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2021/01/01 12:00:00

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そうやってみんな

公園のすみで
鳩を一羽肩にのせている老人
その人はG氏とよばれている
口髭のG氏は
「ブランコをこぎなさい
 そうすれば祝福されますから」
とぼくらに言う
祝福が何かを知らなかったのに
ぼくらはブランコをこいだ
みんなはすぐにやめた
ぼくはこぎ続けた
ひとりこぎ続けた
声が変わり
すね毛がはえて
口髭がはえても
ブランコをこぎ続けた
犬が吠えても
けーさつに事情聴取されても
こぎ続けた
地元のテレビ局が取材にきた
「なぜブランコをこぐのですか」
「G氏がそうするよう言っていたので」
アナウンサーは首をかしげた
ぼくはテレビに放送されなかった
町の名物にも
珍風景にもならなかった
顔はシワだらけに
頭は白髪だらけになった
腰も膝も痛むようになった
肩にはいつのまにか
一羽の鳩がとまっている
ぼくは
ブランコをこぎ続けた
いまなら祝福が何か
わかりそうな気がした
けっきょく
ブランコから落ちて
頭を打って
ぼくは死んだ
 らしい
一緒にブランコをこぎはじめ
すぐにやめた老人が
ぼくへの弔辞を読みあげる
「G氏はブランコをこぎ続けました」
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 たけだたもつ

 2025/03/23 10:03

美しい詩ですね。メビウスの輪みたいだ。ねじれて裏と表、違う風景を眺めて、またもとに戻って。何故、インタビューは放送されなかったのか、とても気になっていて、その理由、というより、この詩における必然性について。ここがあることによって、この詩の美しさはさらに輝きを増していることに間違いはないのですが、うまく説明できないな。タックルにいこうとして、ふいにバックをとられたような。
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 花緒

 2025/03/23 14:12

明確な良作だと思う。
ブランコを漕ぐことが何を象徴しているのか余白が大きく、それがこの作品の美点ともなっている。
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 百彪

 2025/03/23 18:58

そうやってみんなブランコを漕ぎ続けて、いずれはG氏として生涯を閉じるのだろうか?

ブランコを漕ぐ行為は何にでも置き換え可能ですね。
自分だとなんだろう?読書かな?

何になるでも無くただ読みつづけて、「あの人はいつもweb小説を読んでました」って弔辞で言われちゃいそうだな(笑)

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 かとう茶倉

 2025/03/25 04:35

そんな意図はないかもしれませんが、勝手にどこか安心してしまうように感じる詩でした。自分が夢中だったり必死だったりするとき、他者はまともに、あるいはてきとうに生きているように見えるけれど、みんなお互いをそう思っているだけかもしれないと思うなどしました。何者にもなれないという価値観も、いずれそれ自体がステータスになるでしょう。わたしも、的を射た感想を言おうとするのをやめて、有識者になれなかったひととしてただ思ったことを日記のように書いていこうと思います。よい読書体験をありがとうございました。
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 藤 一紀

 2025/03/26 01:58


「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。」

「われ童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。……」

など、新約聖書に語られていることを思い出しました。最初の引用箇所を「ぼく」、後者を周りの反応と見ると、なんとなく重なるなあと。そして、《祝福が何かを知らなかったのに》ひとりこぎつづける(た)「ぼく」は、《いまなら祝福が何か/わかりそうな気がした》とは言っているけれど、すでに祝福されているように思います。
一心に求めることは、もしかすると、それ自体が、(勝手な解釈ですが)与えられることなのかもしれません。
それにしても時間の経過の早いこと! 懸命にブランコをこぐ、その振り子運動が、時間を加速させているかのようです。もっとも必死に生きていると時間なんてアッという間ですが。
しかし、違う角度から見ると、実は、誰にとっても同じことで、他人には見えないだけなのかもしれない。《一緒にブランコをこぎはじめ/すぐにやめた老人》も、その「すぐ」の間に長い人生を通過したようにも思えます。そう考えると、みんながそれぞれにそうやって自分の人生を生き、祝福を求めることで祝福されている「ぼく」であり、G氏であるように思えてきます。
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 Creative Writing Space事務局

 2025/08/23 12:14

真に勝手ながら事務局選出として「しろねこ社」からの詩集出版をかけたコンクールに選出させて頂きました。何卒、ご理解のほどお願いいたします。
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