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2021/01/01 12:00:00

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層を重ねて

一、澱

ちいさな
ちいさな
傷痕は

少しずつ
少しずつ
沈めて来た

だからもう
流れ出る水は
清らかに


 淵の底には
 想いものが
 残り続けて


でもいつか
それすらも

あおぐろの夕暮れにほどけた
朱霞しゅかの河霧に潤した

わたしの澱は
縞模様の
堆積岩となって




いつか誰かが
手にするのかも、ね。

ーー

二、地層の調和

​朝の鏡に向かって、わたしは「日常」を着ていく。
薄く引いたアイラインと、丁寧にアイロンをかけたシャツ。
それは、今日という日を誠実に歩くための
わたしなりの、清潔な決意。
​背筋を伸ばして、誰かの言葉に頷き
ふさわしい言葉を選んで、社会の網目の中を泳ぐ。
その忙しなさも、その責任感も
嘘偽りのない、わたしの確かな一面だ。

​けれど。

ふとした沈黙、資料をめくる指先、
コーヒーの湯気の向こう側に。
あの夜の、湿った森が そっと息をする。
​それは、今の生活を否定するためではなく
今を支える、深い土壌として。
​シャツのボタンの下、
あの繊細なレースが、肌に静かに触れている。
小さな胸が刻む鼓動は、
事務所の静寂の中でも、満月の下と同じリズム。
​「ちゃんとやっているわたし」も、
「すべてを晒して震えたわたし」も、
どちらも、地続きの同じ命。

​人混みの中で、ふと足の指を丸めてみる。
靴の中に守られたその足裏は、
あの冷たい木の感触を、今も鮮明に引き出せる。
それは、誰にも見えない、わたしだけの「お守り」

​取り繕っているのではない。
調和させているのだ。
強さと、脆さを。
日々の光と、夜の月明かりを。
​整えられた外側があるからこそ、
内側の熱は、より深く、清らかに澄んでいく。

完璧ではない自分を、
完璧に演じなくていい自分を、
そっと、シャツの下に抱きしめる。
​わたしは、この装いの中で自由だ。

誰にも気づかれない場所で、
わたしという森は、
今も、静かに 息づいている。

ーーー
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 ツチヤタカユキ

 2026/02/06 00:14

地層の調和をめっちゃ食らいました!
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 金子 晃太

 2026/02/07 15:28

一、澱
詩の距離感が感じられて新鮮な心地でした。
水底からドロや土が舞い上がる自然さを見た気がします。

二、地層の調和
忙しい日常生活の中でも逞しくなれるような、
土の匂いが感じられる素敵な作品を読ませていただきました。
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