることで、若い私は埃として守ろうとしていたのかもしれない。

そんな男たちとは違うと思いたかった私は、何度か気持ちを伝えている。
高校を卒業する間際、18歳の告白の時だった。
その時に強く響いた言葉があった。
「付き合ったら、きっと嫌われる」
まっすぐに黒目の大きな瞳で私を見て、
「それは嫌なんだよ、会えなくなるのは嫌なんだよ」
いつもとは違う女性らしい声で言った。
それ以上、返す言葉が見つからず、私はその場を立ち去った。

適度な距離感が続いていた20歳の時だった。
彼女はストーカーに悩まされ恐れた。
その時期、彼女は大きな失恋をしていたこともあり、頼るのが私だけだったのかもしれない。
それからひと月、私は半同棲をするように一人住まいを始めた彼女の部屋にいた。

小さな寝息を聞きながら、髪の毛を撫でる。
一緒にいたいというより、そばにいてあげたかった。

そんな日々を続けているうちに、2人の距離はさらに近づいた。
2人の空気感が錯覚を呼んだのかもしれない。

初めて彼女から気持ちを打ち明けられるような言葉を聞いた。
「付き合ったらどんな感じになるかな…」
並んで寝ている彼女が、熱を帯びた声で言った。
布団の擦れる音が近づいてきた。
見つめ続けている気配を感じながらも、私は返事をせず天井を見つめていた。
思いに応える言葉を言うのが恐かったのかもしれない。

ただ抑えきれない気持ちが無意識に吹き出した。
朝、それぞれが学校へ行く準備をしていた時、無意識に私は彼女の唇に触れた。

彼女の戸惑いは、黒目の動きで伝わった。
うつむいて、親指の爪を片方ずつ押す。
考えごとをしている時の彼女の癖だ。
それでも言葉が見つからず、戸惑っているようだった。
沈黙ではない、言葉が出そうで出ない静けさは、重い空気となって、私を包んだ。

「またね」
かすれた声が背中に当たる。
それが見つけた言葉だったのかどうかわからない。
ただその優しい声音、私の心を砕く音と重なった。

彼女の部屋に行ったのは、その日が最後になった。
連絡が来ることはあったが、会うことはなかった。

彼女が瞬間的にも、気持ちを向けてくれたことが嘘だとは思わない。
ただ彼女の脆さと孤独を私は知り過ぎていた。
恋が思い出になる瞬間だった。

時が経って気づいた。
私の中に残る影は、彼女だけでなく、自分自身でもあったことを。
彼女を必死に愛するために、自分を成長させようとした時代。
恋が続いていったのは、そんな私の強がる思いを大事にしてくれたからかもしれない。
初恋としてだけではなく、2人で過ごしたその時代の記憶が忘れられないのだと。

初恋は実らないからこそ美しいという。
戻れないだけ、過去の憧れはせつない。

過去は美化され、傘に隠れた彼女の影をくっきりと浮かび上がらせる。
どれだけ抗っても、時とともに鮮やかに、雨の雫と彼女、そして隣にいた自分がいつまでも映し出されている。

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 6

 2

古本屋の女主人は
若くて
美しくて
両の目の間が
人より少し離れている

本をめくりながら
チラリとその方を見たりすると
何故自分が生きているのか
時々わからなくなる

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五月に

 紫陽花が五月だと言うのに
 闇夜の中で
 浮かび上がる
 ひんやりとした風を
 肌で浴びていると
 懐かしいあの人を
 想い出す

 桜の木の下を歩けば
 そこが日陰になって
 木陰がゆらゆら揺らめいて
 私の心と結びつく

 まだ見ぬ世界に
 何かを置き忘れた気がする
 私はあの人をこの道で
 落とし忘れた気がする

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 3

 3

新着メッセージと秘密

庭の菖蒲の花が
綺麗に咲いて

からりと晴れた
皐月晴れの空が
気持ちよくて

明日は端午の節句だからと
小さな鯉のぼりを
玄関にかざってみた

伝えたい 
というと大袈裟だけど

分け合いたい
というにはささやかだけど

なんてことない幸せの端々に
あなたがふと うかぶから
スマホをとりだして
写真を撮って送ってみる
  

しばらくして表示される

『新着メッセージがあります』

の文字と見慣れたアイコンに
つい頬が緩むのは
いつものことだけれど

それだけは 教えてあげない

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 4

 2

肉塊を呈する者共よ


肉塊を呈し、魂を撹拌する者共よ。

孰れ、霊性に至る身ながら

何故、泥める肉塊へと拘泥する。


​哀れなるは太陽、月を照らし出せど
​常に厭われ、疎まれる陽光よ


肉塊は腐り果てるのだ



肉芽を胚胎せし者共よ。

軈て、果てへと至るのに
その上、厭世をも孕むのか。

永劫に満ちた啐啄を、蟒蛇は食み
肉を噦き、散らす。

肉芽は遂に、堕ちるのだ







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 2

fours


 春のうた

くさはよつあしのものだから
花弁だけむしって、あとはあげた、
洩れた髄液が指をつたって
継ぎ目のところからかぶれてしまう、
なじんだ弾性のうえに
川は根っこのようにはしり、
行方も出自もまるだしのまま
傷をまぶした素足を濡らしていた、

樹木のように両の腕を広げ
空を仰いで立つわたしたちの
ながい整列は森と呼ばれ、
地表をすっかり覆ってしまった、
まるでやわさを隠しあうような
被毛のつらなり、




 夏のうた

服をうらがえしに着て
森を下りていった子どもたちは、
六時になっても帰ってこなかった、
しかたがないからこちらは火遊びをしよう、
篝火をかかげて練り歩くと
変わり果てたものばかりが目に留まる、
踏み散らかされた花々、
ひしゃげて平らになった瞳孔が
そこらじゅうからこちらを見ている、

目を合わせてはならない
いざなわれてしまうのだから、
聳えるためのまじないを唱え
うすく透明な蚊帳のなかで
名を知っているものどうし
囁くように呼びかけあった、



 秋のうた

川に沿って、湾曲したかげが
地べたに手をつき這っている、
夜通しつづいた祭りはすっかり鎮まり
みんな土のうえで曲がってしまった、
いまや曲がらぬものだけが
地平にみにくく突き出している、

薄れていく森に点々と
花が散らばって咲いている、
乾きに冒されてなお
まだわずかに湿っていた花弁、
手折っては、そのまま
狭いくちに入れて隠してしまう、
どうか忘れてしまわぬように、



 冬のうた

むかし森であったところは
いまやみすぼらしく抜け落ち
すっかりまるだしになってしまった、
枝分かれするつめたい川が、
土色を裂くようにへだてて、
くさのない向こう岸へ、
丸まったものたちが渡っていってしまう、

誰のために手折られたのか、
かつて花であったもの、もう判別つかず、
ただ遺されたあおい茎を
むしゃむしゃと食むよつあし、
傷まみれのやわい肌で
突っぱったように立つわたしは、
つんと薫る花弁を咥えたままで、
口の中はどんどん爛れていく、

ねえ、
まだふたあしだったきみに、
教えてあげたかった、花言葉、

いまさら、呑むこともできず、
追うこともできず、
角のないやさしい群れが
禿げた地平へ消えていくのを
腕を広げて見送っていた、
 

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 6

 4

エンドロール

場内のスピーカーから叫ぶような台詞が響いた。
その瞬間、スクリーンに彼の顔がアップになった。
誰も気に留めない台詞。
無名の俳優のシーンなど、誰も覚えていないだろう。
彼はどんな気持ちで、この夢の瞬間を迎えたのだろうか。

「映画俳優になりたいんですよね」
妹の友人として我が家を訪れた彼と、深夜そんなことを話した。
モデルに成り立てとはいえ、仕事に恵まれていた彼だったが、ここで終わるつもりはないと強い口調で語っていた。
ただその強い口調とは裏腹に、人に気を使いすぎる繊細さが気になった。

彼はモデルとしてのキャリアを積み上げていきながら、チャンスをうかがっていた。
そして、彼をCMで使った監督が映画を撮ることになり、声がかかった。
台詞などない、小さな役。
エキストラといってもいいようなものだった。
それでも最初の一歩を踏み出したことには違いない。

しかし皮肉なことに、そんな彼を応援してくれていた父親が倒れた。
末期癌だった。

山奥の現場で彼は、父親の心配をしながら撮影に臨んだ。
監督は大事なシーンのきっかけになる台詞を彼に与えた。
その台詞から、ストーリーは静から動に変る。
きっと何度も練習をし、その一言の台詞を口にしたのだろう。
なんとかそのシーンを父親に見せたいと願いながら。

けれど父は待ってはくれず、映画公開を待たずにこの世から去っていった。

そこから彼の苦悩は始まった。
大黒柱を亡くした家族の中で、本来中心になるべき彼の収入は安定しなかった。
母親は働きに出かけ、自分は家にいることが多くなった。

このままでいいのだろうか?
彼は、夢に一歩を踏み出しては戻り、社会に入ろうとして辞めることを繰り返した。
そして不安に立ち止まった時、自分が立っている場所が危ういことに気付いてしまった。

夢を見てしまった人は、ずっとその中にいることで心を安定させている。
そうしなければ自我が保てなくなるからだ。

同じように短時間でもCMで演技をする。
周りから見れば同じに見えるかもしれない。
ただ近くにいるからこそつらいこともある。

彼は出てしまった。
そして自分の過去を見てしまった。
踏ん切りのつかない揺れている足跡を。

誰も傷つけない優しさを持つ彼の刃は、自分に向かった。
本当は聞いて欲しいという気持ち、しかし話してもわかってもらえないだろうという諦め。
その中で、彼は最悪の選択をしてしまった。

今、彼はどこかで見ているだろうか?
君がいなくなって、涙を流している人を。
その涙の分は、人生は無駄でも空っぽでもなかったんだ。
責めるつもりもない。
君はきっと、他の誰よりも自分を責め続けてきたはずだから。

彼はエンドロールに小さな名前を残した映画俳優だった。
けれどもう、彼の笑顔は静止画。
もう一度会いたかった。
会ったからといって、なにが出来たわけでもない。
救うことが出来たなんて、思いあがりを持ってなどいない。
ただもう一度話がしたかっただけだ。
彼の夢を聞きたかっただけだ。

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 4

 2

保存しますか?


思い出したくないことばかり 
また思い出してしまう
中途覚醒で深夜0時に突然目が覚めちゃったときとか
Wi-Fiが繋がりづらくて 動画がカクカクしちゃうときとか
お風呂で髪の毛シャンプーしてるときとか
足の爪切ってるときとか
映画が予想より面白くなかったときとか
スーパーで買い物してるときとか
ごはん食べてるときとか 
なにもできずにただ横になってるときとか
その他もろもろ ありとあらゆるときと場面で



詩を描くときはいつも 
パソコンのWordを使ってるんだけども
DeleteとかBackskipとかEnterとかで
いくらでも描き直しすることが出来るし
置換機能とか選択機能とか駆使して
納得がいくまで 捏ね繰り回すことだって可能だ


人間にもこの機能があったらいいのにね
嫌な思い出 消したい過去 いらないあのひと
削除 削除 削除 削除ぉ〜!
って なんだかデスノートの魅上みたいだけど



海馬ってやつがさ 
なんでもかんでもみんな記憶してしまうくせに
肝心かなめに思い出したい記憶はなかなか出てこなくて
思い出したくもないことばっかり取り出してきやがるから


せめて記憶する前に保存するかしないかだけでも
決めさせてほしいものだよね



保存しますか? はい いいえ
名前をつけて保存しますか? はい いいえ


削除しますか? はい いいえ
ゴミ箱を空にしますか? はい いいえ


本当に削除しますか? はい いいえ







ゴミ箱は空になりました









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 3

 1

川は香り流るる(香川という男の話)

42年間のサラリーマン生活を終えた男の目は
静かに燃えていた

理不尽な世の中に
寛容なこともあったが
眠れない夜もたくさんあった

やりたかったことがあってね、
会社で迎える最後の昼
ネクタイ姿で背徳感に包まれながら
ビールを飲んだんだ、と男は言った
今までできそうでできなかったこと
42年の職務を全うするより
簡単そうに見えてできなかったこと

42年間背負ってきた重みを
苦味と一緒に喉を鳴らして飲み干す姿を想像した
どんなに美味かったろう

勤務最後の日
妻から会社に
お疲れ様、と花が届いたんだ
嬉しそうに話す横顔は
愛で満ちていた

闘って闘って闘って闘い抜いた男の目は
美しかった

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 3

 1

ポッカリと空いた穴を埋めたくて
違う場所に穴を掘って埋めてみた
空けた穴を埋める為に
少し離れた所で穴を掘っていると

こんな所に掘ったら危ないだろう
なんで此処に掘ったりするの

ゴメンなさい 

一度埋めた所を掘りたく無くて
掘る場所を探しています
仲の良い友達も探しているみたいで
穴を掘っても怒られない所
知りませんか

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 7

 8

エピローグ


ここにいたのね
――ずっといたよ

さがしてくれた?
――もちろんだよ

またせたかしら?
――だいじょうぶ

いままでのこと
――これからのこと

たくさん、たくさん
――はなしましょう


じかんはたっぷり  あるのだから。

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 6

 1

黒髪


くろかみながくやわらかな
きみのこころをだれがしる

ひかりのうちのかげとなり
よすがとしてのせいけつさ

きみのこころをかんがえて
わたしはけふもあるきゆく

ゆるされるのはさきのこと
きみはたしかにそうつげた


くろかみながくやわらかな
きみのこころがしりたくて
てがみをかいているけれど
ことばをつむぐはずかしさ


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 6

 10

その水が氷った時、それはもう水とは呼べない
同じことだと思うんだ
君の前に手付かずで置かれた
アイスコーヒーに入っていた氷が
ただの水になるまでの短い時間に
僕たちの関係を名づけていた呼び名が
他人、と変わってしまったように

*

氷で出来た、鍵と鍵穴
溶ける前に、差し込まれた
そうして私の中に入ってきたあなたは
つめたいと感じただろう
事実私は凍えていた
だからあなたも凍える前に出て行きたい時に
出て行けばいい
私は私から、出て行けないけれど

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 9

 14

最後の花

地上で最後に咲いた花には
目がありました

かつて生存したあらゆるものが死滅し
文明の残骸さえ塵になった地上で
薄ら寒い強風にそよぐ雑草さえなく
とうとう最後のいのちになった花は
赤黒い雨に打たれながら
けがれた白い花弁を見、
空を仰ぎました
目に入る雨は有害物質を含んでおり
当たると激痛がありましたが
花は最後の生命として凛と
荒涼たる天地を見詰めました

花は、愛でられてこそ、花

けれど自分を見てくれる者は
もはや誰も、何もありません
口があれば嘆いたでしょう
けれど花は目を見開く以外
何も出来ません
毒液そのものの雨を一身に受け
花は泣きました
ひとりぼっちを泣きました
朽ちていく我が身を泣きました
花としてうまれたのに
何者にも愛でられないまま
死んでいくことを泣きました
それでも
生まれたからには
なんらかの意味があるのではないかと
いえ、意味などなくても
花は花に生まれたという
己の価値を分かった上で
うつくしくあらねば、と
空を仰ぎ
地を睥睨しました

花は最期まで目を見開いたまま
絶えました
最後のいのちであり最後の死者でした
うつくしい、と囁いてくれる何者かを
最期まで探し求めて地に倒れました

地上最後の花は
これまであまた咲いたどんな花より
花としてのいのちを全うしたのです

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 10

 14

握り返すこともできない

定義の定義
意味の意味
存在の存在を
吟味すべく 
集められた人々の暮らす街に
今年も夏が来た

人々はサイドカーや
ベビーカーに犬を乗せ
口数少なく吠えてまわった
深夜、それは唐突に
「巡る」という言葉が降って
公園で踊る女の子たちを濡らした
影から手が伸びている
峠の旅籠屋に報せが届くよ明日には

紙であればなんでも
通貨として使えるので 
人々は常に不在票を財布に忍ばせていた
文字や言葉にすることは簡単なのに
一遍の詩を朗読することすら
ままならない
見つめ合えばすぐに
情動を渡し合う私たち
ああ、大きさが違う
あなたはどうして私より狭くて小さい
握り返すこともできない
指切りげんまん
人々が見ている
私の中にあなたが入る瞬間を
夏が訪れる感触を

定義の定義
意味の意味
存在の存在を
知覚できる形にしてしまいたい
人々は私ではない
今は私の中で暮らすあなただって実は
私ではない
だから、
文字や言葉にできる
簡単に
握り返すこともできないくせに
私は人々を
見つめるわけにはいかない

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 4

 2

青の純真

あれだけは 
ぜーったいにやらない!やりたくない!
絶対にやらないから!
それだけは断固として決めている

なのに、赤がどんどん迫ってくる

それは簡単とは言いたくないし、困難とも言いたくない

すると 青が現れて、
何がそんなに嫌なんですか?と聞いてくる
無秩序なルールに支配されるのが嫌なんだと答える

簡単なことだから…
時間もかからないし…
受け入れて赤と離れましょう

青の静かな声に導かれ…
気付けば私は、夕暮れの美しい湖面の前に立っていた

青は湖のほとりに膝をつき、水面に指を入れた
そして、その指先で水面を優しくかき混ぜた

これで終わりです
へぇーそうなんだぁ…

不思議なことに、わたしは全く腹が立たなかった
むしろ興味深く楽しかった

そこには素直なわたしがいた
幼い頃のわたしが…

なぜなぜ固い鎧が溶けたのだろう

誰か教えて

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 11

蝿さんの場所

ああー、飛行機が飛んでてむかついたわ。

 イライライライラ、イライライライラ

 飛行機が飛んでいたら蠅が飛べる場所が少し減るだろーが!!

 キレてしまった。なぜなら私は常に蠅と会話をしているため蠅の立場に立って物事を考えてしまうから。

「ぶーんぶーん。飛行機怖いぶん。」

 と、蝿はいつも言っています。

 ぶおおおおおおおお!!

 また飛行機が飛んでるわ。腹立つな。おらあ!!

 バゴーン!!

 怒りに任せて買ってきた牛乳パックを殴ると、牛乳パックは吹っ飛びました。

「ああ、牛乳パックが飛んだら蠅が安心して飛べる場所が減るじゃないか!この馬鹿!!あんぽんたん!!」

 私は私に対する苛立ちから私を殴りました。

 ボカーン!!

 顔が破壊され、私は救急車を呼びました。

 うーうーうーうー!!

「ああ、救急車は飛んでないけど、救急車が走ってる高さとかも十分蠅が飛ぶ位置だから蠅が安心して飛べないじゃないのよー!!」

 私はイライラしました。蠅のためにみんないなくなるべきだと思いました。

「蠅のためにみんないなくなるべきだー!!」

「大丈夫ですか?」

「蝿のためにみんないなくなるべきなんだよ!!お前も!!ほら!!この救急車もお!!」

「落ち着いてー!!」

ドカドカキキキー!!

バーンッ!!

救急車は建物に突っ込み止まりました。

意識が朦朧としている中、蝿たちが私の元へ集まってきました。

ブンブンブンブーン

「ありがぶーん。でも、餌とかを集めてくれた方がありがたかったぶーん。」

ぶんぶんぶーん

そう言って蝿たちは去っていきました。

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じんたまマイクテスト

Realtekじゃなくて
PODCARD
Realtekじゃなくて
PODCARD

USBを抜く
挿す
再起動

Loopback ONOFF
Gate OFF
Reverb

Realtekを検出しました

Bluetoothが
ゆっくり点滅している

マクロ = 自動でやらせたい処理
VBA = その中身を書くための言語

Sub セルを黄色にする()
Selection.Interior.Color =
RGB(255,255,0)

End Sub

For i = 1 To lastRow
Next i

イオンで買った
糖質オフの野菜ジュース

リュックより重い

ジャラジャラのキーホルダー
朝補習を諦めて
ミスドに入る女の子

USBを抜く
挿す
再起動

PODCARD-Podcast Workstation
入力を検出しました

朝7:40のイオンの店員さんが
とても親切です

お互い白髪があるから
目を見て
ありがとう

「このデバイスを聴く」
のチェックを外す

午後2時半
安い機器同士で
噛み合う歯車

机の上の
マイボトルに入ったルイボス茶

思ったより重い

言葉がたくさんあるのに
対話を諦めて
Xで呟くサラリーマン

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あい。

もう、
ねだられなくなってからも
バイキンマンを
手本なしですらすら
かけてしまうということ

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葉隠

草の汁で書く時候の挨拶が
脈絡のない光の渦へ吸い込まれていく
三十年前に貰った、さして親しくもない人の
暑中見舞いに汗塗れで返信する

 小林さん、巨象の皮膚の裂け目から
 夜明けのような腐臭がします
 滴ってくるのは呪言の粒です
 この世の夏に雨も洪水もありません

わたくしがわたくしにしがみつくための
どの指先にも
もう一枚の爪も残っていない
血もインクも滑る間違いなく滑る
三十年間を一瞬で滑落し
その先で
夏に繋がる骨を
全骨折するのでした

あはれ

乾いた骸に
臭うほどの現実は残るか否か

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若水



 くめどつきせぬわかみずに はなにかげあるうつつかな
 くもはふかれてあおぞらに わがみをかくすところなし


 あきらめていたゆめのこと けさすこしだけおもいだす
 たつみによすがなにもなし にぎるこぶしにあてもなし


 まつのはやしをあゆみつつ わがつみきえずさむさかな
 くめどつきせぬわかみずに はなにかげあるうつつかな



 


 

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きもちよかろうな

駐輪場に
倒れた
かもめよ

夜の波止場の
生きた血を
ひとりぢめ

窓に映る手形を
胃に
放り込んだら

きもちよかろうな

かりゅうど
あなたの
苦しみを
粉々に
炙ったのなら

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default:

import time

def multiply(depth):
    indent = "  " * depth
    print(f"{indent}増殖せよ (Generation: {depth})")
    
    time.sleep(0.1)
    multiply(depth + 1)
    multiply(depth + 1)
純白の湯船に
脂が
身体から
漏れ出し
小さなキララ
天の川を
オーバーフロー
過剰に溢れる
お湯に

RecursionError:

わたし
だったものは流れて 
混濁
再形成する
前に
容赦なく栓を抜く

渦の中へと 
排水溝へと

大多数であった
わたしは
default:
穴へと
吸い込まれ
手と
手だけが
まだ
穴を
覗き込んで
一つの
たった一つの
穴が

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