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#じんたま
前回はアーカイブだったが、今回はちょうどリアルタイム。画面の向こうでは、クヮン・アン・ユウさん、三浦さん、つつみさんの三人が語り合っている。正直なところ、この配信がどこへ向かおうとしているのか、そのコンセプトや目的は判然としない。もちろん、私自身が運転や食事、あるいは誰かの世話をしながらの「ながら聴き」に終始しているせいもあるのだろう。
三人はそれぞれに誠実で、時にはある程度の摩擦を伴いながら言葉を交わしている。しかし、聴き終えて残ったのは「これではどこにも辿り着けないのではないか」という予感だった。
配信である以上、視聴者を意識していないはずはない。だが、クヮン・アン・ユウさんはあまりに堅物で(それは誠実さの裏返しでもあるのだが)、三浦さんはどこか宇宙と通信しているかのようであり、つつみさんは良くも悪くも「お母さん」という日常の枠の中にいる。淀みのない自然体な会話は、耳には心地よい。
所謂レヴェルは低くはない。しかし、ある程度の視座を持って眺めれば、そこから何かが新しく生まれるような予兆は希薄に思えた。
だが、ふと思う。
この放送を、全くフラットな視点から淡々と「観察」し続ける誰かがいたとしたら。その乾いた視点こそが、このような対話の先に、何らかの目的地を見出すのではないか。根拠はない。だが、直感的にそう思った。
クヮン・アン・ユウさんのX(旧Twitter)の言葉も、胸に響くものはあっても、感情を激しく揺さぶるまでには至らない。しかし、その「届かなさ」や「人柄」そのものを、少し離れた場所に立つ第三者のフィルターを通して描いてみたらどうだろう。
本人は、自らが創作の客体とされることを承知しないかもしれない。だが、その「拒絶」や「乖離」こそが、かえって文学としての強度を生むのではないか。内部のネットワークに埋没せず、外部からの冷徹な視点を介することで、クヮン・アン・ユウという存在は初めて「文章」として息づく気がするのだ。
この『#じんたま』という不可解な場を題材に、商業的な可能性を孕んだ、あるいは賞レースに耐えうるような一編の物語を綴ってみたいという衝動が何となくある、ふふふふふ。
パーソナル・コレクション
振れ幅を持つことが統合につながるのだろうか
一つのものが相反するものを内包すれば
それが内包できる要素や属性に振れ幅を持つことだ
統合とは、異なるものを一つにすることではなく
自分の主観という一つのものが
認識の線で分解された世界を可能なだけ複数個
自分の定義・セルフイメージの中に、
内包して見せることかもしれない。
バラバラなものは一つにならない
一つの自我の中に内包するもの
それは選り好みされた要素や属性を宿した何かだ
今年度もお疲れ様でした
沈黙のミーティング。
雄弁に何も語らぬアジェンダ。
捨象のためのデータドリブン。
墓場まで持っていくサーベイ。
戦略なきディレクション。
戦術なきPDCA。
隕石としてのエグゼクティブ。
屈服しないでマネージャー。
暴落するエンゲージメント。
なぜか貰えるサラリー。
打鍵音は銃声である。
パンを焦がした
パンを焦がした。
これは昨日、
朝食に食べたら美味しいだろうと思って買ったパンだ。
うっかりしていた。
もう少し焼こうと
時間を足したのが間違いだった。
“もう少し〜しよう”は、慎重に。
職人みたいにトースターを見つめて、
美味しい頃合いを
そっと見極めるように、
じわりじわりと攻めていく。
今度からはそうしようと、
焦げたパンを見て思った。
かぐや姫のまゆげは、
抱き上げた、
かぐや姫のまゆげは、
薄く、まだらで、ぽつぽつと、
ふ、る、雨、として、
とどまりの、雲のように、
まるい墨を、かさねて、
おんなだった、
と書く、
ひな人形を、ころばせて、
わらった、この娘は、
歯ならびが、わるい、
こと、
みせることは、
ないはずだった、
口元を、
覆う、白い不織布を、
織り上げた、
女工たち、
に、
誰にも、抱かれたくない、
と
つぶやく、
小さく白い歯、
を、
照らす、灯りを吹き消す、
(入内、受胎、)
がつげられ、
月の者を待たずに、
さくら、さく、春のうららか、
かぐや姫の、
下着にふれる、
さくら、の花、
[て]手と足
手を取って 足を取りあって
相手よりも前へ 前へ
縺れた足取りが後方から掴まれて
反射的、倒れないように前方に伸ばす
手足、手足、手足、手足⋯⋯
手と手を取り合うことが苦手な我々は
路行く者の足を払う
情けないね、人というものは
手を煩わすことを厭わない
足で纏いでごめんなさい
手足の枷をつけたのは自身なのに
鎖に繋がれた身体が誰かを救いたいと嘆いたのだ
不器用なくせして、雁字搦めなのに
どうしようもないね
それてまも伸びた手を握りたいなんて
安い心の悦を満たしていたい
そんな打算で愛は生きている
天然豆
常磐線のボックス席から、女子高生の遠慮や屈託のない話声が聴こえてきます。「天然豆まじこうぇーよね、社会でみたあの写真の天然豆やばくない」「あトウね天然痘」気を使いながら訂正した声です。そんな話を聴いていた私は、しかし、と思ったのでした。本当に怖いのは天然豆の方でそれを私は知っている、と。昔々のことです。ある所にお爺さんとお婆さんをが住んでました。お爺さんは二丁の鉈を研ぐのを日課にし、お婆さんは物干し竿の先端を刃物で尖らせ鑢で磨くのに余念がありませんでした。ある日お爺さんが声をかけました。「さあそろそろ頃合だ。ところでシャア少佐はいつの間に大佐になったのだろう」するとお婆さんが「ジャブローの後でしょうか。では行きましょう」と答えました。二人はガンダムファンだったのです。鬱蒼とした竹藪が目的地でした。竹は何十年ぶりかで花を咲かせていました。竹の花が咲くのは不吉の前兆といいます。そこへ竹藪をねぐらにしている狸が現れました。お爺さんは「そろそろと思うが、天然豆は膨れているだろう」と声をかけました。狸はなぜか困った表情で「大変言いにくいんですが、隣の集落の白鼻芯が昨日すげー食べててあと十年は大丈夫みたいです」お爺さんが俯き考え込んでる仕草をしていると狸は「キシリアと合流した後じゃないですか」と言いました。お爺さんは、はっと顔をあげました。「盗み聞きするつもりはなかったのですがお二人が、あまりに熱心にガンダムの話をしていたのでつい聞き入ってしまったのです」時は1984年、Zガンダムの放送が開始される前年でした。今後ガンダムに何らかの進展があった時、横で解説してくれる先生がいなくてはいけない、と思ったお爺さんは狸を家に連れて帰り、それはそれは大事に世話をしました。そうしてお婆さんが尖らせていた物干し竿を地面深くに突き刺し、延長バーをつけて家よりも高く聳えさせ、丁寧に調整された二丁の鉈をその天辺に横にして備え付ける。するとそれは電波塔になり、三人はハムをはじめました。CQCQCQ映画版Zガンダムのエンディングありえないと思うのですが応答せよ。令和となっても電波の中で三人の声が揃っています。
知っているか、カルナ。
知っているか、カルナ。
君は先程道で転んだ。そして悲しそうに泣き始めたね。君は純粋無垢な子供は、痛みで泣くことができることを知っているのかも知れない。でも、僕は忘れていた。その純粋さが、僕の中には限りなく希釈されていたのだ。それを知っているか、カルナ。
知っているか、カルナ。
君は花屋で花を選んでいたね。昔は道端に生えていた草木を嬉しそうに愛でていた君が、花屋で形作られた花を選んでいたね。様々な色が目や頭を駆け巡るその景色は、君にとっては美しいものなのだろう。君がお金を握りしめ、顔を赤らめながら花を買っているその相手を、僕は密かに知っている。
知っているか、カルナ。君はこの前、なぜ自分が生まれたのかを尋ねてきたね。人間でもなく、肌は金属で固く、冷たい君が、一体なぜ生まれたのか。君は知らないだろう。知らないで僕とともに生きてきたのだろう。
知っているか。カルナ。君は亡くなった僕の娘の代わりに、人間そっくりに僕が作ったロボットだ。君は転んで泣き、いろいろなことを学び、花を買い、恋をして、そして自分の意味を知った。どうだろうか。君は人間に慣れたのだろうか。君は、人間になりたかったのだろうか。その向ける笑顔は、僕へのものなのだろうか。
知っているか、カルナ。君のことはすべて、君しか知らないはずだ。
春の海
海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
春の海、私の胸の裡もまた、
すっきりと青く澄んでいる。
思い詰めることを続けてきた、
あの不吉な緊張がするすると解け、
眼前に広がる春の海を
まことに美しい、と思って見つめている。
何かを美しいと思い、
その美しさを尊ぶことの出来る心が、
また私のもとに戻って来た。
ああ、海は凪ぎ、鷗は空を
真っ直ぐな瞳で飛んでゆく。
美しく、じつにしずかな、春の海である。
(2026.4.2)
余白
飽きもせずに
直向きになって
見せるでもなく
習慣とでも言えば
それまでのこと
始まりからここに
そして終わるまで
一つも浮かべず
何も願わず
ありがたきを想う
天のあらましに
付き従えば
この身に深く委ねた
もうすぐの
これからのこと
大きな命の
一部に過ぎない
小さな命を
しなやかに
そして終えるまで
始まりのここに
余白に嵌める
静かな決意を
ただ一つ
置くだけの信頼
愛のメロディ🎵
um〜 聞こえるよ メロディ
um〜 なつかしい メロディ
um〜 笑顔が弾けだす
um〜 思い出のメロディ
五線譜の音符も踊り出す
粋な メロディ
自然と仲間も集まるよ!
ありがとう 愛のメロディ
um〜 口ずさむ メロディ
um〜 楽しいみんな
um〜 笑顔が溢れ出す
um〜 愛のメロディ
さぁ!歌い出そう 歌い明かそう
大好きな 仲間と
今宵は歌の翼にのって
どこまでも 飛んで行こう
um〜 ありがとう みんな
um〜 愛してるよ みんな
um〜 明日につなぐ
um〜 希望のメロディ
ありがとう ありがとう ありがとう〜
um〜 愛のメロディ!
「trash can can あいcan」
死後も発見されずに朽ちていく
私の夢、言葉、その話
誰にも見つからない人生
静かに消えて行くだけのうた
そう考えるたびに震える
私の人生は、なんなんだろう
きっと幸せで、豊かで、愛されていて、
可愛い犬も飼ってる
それは素晴らしい人生だったと
死神にでも絶賛されるだろうな
絵や映画なんかであったなら
きっと私の苦しみなんて
一つも写しはしないだろうから
私の詩、私の心、私の愛、
私の、人生。
こうやってずっと綴ってる
この言葉が無駄になるなんて
ゴミとして朽ち果てて
誰にも読まれず消えていくなんて
私の愛する言葉が。
なんて悲しいんだろう
私のうたを誰か読んで。
心に刻んで、涙して、
怒って、笑って、
私の言葉を!
どうか見つけて、
朽ち果ててしまう前に
私の人生が終わる前に。
どうか、誰か、
「パスポート」
何処かに行きたいというくせに
そんな気力もない日々で
やりたいことも、行きたいところも
たくさん、たくさんあったのに
何にもできない日々でいるのが
酷く悲しくて泣いてしまう
なんにもできない人間になってしまった
遠くに行きたい
逃げたい、なのかも
行く元気もないくせに
想像だけは一丁前で
日々を想像の中で過ごす日々で
現実を直視することも出来ない
きっと見えているはずなのに
見えないふりをしているのも
そうじゃないと
そうじゃないと
とても生きていけないから
もう少しだけでも、
私を生かして欲しい
いや、生かさないで欲しい
ふふふ
願いも一丁前だったね
「母であったなら」
ゆりかご、ゆりかご
おんなじ顔の子供がいる
1人はあなたであったはず
1人はあなたが殺したはず
ゆりかご、ゆりかご
愛されてはいたゆりかごの中
それを確かめてしまうのは
まだ足りないと泣く、あの子のため
ゆりかご、揺れないで、ゆりかご
揺れなくなったあの日を
ずっとずっと後悔してる
すっからかんのゆりかごの中
愛すべき子供であったはず
抱きしめて、あげられれば
声をあげて笑ったはず
2024/07/15@海遊館吟行より
夜がくるじんべゑ鮫と云ふ夜が
日常詠、ガチャガチャを回してみて(3/11)
わざはひを描いて筆は蝸牛
https://i.postimg.cc/85p8xHn5/IMG-20260312-215001.jpg
『硬つむり』という、おそらくコレはダイアモンドの。
残翅
翅の片方を落とした蛾が
舗道の罅を歩いている
影だけは左右対称のまま
忠実に夕陽を写す
飛ぶことを忘れた、のではない
飛ぶ以前の身体を思い出しただけだ
幼虫の頃の柔らかさで
地面の温度を舐めている
街灯が一つずつ点る
その度に影は濃くなり
残された翅が震える
まだ風を信じている証拠だと
誰も言わなかった
足裏に粘着する湿り気は
昨夜の驟雨の名残か
それとも
剥がれ落ちた鱗粉が溶けた水か
歩くたびに世界が分岐する
右に曲がれば排水溝
左に曲がれば誰かの玄関灯
真っ直ぐには
たぶん
もう何もない
それでも罅の中に
微かな花が咲いていた
名前を知る前に
蛾は通り過ぎてしまったが
振り返る機能は
翅と一緒に落としてきた
BAR「Creative Writing Space」
ニーズがあるやらないやら、まったく見当がつきませんが、
毎度おなじみの思いつきで、BAR「Creative Writing Space」を開業いたしました。
皆様にお使いいただけなければ、すぐに閉店いたします。
電脳空間の片隅にある、吹けば飛ぶような小さなBARでございます。
一杯引っかけた体で雑談していただけるスペースをイメージしています。
「Talk」がさほど機能していないことも踏まえ、もっとカジュアルに使っていただけたらと思っています。
【ルール】
・ワンドリンク制です。必ず何かお飲み物をご注文してからお話しください。ノンアルコールでも構いません。
・お代はいただきません。もしスペースコインをお支払いになりたくなったら、他のお客様に奢ってあげてください。
・酔っ払いすぎにはご注意くださいませ。
Creative Writing Space事務局
2026/03/21
批評・論考
飽和
三日目の雨は音もなく
山法師の花弁で珠となる
山肌を滑る霧の往還は
新芽の産毛の間を抜ける
落ち葉を踏む音さえ沈み
枝葉の雫のみ空気を揺らす。
詩は病院をあるく (詩はあるくXXIII)
二ヶ月に一度の金曜日
いつも通りの予約時間
街の割には大きな病院
採血室はもう並んでいる
順番が来て いつも通りに腕を出す
内科のある新館まであるく
街のアマチュア作家の絵や写真
書が並ぶ掲示板の一番端に
少し色褪せた小学生の寄せ書き
コロナの時の あの緊張感を
あの頃詩を書いていたら
わたしは何と書いたのだろう
いつの間にか外のテントはなくなった
テントの跡だけが コンクリートに
未だ残っていた
詩は黙って それを見る
二ヶ月後も まだあるだろうと。
きみとわたしのあわいに
海と空に境界などないように
白と黒の境界などないように
あり得ないとあり得るの境界も
きみとわたしの境界も
本当はなにひとつないのかもしれない
そこにあるのは
ただ揺らめく波のようなものだけで
監視カメラ
黒い、眼が、
俺を、見ている。
記録している。
だが、
俺は、すでに、
そこには、いない。
カメラが、見ているのは、
俺という、役を、演じている、
別の、誰かだ。
本当の、俺は、
その、死角で、
静かに、笑っている。
蕾のまま
好きだと告げることが
好きだと思うことさえ
裏切りなのではないか
そんな 迷い 抱えて
それでも
綻んだ桜の蕾を見つけて
目に浮かぶのはあなたの顔
Gluon nested
生まれ来る時に
握りしめていた全てを捨てて
開いたその小さな小さな手のひらは
全ての世界につながってゆく
https://youtu.be/u8MRUVrDaRU?si=8jAezFt6kATO29Am
散るように
雨の声が広がっていく
春が濡れ
眺める心に雫が響く
舞う花びらを
追えないように
零れていく
気持ちはもう戻らない
一つ二つと手にしては
儚さがだけが美しい
過ぎて行く恋心
せめて涙が飾るなら
雨に紛れて泣けばいい
散るように泣けばいい
さよなら.com 1
あの日の雨は
もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない
明日
海を見にいこうと思う
海を、見にいこうと思う
辞書の文字が夕焼けに溶けて
世界がぼやけて
君の世界がぼやけてゆく
その証拠に
明日の仕事のことを少しでも思い出すと
簡単に消えてゆくのです
くしゃくしゃになってるのは僕のほうで
握りつぶしてしまった写真の中でも
君はやっぱり笑顔なんですね
今、君が飛び立つ理由を僕は知らない
君が微笑んでいる理由も僕は知らない
バイバイ、エンキドゥ
君の声も
君の顔も思い出せないのに
君の匂いなんて思い出したはずもない
せめて、ハーブをちぎり
魂を
在るべき場所へ
なんやわしの腹だけままだまだ元気やなあ
って言うから
みんなで笑って欲しい
第二製鋼所もとうとう夜間休止だという朝で
も、工長のおっちゃんはいつもの調子で、次
の夜にはいつものように、グッド モーニング
なんて言いながら、会える気がした。
岐路
目の前にある
分かれた道
赤子が後ろへ
下がらないように
人は前へ歩む
他人の言葉が耳に届く
おいしい店の匂い
横切ったきれいな人
足を踏み出せば
幻覚のように
魅惑の道は消える
たとえいま苦しくても
歩んだ道には
触れられる温かい手
選べるのはひとつだけ
足跡が残る
過去は自分だけのもの
青い
空の青や水色、淡い紫、と様々な色に覆われた何処までも続いていそうな夕暮れの空。そんな空を映す水田が風に吹かれ、波紋を広げた。嫋やかに靡く水面に映る、一言では表すことのできないような空の多彩さと空には無い、水の艷やかさ。パレットのように見えるそれは、いつか自分が染め上げた滅茶苦茶なものではなく、ただひたすらに何処までも美しかった。
それがなぜか、どうしようもなく苛立たせた。美しい絵を真っ黒に塗り潰してしまいたい衝動のような。美しすぎて手が届かない虚しさと、遠くに追いやった自分に、堪らなく苛ついた。
池の桜
池の桜は咲いたでしょうか
春爛漫 池の周りを歩くのは
笑い始めるには程よい距離で
スベッてばかりのあなたの冗句に
そろそろと口が綻び出すから
花は見ています
どれだけあなたが善良で
どれだけ私が悪人か
逆も然り
花びらを映す水面の影は
黒い石から放たれている
差し溢れる光に 皆が
裏地の厚みを忘れたら
良いも悪いも一緒になって
かいくぐるだけよ
闇、光、闇、光、
池の桜に聞きましょう
映っているのはどんな絵かと
あなたは少し口を開いて
私はぐっと肩を引き締め
宵闇、酔いどれ、薄色、薄哀し、
池の周りを歩く距離は
程よい頃合いで面を外し
高笑い、互いの、他我に多角と
宴のような顔の混じり合い
そろそろ
歩きに行きましょうか
思考のミックスジュース
逆再生して
パイン,キウイ,
イチゴ,バナナ,モモ
林檎
一つの思考が
果物に還るまで
わたしたちの
手もと
轟音で
ミキサーが
鳴る
plenty
多すぎる荷物と花束と
離れた場所に停めた車まで歩いた
桜が咲いた日
たくさんの
言葉と
雨が降っている
明日からは 新しい生活
おかえりノート
書いては消して ほおづえついて
まばたきをして メガネ外して
ため息ついて 立ち上がる
聴きたい曲はコレじゃない とか
靴下がキツイ とか
今朝ミルクを飲みすぎたから とか
ちっぽけで デタラメな 理由をつける
つぶやいたって いいじゃない
鏡のワタシは ふくれっつら
お気に入りのコップで 思いっきりうがいをしてみる
裸足になって つま先立ちで歩いてみる
部屋のすみっこのガジュマルに ほんの少し水をやる
鼻唄交じりに 机に向かう
書きかけのノートと目が合った
さらりとメガネをかけて
うん と頷き
「おかえり」の詩を 書きはじめる
青の溶液
彗星の速度で
時間の裏側へ遠まわりする
夜に
ないていたのは
きみの骨。
ずっと昔に
置き忘れていた
戸棚の
ビーカーの
青の溶液
核反応の
名残りのように
振り返る一瞬に
飛散した欠片
留め置かれた記憶。
とおりの街路樹は
原子に揺らぎ
葉は すこしの 風にゆれる
裏通りには
犬の模型が
透明のままに
佇んでいる
破片は宙空を漂う
4億年後にも
そこにある。
戸棚のビーカーは
既に破損しているのに
溶液はそのままに
すこし 紫にくすんで
形状を保っている。
ラベルには
1900 と
表記されている。
あさ
めがさめてないている
なにかに
おいかけられていた
めがさめて
つめたいくうきのなか
まだ
ゆめのなか
Spring has lost
糸の切れた
パペットみたい
柔らかすぎて
するりと
すべり落ちていく
しっかりと
抱きしめていたのに
開いたままの
きれいな目に
まだ
何かが映っている
ようで
レグルス
(2008–2025)
コーヒー、深夜、それだけのこと
コーヒーは
いつも僕の悲しみ
何かが心を締めつけるわけでも
あるいは涙腺を痛めつけるわけでも
ないというのに
ただ悲しみだけが
そっとそっと、攻めてくる
コーヒー、深夜、それだけのこと
なのに
ただ顔を上げては
一片の眠気さえ失った目に
星を焼きつける日々が過ぎ去るんだ
欧化主義者としての僕の詩
ヨーロッパ
人間精神の最終地点
あるいは運命に生きる人々の
その荘厳なる大地
僕はヨーロッパ人でありたかった
ヨーロッパのその運命に生きたかった
なのにヨーロッパを讃える詩を書けば
なぜかその讃美歌はいつも無視される
皆、薄情じゃないか
あの神話を果たすために生まれた塹壕戦に祈りを捧げるべきじゃないか
全ヨーロッパ人が運命に目覚めて
その運命と義務を果たすために砲火に身を捧げたのに
書くべきは神と呼ぶに至ったヨーロッパ人ではないのか
日本の詩も文学も果てはアニメもボカロさえも
ありとあらゆる全てはヨーロッパに祈りを捧げるために生まれたのに
1914年、ヨーロッパはその瞬間に僕の神様になった
春の風船旅行
時は 破裂した
裸で蛇を 抱いたのだ
腕の中に抱きし サクラ色のもの
にわかに枯木と変わり 蛇となり
火と燃えあがり 炎の舌がなめあげて
ぼうぼうと 視界も こころも焼き尽くし
おれは 破産した
何処へ行くという 当てもなく
何をするという 目処もなく
春の地球にひとり浮く
いま おれは 煤だらけの 黒い火ぶくれの風船だ
ともだちも きょうだいも こいびとも
しごとも くらしも
すべてが燃え尽きて 灰になってしまった
火ぶくれの 血だらけの風船が道の上
春の地球にひとり浮く
あくせくと あがいた日々がなつかしい
そしてこれは 夢ではない
これがまったき 自由というものだ
所有せんとする こころ
逢いたき人にまみえんとする のぞみ
ゆめというゆめ
ねがいというねがい
すべてが燃え尽きて 灰になってしまった
春の地球にひとり浮く
空にこの ぽっかりと浮かぶ 浮揚感はどうだ
そしてこれは夢ではない
これがリアルなまったき 自由というものだ
ではひとつ 風船の腹のあたりに針さして
さてひとり 出発するといたそうか
ぷしゅーーーーーと 穴から悪い夢を吐き出して
あの まだ見ぬ真昼
あの はるか大海原への旅へとさ
生まれ変わるか否かは わからない
でも 行こう
あの 大海洋の上空へ
さあ行こう
春の風船旅行
たくさんたくさん
人間がたくさんいる
人間はただ生きて死んでいくということが認められていない
学び働き世代があり上下があり
金という道具に命を握られている
たくさんたくさんたくさん
人間がいて
人間社会という言葉がある
その言葉に恐怖を感じる
人間のカタチをしているだけで
大きな大きな負荷を与えられている
それでもこんなにたくさんたくさん
電車にもバスにも道にも建物にも
人間はたくさんいる
もうたくさんだ
本音
会いたいと伝えたら
画面の向こうの貴方は
どんな顔をするのかな
びっくりするかな
困るのかな
もし同じ気持ちだったらな
つい送ってしまった
つい溢れてしまった
『本音』
しばらくして
ついた既読
返事が怖くて
画面を伏せて
通知が来ても
気づかないふり
いつも通りの
温度のメッセージ
がっかりしたのと
同じくらい
ほっとしたんだ
美輪さんのボロネーゼ
萎えるよ 皆
萎えるよ 皆と
笠利 End la
POLO 見ねぇ皿
歌への 性
絡める 汁
エラ Snow
to ラメの意?
ガツンとみかん
風呂には居る
助けろ
寝ると明日
そこにエルフ
皆 捨てられ
見つけられない
辛め to 否
ボロね?エエよ!
見渡す
絡めるの 汁
エラい濃厚
辛め to 意なる
彫らす ノウハウ
皆 ステテコ
見つけたりぃな
絡めるの 汁
ボロネーゼ
美輪さん、噛み!噛み!
憂鬱な歌
渡された歌詞カードには、
「憂鬱な歌」と書かれていた。
これを長調で歌おうってんだから、
笑っちまうさ みんな面白がった。
僕は思い立って、
誰もいない体育館から
渡り廊下へ抜けたんだ。
夕日がメラメラと燃え上がって、
僕の濃い影を地面に落としていた。
木蓮の蕾
ぼくはまだ
あのアパートにいる
冴えない朝の光が
カーテンのすきまから
こぼれてる
きみは なにも言わずに
ぼくの髪を撫でる
それだけでよかったのに
憧れは 遠くて
触れた瞬間に 壊れていく
ぼくは
きみのことが 好きで
だから このままで
いいと 思ってた
きみが ぼくのことを
忘れてしまっても
ぼくは たぶん
忘れない
ベランダの隅で
苔が 静かに増えていく
誰にも気づかれずに
意識が 遠のくみたいに
やさしさは 消えていった
あの日のいたずらも
笑えなかった理由も
まだ ここにある
きみのためなら
どんなことでも
できると 思った
悪いことだって
きっと できる
きみが 願うなら
ぼくに 死んでほしいと
言うなら
そのときは
少しだけ 笑って
木蓮の白さが
やけに 重くて
これ以上
近づかないように
手を思い切り伸ばして
空に触れようと
身をなげるよ
メンヘラ女子は眠れない
リストカットもファッションなら
オーバードーズもまたファッション
スマホで撮ってハッシュタグつけて
今日もブログにうPする
映えるインスタ盛るX
7個のサイトを使い分け
裏垢病み垢自撮り垢
メンヘラ女子は眠れない
彼女は歌舞伎町のホストを刺したあと
その画像をネット上にばら撒いた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある
自分自身を消費せよ
誰もがアピール誰もがジャッジ
もっと可愛くもっと過激に
勝手に拡散勝手に炎上
量産型に地雷系
キーワードは「ぴえん」と「エモい」
迷惑動画もバズればノーカン
メンヘラ女子は眠れない
彼と彼女はSNSへ投稿し
トー横のホテルから飛び降りた
人生はフォロワー数や
「いいね!」の数の中だけにある
(ラップ)
プリン髪して痛バ持って
とてたま気分でバイ活オワコン
キラキラ女子に港区女子
無理ゲーだったらパパ活女子
干物女にはなりとうない
外見スペック超絶ウィケメン
スパダリわかりみキュン死にしてねアピ
パリピギャルサーマジ卍
誰得禿同同担拒否
どーでもよすぎワロタそれなw
メンヘラ女子は眠れない
風船
あの子は風船を持っていた
みんなが欲しがる風船だ
でもわたしはそうじゃなくて
あの子のため息を気に入っておりました
いつだかあの子の風船を
誰かがうばいにやって来たけど
ついに誰のもとへも行かず
わたしはあの子の血を拭きました
きれいな晴れの日の朝に
あの子はいつもの明るいえがお
でもああいとおしいあの子は
風船に連れ去られてしまった
わたしの方があの子より
ずっと背の高いはずなのに
いつの間にかわたしはあの子の
靴の先っぽ 見上げていたのです
そうしてあの青い空へのぼったっきり
わたしはあの子を見ないのです
小さな星の軌跡 思い出話「自意識の痛みと、踏み越えない距離」
夏休みの午後、山間のわたしの家は蝉の声で満ちていた。
玄関を開けると、汗をぬぐいながら立っている先輩。リアキャリアの機材が、今日の目的を静かに語っている。
「こんにちは、ちーちゃん」
「いらっしゃいませ、先輩」
部屋は、レース越しの木漏れ日が床に散っている。
わたしの白いワンピースの裾が光を受けて、
“いつものわたし”
より少しだけ大人びて見えている、といいななんて。
そのことに気づいてほしい。
でも、気づかれたら恥ずかしい。
その矛盾が胸の奥でじんわり疼く。
先輩は窓の外の林を見つめて、ふとカメラを構えた。
「ちーちゃん、あの窓辺に座ってみてくれる?」
言われた瞬間
“見られる”
という意識が一気に体に広がる。
恥ずかしいのに、断りたいわけじゃない。
むしろ、すごく期待している自分がいる。
座ると、先輩の視線がファインダー越しに触れる。
その距離が、普段より少しだけ近い気がする。
かしゃ、かしゃ、かしゃ。
蝉時雨とシャッター音。
わたしの心臓の音も混ざっている。
「先輩、外でも撮りませんか? 木漏れ日のところで」
言った瞬間、胸の奥が痛くなる。
“もっと見せたい”
という気持ちを、自分の口で言ってしまったから。
先輩は一瞬だけ固まって、それからゆっくり頷いた。
「うん。行こう」
家の周りの木立は、午後の光で満ちている。風が吹くたび、光の粒が揺れて、ワンピースの布がふわりと浮く。
「ちーちゃん、今の感じ……すごくいいね」
その言葉にじんわり熱くなる。
褒められた嬉しさと、
“見られている”
という意識が混ざって、自分でもよくわからない気持ち。
でも同時に、
“これ以上は、先輩を困らせてしまうかもしれない”
という不安が、足元をそっと引っ張る。
わたしは少しだけ背伸びして、
光の中に立つ。
“もっと綺麗に見えたらいいのに”
“先輩の目に、どう映ってるんだろう”
“でも、これ以上は踏み越えちゃいけない”
そんな気持ちが、蝉の声と一緒に胸の中でざわざわする。
先輩と前に見た、図書館の写真集。あの全てをさらした大人の人とは違う、わたし自身の気持ちを、きっと見せることが出来たはず。
カメラを交代して、今度はわたしが撮る番。
先輩の横顔に木漏れ日が落ちて、
星みたいに光っている。
カシャリ。カシャリ。
撮るたびに、
“わたしが見ている先輩”
が一枚ずつ増えていく。
「ありがとう、先輩」
「僕こそ、ちーちゃん」
蝉の声は遠くで続いている。
この瞬間
“見せたい気持ち”
“踏み越えない距離”
の二つの気持ちがわたしをそっと揺らしている。
光はまだ揺れている。
その揺れこそが
今のわたしの全部だと思った。
https://note.com/chikusui_sefuri/m/mc4ef7cab4639
noteにまとめがありますのでよろしければ。
三度目のお願い
今日はあったくせしなかった。
最初は相手から言ってきたのに今じゃその体温が頭にこびりついて後悔しかしない。
照れながらも言ってくる様が可愛かったのにこれじゃ恥ずかしい。
そんな事もあれば遅刻したお仕置きとして言ってみれば良かったと後悔が混じる。けれど言ってしまった時、引かれないかの心配と言う言葉よぎり、心を止める。
いっそのこと会うたびに言ってくれればいいのに。
愛になる
今まで感じた
心のすべて
受け入れられた
心のやさしさ
あたためて
言葉のなかに
心伝えて
いつまでも
目に触れるもの
感じるたびに
心のすべてが
愛になる
気配
犬を散歩させている人がいた
けれどよく見ると
犬はいない
人もいない
ただ散歩だけがあった
それもまたやがて咲く
桜の気配に
溶けて消えた
春の詩
冬に捨てた言葉達が
緩む土手で顔を出す土筆の様に
心に返り咲いたなら
なにくわぬ顔をして摘み集めては
花を揺らす風を友に麗かに
春の詩でも書いてみようか
春を待つ
気持ちは一歩
背伸びする