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2021/01/01 12:00:00

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折る。

折り紙を折る。タバコを吸う。お前、おまえは、この火元で、儚く燃え消えるいのちにすぎない、おまえは、おまえのいのちは、私の火の手で、ただの燃えカスになる。
折られた折り紙は無表情で、おまえは、笑顔も作ることができない、二度、三度折る、広げる、折り目に、動きができる。

腰から捻って、かたちが生まれる、鋭利なやいばを私に向ける、おまえは今、わたしの手によって作られ、私から離れようとしている。やいばを折る、何度折っただろう、四本の手が生える。
手を折る、くちばしが生まれる、手を折る、尻尾が生まれる、手を折る、手を折る、手は、私の手の中で、立派な羽になる、おまえは、笑顔を作ることもできない。

折り紙を折る、最後のタバコを吸う、おまえ、おまえは、こうして火元を押し付けられたら、ひとたまりもない、おまえは、そういう存在にすぎない。折られた折り紙の半身に、陽が差し込んで、私のまつげにも、にこやかに陽が反射して、二度、三度、何度でも、おまえを、折る。

折られたおまえに、動きができて、手を折る、手を折る、手を折る、手を折る、さきほど、折ったおまえの兄弟は、おまえととても良く似ていて、でも少し表情が違っていて、何度でも、おまえを、おまえに似た兄弟を、折って、おまえは、飛ぶこともできない。

飛ぶことができないから、仕方ない、お前はなんで、こんなものを欲しがる、お前はだって、小学生のときも、大人になってからも、私と一緒にいて、いつしかいなくなって、その間に、私に一切の要求はなかった。お前はなんで、こんなものを欲しがる、仕方ない、お前に、会いに行く。

お前は、飛ぶこともできない手を折って、兄弟たちを抱きしめた、お前はなんで、せっかくの兄弟たちのかたちを変える。
陽が差す、静かな窓辺に、お前が要求したものを飾ってやるぞ、はじめて、表情を変えないおまえたちが生み出した、表情を、横から私も、眺める。
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 花緒

 2025/01/05 00:47

かばん餅さんは、ここ数年の間に、きっと何か心境の変化があったのか、あるいは時間の経過によるものなのか、筆力が向上したように感じます。この文章に何を折り込もうとしたのか、正直、私にははっきりとは分からない。ただ、勢いのままに描かれたようにも見えます。「お前」と「おまえ」が揺れているのが不注意によるものなのか、意図的にコントロールされたものなのかも分かりません。ただ、その文章の連なりの勢いや、込められた念のようなもの――その強度が以前よりも増していて、内発的な感覚、ポエジーを感じます。

率直に言うと、以前の作品群も悪くはありませんでしたが、どこか借りてきた、体に合わないスーツを着ているような感じがあったのも事実です。今一歩、自分のものになりきっていない、コミットメントが一歩足りない、という一抹の不満が残るところもあったのです。

本作においては、同じ言葉を連呼するスタイルが印象的です。これを「誰かの影響ではないか」と指摘する向きもあるかもしれません。しかし、ヨン・フォッセや藤田貴大を挙げるまでもなく、反復やループする表現技法は、もはや時代的なものであり、誰かの専売特許というわけではありません。

重要なのは、その技術やテーマが作品にとって必然性を持っているかどうか、あるいは作者の精神構造とリンクしているか、内発的に湧き出ている感覚があるか、でしょう。そういう意味で、この作品にはループ作品やネット詩からの影響があるのでしょうが、それ以上に、作者が自分の表現を汲み取りつつあるような萌芽が感じられます。

実を言えば、前作の時点でそのような印象を受けていましたが、その印象がさらに強まった、というのが今回の感想です。
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 ハアレクインムーン

 2025/01/05 09:56

祈りを込められているのでしょうか
祈りが込められたものは祈りそのものとして残るのでしょうか
しっかりとした形なのに淡いもの
依代として浄化されるのでしょうか
そんな気持ちになりました
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 かばん餅

 2025/01/05 12:18

花緒さん
評をいただきありがとうございます。前作は詩として書かなかったのですが、本作ははっきり詩を意識して書いた故、やや意図が伝わりにくい遠回しな流れになってしまった感があります。
音楽を勉強してわかったことのひとつに、作品の論理性があります。音楽は自由なようでいて、特にクラシック音楽なんかはえげつない禁則にがんじがらめで、1音1音が理論として説明できるか、できないのなら変えるべきだ、という世界なのだとわかりました。久しぶりに作品を書くにあたっても、理論的に説明できるか、論理が破綻していないかに着目する癖がついていたのかもしれないです。
然るに「お前」と「おまえ」の表記ゆれは意図したものになりますが、明らかに意図的であると伝わるような書き方にすべきだったという反省があります。
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 かばん餅

 2025/01/05 12:30

ハアレクインムーンさん
評をいただきありがとうございます。
祈りを込められているのでしょうか
同じ折り紙を同じように折って、同じようなかたちの完成品を作り続けながら、それ自体が彼にとっては祈りに似たようなものであり、最終連で、無事浄化されているのだと思います。ただし、その祈りが実ったかは、蛇足と思いかきませんでした。
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 桐ヶ谷忍

 2025/01/05 12:32

こんにちは、かばん餅さん。
「お前」を私は小さな女の子として、「おまえ」は折り鶴への呼びかけとして読みました。

何羽も折るという事は、「お前」は入院しているのでしょうか。
「おまえ」折り鶴など、手元のタバコの小さな火で跡形もなく消えるのに、という祈りの無力さを嘆いているのか…。

私はこのように解釈して読みましたが、繰り返される同じ動きが執拗に迫ってきて、切迫感とそれに伴う偏執狂じみた狂いが見え隠れして、大変面白く読めました。
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 かばん餅

 2025/01/05 17:29

桐ヶ谷さん
評をいただきありがとうございます。お前が主人公にとってだれなのかをあんまり具体的に明示しなかったので、私も含めて読者にゆだねられるところだと思います。女の子としても、想い人としても、親友としてもそれぞれ成立し、文章の読み方が変わってくる構造になっていればいいなと考えています。
切迫感とそれに伴う偏執狂じみた狂い
どこかしら主役を狂わせないとどうにも気が済まない性格でして、だいたい狂わせています。本作含め、私が書いた主役の皆さんには迷惑をかけていると思っております。
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 赤ぺこ

 2025/01/05 22:48

拝読しました。折り紙は精神が内に向かうためなのか遊びとは少し違っていて、私的には神聖な儀式といった印象があります。なのですべては読み取れていませんが、共感できる部分は多々ありました。

ちなみに余談ですが、お祖母ちゃん子だったので、小さい頃はよくチラシでゴミ箱を折っていました。不器用だったので折れ目もバラバラでしたが、だからこそ愛着が持てたのかもしれませんね。折り方は多分覚えているので、このあと作ってみたいと思います。
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 かばん餅

 2025/01/08 21:29

赤ぺこさん
ありがとうございます。折り紙を折るときは、単純作業で指を動かすので色んなものが走馬灯のように巡ってきたりします。
私もゴミ箱を新聞紙などで大量に作らされた経験があります。思えば、ゴミを捨てるためのモノを生み出す作業も小粋な感じがしました。
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 澤あづさ

 2025/01/09 18:03

「折る」という行為に創造と破壊の二義がかかっている。語り手は自分の創造のさまを神の視点から他人事のように俯瞰している。最後に唐突に出てくる「お前」は、被造物である「おまえ」の兄弟と呼ばれているが、被造物というより分身のようにみえる。喫煙できる年齢の大人である語り手から、失われて久しい童心のようなものに、いま語り手は遭遇している。

かなり挑戦的な筆致で、読まれる内容が読者によって激変しそうです。わたしは詩に闇を求めてしまうたちなので、被虐経験の痕跡のような暗澹たる心境しか窺えませんでした。執拗な反復の奏でる異様な快楽が、ただでも暗い詩境をさらに翳してみえ、よい意味で非常に不穏です。
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 田中宏輔

 2025/01/09 18:14

折り紙は小学生のときに夢中でやっていたように記憶しています。
成人してからは一度もしたことがありません。

折り紙をモチーフにされてて、うまいもんだなと思いました。
第一連と最終連、5行目、4行目で行開けにされたほうが見た目によいと思いました。
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 かばん餅

 2025/01/12 09:54

澤あづささん
評をいただきありがとうございます。挑戦的な作品を企図したものではなかったですが、詩に対する根本的な知識が欠けているので偶然主流でない書き方になっていたのかもしれないです。主人公は少しだけ狂わせた、程度でそこまでおかしい人物を書いたつもりもなかったのですが、多くの読み手が主人公の異常性を垣間見たようです。それはつまり、私の常識が狂っているということなのかもしれません。
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 かばん餅

 2025/01/12 09:59

田中宏輔さん
ありがとうございます。折り紙は題材にしやすいといいますか、心情や情景を乗せやすいので少しずるい主題だったかもしれません。ご指摘の通り、場面転換なので行分けした方が読みやすいですね。文章としての見た目にも着目していこうと思います。
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