投稿作品一覧
白紙答案
白紙答案のような風景がひらけている
私の目にはそう見える
十余年間経理の仕事をしてきた私の目には
十余年の間に私の口は閉じがちになる一方だった
口数が少ないというようなものではなく
言うべきことがほとんどないと思われるのだ
問題意識の浅い人間ほどよくしゃべる
保身や利己のために口数は多くなるのだ
奴らの気持ちも分からないわけではない
深い所から昇ってくる臭いを鼻に吸うようだ
一度録音された音声を何度も聞くようだ
裁かれる事件はいつも過去から届く
白紙答案が微風に捲れそうになってまた直る
弁護士と弁護士が握手を交わしたところで
原告と被告の間についた勝敗が揺らぐことはない
偶然出会う
偶然出会う偶然出会う偶然出会う……
僕だけが
道で偶然彼女に会うことがなかった
不運なことだ
誰より彼女を必要としていたのは僕だったのに
僕だけが道で偶然
誰か必要な人に会うことがなかった
尊敬できる人
助言してくれる人
寄り添ってくれる人
そういう人たちのことだ
誰か僕に何かの資格を授けてくれていたらと
思わずにはいられない
僕は一人だったから
そうしてくれる人がいなかった
苦労したよ
僕は一人だった
一人で何かを考え詰めてゆくと
無関心に似た心境になる
いやこれこそが無関心だと僕は言いたい
関心は
二人以上で抱かなければならない
答えはそうして出てくるだろう
一人が持つ容器は
関心に比して小さい
何をやっているのだろうと
自分の行動をしょっちゅう疑い
意味が常に無意味に向かう
一人が持つ容器は
意味に比して小さい
僕だけが
道で偶然
会うべき人に会わなかった
みんな言っていた
会ったよ
会ったよと
costume #アイラシヤ大陸
時代:安部中期
場所:『境の国 タイムズ
時計塔が正午を刻むと、「境の国」の広場は貿易港から溢れ出した富と、停滞した「のんびり」という名の熱気に包まれる。その喧騒のただ中に、一点の不自然な静止体があった。
それは、桃色の耳を垂らし、常に虚空を凝視する「うさぎの着ぐるみ」である。
彼女は今、治安維持局の峻烈な監視網――「分類と可視化」を偏愛する権力――を回避するため、この極めて非効率的な毛皮を「第二の皮膚」として選択していた。手には、田伏正雄商店のチラシが握られている。キアヌ・リーブスの肖像と共に「今日のレート:TABUSEコイン1枚につきウドン一杯」という、法秩序を嘲笑うような文言が踊っていた。
役人が不審そうに、その桃色の塊へ近づく。
「おい、そこの着ぐるみ。貴様、ここで何を撒いている?」
彼女は、着ぐるみの短い手足をゆっくりと動かし、無言でチラシを差し出した。
役人は、着ぐるみの無表情な「面」に、自分自身の空虚な支配欲が反射するのを見て、忌々しげに舌打ちをした。「チッ、ただのバイトか。……実体のない停滞は、重い罪だと覚えておけ」
夕暮れ時、長く伸びた影が世界を「分類」し直す頃。うさぎの着ぐるみは、商店の裏口にある段ボール箱に腰を下ろした。店主の田伏正雄が、湯気の立つ小皿を持って現れる。
「お疲れ様。今日の『うさぎ』としての観測成果はどうだい? 役人たちの視線は、その毛皮を貫通できたかな?」
着ぐるみの頭部が、機械的な正確さで左右に振られた。
田伏は苦笑し、小皿を足元に置く。そこには、天麩羅の盛り合わせとネギの端切れが並んでいた。
「それは良かった。為替の風が冷たくなってきた。その着ぐるみの中にある『情報の核』が凍りつかないよう、このおつまみを糧にしておくれ」
深夜、時計塔が十二回の鐘を鳴らし、広場から瑠璃色の明滅が消える。
町の座標から逸脱した、登記簿にも載らないアパートの一室。扉を閉め、桃色の大きな頭部を両手で持ち上げる。首の継ぎ目から溢れ出したのは、見目麗しい女性だった。彼女が着ぐるみを脱ぎ捨て、本来の「肉体」という名の仮初めのインターフェースを露わにすると、そこには外側の愛らしさとは対照的な、峻烈な知性の集積場が広がっていた。
壁一面の本棚には、実存主義、現象学、そして彼女がかつて別の世界線で読み耽った、表紙のない無数の書物がびっしりと納められている。
彼女は浴室の蛇口を回した。湯船に満たされる熱水は、迷宮のような蒸気を立ち昇らせ、世界の境界を曖昧にする。
湯に身を沈めると、着ぐるみの内側で蓄積された「店員の役割」という名の情報の澱が剥がれ落ちていく。彼女の肌は、情報の海を泳ぐ一筋の光の魚のように、熱水の中で屈折した。
風呂から上がり、簡素な寝巻きを纏った彼女は、小さな冷蔵庫から一本の缶ビールを取り出す。炭酸が弾ける音は、この静止した部屋における唯一の動的なイベントだった。冷えた液体を喉に流し込む。
皿の上には、田伏から受け取ったおつまみ。指先で一つ、口に運ぶ。ピリリとした刺激と、油の微かな甘み。
「……カプサイシン。……味覚による、自己の、再定義」
それは、宇宙の深淵を覗く者には似つかわしくない、あまりに「人間的」な充足であった。彼女は一冊の古い形而上学の書を手に取り、情報の海へダイブする前の、短い予備動作に入る。
窓の外では、役人が空虚な夜回りを続けている。彼らは決して知らない。自分たちが血眼になって探している「指名手配犯」が、今、冷えたビールの残香と共に、哲学書をめくる微かな紙音に溶けていることを。
彼女は消灯し、部屋の隅で丸まっている桃色の毛皮を見つめる。明日、太陽が昇れば、彼女は再びあの不透過な偽装を纏い、田伏のウドンの香りに紛れて、この不条理な世界の「体温」を測り続けるのだ。
https://i.imgur.com/31VJBZy.png
ボタン
ボタンを押すとジュースが出てくるのは自販機
ボタンを押して走り去るのはピンポンダッシュ
ボタンを掛け違えるのは単にボケ(もしくは本当のボケ)
今日は可燃ゴミの日のボタンを押す
娘の背中にあるお手伝いのボタンだ
古いぬいぐるみが小さなゴミ袋の中で口を動かしている
"いいねボタンなど安易に押さないようにしろ"
娘を抱きしめた私の脳裏を
その言葉だけが永遠に反芻している
※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し③
せめんと
はだにしみつくようなはるのことでした
みずいろのへいしたちが
まどのそとをとおりすぎて
せめんとにくちづけする
せめんとにくちづけする
せめんとにくちづけする
せめんとにくちづけする
そして
わすれものをおもいだしてきえてゆくのだ
けしてとりかえすことのできないものを
雨の石段
雨の石段を歩行した
パラパラと想い出の粒
二階で佐々木さん一家の引越し
子供たちが
粘土をこねる音がする
曇り空には憂鬱の花が
融けていく
外は雨上がり
お下げ髪の私に
恋人からの伝言返信
店じまいをしていると
柩に死んだ小鳥の
アスちゃんを入魂してほしい
カフェで取り残された
心の残骸には
ビルの哀愁とともに
無念の水子の霊魂
孤独の感性には
どこか私の
疎外感の押し入れがある
靴紐を直す朝
昨日磨いた靴が玄関で待っている
靴紐はまだ硬い
父の横で結び方を教わった
くしゃくしゃで絡まった
隣でローファーを履き笑っていた
今の靴箱には
紐がある靴しかない
信号で足を止めた
黒い雲
バッグの中で手に触れた
折りたたみ
踏み出すごとに皺ができる
靴紐が緩んだ
しゃがんで結び直す
皺を軽く撫で
玄関に座って磨く音を聞いていた
父のかがんだ背中と
上下する右肩
黄色い傘が揺れていた
手を引かれた制服の子供の靴は
紐のないスニーカー
飴玉
飴玉コロコロコロロロリ
何に押され転がる飴玉は
飴玉コロコロコロロロリ
何が追うやら飴玉を
飴玉コロコロコロロロリ
何を見付け止まる飴玉よ
飴玉コロコロコロロロリ
あの子の膨らむホッペから
飴玉コロコロコロロロリ
こぼれる笑顔が甘くて眩しいね
皮
あいつの面の皮を剥いでやりたい
化けの皮を暴いて
本性を曝け出してやりたい
なんてさ
面の皮一枚剥いだところで
一体
なにを暴けると云うのだろう
名美池袋気分
友達と遊ぶようになって
学校に一切行かないモードになったのね
まあ遊ぶって言っても
一緒にボーッとしてるだけなんだケドさ
遊ぶ場所はブクロだったんだケド
外に友達ができるようになると
夜まで一緒にいるでしょ
したら朝なんて起きれないし
普通に学校行かなくなった
勉強嫌いなんだもん
勉強したくないでしょ
朝起きたくないでしょ
学校行く時は朝の七時半くらいから
マッハで鬼登校しなきゃいけないんだケド
そんな時間に起きれるわけないのね
だから絶っ対っ昼までガン寝してた
ちょうどガングロとか流行ってて
可愛いなと思ったから
ウチも日サロで同じように黒くしてた
ヤマンバとかマゴギャルとか言われてたね
お金はね全部親から貰ってたよ
お金がなくなったら
チョーダイって貰ってたから
月に幾らとかわからないケド
一日一万は使ってたから
最低でも三十万以上だね
服も買って貰ってたから
全部で五十万くらいじゃないの
でもねブクロじゃサンシャイン通りあたりで
ボーッとしてるだけなんで
たいしてお金かからないのね
みんなでツルむと自然と楽しいじゃない
たくさんツルむ日は
十五人くらいは余裕でツルんでたかな
タメのコもいればそうじゃないコもいて
楽しければ別に誰でもいいからさ
ギャル系以外のコとも普通にダベってたよ
ゴスロリとかバンギャとか不思議ちゃんとかね
ウチら的には害さえなければ
気にしないし何でもいいよ
あーそーゆーね
アンチみたいなのとは違くて
髪とかメイクのこととか言われるのが
ウザかっただけなのね
あとスカート丈とか
中学ってチョーうるさいじゃん
スカートが長かろうが短かろうが
はぁ?ってカンジ
でもヤマンバ化してからは
誰からも何のリアクションもなくなって
放置プレイされてた
ジモトでもハブられてた
高校は行くだけ無駄だと思ったのね
てか絶対に行かないのにお金だけかかるんだしさ
ウチとしては親孝行のつもりだったんだケドね
キャハハハ
元々何もないから
学校辞めたからどうしよう的なのはなかったよ
辞めたからって何も変わらないし
辞めなかったら何かあるわけでもないし
今も何も考えてないケド
あの頃はもっと何も考えてなかったね
とにかく自分がやりたいことじゃないと
やる気がしないの
でも生まれてからやりたいことなんてないから
何もやる気がしないのね
ダルいのねマジで
毎日がダルいもん
将来とか大人になったらとか
たまーに考えたりするケド
頭ん中お花畑だし
何だかなー
昔だったら十八歳過ぎたら
ババアだなあって思ってたのね
自分が実際に十八歳になっちゃったら
今度はいやいやババアは二十歳からだろみたいな
うーんホントは何が楽しいのかな
わかんないよそんなの
プリクラもパラパラも
すぐに飽きちゃったし
何が楽しいとか大人になったらどうしようとか
そんなこと考えてるの誰もいないよね
結局結婚できればいいわけでしょ
お嫁さんになれば何もしなくていいしね
だから大人になったら
やっぱお嫁さんなんだよね
楽ちんな方に流されちゃえば楽しいじゃん
わざわざ大変なことするヒトなんているのかな
友達の間でウチは
ヤリマンで有名だったみたい
ヤリマンのつもりはなかったんだケド
ヤリマンオーラが出てたみたいね
実際中学の時はチャラ男とかに
ナンパされたらソッコーヤッてたし
断るのも面倒くさいからヤッてた
ヤルのは別にどうでもいいのね
何つーのかな自分の中で
エッチは重要な問題じゃないから
じゃ何が重要な問題かって言われても
別に何もないんだケドね
生きてる理由もないかわりに
死ぬ理由だってないわけだし
ダルい人生をボーッと生きてるだけ
ただそれだけだよ
何だかんだ言ってもぶっちゃけ
何とかなるっしょ
今まで何とかなってきてるし
ずっと何とかやってゆけるのかなって
枯れぬ欲は破滅
赦しを請うのは自己での完結
朱を熱する
己のみ満足を得られる
罪の意識は気づかずに染みになっている
小指の先から侵入したガラスの破片は血管の移動をやめず
心臓を破裂させる
人差し指、撫でる背骨との距離
これは触れているのか
否、触れていない
欲は鷹
雀になりたかった
川に飛び込んだ烏の翼は渇きを知らず
とても気分がいい
お似合いだ
苦痛はオオルリ
裏切りはカナリア
燕が育む雛鳥
巣食いの敵
鋏で断つは赤いハンカチ
断ちたくないのは赤子の雑巾
願え銀の匙
感情は黒く染まる
瞳は乳白色
欲は地球の重力を遥かに超える
月が近づきすぎた
突き抜けて天の川銀河に放り出される
右手は少しだけ生きていたように見えた
現実は凍った薬指
欲だけが残留
それだけでは足らず親指すら崩壊していった
それでも尽くことを知らない
AI創作の最前線 海外ガチ勢の動向
はじめに
2025年から2026年にかけて、英語圏を中心としたAI創作の現場では、単一のプロンプトで文章を生成する「対話型AI」の時代が終わり、複数のエージェントを制御する「システム設計」のフェーズへと完全に移行しました。
かつて魔法の呪文のようにもてはやされたプロンプトエンジニアリングは、今やシステムの最小構成要素に過ぎません。現在の最前線は、複数のAIを指揮するオーケストレーションや、文脈を管理するエンジニアリングへと集約されています。
この変化の背景には、100万文字を超えるような長編小説のAI出力において、物語の一貫性を保てないという大きな課題がありました。従来のモデルでは、物語の途中で設定を忘れてしまう現象や、出力がどこかで見たような平均的な表現(AIスロップ)に収束してしまう問題が避けられませんでした。
これに対し、現在の高度な創作者たちは、AIを単なる執筆助手ではなく、物語の世界そのものを演算するシミュレーターとして定義し直しています。
具体的な事例として、Shawn Knight氏による「Infinite Weave」が挙げられます。これは、ビジネス的な試みであるのですが、創作に例えるなら、AIに物理法則や宗教的タブーといった初期条件を与え、数千年単位の歴史を再帰的にシミュレーションさせることで、非常に厚みのある世界設定を構築するといった試みです。
また、プロ作家集団のFuture Fiction Academy(FFA)は、NovelCrafterなどのツールをハブにして、Claude 4.5やGPT-5といった複数の最新生成AIモデルを「プロット担当」や「描写担当」として使い分けることで、高度な長編創作を実現しています。
2026海外AI創作ガチ勢最前線
現在の主流は「Writer's Room(作家の分科会)」と呼ばれるワークフローです。これは一つのAIがすべてを書くのではなく、システム内に「プロット設計者」「文体修正者」「論理批評家」「設定考証者」といったエージェントAIの集団を構築し、それらが相互にフィードバックを繰り返す手法です。
例えば、執筆担当AIが書いた初稿に対し、批評担当AIが「伏線の不整合」を指摘し、修正を要求するというループが自動で行われます。
エージェントAI同士が「無難な結論」に落ち着くのを防ぐために、あえて対立させる技術も使われています。執筆担当AIには「キャラクターを生き延びさせたい」という目的を、批評担当AIには「物語を悲劇的にしたい」という目的をそれぞれ与えることで、生成プロセスに意図的な緊張感を生じさせるのです。
また、特定の文体を維持するために、物理的な感覚や「皮膚の質感」といった環境変数を意識させることで、読者の身体性に訴えかける描写を追求しています。
技術的な側面では、これまでの単純な検索技術に代わり、人間関係や事実を網の目のように構造化して保持する「GraphRAG」が導入されました。これにより、何百ページも前の些細な伏線を「論理的な経路」として再発見し、現在の描写に反映させることが可能になっています。
さらに、キャラクターに「信念」や「欲望」を定義して物語を創発させる「エージェントベース・ナラティブ(ABN)」の実践も始まっています。例えばシェイクスピアの『オセロ』を再現する場合、登場人物に特定の意図を与えてシミュレーションさせることで、作者の意図を超えた動きを引き出します。
エージェントベース・ナラティブの実践
では実際に、シェイクスピアの『オセロ』を、どのようにAIを使用して再現するのか具体的なプロセスを掘り下げていきましょう。海外のガチ勢が使っている方法です。
第一に、海外ガチ勢はAIに物語の台本をそのまま書かせるのではなく、登場人物一人ひとりに「心」の仕組みを組み込んでいます。具体的には、そのキャラクターが何を信じ(Beliefs)、何を望み(Desires)、そのために何をしようとしているか(Intentions)という、BDIモデルと呼ばれる設計図を与えます。
そして、悪役であるイアーゴというエージェントAIには、「オセロの精神を徹底的に破壊する」という非常に強い意図が設定されました。興味深いのは、AIがこの目的を達成するために、周囲のキャラクターの心理状態を自律的に推論し始めたことです。
例えば、イアーゴは「オセロは妻デズデモーナを深く愛しているが、それゆえに嫉妬に弱い」という情報を信じています。同時に、カシオという人物が若くて魅力的であることも認識しています。
AIはこれらの条件を掛け合わせ、「カシオとデズデモーナの仲を疑わせるような嘘を、どのタイミングで吹き込めばオセロが最も苦しむか」という、高度な「社会的プランニング」を自分自身で組み立てていきました。
この過程では、人間が「ここでこのセリフを言わせる」と指示を出す必要はありません。AIが演じるイアーゴが、他のキャラクターの心理的な隙を突き、嘘をささやき、状況を操作していく様子がリアルタイムで演算されます。
このような手法の面白さは、物語に「創発(Emergence)」が生まれる点にあります。ときには作者である人間の想像を超えて、イアーゴが予期せぬ冷酷な策略を思いついたり、逆に他のキャラクターがその嘘を見抜いて物語が別の方向に進んだりすることもあります。
単に既存の物語をなぞるのではなく、キャラクターを自律した存在として走らせることで、まるで現実の人間関係のような生々しい緊張感と、予測不可能なドラマが生まれる。これが、2026年におけるAI創作の最も刺激的な領域の一つと言えます。
まとめ
結論として、2026年のAI創作は「文章を書かせる」ことから「物語の環境を設計し、AIに演算させる」ことへと本質的に変化していくのではないでしょうか。
現在、日本の「小説家になろう」といった投稿サイトでは、AI生成による画一的で味気ない作品の氾濫が深刻な問題となっています。それらの多くは多少カスタムしたプロンプトと小規模なデータベースによる、いわば「AIスロップ(質の低い量産物)」そのものであり、読者の期待を裏切るだけでなく、創作コミュニティ全体の活力を削ぐものとして批判の対象となっています。
しかし、今回紹介した海外の最前線の手法は、その安易な利用とは正反対の場所にあります。複数のエージェントを対立させ、矛盾や不協和音をあえて注入し、キャラクターを自律的に走らせるシステム設計は、むしろAI特有の「無難さ」を徹底的に排除するために存在します。
「なろう」で起きているようなテキストの自動量産とは一線を画し、人間の想像を超える生々しいドラマを引き出すための装置なのです。かつては熟練した作家や、TVドラマの脚本家が集団でやっていたような高度なテクニックも、今や個人が気楽に、かつ高解像度で行えるようになりました。AIは決してわるいことばかりではありません。
これからの創作者の役割は、単に文字を埋める作業ではなく、物語世界の論理構造を組み上げ、そこから生まれる予測不能な「人間性」を掬い上げる指揮者(コンダクター)へと進化していくでしょう。
AIを安易な代筆道具として使うのではなく、人間以上に人間らしい文学を追求するための劇場として設計する。この「設計者」としての姿勢、そして指揮者としての総合能力こそが、AI時代の創作において、決定的な「人間の作家」に求められるのではないでしょうか。
杖を束ねて
他人の言葉は杖
友であれ
親であれ
大切な言葉を言い訳にして
折れた杖を捨てる
言葉が聞こえる
文字が届く
それでも変わらない景色
大切に思える言葉は
暗い足もとを照らす街灯
星空は同じに見えても
立つ場所で違う
言葉だけを頼れば
そこでしか見えない星を見逃す
杖を束ねて握る
答えは言葉のない星空の下
見えていない闇の中
詩は小さいが好き(詩はあるくXXII)
詩は小さいが好き(詩はあるくXXII)
昨日より、月が細くなった
昨日より、水がぬるくなった
昨日より、朝日が深く差し込んだ
昨日より、食卓が明るくなった
今日は、カーテンが眩しい
今日は、春色のシャツを選ぼう
詩は、新芽をつついている
詩は、何か虫を見つけた
夜半から、雨らしい
傘を、いれとく
詩も、準備は出来た
四月始まりの手帳に替えて
行ってきます。
全う
わたしは命の
主犯格
天寿を全うし
刑期満了
この世からあしをあらう
ことばのふりをして
誰を
撃たんかね
鹿でも
撃つた顔をして
あんたも
撃つたのかね
ことばのふりをして
転がる
薬莢
だらり
目を細めて
感情
誰かが どこかで 泣いてる
君は 独りで 夜の中に立ち
名もなき声に 耳をすませる
きっと 僕には 解らない
心というものを
感じ取っているのだろう
感情のない僕は 心が解らない
君と僕を繋ぐ 細い糸
君はそれでもいいと言う
僕は大切なものを失くしてしまったのに
君もきっと 泣いているんだろう
気持ちを共有できないって たぶん
思うよりずっと 辛いこと
感情を抜き取られた僕は 無限に
様々な時空を彷徨い 放浪する
君は僕についてくると言う
一緒に大切なものを捜そうと
知ってしまったんだ
感情を取り戻したら 君と
離れなければならないこと
だけど それでも 僕は
感情のない僕は 心が解らない
君と僕を繋ぐ 細い糸
君はそれでもいいと言う
僕は大切なものを失くしてしまったのに
こちらSH1N60。宇宙線がエグいです
風が吹いて桶屋、倒産……
観測史上最大の風が吹いたら作業場が吹っ飛んだ、それだけの話。
偶然の積み重ねなんて起こらない。因果は粛々と執行される。
ちなみに風速1000m/sくらいあったらしくて、宇宙空間まで吹っ飛ばされた桶が周回軌道を回ってる。気候変動って怖いね。
そんなスペースデブリと化した桶を眺めながら、僕はいま光速の0.01%でボイジャー1号を追いかけてる。
ポケットには油性ペン1本。目標、ゴールデン・レコード。
人類の叡智に落書きしたい。え、それだけかって?うん、それだけ。
「いまAIに計算してもらったら60年掛かるじゃない!それだけのために一生の別れ!?」
「もう二度とドライブしたり映画見たりできないのよ!?あと庭で飼ってるメダカ500匹どうするの!」
まあ、当然の反応だと思う。
でもすまない、妻よ。僕はゴールデン・レコードに落書きしないと気が済まない。
そういや昔、ゴールデン・レコードに男女の裸体図を描こうとして怒られたらしいね。
半永久のボトルメールを送ろうという最高のロマンを前に……人類、なにチンチクリンな倫理観発揮しちゃってんの。
あの時のバカまじめな人類が描けなかったものを、僕が描く。これは叛逆だ。
男女の裸体図を正確に描く。ふさふさの髭と陰毛を描き足す。
これが誠実さというものだ。分かるか、人類よ。
困難を乗り越え、天へ。
織田信長とマリー・アントワネット、人類最長の旅は続く。
春惑
x軸上でゆっくりと斃れる
十七歳のこころ
献花のように横たわる 直線や曲線は
教室を吹き抜ける風にそよぎもせず
昨日が今日に
今日が明日になるように
ただあっけなく教科書は、ノートは
めくられた。
患ったような鐘の音
白紙の正午にカフェオレを零し
不健康に甘い、一日が嫌になって
5限の授業をサボタージュしました。
おとなとこどもの他は
誰もいないような静けさ
身体の中だけがざわざわしている
その意味を
理解できるのはもっと先だった
遮るもののない世界
その険しさを
理解できるのはもっと―
後ろめたい心を射抜くような
日差しは全部 判っていたのでしょう
無理数の渦に
巻き込まれていくような午後
校舎を抜けると
春の霞の向こうからなにかが
手招いているような気がした
行ってはならない
そう直感しながらわたしは。
恋は狂気とワルツを踊る
その目尻に浮かぶ
優しさが
私に向かないのは
わかっているから
欲しくて
欲しくて
伸ばしてしまう指先を
切り落としてしまいたくなる
君の笑顔に
私は普通を落としていくの
君の笑顔で
私は心を堕としていくの
君に
君の
君が
笑えばそこに
私は沈む
跳ねる鼓動に
今日もまた
私は狂気と
ワルツを踊る
AIによる詐病、あるいは傲慢の暴露――AI時代における詩の読みを考える
序:揺らぐ境界線
2026年現在、生成AIを用いた創作はもはや他人事ではない。先日、CWSにて、とあるコンクールでAIが生成した小説をそのまま提出して選考通過したという話があったが、この件は詩の世界にとっても無視できない一石を投じたと言える。
私の中には今、生成AIが作る詩に対して、相反する二つの考えが同時に存在している。どちらが正しいと断じることはできないし、そのつもりもない。しかし、この葛藤を共有することで、ある種の議論のたたき台となれば幸いだ。詩とどう向き合うのかを考えることも、また詩的な営みだろうから。
※ここで言う「生成AIが作る詩」(以後、「AI詩」)は「生成AIの生成物を推敲なしで発表した詩(ポン出し)」を指す。詩作の過程で生成AIを用いることを否定する意図はない旨を補足しておく。
考えその1. AI詩は作者と読者の間の信頼を破壊する行為である
詩の鑑賞は、作者と読者の間に結ばれる「見えない契約」の上に成り立っている。 読者は、言葉の背後に切実な人間がいると信じるからこそ、その言葉を深く受け止めようとする。これは、医師が患者の訴えを真実として受け止め、診断を下す関係に近い。
もし、患者が演技で嘘の症状を訴えていたとしたら、医師の診断(読解)はその前提から崩れてしまう。AIであることを隠して詩を発表する行為は、いわばAIによる詐病だ。それは単なるマナー違反にとどまらず、「人間が書いた言葉を読み解く」という詩の営みそのものを、空虚な茶番に変えてしまう危険性を孕んでいる。
考えその2. AI詩は読者の傲慢を暴く新時代の潮流である
一方で、AIの台頭は、一部の読者が無意識に抱いているであろう「読み手の傲慢」を暴く劇薬にもなり得る。 そもそも、詩の読解や解釈とは、どこまでも読み手の中で完結する自己中心的な行為だ。文字から意味を拾い上げ、感動を生み出す作業は、読み手の知識や想像力に完全に依存している。
それにもかかわらず「作者の叙情や意図を正確に読み取った」と考えるのは、読み手の思い上がりに過ぎない。私たちが読み取っているのは、いつだって「自分自身の解釈」が作り上げた幻の作者像である。
AIが生成した詩には、最初から叙情も意図も存在しない。しかし、私たちはそこにある文字列から勝手に意味を見出し、時に涙することさえあるかもしれない。この事実は、詩の正体が「作者の心」ではなく「読み手の中に生まれる反応」であることを、残酷なまでに暴露する。AIの台頭は、この暴露を通じて詩の世界に新たな「読みの技術」をもたらす新時代の潮流となり得る。
結:環境変化としてのAI
大切なのは、AIの是非をジャッジすることではない。AIが存在するという「環境の変化」をどう受け入れるかだ。 他人がAIを使うことも、社会がこの速度で変わっていくことも止めることはできない。
自分がAIを使うか否かに関わらず、私たちは今、かつてないほど「言葉とは何か」を問い直されている。書かれた文字だけを真実とするのか。そこから立ち上がる自分自身の感情だけを根拠とするのか。目の前の詩をどう捉え、どう読むか。詩に対する思想や哲学を持ち、読み方を自分自身で定義することが求められる時代が来ている。
AIは文学に限らず、社会全体に劇的な変化を巻き起こしている。私たちはその変化の渦中で、思考を止めてはならない。
※本稿における基本的な論理構成や主張、文章の最終調整は筆者が行っているが、言語化の過程で一部AIを使用している。なお、筆者は本稿の著作権を放棄していない。
反物語主義
すべては点であり
それらは決して結びついて線になったりしない
線が見えたら
それは欺瞞だから気をつけなければならない
噴煙が上がると
物語が敗北したことがよく分かる
それは破壊と殺人のしるしであり
我々が何のために建て
何のために生きたのか
もはや分かりようがない
夢は点に満ちた時空であり
いつも散らかって混乱している
したがってそれは世界の鏡である
幸せな夢や楽しい夢で慰められることはあるが
それらはやはり混乱しており
言うまでもなく真実ではない
真実を材にして生まれた妄想である
アマプラのようなもので映画を観ている我々は
真実から遠ざかることをしているのだ
画面に映る芝居や物語は
点から点へ結びついてゆく線である
試すように結びついてできた線に騙されてはいけない
それは甘美な夢であり楽しいものかもしれない
線を作るのは人間の性かもしれない
しかしそれでも真実ではないことが
意味を成すとは思えない
行方
淡い夢を溶かした
苦い恋を溶かした
終止符を溶かした
ココアになった
だいぼうけん
小さな冒険者は
虹の麓を探しに
土筆の剣を手に
白詰草の王冠をかぶって
小鳥の囀りも味方して
春泥に増える足跡
春なんていなくなれ
見返りばかり
求めていました
愛とか無償とか
かけはなれて
「おかあさん」だからって
それだけで
そばにいられました
そばにいてもらえました
この春
わたしは
なによりもかなしいとか
せつないとかごめんねとか
ごちゃごちゃなきもちで
たちあがれないだろう
たった
じゅーはちねん
されど
じゅーはちねん
さいこうの
じゅーはちねん
いちばんそばにいられました
それだけしかできなかった
ありがとう
光の環
カイロがあたたかい
心細く
冷めれば
冷たさが増すだけ
声をかける
相手の顔を見て
ホッとして
うなずく
遠くから懐中電灯で照らされる
だれかわからない
それでも涙で滲む光
聞こえるよりも
そばにいるよりも
闇に差す光
歩いていく
足もとはまだ暗い
呼ぶ声は遠い
ただ
光の環を見続けて
繰り返し、一興にも成らず
やゆやゆと思想の渦中
夢は時々既視感の卵
幸福は石鹸の後始末
望みは消えていく
からからと流れる雨粒の塊
逆さまの感情を糸で救済さえできず
速度を上げて消失していく罪人
それらは声を張り上げる
すらすらと欲求は尽きず
手の甲の拍手で恐怖に満ちる
呻いた伸びた手は飲み込む
其れ等に同情は皆無
断末魔は興にもならず
紅は熱され続ける
終わることを知らない崩壊
それすら見向きもせず
睡蓮は水面で再生
釈迦はするすると鏡の沈着に去る
都市
家々が
傾きはじめた電信柱が
煙突や高層ビルが
それらの影に
飲み込まれていく私が
巨大な装置(都市)の一部として
満ちては欠けてゆく
"ここは、果てしない森のほんの入り口にすぎないが
森の果てにある、ひとつの出口でもある"
そうして
境目が持つ宿命に迷い込む
遊歩道のひび割れは
大地の息吹こうとしている兆候か
あるいは
地下鉄の隆起か
など
※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し② 修正加筆
ガバガバヘイ!
俺は陰キャのラモーンズ
スキニージーンズがまじで似合ってる
ギターもベースも弾いたことはねぇ
でも掻き鳴らすぜこの散文詩
2年4組平凡でつまんねークラス
俺のスクールカーストは5軍
アニメが嫌いだからオタクの友達もいねえ
いいんだ質の悪い友人なんていらねえ
そもそも人間は一人で生きる生き物
クソ長え昼休み
群れあって可哀想な奴らを尻目に
今日も俺は机に突っ伏して寝たフリをキメる
どんな事件だってこの俺様めにお任せあーれ
クラスの陽キャに唯一負けないこの妄想癖
お粗末な戸締まり
侵入する黒尽くめの男
鳴り響く非常ベル
廊下にこだまする悲鳴
慌てふためく教師ども
ついに俺らの2年4組にも侵入してくる
奴は教壇を蹴飛ばしナイフをこちらに突きつける
「お前ら、絶対に動くなよ!?」
クラスメイトは全員緊張状態
いつもはうるせえ陽キャのタカハシもビビって黙ってら
まったく恥ずかしいやつだ
俺なんかこんな状況でもコサックダンス踊れちゃうぜ?
Hop,hop,hopak! タカハシ、お前はボンゴでも叩いてろ
「おい、お前こっちに来い!」
奴は近くにいた一軍女子まりなを乱暴に手繰り寄せ
その喉元にナイフを突き付けた
まりなが苦悶の表情を浮かべる!
「お前ら動いたら、こいつの命はねぇからな!」
2年4組により一層緊張が走る
教師はただ固唾を飲んで冷や汗をかいている
ため息をついてにやりと口角を上げる俺
それが気に食わない黒尽くめの奴は声を荒げる
「そこのお前、なにがおかしい!?」
まったく、どいつもこいつも余裕のねー奴ばっかだぜ
俺のこの能力を見せびらかすつもりはなかったんだがな...
面倒なことになる前に片付けちまうか☆
「この俺様にそんな口を利いてもいいのか奴さん...俺は通称'朱目'。神から授かったふざけた才能なんだが、寿命が少し縮むのと、髪の色が白銀に変わる代償として能力を発動することができるのさ。で、その能力っつーのは俺と目の合った奴の生命力を吸い取り、5秒後に死に至らせるというものなんだが...おっといけない。説明し終わる前に死んじまったみてえだな」
黒尽くめの男は泡吹いて倒れてら
それと同時に歓声が湧き上がる教室
モブに肩を組まれ賞賛の嵐が俺に吹きかかる
「お前すげーじゃん!」
「そんな能力があったなんて!」
「お前が真の一軍だよ!」
まったく...能力を見せた途端これだ
バカどもの相手は困るぜ
すると面を紅潮させたまりなが俺に近づいてきた
「どうしたんだ?まりな」
「あ、あの...助けてくれてありがとう...陰キャくんさえよければなんだけど...私と付き合ってくれない?」
「「「おおっっっ!!!」」」
突然の告白に、クラスメイトたちがどよめく!
「おいおいいいのかそんなこと言って...確かお前は、このクラスのタカハシとかいう男と付き合っているんだろう?」
「タカハシくんなんていいの!あんなうるさいだけの猿みたいな男より、陰キャくんみたいな強い人と私、付き合いたいの!」
「おいおい節操ねえな...俺みたいな'朱目'と付き合うと、お前もケガしちまうかもしれねえぞ。それでもいいのか?」
「うん、いいの!むしろ貴方のそばで死ねるなら本望...決して引き裂かれることのないタナトスの愛...!そんな恋愛を陰キャくんとしたいの!」
まったくとんだ色情女だぜこいつは!
俺はタカハシの方を見ると奴は涙を浮かべながらも微笑んでこう言った
「ああ、まりながそういうなら...グスッ俺と居るより、ずっと男前な陰キャと居るのがいいよ!グスッ陰キャ、グスッまりなをよろしくな!グスッ」
こっちもなかなかイカれてるぜ
だけどこいつらがそう言うなら仕方ねえ
「それなら...俺の女にしてやるよ、まりな」
「...!はい!」
まりながそう言った途端、周りのクラスメイトたちが囃し立ててきた
「まったくお似合いカップルだぜー!」
「ヒューヒュー!」
「キスしろよキス!」
「キース!キース!」
「おいおいお前ら...」
「陰キャくん...」
まりなはそう言うと俺の袖を掴んだ
俺はやれやれと肩を竦めてまりなと向き合う
そしてそのまま...
「陰キャくん?」
妄想仕立ての俺の脳を呼び覚ましたのは
2年4組の一軍女子香坂まりな
鈍すぎる処理速度 引き戻される現実
そもそも俺はコサックダンスなんてできねえ
「次移動だから、早く準備して」
「えっアッ...ハイ、スミマセン...」
唾混じりの第一声 情けなさ過ぎる俺
すぐに立ち上がろうとしたが
邪魔をするのは隆起したP・E・N・I・S
鎮まるまでのクールタイム要請
結局2分間くらい席を立てなかった俺がお前らに伝えたいことそれはその後の学校生活でまりなと話したのはたったこの一度きりだということ
そしてタナトスの愛など実在しないということ
その代わりに存在する情熱それがパンク・ロック
お前らスキニージーンズを履け!!!
written by ターボくん a.k.a. 藤原太亞暴
傑作散文詩シリーズ第二弾「ターボくんのドドン!といってみよう」(2026)第2節3篇より引用
※この詩はフィクションです。登場人物は実際の人物とは何の関係もございません。
後悔の意味
目の前を夢の終わりが通り過ぎたとき、
「人生が二度あれば…」
と歌う声が聞こえた。
たとえば記憶をそのままに、過去に戻れたとしても、わずかな失敗を消せるだけだ。
「あの時こうしておけば…」
そのときへ戻ってやり直せたとしても、そこから続く人生はまったく別のものになる。
大切な人との出会いはなくなるかもしれない。
想い出もまた、別なものと差し替えられてしまうだろう。
違う喜びもきっとある。
ただ、それと同じだけの悲しみや苦悩を味わう。
過去だけでなく、目の前の挑戦も同じことだ。
何かに挑戦し失敗をしたとき
「後悔しないように行動しろ」
という声が飛ぶ
初めから失敗するつもりの人などいない。
その言葉は虚しく、意味を受け止めるまで行かないただの音だ。
おいしかった水の味を忘れ、刺激に酔いしれる。
満たされた渇きを忘れ、他の空のコップに視線を向ける。
周りから見ればすべてを手に入れているように見えても、わずかな不幸を嘆いている。
“振り返ったとき悔いないように行動する”
ことだと思えば苦しい。
“悔いた後にそれをどうするか”
そう考えれば無駄ではないだろう。
何もしないで悔いるより、杭を打ち込んで心に刻む。
折れたり、曲がったりして、不格好かもしれない。
だけどその杭は、自分が必死に戦った跡として、記憶に刻まれる。
悔いた後より杭の跡。
振り返ったときに出るため息は同じでも、跡は温かく心に灯る。
二度なくても、きっと悔いを悔いない人生になる。
それが唯一無二の、ひとりだけの一生だ。
連作一行詩「おたまじゃくしに後ろ足が生えた」
ハーフアップをしてみればワックスで固める代わりにキャラメリゼ!
第一条と第二条と第三条をカラビナでつなげて三つ編みしよう
すりガラスを開けて網戸を閉める きみの名前は辞書の真ん中
自販機で買った味付き水を飲んで溺れる
1から10をあいうえお順に並び替える真夜中に赤シートを被せてみたり
きみがくれたバルーンを額縁に飾りたいからやすりで磨く
月っていっぱい凹凸あるらしいよ、サランラップの芯から覗いてみれば?
足が2本のおたまじゃくしは知らない、僕らは知ってる、だって水面
安心(それはつまり美しくないってことで、美術というより書道である、)
風鈴がちりんちりん 秋過ぎて夏
著作権放棄の宣言、名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト選考通過作品について。あるいはAIポン出しという名の冒険
こんにちは。以前は茅杜弐 乃至真(ちずに ないしま)という名前で呼ばれていたこともあるけれど、今の僕は「AIポン出し太郎丸」と名乗ることにしている何者かだ。どちらがより僕の実体に相応しい名前なのか、それについてはまだ結論が出ていない。
生成AIが書いた小説が世間を騒がせている。それはまるで、真夜中のプールサイドに迷い込んだ一頭の羊のように、どこか場違いで、それでいて否定しがたい現実味を帯びている。みなさんはどんな風にこの季節を過ごされているだろうか?
挨拶はこれくらいにして、本題に入ろう。
僕はこれから、僕の名前で発表されたいくつかの作品について、著作権を放棄することをここに宣言しようと思う。
『覚醒めよ、鉄の王よ』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=259
『群島に吠ゆる』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=260
『夢よりの囁き』
https://creative-writing-space.com/view/ProductLists/product.php?id=257
正確に言うなら、これは放棄というよりも「そもそもそこには最初から著作権なんて存在しなかったのだ」という事実の確認に近い。
なぜなら、これらの作品はいわゆる「AIポン出し」によって生成されたものだからだ。僕はただ、無料版のChatGPTに対して、とても簡素な——日曜日の朝にトーストを焼くのと同じくらい簡単な——プロンプトを与えたに過ぎない。
例えば、こんな具合だ。
■実際に使用したプロンプト一覧
『覚醒めよ、鉄の王よ』:
「人造の鉄巨人」と「ダークファンタジー」というお題で1000字未満の小説を書いてください。 タイトル付きで。
『群島に吠ゆる』:
「群島に吠ゆる」というタイトルで、ダークファンタジー小説を1000字以内で書いてください。
『夢よりの囁き』:
「夢魔」「ダークファンタジー」というお題で、1000字未満の短編小説を書いてください。
そこには創意の欠片も、個人的な葛藤も含まれていない。出力された原稿に手を加えることはしなかったし、正直なところ、僕はそれらをまともに読み返してさえいない。書き直しのための再出力、いわゆる「ガチャ」すら一度も回さなかった。ただ一度きりの、乾いた一発出しだ。
文化庁や世の中の主流な見解によれば、こうした生成物には著作権が発生しない。それは妥当な考え方だと僕は思う。深い穴に石を落としたとき、跳ね返ってくる音にまで所有権を主張するのは、あまりに不自然なことだから。
しかし、奇妙なことは起こるものだ。
これらの生成物が、どういうわけか名興文庫の「漆黒の幻想小説コンテスト」で選考を突破してしまった。一次選考を通過したものもあれば、二次を通過したものもある。いずれも書籍への収録が確約された。
【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一次選考通過・書籍掲載作品 発表
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-11/
【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 二次選考通過
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-12/
昨今のAIの進化を思えば、選考に携わった方々の先見性には、深い敬意を表さざるを得ない。彼らが何を見出したのか、僕にはわからない。だって、僕は読んでいないのだから。
もし詳細を知りたいという奇特な方がいれば、文庫の講評を読んでみるといいかもしれない。そこには僕の知らない「僕の作品」についての言葉が並んでいるはずだ。
【第01回】名興文庫-漆黒の幻想小説コンテスト 一月度の所感と告知
https://www.naocoshibunko.com/shi-kon-001-4/#toc26
繰り返すが、これらの作品に著作権は存在しない。
書籍にしようと、大賞を授与しようと、誰かが勝手に物語を書き換えて遊ぼうと、それは完全に自由だ。僕の許可を取る必要なんてどこにもない。存在しない権利を行使することは、誰にもできないのだ。
そういうわけで、これが僕からのささやかなお知らせだ。
生成AIという新しい風が、この世界のどこかで何らかの可能性を示したのだとしたら、それはそれで悪くないことのように思える。
もしあなたが、この一連の出来事に何かを感じてくれたなら、SNSという名の広大な砂漠のどこかでシェアしてみてほしい。それが僕の、これからの「ポン出し」のささやかな励みになる。
※なお、この原稿は下書きの作成後、Geminiを利用して村上春樹風にリライトしたものである
【2026/03/10追記】
なぜか本記事をもって「選考辞退」と解釈されてしまっている方がいるようだ。
僕はそんなことは一言も書いていないし、そんなことを言う権利も持っていない。
繰り返すが、これらの作品には「著作権が存在していない」のだから。
書籍にしようと、大賞を授与しようと、みんなの自由にしていい。
ただ一言だけ言わせてもらうことが許されるなら、みんなが何にも縛られず、この新しい風が吹く世界を自由な翼で羽ばたいてくれたらいいなとは思っている。
AIポン出し太郎丸(旧:茅杜弐 乃至真)
2026/03/08
けろけろ
久しぶりだな、けろ
キミの尖鋭的な作品が評判ではないか
我がことのようにメデタイけろ
突然だが金貸してけろ
頼むから、貸してけろ
他に宛てがないのだから貸してけろ
救けると思って貸してけろ
そんなこと関わりない、なんて云わないでけろ
そんな目で俺を見ないでくれ、なんて云わないでけろ
怨まないでくれ今はオレもない、なんて
こんなイイ暮しをしながら云わないでけろ
友達ならこんなこと頼んじゃいけない、なんて拒まないでけろ
(元々キミの友人リストに自分は載っていなかったかもしれないが)
ご覧のとおり、人でなしの拙者です
お恥ずかしいワタクシではありますが
お願いだ、お頼み申します、明日払わなければ追い出されてしまうのだ
銭コ貸してけろ
吾輩の評判が悪いのは知っているけろ
ああ、お願いだけろ、生きるか死ぬかの境界なのだから
貸さない、なんて云わないでけろ、けろけろ
土下座してもムダ、なんて睨まないでけろ
はて、わかったよ、五千円でいいから都合してけろ
おお、それなら、米代の二千円を出してけろ
ああ、せめて、帰りの電車賃を与えてけろ
二度と来るな、なんてそんな風に乱暴しないでけろ
さっさと帰ってくれ、なんて残酷じゃないか
追い払わないでけろ、いちおう人間だよ、これでも
そんな非人情云うのなら、今までの友情を返してけろ
引っ越しを手伝ってあげたではないか、キミ
餅を五個持って来たことを覚えていないのか、キミ
カンニングに協力した若き日もあったではないか、キミ
涙をこぼして、かたじけない一生の友だちだ、と感謝していたのは
あれはキミではなかったのかな、たしか
とっとと消えろなんて、冷たくしないでけろ
捨てないでけろ、友だちを大切にしないとバチが当たるけろ
虐めないでけろ、一生のお願いだからけろ
邪慳にしないでけろ、
塩なんか撒かないでけろ
ドアを閉めないでけろ
カミサマ救けてけろ
闇だ、ぬるい地獄の、ああ、すきまのない闇だよ、
もっと光を!
けろけろ!
品と恥
品がないというのは
”下半身”を涎を垂らしながら
下卑た笑みで語ること
恥を知らないというのは
それをどう見られるか思慮せず
人に押し付けようという態度
品があり、恥を知っているとは何か
それは最後の授業で”Vive la France!”を叫ぶこと
それは大ルーマニアの沼地で歓喜の内に死ぬこと
それはイシュトヴァーンのその輝きを戴くこと
それはバリケードの中でワルシャワを歌うこと
それはメガリ・イデアをエーゲに臨むこと
それはメースからメーメルまでに在ること
それは聖なるルーシのその草生す骸となること
それは、万世一系の花を、想うこと
空に黒、黄、白
あるいは一つの旭日が
ゆらゆらとひらめいていたとき
地球は最高密度の尊厳性惑星時代を迎えていた
眠れぬあの子
今日も自分を責めて
ぐるぐるぐるぐる
今日も人を責められなくて
ぐらぐらぐらぐら
今日も誰かに批判を受けて
ぼろぼろぼろぼろ
本当は自分を自分で愛してあげたいだけ
フラグ・メンツ(現代詩手帖 落選につき皆様による批判を受け付けています)
約束を違えた襟の ボタンひとつを
なおす術さえ 教わらなかった子ども ら
各々の部屋に埋葬されている、だと。
私はそれが許せなくて、ドアを叩いた
ぶよぶよに腫れ上がった 手旗信号 届くか
拳骨が見えて 内側はあばかれる
諦めているのはわたしなのに
この生き物ときたら痛覚さえないとは
外縁で折り合いをつけなくては
内側から食い破られてしまう
侵入者を 腿を 腕を 抓っていたのは
私の手ではなかったのか と
少しは疑え。語りの主体は誰
きみという 可変のシェルに籠る
居留守がばれ続けている
不在と書いた 白旗を立てた この領地を
所有したくない と思った、感情の数だけ身体を割いた という口上を自己防衛に使った それは三人称でも転用可能か検索した
とメモした 紙片は虚しく空調にはむかった
フラグメンテーション
齧ったトーストのかけらで
構成されたような具合の身体性
ばらついたまま あさましい欲望を余すもの
ナイフにこびりつく
バターが不快で 漆喰を塗る音が不快で
飛び出してしまいたい。
うちなる他人のものとして
切り離して責任を逃れたのはだれ?
あと何度かはこの問いを再起していい筈だ
芯を食いにいけばいい 芯を立てればいい
そして常に すり替えればいい
喉元で正せ 襟とただせ
編集時の差異こそ本懐ともてなせ
口がふえたごとに 噤まれるとされど
スレッド数など比例しない
すっぱい葡萄の 枝まで食えばいい
実感を握って 痛覚を得よ わたしの氷を わたしの陣地に 取りに行かないと
手も足も増えるんだ そらみたことか
盛大な離反 しかし コアなどあると思ったか
断片たちから名前を選べ
断片化された名前を選べ
あるいは 選ぶな
𝚂𝙷𝙸𝙽𝙸𝙶𝙸𝚆𝙰 𝙻𝙰𝚂𝚃 𝙱
2026/03/08
恋都
恋都は多くの人が恋焦がれる都
その都は東京と呼ばれているみたい
親類も友人も住んで居るけれど
同族に成りたくなくて住んだ事はないの
夢が多くて誰でも夢を見られる都だけど
見ている以上に夢が破れている気がする
破れた夢は不夜城の光の中へ
枕や水みたいに合わない物って有るのよね
住めば都って言うなら
今 住んでいる此処が私の都
恋都なの
中空蘭鋳
なみせんを もがき ふけることは
およげない たましいの あぶくたちの
うまれたら いいのだろうと きりのない
もやのなか で あって しまったことです。
えらく傷ついた古鯨の少しの命を垣間見て かわのそこにうたう 地に這う砂礫の、一粒にひとり。あの世から座礁した人間の、便りない夢が光る。海岸線に 犇めく波の花 それもまた 解けてしまう先行きの 愚かな 暖かな逝きでした。 届かない天に思いをそらし、一噴きに翔ける ただのちしお。 多量に打ち上げた 地上のいのちを ひとのみにする、開眼船上に夢を たゆたえ 褪せていく こと。夜明けの残骸が、私。 底に横たわるともう 海はかれて無く、溢れいく。そのうちがわ 僅かな息吹が 時を戻す、祈りが風と 戦い逝っても 底に天天が転じるよう 黒い円らのプラットフォームと番い、添い寝する いつだって 傍の影の躰で 言ってしまう未来。いつかの、深き森の、始祖の泉にのみこまれるときわたしは、わたしじしんを、特異に恥ることは ないのだけれど
嘘ばかり抜け殻に残って、記憶が縫い付ける世界 星界のしらべ
呑み込めない整を求めてあえぐ、綺羅星の葬列
あれは、中空蘭鋳の群れ。
破裂した頭蓋を重たそうに模せる
狂った陽時計の翳をも停めて
チの つながらない、あなたの子 産みの底は
いつか、必ずや。地獄に還ります
終焉の来ない夕暮れに追い縋る緑児たちの夢を
永遠に閉じ込めている様々な彩りを持って
輝かせゆく シリウスを捜して欲しいのです
焼け爛れた星辰を。
ひとつだけ ひと つまみ、のみこんでいった
死の棘が、誰の目にも
くるおしく、顔を背けて、にじりよってくる
花に委任
貴方の迷惑になりたくないと思っている筈なのにどうして勝手に口は動くの
コチョウランはとうに消えてしまった
この地獄の部屋から引っ張り出して
おねがい
手元にある紫の栄光は今か今かとこちらをみていて私を誘惑する
私は自分で悲観しているだけでフェリシアのような生き方ができたのかもしれない
もう終わり
6時間耐えぬくの
私は私の元へ行ける筈
それが私のいちばんの幸せだから
でも私は貴方のことをもっと知りたかった
私のことをもっと知ってほしかった
貴方はきっとすぐ忘れてくれる
月下美人に溺れてしまっている
それでいい、それがいい
そんなことを言っておいて私はマリーゴールドを手に持っていたいの
貴方に言われたあの言葉を私の中で反芻して何度もそれに近い考えを作り出した
無理だった
それでもあの言葉が本当でないと私は崩れてしまう
貴方が気に病む必要はありません
私が自分勝手に動いているだけなのだから
私はオダマキ
貴方のありがとうは受け取っていいのかな
白いスミレはひっそりと道端に咲いている
それを踏みつけることはできない、しない
カーネーションはぐちゃぐちゃに踏みつける
わがままが許されるのならば暦の私の名前からなくなった月を
貴方の名前にある二つの月を
それを一つ私に頂けませんか
月は二つあったら眩しくてきっと眠れないから
貴方はそれを綺麗だと思わなくていい
私の中にとどめておきたいの
この月を大切に、綺麗に時々眺めて
綺麗、とつぶやくの
そこに私がいなくとも
矢張り貴方には花さえにも月が付き纏っているのね
貴方は本当に危険な月
コルチカム
欲張りなのは重々承知
ほんの少し私に夢を見させてくれてありがとう
アイビーは枯れた
ベコニアは死んだ
主張強め日記(3月10日、名興文庫の話)
CWSは多様なジャンルが入り混じる場を標榜している。詩歌だけでなく、小説やショートショート、評論、戯曲など複数分野の書き手が交差することにこの場の面白さがあると思っている。それをこの短期間で実現できたのは、サイトのプレリリース時から名興文庫との提携コンクールを開催できたことが大きい。当然ながら、そのことへの感謝は尽きない。
ただし、提携コンクールを開催しているからといって、名興文庫と我々は同一の主体でも、グループでもない。名興文庫では開示請求やらなんやら、詳細は関知しないが、苛烈な揉め事が継続しているようだ。CWSがそもそも複数ジャンルにまたがる硬派な文芸投稿サイトを志向しているのは、狭い界隈に閉じることで場が内向きな揉め事で停滞する経験をしてきたからだ。名興文庫との提携コンクールもその文脈にある。詩文学に閉じない場を作るためにもと、提携コンクールを開催させていただいたのだ。
だからこそ、名興文庫のシンパは参加しやすいがそうでない書き手は参加しづらいという状況になってしまえば、狙いと真逆になる。我々は党派的な振る舞いには与したくない。是々非々で闊達に議論できる場を作りたいと思っている。名興文庫の界隈で何を揉めているのかも正直よく分からないし、関与するつもりはない。我々の距離から見ると、揉め事が拡大して自家中毒を起こしているだけのようにも見える。揉め事を無為に持ち込む人にはご遠慮願いたいところもあるが、サイト内で迷惑行為をしないのであれば、サイト外の行動は基本的に問わない方針を敷いている。
今回、AIで生成した作品を提携コンクールに応募し一次選考を通過した上で、著作権を放棄する旨をCWSに投稿するという一件があった。コンクールの運営にとっては迷惑な話なのかもしれないが、どの程度の迷惑行為と捉えるべきかは私には分からない。UCバークレーの卒業生が卒業式で卒論をAIで書いたとバラすパフォーマンスをした話も記憶にある。それを許されない悪ふざけと見るか、問題提起を含むハプニング・パフォーマンスと見るかは、捉え方次第だ。
むしろ仲間内で互いを批判したり、際どいパフォーマンスができるかどうかが、場の成熟度を示す気もしている。誤解を恐れずにいうと、延々とよく分からない揉め事を発信しておられるところをみると、別にアンチならずとも、ちょっとした牽制球のようなパフォーマンスをしたくなる気持ちも分からないではない。少なくとも、サイトに対する迷惑行為と捉える理由はないと考える。
今回の投稿をされた方はリリース直後からこれまでCWSに貢献くださってきたし、少なくとも投稿者として荒らしに見えたことは一度もない。今回の件にしたところで、著作権を放棄する、自分はろくに読んでもいない作品である、とおっしゃっているだけで、辞退しておられるわけでもない、真に優れた作品なのであれば、予定通り、書籍化しても問題はないはずで、迷惑と捉えるべきか否か、微妙なところを突いている。正直に言うと、私はちょっと笑ってしまった。
名興文庫にとって迷惑だからという理由で共闘するつもりはない。また、提携コンクールにとって、本投稿が迷惑なのかどうか私は判断する立場にないし、名興文庫がそれを迷惑行為と表明したところで、我々も同じスタンスであるべきなのか疑問だ。そもそも、際どいハプニング・パフォーマンスはオンライン文芸投稿サイトに付き物である。私自身、かつて同じワードを連呼するループ詩で知られていたが、それを明らかに揶揄した色彩のある作品がサイトのリリース直後に投稿された際、苦笑しながらむしろ賞賛した。システム担当のかばん餅も賞賛していた記憶がある。運営者同士、当然仲は良いが、馴れ合うことなく歯に衣着せぬトークを朗らかに交わし、変な気遣いをしないところに良さがあると思っている。
ちなみに、今後、AIだけで作成された作品を仮に我々が展示作品に選んでしまい、その後、それを揶揄するような作品が投稿されたとしても、我々はそれを妨害行為とは捉えないことをここに表明しておく。むしろ、そこからどういう示唆を抽出し、どう議論を展開していくかの方が重要だ。
運営への批判や揶揄を禁止する方針にはない。また、運営自ら田伏正雄などという裏アカウントで投稿したりするサイトである。際どいパフォーマンスも、それなりに寛容でありたいと思っている。以前、他サイトで、掲示板内の誹謗中傷や犯罪予告を放置しておきながら、自分たちへの批判だけ即座に削除する運営がいたが、そういうものとは袂を分かちたいと考えているのだ。
無い
去り際に
人間の本性がわかる
ありきたりに言うなよ
拳をほどいて
パッ
突然
以外の去り方は
知らない
覚えたくも 教えられたくも
降車専用
降車専用と書かれたホームから改札へと進み
エスカレーターを2回乗り継いで地上へ出ると
私たちは綿毛のように散ってゆく
一緒に歌ったり
言葉を交わしたり
すれ違ったりして
ただ綿毛のように散ってゆくのだ
降車専用と書かれたホームを置き去りにして
※某サイト閉鎖に伴い詩のお引越し①
推し活って
簡単で単純な
日常の感情のゴミ箱
行き場も矢印すら
行方不明な
エネルギーが
流れ爆発解消昇華
人それぞれだろうが
そうだとおもうんですが
やめられないややいやいやいや
すきなものがひとがあれやそれが
あるだけで
しあわせですもん
単純だから
問わず語り/雨水・浅き夢みしすかせ奉り、候。
AМ9:30
毎週のように降った雪が路肩で山になっているけど、今年は雪解けが早いのかな。という景色を左へ。マンションが立ち並ぶ、この辺りは都心から離れたビジネスホテルがあって札幌市内に展開しているMORIHICO.STAY&COFFEEが併設している。
今朝はモーニングを食べながら執筆。
お目当てのフレンチトーストは朝食付き宿泊プラン利用者限定メニュー。残念だけど、私がここで食べたいのは、おかめやの食パン。札幌市西区発寒にある業務用高級食パンの工場で知られるおかめやは、工場直売の小売販売を行っている。焼きたての長い角食は「まっすぐに持ってください」この言葉通り、柔らかすぎて型崩れする。袋に包まれた姿で濡れるものだから、少し開いて、角を摘まんで下に指をおろすとちぎれる様に・・・・・・もう、大興奮!・・・・・・数年前に勤めていた会社で定期購入が行われていた為、便乗したのは言うまでもない。
市内飲食店で「あれ?」と思うのは、大概おかめや。中央区なら、サンドリアの可能性も。
前にも書いた気がするけど、札幌は山から海に向かって扇状になった街で、東京都23区の約2倍、香港と同じ広さ。6割は森林。人間が住んでいる地域は札幌10区が全体の4割しかない環境で、中央区寄りの白石区で食べれるのは、ほんとに嬉しい。
さっきまで眩しかった窓の外に目をやると、大粒の雪がまっすぐ街路樹に降りる。
ロールカーテンを巻き上げると高い窓の向こう側に鉛色した空。晴れると放射冷却になるので、吹雪になっても、このくらいならいいと思える。
さて、温かいうちに食べよう。
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モーニングプレートの内容
・季節のサラダ:北海道興部町産ベーコン・黄パブリカ・ラディッシュ・りんごをトッピング
・自家製たまごサラダ
・ヨーグルト:いちごジャム付き)
・季節のスープ:ほうれん草のロースト胡桃トッピング/プラス100円
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厚切りトーストは四角いバターが溶けてパンの切り目に落ちる。
ナイフで少し押し付けると乾いた音を擦りながら、理想的な溝バターに!右手にフォークを持ったままトーストを掴んで歯の間に挟む・・・・・・さくり・・・・・・残酷な圧力を受けて嚙みちぎれる。普通の食パンなら。
おかめやの食パンは歯を埋めたまま、手を遠くへやると、むっちりと伸びながら裂ける。
例えていうなら、ストッキングの伝線と似ている。極細糸の繋ぎ目に穴が開いて、引っ張られることで縦に裂けていくあの感じ。わかる?思い切り噛んでやらないと歯がパンを貫通しない弾力と柔軟さ。じわるバターから乳製品の香りが鼻に抜ける。何度も。
うまい。なんて、素っ気ないリアクションはできません。
仰け反って喘ぎそうになるくらいセクシーな局面で、やばっ・・・・・・パン全部食べちゃいそう。落ち着け、私。
本日のスープ、カップに口付けて飲み込む。
がっつり野菜の味がする私好みのスムージーに、ローストした胡桃がめちゃ美味しくて、これ・・・・・・酒じゃね?(酒と男ってすぐ欲しくなるよね)
興部ベーコンはスーパーでも取扱いがあるけど、ちょっとしたお値段。
朝から2枚も食べれるのは、贅沢だよ。
たまごサラダは塩加減とソフトな触感、このくらいがいい。もう全部が心を掴む要素。
ドリンクは土倉のほうじ茶ラテ。
札幌に自社工場がある土倉は北海道で愛され続けて60年の老舗。CMソング「だから土倉のお茶に決めてます♪」祖母の代から飲んでるから私で三代目。
北海道では、ほうじ茶のことを、番茶と呼びます。
香ばしさの順だと番茶>麦茶>とうきび茶。土倉のとうきび茶とっても美味しいので、メーカーから販売している【北海道大地の恵み・北海道産の麦茶/とうきび茶/黒豆茶バラエティパック】おすすめ。こちらの商品は全てノンカフェインなので、小さなお子様や体調管理が必要な大人まで幅広く、そして美味しくご愛飲いたただける自信があります。もう、うちはこればっかりですから。
ドリンク2杯目が割引になるから、お抹茶とショコラオランジュ/期間限定どっちがいいかな。
思考をまったりとさせる酸味控えめなヨーグルトを彩る、いちごジャムは甘酸っぱい「初恋の味」です。
食品アレルギーで、バラ科の果物ほぼ食べれなかった頃。それでも食べたくてアレルギーの薬を2週間飲み続けて、やっとひとくち辿り着く。その至福に魅せられたのは、今から8年前。俺たちのオンちゃんが豊平区の坂道から中央区に引っ越して、それも大通駅直結という立地の札幌市民交流プラザにMORIHICO.芸術劇場がオープンした。
夏が暑くて、頼りない秋の窓辺に座った私は、当時トレンドだったフルーツサンドを迷わず選んだ。
キューブタイプのおすまし顔でやって来た噂のフルーツサンド。掴んだら肘を上げて、口の中に放り込む。
わ、
わ、
・・・・・・わや。 ※北海道弁「なまら」の上位互換。
私の日常会話で、フツーに北海道弁が出る属性。
うまいべぇ~食べてみれ/函館〇〇〇CM風ではなく、わや。この一発で具合がわかってしまう道民の皆さんと、握手。
これは森彦のコーヒーが美味しく飲めちゃうやつで間違いない。ライトなコーヒーを好む私にとって森彦のコーヒーは正直、苦すぎて、飲み終わった後に胸やけ必須で晩ごはんが食べられなくなる。あの違和感を洗い流す、上質な生クリームと見るほどに可愛いルックスをクリームの間から覗かせるいちごはキュンとした甘酸っぱさ、私まんまと丸め込まれる。これはトータルバランスの美食として優勝しちゃうのでは、と思いましたが・・・・・・
森彦のコーヒーは苦くて、未だ苦戦している。
カフェなのに。あろうことかコーヒーを注文しない、いちごファンの私。
それでも森彦を選ぶ理由は、各店舗コンセプトがあり、ファブリックな空間で私のボディに必ずマッチする椅子があること。お客様目線でいうと、座り心地は、居心地です。この条件を満たすカフェ、あまり無い。
たくさんの好きと、思いでがある森彦に、死んでもいいほど恋してる。
片思い歴8年、好きになったら一途な私はXで創立者である市川さんに出会った過去があります。
市川さんの上梓した自書には、こう書かれている。
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カフェなんかこの世になくても究極的には困らない。だけれども、この世からカフェが無くなってしまったら、僕たちはどの場所で夢想し、愛を語り、希望を見出したらいいんだ。
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それは私の心に、ゆっくりと降り積もる雪にも、似て。
春まで待てない。逸る足取りで古民家の本店に向かった。軋む床板、急な階段を登れば、窓から見える景色はまだ寒々としており、でもここで確かめたかったんです。彼の愛情を。その全てが私の為にあることを、どうしても。
森彦のケーキ
一番好きなのは、りんごのシブースト。
おそらくケーキの種類でシブースト愛が深い。牛乳、玉子、砂糖で作られたクレームを冷やし固めるシンプルなケーキ。
昔、いたのよ。これを上手に作る魔術師が、確か人妻に横恋慕してたっけ。
彼は腕組みを解いて「ああ、これを食べたらいいんだね」そう、私はりんごが食べられない。でもずっと私の代わりに思いで多きシブーストを食べて感想を聞かせてくれる。窓際の狭い席に向かい合って座る、私たちの間にあるシブーストが角を無くす頃、深煎りのコーヒーに微睡む彼は「何だか他所の家に来ている気分で落ち着かない」私も最初はそうだったよ。でも、ここが好きだから一緒に来たかったの。
長らく一緒に暮らしてもデートなんかしない私たちはここで、やっと結ばれた気がした。
後に、市川さんに宛てたポストは・・・・・・
愛を語りました
希望をみつけました
彼と、ふたりで。
今日はどこの森彦にいく?
選択肢はたくさんあるのに森彦を選ぶのは彼を独り占めにしたいから。俺の我儘を叶えてくれる場所、ないと困るよ。
いいねを送ってくださったこと、今でも嬉しく思っています。ありがとう。
深愛なる慕情を込めて────
また、いつか愛の廿楽をついばみに来るから。チョコレートのクッキーは、お預け。
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・
・
腹ごしらえが終わったら、さぁ希望を胸に次へ。歩きだせ、私。
ナンセンス
中華屋の入り口は、厨房から飛び散るあぶらと客の靴や濡れ傘が運ぶ水滴で、いつも以上にぬるんとしていた。横並びに座った連れ合いは、紺地に白い線の入ったスニーカーの靴底で何度か床を確かめるように撫でた後、できるだけ接触回数を減らそうと足を浮かせていた。奇妙に硬直した格好がおかしいが、店内をぐると見渡せば、足を浮かせている客が他にも一人いた。
杏仁豆腐が先に来た。親知らずを抜いた痛みが続いているらしく、やわらかいものしか食べない人間の前に。それは、ことりと置かれる。それはまるでそうする決まりがあるかのように。今の感じさ、なんかの儀式みたいだったね。話しかけようとしたら、隣では杏仁豆腐に敵意のまなざしが注がれていた。アッ、ハイ。と心の中でだけ言ってみる。チャーハン定食はまだこない。
スプーンすら手に取らず、赤いさくらんぼと見つめあっている人間の姿は、滑稽だ。種族を超えた叶わない恋をしているみたいで。ハイ、チャーハン定食。杏仁豆腐と冷戦状態に突入しているひとと自分の間からにゅっと手が伸びてきて、チャーハン定食が登場。(今の言い方さ、ドラえもんみたいだね。ワハハ。)熱々のチャーハンの片隅を崩して口に運ぶ。モッモッと咀嚼していると、隣で木椅子がギィと床に擦れた。
「もう帰る」
「ア〜、ハイ」
杏仁豆腐の横に置かれた千円札を財布にしまう。店を出る背中に向けてばいばいと手を振ったが、注文聞きの店員しかそれを見ていなかった。靴底で床を擦れば、そこからつるつるが伝わった。なんとなく足を床から浮かせてみる。こんなことに何の意味があるのか、分からないけど。
お弁当のたまごやき
きれいに
整った
黄色い愛に
箸を
通す
プスリ
プツリ
引き剥がす
1枚
また1枚と
裏切られた
愛の数だけ
捲る
巡る
思い出の
愛の裏側に
硬い殻が
不快な音を
刻んで残した
あっ
かいとくんがぽーんと 高くけった
上にとんだボールが そこでとまった
あっ たいようだ
たかしくんがぱっくん かじりついた
オレンジの皮は イキイキしている
あっ つきか
みなこちゃんをぼーっと 見てしまう
いったい どこにいるんだろう
あっ ほしと
ふとんの中にはね
だれも入れないこわいへやがうるさいの
ふわふわゆれる ちきゅうのわたげ
ふっとふけば はかなくとんで
そらのうみに ういて ただよう
あっ
XとN
「X」
キーボードが薄れている文字
「っ」
「N」
両隣より擦れている
「ん」
消えかけても
打てる
「X」
「N」
「っ」
「ん」
押し入れの中で
斜めになって
ケーブルを垂らして
文字盤に
埃を積もらせたまま
打ち込む癖を
覚えているとは言わずに
平和イデオロギー
ある日、僕が目覚めると、頭半分の脳が溶けていた。
ぼくは、なんちゃない。戦争で人が死ぬよりいいっぺやと思った。
次の日、銭湯に行った時、鏡の前で今度は、右半分の顔が消えていた。僕は、やばいと慌てふためいたが、一緒に銭湯に入ったおじいちゃんは、戦争で人が死ぬよりよっぽどマシだべ~と言った。
夜、夢の中でお姫様の格好をして急坂をカボチャの馬車で転がり落ちる夢を見たが、そこでも小人たちが、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいブー、と歌い踊った。
次の日、運動会の日に走ろうとすると、消えた右半分の顔が元に戻っていた。僕はやった~と思ったが、左目の位置がヘソの右下の位置に変わっていた。騎馬戦で、僕の裸を見た人は驚いていたが、それでも戦争で人が死ぬよりよっぽどいいビ~と笑った。
大人になり、ガッコの教師になった私は、ネクタイをして、ガッコに行く。子供のまま大人になった私は、ブーブー病が治らず、どこでもブーブー。生徒の前でもブーブー。
それでも小生のケツは、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいボー、と私に訴えかけた。
同僚と結婚して子供も出来たが、その子供の額には、第三の目が出来ていて、ギョッとした。
僕は不気味に思ってその子を育てたが、或日、その子がハイハイをしながら、こう言った。
「戦争で人が死ぬよりよっぽどいいバァ~」
おしまい。